夜、ふと目が覚めて隣を見ると、そこにいるはずのLがいなかった。
寂しくてリビングに行くと、パソコンの前のソファにLが座っていて思わずホっとする。


「L…」


そっと近づき、顔を覗き込むと、Lはいつもの座り方のまま目を瞑っていた。
いや、正確には眠っていたと言うべきか。


こんな事は珍しい事じゃない。
事件の捜査をし始めるとLの頭の中はそれで埋まってしまう。
だから例え一緒にベッドへ入ったとしても、何か気になる事があればLは一人で起きだして、こうしてパソコンに向かうのだ。
起きた時、Lが隣にいないのは寂しいけど、寂しいからといって今、彼を起こす気は毛頭ない。
だってLはいつも捜査、捜査でろくに睡眠をとらないからだ。
これでは体の方が心配になってしまう。
だからLがこうして眠っているという事は逆に私を安心させる。


「ふふ…よく寝てる」


普段はあまり見せてくれない寝顔を見ながら私はそっとLの前髪をはらった。
いつものように座って、膝の上に両手を乗せ、またその上に顎を乗せている、その姿は何だか小さな子供のようだ。
普段は世界一の探偵という仕事をこなしててカッコいいのに、こうして寝ている時だけは凄く無防備。
こういう姿を見ると、とてもキラ相手に戦っている人とは思えない。


そっと頭に手を伸ばし、いつもLがしてくれるみたいに頭を撫でてみた。
その度にLの頭が軽く傾くのと、僅かに開いた口が可愛くて、ついつい顔がにやけてしまう。


(ああ、可愛い…なんて言ったら、また怒られるんだろうな)


なんて事を考えながらも、そっと閉じられた瞼に軽くキスをする。
それでもLは小さな寝息を立てて気持ち良さそうに眠っている。
その寝顔を見てたら愛しさが込み上げてきて、もう少し屈むと今度はLの頬にも口付けた。
それでもLは目を開けない。(かすかに口は開いてるけど)


(ほんと…子供みたい)


笑いそうになるのを堪えながら、Lの前に屈むと、目にかかっている前髪を避けて額にも口づける。
起きている時はいつも彼の方からしてくるキスも、眠っている今なら私からでも出来る。(起きてる時にするのは恥ずかしいし)
愛しくて、もう片方の頬にも口付け、すっと伸びたその鼻先にも口づける。
そしてジっと寝顔を見ているとLの唇にもつい視線がいってしまって顔が赤くなった。


(いくら何でも唇にしたら大胆すぎるかな…)


一応、理性を働かせ、そんな事を思う。
だけど溢れてきた愛しさは止まらず、ゆっくりと顔を近づけていく。
そして僅か触れる程度にそっと唇を重ね合わせた。
いつもLからしてくれるキスもドキドキするけど、今は自分からしてるという恥ずかしさが先立って更にドキドキが加速してしまう。
柔らかい唇の感触に胸の奥がキュっとなりながらも、そろそろ恥ずかしさも限界で離れようとしたその時―





「…ん」




かすかに離れた唇をぺロリと舐められビクンとする。
パチっと目を開けた瞬間、腰を抱き寄せられソファの上に押し倒されていた。


「エ、L…?」


何が起きたのか一瞬分からなくて、ゆっくり視線を彷徨わせ上を見れば。
私に覆いかぶさるようにしてLが微笑んでいた。


「…嬉しいです。からキスしてくれるなんて」
「…な、お、起きてたの…?」
「はい。と言っても途中まで本当に眠ってましたよ?」


ニコニコするLに一気に顔が赤くなった。


「い、いつから―」
「ここにキスされた時に起きました」


ニッコリ笑ってLが指をさしたのは彼の鼻先。
そこで耳まで赤くなる。


「ズ、ズルイ…起きてて寝たフリしてたなんて…」
「寝たフリというか…少し寝ぼけてて夢かなと思っていたら唇にキスをされて、これは現実なんだ、と―」
「い、言わないでっ」


Lが起きてたのに唇にまでキスをしてしまった自分の行動が恥ずかしくて両手で顔を覆う。
その手をLはやんわりと外すと、嬉しそうに微笑んで私の鼻先にもちゅっとキスをした。


「どうしてですか?私は凄く嬉しかったのに…」
「………」


茹蛸のようになった私を見てLは愛しいとでも言いたげに頭を撫でてくれる。


「今度は…私の番ですね」
「え、あの…」
「朝まで離しませんから覚悟して下さい」


さっきの可愛い寝顔から一転、ニヤリと意味深な笑みを浮かべ、至近距離でそんな事を言うLの瞳にドクンと胸が跳ね上がる。




「…どうして目を瞑ってしまうんですか」
「だって…」




Lの熱い視線を見てるだけで、体中に電気が走る気がして。
見つめ返すほど勇気もない。






「ほんとには可愛いですね」





何もかも見透かしたようにLが言った。


でもね、それは私の台詞。


寝てる時も、起きてる時も、貴方は私にとって確かに愛しくて、可愛い存在。


一瞬で理性なんて壊されてしまうの――




















目が眩んで、全て持っていかれた




























※ブラウザバックでお戻りください。


絶対にLの寝顔は可愛いと思うの!
そしてそんな寝顔を見た日には…!セクハラしま―(強制終了)(※危険人物)


皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて…

【SICILY...管理人:HANAZO】