真っ白な洗いざらしのシャツは、貴方によく似合う。
公の場も、部屋で仕事をしている時も、彼の格好はまるで同じで、少しはTPOをわきまえたら、とも思うけど、でも、それが彼らしいから好きだ。
お洒落なんてものから、程遠いけど、でも私はそんなLだからこそ、好き。
カタカタとキーを打つ音が、静かな部屋に響くのを聞きながら、私はソファに寝転がって雑誌を読んでいた。
時折、視線だけをLに向けて、彼がそこにいるのを確認する。
いつものように部屋でパソコンに向かっているLを、ただ眺めてると、丸みを帯びた背中が無性に愛しくなってくる。
私はする事がないから、時々雑誌を捲って、流行の服をチェックしたり、今やってる映画を確認したり、ワタリが出してくれた紅茶を飲んだり。
そして時々、こうしてLの背中を眺める。
この無駄に広いビップルームの部屋で、する事といえば決まってくるけど、でも私は退屈というものに無縁だった。
する事がなくなれば、Lを観察するだけでも楽しい。
パソコンを打つ手を止めて、ガシガシと頭をかいたり、「ックシュ」っと小さなクシャミをしたり、
手が止まっている間は、膨大な数の知識が詰まっている脳を動かしている証拠で、そんな時は決まって、座っている椅子を左右に小さく振ったりもする。
それをしない時は足の指をモジモジ動かしたり、指を唇に当てて天井を仰いだり。
Lの一挙一動は、私にとって、全てが愛しい行動で。
同じ空間にLがいるだけで、彼が仕事をしているのを見ているだけで、何でもない時間が特別な意味を持つ。
仕事に没頭している時のLは、きっと私が傍にいる事も忘れてる。
窓から暖かい日差しが入ってる事さえ、気づいていないに違いない。
そう思うと、時々ふと寂しくなったりするけど、でも――
「…、退屈じゃありませんか?」
「うん、ちっとも」
思い出したように、キーを打つ手を止めて、椅子ごと私の方へ振り返るLに、私は笑顔になってしまうのだ。
読んでいた雑誌を閉じると、Lは私に手招きをする。
これは、傍に来て下さい、という彼なりの意思表示。
そうされると、私は飼い主に呼ばれた子犬のように、Lの方へ駆け寄ってしまう。
「相手をしてあげられなくてすみません」
思い切り抱きつく私の髪に指を通し、優しく撫でながら彼が呟く。
でもこの瞬間の為なら、少しくらいの放置プレイは許せちゃうから不思議だ。
「傍にLがいるから平気だよ?」
そう言ってLの頬に軽くキスをすると、Lもすぐにキスのお返しを、私の唇に落とした。
「あ」
「何ですか?」
キスの最中に言葉を発した私に、Lは苦笑しながら唇を離した。
「Lから暖かい香りがする」
「…どんな匂いですか」
「あのね、洗濯物の匂いっていうか…」
「私、臭いですか…?」
Lは慌てたように自分の服の匂いをかぐと、小さく首を傾げた。
「違うの。凄くいい匂いだよ?ホっとする匂い。干したばかりのお布団の匂いにも似てる」
「…何か嬉しくありませんね」
私の言葉にLは目を細めながら、苦笑交じりに、またキスをした。
開けて、とせがむように唇を舐められ、Lの舌を受け入れる。
身体中に熱が走るのを感じながら目を閉じると、瞼の向こうは少しだけ眩しくて。
その先には日差しが入ってくる窓があることを思い出す。
「あ」
「…今度は何ですか?」
またしてもキスの最中に声を出す私に、Lはスネたように唇を尖らせた。
やっぱりLは、暖かい香りがする。
その正体に、気づいて、私は笑顔になった。
「L、外に出てないのにね」
「…??」
私の一言に、やっぱりLは不思議そうな顔をして、そして、また私を抱きしめた。
「やっぱり、退屈なんじゃないですか?」
「…全然」
仕事の合間に思い出して、そして抱きしめて。
たいようのにおい
時々、あなたの香りに包まれる、それだけでいいから。
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Lって、いつも同じシャツ着てるのに清潔感があるなぁと常々思ってました(笑)
抱きつけば何となく、洗いざらしのシャツの匂いがするはず。(決め付け)
きっと古畑任三郎のように、同じ服を何着も持ってるんだろうなあ。
ん?と言う事は、彼らのように頭のいい人は、こだわりを持って気に入った服を何着も持ってるのかな。
本当のお洒落さんは同じデザインの服を色違いで買う、という話を聞きますけどね(笑)
Lがお洒落なのかは置いといて。
白いシャツにジーンズに裸足、というLのスタイルは大好きです。
あれ以外の格好を見てみたいという欲求はあるんですけど、あまり想像できません(;^_^A
皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて…
【SICILY...管理人:HANAZO】
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