第六話


※性的表現あり



――の許可がおりるまではひたすら待とうと思ってたけど…許可が出た以上、もう待たなくていいってこと?

予想外の彼の言葉に追い詰められたことは間違いないけど、やっぱり自分の使命を思い出したわたしは、ついその言葉に頷いてしまった。怖くてもどのみち通らなければいけないし、この機会を失えば、次にいつ悟がその気になるのか分からない。だから許可を出したと言われればそう、出したは出したけど、でも――!


「……んぁ…っさ、さと…る…待っ…」
「…散々待ったし、もう待てないって言ったよね」

つい買ってしまったエッチな下着のせいで、悟は容易くわたしの胸を揉みしだき、透けて見える主張した場所へと顔を寄せた。激しいキスの後で息も絶え絶えになっているわたしは、すでに手足が動かせないほど脱力してしまって、これから何をされるのか、あまりよく分かっていなかったのかもしれない。男女におけるセックスというものは知識だけが脳にストックされているけれど、実践と想像では全く異なるということを、この日わたしは悟から教え込まれた。

「…ひゃ…んんっ」

透けた生地の上から胸の先端を食みながら舌先で舐められ、その刺激にまずビックリした。むず痒いような感覚が生まれて、自分の体を悟の好きにされているこの状態に羞恥心が襲って来る。

「かわい。ここ気持ちいい?」

片方の胸を揉みしだき、指先で先端を擦りながらも、もう片方は舌で弄ばれる。恥ずかしくて全身の血流が激しいせいか、死にそうなほど顔が熱い。

「こんなエッチな下着買うほど僕に抱かれたかったんだ?」
「……な…そ…そういう…理由じゃ…ぁっ」

悟は嬉しそうに笑うと、胸元のリボンをするすると解いて、今度は直に肌へ舌を這わせた。ぬるりとした感触に背中がゾクリとして、軽く身震いをする。他人に肌を舐められるという経験したことのない行為に、恥ずかしさで頭がおかしくなりそうだ。胸にも、脚にも、悟の手や舌が這って、自分では抗えないほど性感帯を刺激されている気がした。そのうち、くすぐったさを感じていた場所がジンジンと疼きだすと、彼の施す愛撫によって何かが引きずり出されていく。

「…ん、な…なに…」

次第に身体を下げていく悟に気づいた時にはもう遅かった。脚を押し広げられ、恥ずかしい場所へ顔を埋めた悟は、上と同様、薄い生地の下着を見て興奮してるようだった。太腿にかかる熱い吐息が彼の熱を伝えて来る。そんな場所をまじまじと見られたこともない。胸の比ではないくらいに顔が赤面した。

「ちょ…と…み、見ないで、そんな…とこ…っ」
「どうして?のここ、凄く綺麗なのに。全部透けて見えてるし、何もつけてないより厭らしいな、これ」
「な…ゃ…あっなに…するの…?」

ぐいっと脚を広げられ、そこへ上半身を入れる悟に恐怖を感じて、身体に力が入る。

「何って、が僕の為にエッチな下着をつけてくれたことだし、美味しく頂こうかなと」
「…は?…おお美味しく…って…ひゃぁっ」

自分でもじっくり見たことがない場所に、熱くぬるりとしたものが這う感触に、全身がぞわっと粟立った気がした。何事かと視線だけ向ければ、脚の間に顔を埋めている悟が見える。そこで何をされているのかを脳が理解した時、本当に頭が爆発したのかと思うような衝撃に襲われた。

「…ゃあ…んんぁっ」

彼の舌の柔らかさが直に脳にまで到達する。恥ずかしい部分を口淫されているという現実が、あまりに強烈すぎて思考が上手くまとまらないほど動揺した。

「や…め…て…ぁあっ」

静かな室内にはわたしの喘ぐ声と、くちゅくちゅという卑猥な音が響いていて。それが更に羞恥心を煽る。恥ずかしくて人が死ぬなら、今わたしは簡単に死ねる。

「ふぁ…っあ」

ぺろりと舐められた瞬間、どこかをちゅうっと吸われて、持ち上げられている脚がつま先まで震えた。

「あ…ふ…やあぁ…っ」

恥ずかしさと、よく分からない熱が下腹部から広がっていく感覚に、涙がポロポロと零れ落ちる。絶え間なく与えらえる刺激で頭がおかしくなりそうだった。悟はいつも何を考えているのか分からないし、本音も全然読めない。でも、大人になってからの悟はどちらかと言えば紳士的に接してきてた気がするのに――。

