「そろそろ私のものになりませんか?」
そんな告白を受けたのは、彼と出会って一年も過ぎた頃だった。
女性に興味などなさそうな彼が、照れ臭そうに微笑んでくれたこと、今でも忘れてない。
あの日から、私は彼しか目に入らないほど、Lに溺れた。
家族も失って、一人ぼっちになった私が、唯一幸せになれる場所。
それがLの傍なのだ。
それなのに…
「今度の事件は謎が多く、危険が伴います。なのではここに残って下さい」
Lはアッサリそう言い放ち、一人分の荷造りをする。
それを見ているだけの私は、まるで死刑宣告でもされたような、そんな気持ち。
「私も一緒に行く」
そう伝えても、「ダメです」の一点張り。
いつまで経っても平行線のまま。
「私はLの傍にいたいの。Lだけ危ない場所に行かせる事なんて出来ない」
私は怖かった。
今回の事件は、確かにLが言うように、謎の多いもの。
正体の分からぬ殺人鬼を相手にしているLは、いつだって危険だ。
だけど、だからこそ傍にいたいと願うのだ。
私は"普通の恋"を捨て、Lを受け入れた。
この仕事をしている彼を愛すると言う事は、いつ失ってもおかしくない、という恐怖との戦いでもあったけど、だからこそ、少しの時間でも傍にいたい。
「私はLが好き。時々おかしくなりそうなくらい」
「…私も同じ気持ちです」
「嘘…だったら私を置いて行けるはずないもの」
「好きだから、置いていくんですよ」
「…全然分かってない」
好きなら息絶えるその瞬間まで一緒にいたい。
死が二人を分かつまで、触れ合っていたい。
女はそう考える生き物なのよ。
「それでも私は…に幸せでいて欲しい」
「Lがいないのに、幸せになれるはずないじゃない」
私の言葉に、Lは困ったように、それでも、どこか優しげに、微笑んだ。
「私はという存在が、この世に在るだけで幸せですよ」
それは私も同じはずなのに。
ねぇ、神様、一生に一度のお願いだから、Lを私から奪わないで。