06-2:追憶の果てのブルー [ blue]



執着 × ト × 終着



車を止め、アジトへ向かって歩いていると、クロロのケータイが鳴った。それは先ほど連絡をしたある人物からのメッセージだった。

(到着は明日の夜か…。まあ、それくらいなら…大丈夫だろう)

一瞬考えたものの、簡単に了承の旨を送ると、相手からも"了解"と簡単なメッセージが返って来た。がここへ来るのは明日。もし来たなら今の依頼は必要なくなるかもしれない。もし来なければ―――。

「いや…は必ず来る・・

クロロの唇が僅かにほくそ笑む。ずるいやり方かもしれない。しかし、最も効果的な方法をクロロは選んだ。

(欲しいものは手に入れる…どんな方法を使ってでも)

の能力はだいたい把握できた。奪おうと思えば今すぐにでも奪える。だが奪わなくとも、要はあの力が欲しい時に使えればいいのだ。傍に置いておけばそれは容易い。から借りるという手もある。
欲しいものは、欲しい――。
クロロにとって理由など必要ない。最も純粋な欲の淵源えんげんを遡ったところで、大したものは出てこないのだ。子供の頃、何故それが欲しいのかも分からずに欲しかったのと同じなのだから。

の赤い瞳―緋の眼を初めて視た時から、魅入られていたのかもしれない。
一族を殺し、奪い、何度、物言わぬ緋の眼だけを愛でたところで、が消えた穴は埋められなかった。満足というにはほど遠い。ならば…と奪った眼たちは全て売り払ってしまった。知らないものを手にしたという満足感だけは得られたから。最初の予定通り"生きた緋の眼"を傍らに置いておく。だから――他の眼はいらない。

「クルタ族の生き残り、か…。邪魔だな。ソイツも消すか」

目的に邪魔な存在は全て消す。クロロに例外はない。先ほど聞かされた以外の、クルタ族唯一の生き残り。のたったひとりの、同胞。その存在はいつかクロロにとって、限りなく邪魔な人間になるような気がした―――。




*NAME

◆感想などお待ちしております。レスはMEMOでさせて頂きます。(不要の方はお知らせ下さい)