「もしキラを捕まえたらメロと行きたいトコがあるの」


瞳を輝かせて無邪気に話す彼女は俺の目には眩しすぎる。










「世の中が本当に平和になったら、私はメロと世界中を旅したいな」
「…それもいいかもな」
「でしょ?メロはどこに行きたい?」
「そういうお前はどこに行きたいんだ?」


双眼鏡を外し、チラリとを見れば、彼女は真剣に考えている。
その横顔が子供のようで小さく笑みが零れる。


世の中が平和になったら、か。
本当にそんな日が来るんだろうか。
必死でキラを追って捕まえたとしても、その時代を地獄だと言う奴もいる。
真の平和なんて、ただの理想でしかないんじゃないか。


こんな事を思うのは彼女と出逢い、俺が弱くなったからなのかもしれない。
ただキラを捕まえる事だけを考えてた俺に、彼女はそんな恐怖を齎した。


「あ、あそこに行きたい」
「……あそこ?」


ふとこっちを見た彼女は幸せそうな笑顔を見せる。


「前に話してくれたメロの故郷」
「…は?あんなとこ何もないぞ?」
「いいの。それでも行きたいの」
「変な奴だな」
「メロもね」
「悪かったな」


腕にすがり付いてきた彼女に苦笑しながら、そっと肩を抱き寄せる。
こんな優しい気持ちになったのも、コイツと出逢ってから。


平和になったらと二人で、どこか遠くへ行きたい。
…なんて昔の俺ならきっと下らないなんて笑うような小さな夢が、今は凄く大切に思えて。
の言う"真の平和"が今の時代に訪れたら、ほんとに俺の故郷へ連れて行ってやりたいとさえ思う。


でも今のこの現実の世界で、それはあくまで夢でしかなく、儚い望みであり、理想でしかない。


それほど俺が失ったものは大きくて、結局、今目の前にある悪夢から逃げ出せないでいる。




























吐き気のする理想論











それを楽しそうに話す彼女もまた、それを知ってるんだ――




























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お題メロ二弾。
メロと世界中を旅したいなーなんて。


皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて…

【SICILY...管理人:HANAZO】