(エッチの時がヤバすぎる…っ)

その時、舌が掠めたある場所から強い刺激が生まれて、脚がビクンと跳ねた。何?と思う間もなく、次の瞬間その場所をちゅうぅっと強く吸われて、そこからぶわっと痺れた感覚が全身に広がっていく。その時、体内に何かを埋められていく感覚があった。それが彼の指だと気づいた時には、ナカを優しく擦られていて、鈍い痛みはあるのに奥からとろりとしたものが溢れて来る。

「あぁっ…ぁあ!」

頭が真っ白になってクラクラする。なのに身体には甘い快楽の爪痕のような痺れが残っていて、一気に脱力した。それでも悟は許してくれず、その場所へ舌を這わせると、わざとじゅっという音を立てる。

「イったみたいだね…びしょびしょだよ。のここ。僕の指も凄い締め付けてくる」
「…んぅ…ぁ」
「こうされるの好きなんだ?」

胸にまで手を伸ばし、今では痛いくらいに硬くなっている胸の先を指で軽くつままれる。その刺激でさえビクンと背中が跳ねて、さっきの余韻んで脚がガクガクと震えた。

「し…知らな…い…!」

呼吸が乱れて苦しい。恥ずかしくて恥ずかしくて顔はずっと熱いままだ。涙がとめどなく溢れてきてはシーツを濡らしていく。

「こ、こん…なこと…したことない…もの…」

上体を起こした悟を見上げて言い返すと、彼の美しい双眸にはハッキリと男の欲が孕んだように見えた。綺麗な喉仏が、上下に動くのさえ。

「そっか…そうだよね…なら――優しくしてあげる」

悟はそう言いながら着ていた服を脱ぎ捨てると、脱力して動けないわたしに覆いかぶさって来た。鍛えられた筋肉質な身体がやたらと色っぽく見える。悟は未だにジンジンと疼いている場所へ硬くて熱いものを押し付けてきて、それが何なのかはわたしにも分かった。

「…んん…っそ、そんなのムリ…入らな…ぁあっ」

ぐぐっとわたしのアソコを押し開くように悟のものが入って来るのが分かって、その圧迫感に息が止まる。でも更に中へ入って来た時、焼けるような痛みが走った。

「…い、痛ぁ…っ」
「…痛い?」
「…い…痛い…よ…っ」
「ごめん…痛がってる顔も可愛い」
「…は…?!」

頬にちゅっと口付けながら、とんでもない言葉を吐く悟に、こんな時でもツッコミを入れたくなる。人が痛い思いをしてるというのに何を考えてるんだ、この男は。でも――言葉と裏腹に思った以上に優しくされてる。痛いけど、強引には進めようとは決してしてこない。それに、この痛みを乗り越えなければ子供なんか作れないんだと思うと、わたしも痛みを堪えてなるべく体の力を抜くよう頑張ってみた。

「半分は入ったから…ゆっくり動くよ」

ジクジクとした痛みを感じながらも必死に耐えていると、悟が乱れた呼吸の合間に言った。これで半分?と驚いたものの、この激痛の中で動かれたらどうなってしまうんだという思いが過ぎる。その時、悟と不意に目が合い、ドキっとした。

「ま…待って…まだ…動かない…で…」
「…気持ち良すぎてムリ…いくよ」
「…ひっ…あっ」

ゆっくりと悟が動き出して、更に激痛が走る。でも濡れているせいか、次第にその痛みが少しずつ和らいでいく気がした。

の中…凄く熱い…」
「…ん…ぁあぅ」

奥まで入って来るのが分かって、喉が引きつる。何度も何度も、慣らすように、ゆっくりと悟の熱がわたしのナカに入って来る。どれくらいそうしてたのか、気づけば痛みよりもナカを擦られるたびに違う感覚が生まれてきて、身体にゾクゾクとしたものが走るようになってきた。

「…ん、んっ」
「へえ…もうナカで感じるんだ、
「…ぁ…」

悟の指がわたしのくちびるを軽くなぞるだけで、ゾクリとした。

「何も知らなそうなのに…身体がこんなに従順なんて可愛い」
「…や…あっ」

ぐっと奥まで挿れられて、ズクンとしたものがお腹の奥に走る。政略結婚が決まって、確かにセックスのことを想像したことはあったけど、彼との行為は想像していたものと全然違った。愛のない結婚で、子作りのための作業だから、もっと淡泊で素っ気ないものかと思っていたのに、想像してたそれとは全然違う。

