いつもは冷静なメロが、今夜はどこか様子がおかしかった。
帰って早々、イライラしたようにチョコを噛み砕き、目の前にあった椅子を蹴飛ばした。
その音を聞いて、私はベッドから抜け出すと、メロはハッとしたように振り返る。
「…どうしたの?」
「何でもない」
起きだした私を見て、メロは視線を反らし、ソファに腰を下ろした。
私から背けている、メロの横顔に、どうしようもない悲しみの色が見えた気がした。
施設を飛び出し、がむしゃらに走ってきたメロが、初めて見せた顔。
「…」
「…何?」
「こっち来て」
言われるがまま傍に行くと、強引に腕を掴まれ、ソファに押し倒された。
何かを言おうとした唇を塞がれ、メロの手が服のボタンを弾いていく。
性急に事を進めていくメロに驚きながらも、小さく震えている肩に気づき、メロのキスに従順に応えた。
メロになら何をされてもいい、なんて、そんな浅はかな女に、私はなっていた。
服を脱がす行為すら煩わしいというように、今夜のメロは強引過ぎた。
かすかな痛みを感じるくらいに強く貫かれ、口内をかき回すようなキスをされる。
メロのキスは甘い。
その甘さは私の全てを蕩けさせる。
「…どうしたの…?」
「…何?」
「今日…激しいね」
何かを振り切るように、私を揺さぶるメロの顔は、やっぱり少し悲しそうに見える。
まるで救いを求めるような顔で、私を抱いている。
メロに何かしらの変化があった事は、甘いキスの余韻に浸りながらも気づいてた。
それが神に背く行為だとしても、私はきっとメロを責めたりなんかしないんだろう。
それでも私は…
「メロ…愛してる」
「…分かってる」
メロはかすかに目を細め、もう一度甘いキスをくれる。
繋がっている部分が、とても熱い。
このまま、二人で溶け合えたらいいのに。
少し神経が逆立っていた。
身体中に痛みが走るような、ピリピリとした感覚。
それらを抑えるには、彼女の温もりが必要だった。
前戯もそこそこに彼女の中へと侵入すれば、僅かに細い身体が震えた。
痛みを堪えるその表情ですら、オレを欲情させる。
噛み付くように口づけると、の喉から甘い声が零れて、更に身体を熱くしていく。
の体温は心地いい快楽をオレに与えてくれる。
怒りも、恐怖も、全て溶かしてくれるような、そんな優しい温もり。
初めて人を殺した夜にこそ、必要な体温。
「…どうしたの…?」
「…何?」
「今日…激しいね」
キスの合間に呟かれる弱々しい声。
その問いに答えられない自分が、少し悲しかった。
でも、きっとは分かっている。
今夜、オレに何があったかのかを知っても、彼女はオレを責めたりはしないだろう。
「メロ…愛してる」
「…分かってる」
何かからオレを守ろうとでもするように、は愛の言葉を呟いた。
それでも彼女から愛される資格は、もうすでに失っているオレの心はまだどこか冷たくて。
溶け合っているはずの身体も、少しづつ冷えていくようで、小さく身震いをした。
「メロ…寒いの?」
「…少し、な」
優しい響きに声を詰まらせる。
全てを吐き出せたら、少しは温まるんだろうか。
でも、その一言を口にしてしまえば、きっと隠してきた心の奥のものを全てぶつけてしまうだろうから、言えない。
「私は…メロの背負っている全てのものを、受け止められるよ」
彼女のキスが首筋をかすめ、耳元でもう一度囁いた。
凍るような首筋に口付けを落とし
愛してる
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コレでメロのお題は全て達成しましたー!(拍手)
短編は大の苦手だから恐ろしいほどに駄文ばかりで申し訳ないですが、
でも、また短編とかも書きたいです。エヘ。
皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて…
【SICILY...管理人:HANAZO】
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