※作中、性的描写あり。
白い肌を淡い色に染めて、艶めかしい表情では僕を煽って来る。顔を上げさせ、噛みつくように唇を塞げば、細い肩がかすかに震えたのが分かった。舌をやんわりと絡め合いながらすっかり濡れそぼった場所へ指を滑らせる。ぷっくりと主張しているところを指の腹で優しく撫で上げるだけで、塞いだ唇の隙間から甘い声が洩れて来た。唇から顎、首筋へと口付けながらも潤みのある泥濘へ指を埋めていく。同時に胸へ滑らせた唇で先端を挟み、舌で優しく転がすと更にの喘ぎが跳ねた。さっきから何度も達したことで、の身体は余計に敏感になっているみたいだ。
「…気持ちいい?」
「…ゃ…あっ」
指を増やしてゆっくりと抽送を繰り返す。何度か抱いた後だというのにまだ少しキツい奥を何度も攻めて解していくと、また蜜が溢れて来た。我慢の限界が来て、そこへ硬く昂ったものを少し挿れたただけで彼女はキツく締めあげてくる。
「さ…とる…んぁっ」
潤んだ目で見上げてくると目が合い、全身の熱が上がった気がした。その視線に誘われるように突き上げて腰を打ち付ければ、は苦しそうな、それでいて甘い嬌声を上げ始めた。
子供の頃から、は僕のたったひとりの女の子だった。互いに必要な存在だと信じて疑わなかった。でも僕は自分の運命を理解した頃から、を巻き込むことを酷く恐れて、一度は距離を取ろうとバカな選択をした。そんなことをしたって、無駄だったのに。どうしようもなく孤独を感じた時、傍にいて欲しいのはだ。一番心が弱っている時に求めてしまうのは、いつだってだけだった。
「…ぁあっ」
奥まで突くと、が喉をのけぞらせた。その白い首筋に惹かれるように唇を滑らせる。今日までどれほどを抱きたかったか、思い知らせたくなった。一度自身を引き抜き、彼女の身体を反転させてから今度は後ろから貫いた。甘い声が跳ねあがる。胸のふくらみへ手を伸ばし、後ろから揉みしだく。片方の手で小さな芽を指で擦るだけで中がうねるように動いて強く締め付けて来た。快感が脳まで一気に駆け上がりそうになり、腰の動きを緩めた。焦れったいほどの疼きが腰にまとわりつき、落ち着いた頃に奥まで突くと、もっと欲しいというように僕を更に奥へと飲み込もうとする。それに合わせて腰を何度も打ち付けるとの声が一層甘さを増した。最初に宣言した通り、一日中ベッドの中で抱き合っているというのに、欲望は尽きることがない。これまで離れていた時間を埋めるように、僕らは求めあった。
「…」
互いの呼吸が落ち着いて来た頃、彼女を抱き寄せて額に口付けると、もぞもぞと動いて僕を見上げて来るは、甘えるように胸元へ顔を埋めて来た。それがいじらしくて背中に回した腕に力を入れて抱きしめる。
「大丈夫…?」
「…うん」
腕の中で小さく頷くと、は再び僕を見上げた。やっと手に入れたという安心感が、心を満たしていく。同時に彼女に無理をさせたかもしれないと、つい訊いてしまったけれど、は気だるそうにしながらも幸せそうな笑みを浮かべていた。
「悟…喉乾かない?」
「んー渇いた、かも」
「お水、持ってくるね」
がベッドから抜け出そうとするのを見て、つい腕を引き寄せてしまった。少しの時間も離れたくない、なんてらしくないことを思う。
「悟…?」
「早く戻って来て」
「……う、うん」
バスローブを羽織ったが恥ずかしそうに頷いて、小走りでベッドルームを出ていく。その姿が可愛くて小さく吹き出した。
「はあ…ヤバいな…」
ベッドへ寝転がり、天井を見上げる。分かっていたはずなのに。を一度でも抱いてしまえばこうなることを。実際にこうして触れてしまった今は、これまで幼馴染で過ごせていた自分が信じられないほどの独占欲が出てしまう。たった一人に溺れてしまう危うさを、嫌と言うほど理解しているのに歯止めが利かない。出来ることならをどこかへ閉じ込めて誰の目にも触れさせたくないと思う。
「悟…?お水持って来たよ」
不意に声がしてがベッドの方へ戻って来た。手には水の入ったグラスを持っている。
「ありがとう」
僅かに身体を起こしてそれを受けとると乾いた喉を軽く潤した。少しスッキリしてベッドの端に座っているの腕を引き寄せ、そのまま押し倒す。
「悟…?寝ないの…?」
「んー眠くない」
言いながら水で濡れた唇を彼女へ押し付けた。するりと舌を滑り込ませると、の肩がかすかに跳ねて、力のない手で僕を押し戻そうと足掻く。
「ん…ダ、ダメ…」
「…キスするだけだよ」
「……それだけじゃ済まないくせに」
拗ねたように口を尖らせる彼女につい笑ってしまった。確かに最初はキスだけと思っていても、何度も触れていれば他の欲求が出てきてしまうのが男という生き物だ。
「…悟ってこんなに肉食系だったんだ」
「ん~当たらずとも遠からずって感じかな」
「どういう意味…?」
に覆いかぶさり、額にキスを落とすと、キョトンとした顔で見上げて来る。
「いくら僕でも他の子にここまで盛ったりしない」
「……な、何それ」
「こう見えて意外と淡泊だったし」
「………ふーん」
の目が僅かに細められた。そんなに他の子としたんだ、と呟くを見て余計なことを言ってしまったなと苦笑する。
「それが言う?自分だって彼氏の話、散々僕にしてきたくせに。そりゃ僕だって他の子で気を紛らわせたくなる」
「…う…」
やぶ蛇だったと言いたげには目を伏せた。
「僕はずっと昔からだけを想って来たってのに」
「だ、だからそれは悟が…」
「そう。僕がを遠ざけようとしてきた。でもそれも危険な目に合わせたくなかったから」
「悟…」
がふと僕を見上げた。ジワリと潤んだ瞳を見ていると、これまで抑えて来た想いが解放されて素直に愛しいと感じる。
「でもこれからは遠慮しないけどね。その覚悟は出来てる?」
僕の問いには涙をぬぐいながら小さく頷いた。
「とっくに…出来てるよ」
真っすぐ見つめて来る瞳には迷いも何もなかった。ふと笑みが零れて、今感じた想いのまま口付ける。重なった唇の熱を感じながら、互いの唾液が交わるくらいに深く舌を絡ませれば、すぐに身体の疼きが戻って来る。
「ん…ぁっ」
乱暴に彼女の足の間へ身体を入れて、すでに硬くなったものを潤みの残っている場所へ押し付けた。
「さ…さと…る…?」
「まだ足りない…」
唇を僅かに離して呟くと一気にを貫く。僕の心のどこから、こんなにも恋しくて、こんなにも淫らな情欲が溢れて来るのか。随分と遠回りしてきた僕らは、お互いの熱を交ぜあい、溶け合って、眠りに落ちるまでは離れることはなかった。
純愛と情欲の間