「…ぁぁあ…っそ、そんな吸わない…で…っ」

胸の先を強く吸われ、口内に含まれる。その間も腰を打ち付けられ、呼吸さえもままならない。こんな息をするのにも必死になるセックスをされるなんて想像もしてなかった。

「あっ…う…っ」

硬くなった先端を舌先で転がされた刺激で、何度もナカを締め付けてしまう。

「ん…っ」

くちびるを塞がれ、絡められた舌を吸われると、本当に窒息するんじゃないかと思った。これはただの子供を作るだけの行為なのに――。

「…く…そろそろ…イク…っ」

悟のものがナカで何度か跳ねた気がして、必死に彼にしがみつく。悟はイク寸前、わたしをぎゅっと抱きしめて、そのままナカで果てた。

(お…終わった…)

ハァハァと息が乱れつつも、無事に終えることが出来た安堵感に包まれる。正直体がしんどくて、手足を上げる力すら残っていない。なのに終わっても悟は離れるどころか、後ろからぎゅっとわたしを抱きしめて来た。この男にエッチ後の優しさがあることが意外すぎてドキっとする。絶対終わった後は背中を向けて寝るタイプだと思ってたのに。

…身体、大丈夫…?」
「……だ、大丈夫なわけないでしょ…っあ、あんな激しいのされたら…」
「ごめん…が可愛いから、つい」
「ぎゃ」

後ろから頬にちゅっとキスをされ、離れようとジタバタもがく。わたしの目的はあくまで子供であって、セックス後の後戯なんてものは必要ないのだ。

「あ、あの…そんなにくっつかないで…悟…っていうか…」

もそっと彼の手がわたしのお腹を撫でていくと同時に――。

「わ、わざと当ててるでしょ、それ!」

またしても硬いモノをお尻に感じて真っ赤になる。どんだけ元気なんだと悟を仰ぎ見れば、彼はニッコリ微笑んだ。

「ああ、ごめんね。一回ごときじゃ僕は全然足りないし」
「は…?い、一回出せば十分でしょ…?!わたしは子供さえ作れればそれで――」
「あーそうか。それなら毎日しないとね、エッチ」
「…なんだと」
「その方が当たる確率は多いんじゃない?」
「な、なに、それ…ひゃ」

驚いて上半身を起こした瞬間、またベッドへ押し倒され、悟はわたしのこめかみへちゅーっと長いキスをしてくる。それにはゾワっと鳥肌が立った。

「まあ、そもそもの話、僕らが恋愛したらどこでも盛るようになるから問題ない。学校だろうと野外だろうと」
「さ、盛るって…恋愛はしませんっ!体だけでいいのっ子供作るだけなんだから――」
「そんなつれないこと言うも可愛い」
「…は?(この人の可愛いの基準、おかしくない?!)」
「それにが無自覚で可愛さ振りまいてる時点で、どうしても抱きたくなるよね」

(何を言ってるのこの人?バカなの?)

「な、何それ――んっ」

またしてもくちびるにちゅっちゅっと何度もキスをされ、それが延々と繰り返される。そもそも、こういうイチャイチャもわたしは全然求めてない。サッサと子作り終わらせて、こういうことは他の人にして欲しい。

「…ぷは…」

やっとくちびるを解放され、すぐに空気を補給する。なのに悟は一人ご満悦だ。

「真っ赤になって照れてるはほんと可愛い」
「…な…て、照れてないから…っ」

わたしの頬を撫でながらうっとりとした表情をするバカ夫に、思わず言い返す。すると悟は「あ、そーだ」と何かを思い出したように身体を放すと、世の女達を惑わして来たであろう艶のある笑みを浮かべた。

「言うの忘れてたけど、僕こう見えて性欲強いんんだよねー。だから今後も覚悟しておいてね」
「……っ?!」

言いながら、頬にちゅーっと長いキスをしてくる悟に、わたしは気が遠くなっていくのを感じた。
人は最初の印象だけでは分からない。いや、長いこと知っていた相手でもそれで彼の全ては判断できない、ということを、わたしはこの夫、五条悟から思い知らされることになる。
強い性欲。意外な独占欲。そして――予想外の溺愛を。