至らない恋でした
Satoru Gojo

※性的描写あり。

任務から戻った時、娯楽室の前を通りかかったら、かすかに彼女の声が聞こえたような気がした。立ち止まって部屋の中を覗くと、案の定がいる。ただ彼女は一人じゃなかった。隣には傑が一緒で、の楽しそうな笑顔が見える。別にオレはアイツが誰と一緒にいようがどうでもいい、と言えるほど薄情じゃない。周りがオレをどう思おうと勝手だが、アイツのことに関してだけ言えば。
と傑は缶コーヒーを飲みながら何やら話しては楽しそうに笑い合う。何だよ、これは、と内心イラっとしながら、そういやあの二人、今日は同じ任務だったっけ…と思い出す。二人はオレの呪いのような念にも気づかない様子で、今度は仲良くケータイを覗き合う。普段はオレのことを「好き」とか「推し」なんて調子のいいことを言いながら追いかけてくるくせに、今は傑にまで愛想のいい笑顔を浮かべてるんだからムカつく。でもとは別に付き合ってもないし、彼女はオレのものでもないからどうするというわけでもなく。が本気でオレのことを好きなのかどうかさえ曖昧で、オレだって女のことばかり考えている暇すらない。特級ともなれば任務の量は格段に増えるわ、出張も増えるわで、一人の女を構ってやれる保証もないから。ただ男である以上、溜まるものは溜まるし、だからそういう時はアイツの好意を利用させてもらってるだけ。ただ、それだけだ。でもそういう相手は誰でもいいってわけじゃなくて。オレはアイツが――。

「…クソ」

何となく胸糞悪い気分で部屋へ戻ってから適当に報告書を書き、学長の元へ向かう。その途中、また娯楽室の前を通ったらと傑はまだそこにいた。は傑と今日の報告書を書いてたらしい。「これ出してくるね」と報告書を手にが娯楽室から出てきた。でも後ろのドア前に立っていたオレに、前のドアから出てきたは気づかない。そこで我慢の限界がきた。

「おい」
「あれ、五条くん…?今戻ったの?お疲れさま!」
「ちょっと来いよ」
「え…」

声をかけるとすっとぼけた笑顔を向けられ、オレのイライラは頂点に達した。

「ご、五条くん…腕、痛い…」

強い力で腕を掴めばオレの機嫌が悪いのを察したのか、はか細い声で抗議をしてきた。それも無視して元来た道を戻り、寮の部屋へを連れ込む。

「五条くん…?どうしたの?」

困惑した様子のを部屋へ押し込み、ドアの鍵をかけると、は泣きそうな顔でオレを見上げてきた。腕を掴んで突き飛ばせば、彼女は簡単にベッドの上へ転がる。

「な、何で機嫌悪いの…?」

が目を潤ませてオレを見上げてくる。はオレの不機嫌な理由を本気で分かっていないようだった。涙目で見上げてくるその表情が、やたらとオレを煽ってくる。

「分かんねーのかよ、オマエ」

オレの問いには「ごめん…」と呟き、俯いてしまった。理解もしてねえのに何で謝んだよって、また苛立ちが募っていく。
覆いかぶさり、乱暴にの制服を脱がしにかかった。は驚いたのか、普段の従順な態度ではなく、かすかに抵抗してくる。抵抗されればされるほど余計に欲情するって、オレもどうかしてる。中のシャツを捲り上げ、それで彼女の手首を拘束した。淡いピンクのブラジャーを指で押し上げれば、小ぶりながら形のいい胸が露わになって、膨らみを乱暴に揉みしだく。もう片方の手でのスカートを捲り、ショーツを強引に脱がすと、彼女はいやいやと頭を振って体を捩った。「今更だろ」と言って鼻で笑うと、ベルトを外してファスナーを下ろした。いつもはもっと優しく触れる。だけど今日はコイツにそんな優しさは見せたくない。
腰の辺りまでスカートが捲れているおかげでの恥ずかしい部分がオレの目に晒されている。それが恥ずかしいのか、彼女は「見ないで…っ」と顔を背けてしまった。オレは構わずその場所へ指を伸ばし、まだ濡れてもいないところへ挿入した。割れ目をゆっくりと擦りながら、一本を押し込むと、意外にもナカは潤みがある。

「嫌っていうわりにナカはもう濡れてんじゃん」

AV動画で聞くような台詞が口から出てしまったくらい、今はに欲情させられているんだから笑ってしまう。彼女は耳まで赤くして「だって…」と言い訳がましくオレを見上げてきた。

「五条くんに触られたから…」
「はっ。オレじゃなく傑に、じゃねえの」
「…え…何でそんなこと…んぁ…っ」

すっとぼけた返しに指の動きを速めれば、彼女は甘い声を上げた。ナカを擦ればすぐにたっぷり濡れてくるんだから、優秀な身体だと思う。ここまでを仕込んだのはオレなのに。

「もう十分だろ」
「え、や…っぁ」

たっぷり濡れてきたのを感じて指を引きぬくと、さっきから疼いて仕方のなかった熱の塊をあてがう。の腰を抱き寄せて一気に奥まで突き上げると、彼女の口から悲鳴のような嬌声が上がった。

「こうされんの好きだろ?」
「あ…っんん…っ」

腰の動きを速めながら意地の悪い質問をすると、のナカがどんどん濡れて動きやすくなった。の脚を持ち上げて、更に奥深くまで突きながら、指での乳首を弄ってやるとは次第に本気で感じ始めた。

「その声、もう傑にも聞かせたのかよ…っ」
「ぁ…っな…何の…こと…んあ…っ」
「さっき仲良さそうにしてたろ?」

もう片方の手で腰を掴んで勢いよく抽送すると、すでに会話の中身は忘れたように喘ぎだした。の脚が震えているのが分かる。スピードを落としてゆっくりねっとり動かしたり、ぱんぱんっと肌のぶつかる音がするくらい腰を打ち付けてやれば、も涙をこぼしながら善がりだした。繋がったまま覆いかぶさっての目尻に浮かんだ涙を唇で掬う。

「ご…じょうくん…」

の潤んだ瞳と見つめ合いながら唇を塞ぐと、彼女は甘えるように舌を絡ませてきた。ゾクリとして肌が粟立ち、一気に射精欲が高まってくる。

「は…っぁ…」
「くっ…」

繋がったままの体勢でを起こして抱きしめながら、下から何度も突きあげてやると、はいやらしい声を出しながらオレの首にしがみつく。汗ばんだ肌が密着して、どっちの熱か分からないくらいに全身が熱くなった。イク寸前、もう一度唇を重ねるとの舌を絡みとる。最初の頃より、彼女は従順な態度でそれを受け入れていた。

「ご…五条くん…っ」
「オレはオマエを…」
「…五条…く…ん…ぁ…ん…」
「セフレ…とか思ってねえから…」
「わたしは……」

の首筋へ顔を埋めると、小さな声が耳を掠めた。

「わた…し…は五条くんしか…好きじゃない」

切ない吐息交じりで呟かれ、イったばかりだというのに、すぐにまた勃ちあがった。
の気持ちがオレだけに向いてるなら、オレはそれだけで満足するらしい。自分でも呆れる独占欲だ。
は恋人でもないし、セフレでもない。オレはコイツが――きっと誰より好きなんだ。  


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