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久しぶりに帰って来たと思えば、傷だらけで姿を現したメロは、意気も途切れ途切れでベッドに倒れこんだ。 ひどく動揺した私をよそに、メロは水をくれ、と深く息をつく。 零れ落ちる涙も拭かず、急いで水を持ってくると、血だらけのメロの手がそれを奪っていった。 「どうしたの?何があったの?」 震える声で何度そう問いかけてみても、メロは大した事じゃない、心配するなというだけ。 愛しい人が、傷だらけになっているのを見たら、誰だって心配くらいするでしょうに。 「…手当てするね」 放っておけば死んでしまうかもしれない。 そんな恐怖が、私を立ち直らせた。 救急箱を手に、ベッドの端に座り、傷ついた体を手当てしていく。 体半分はひどい火傷を負っていた。 「つ…っ」 「痛い…?」 「…大丈夫だ」 「…嘘つき」 顔の半分さえも火傷が覆い、普通なら意識などない状態のはず。 なのにメロは私に心配させまいと、いつもの皮肉めいた笑みを漏らす。 だけど私は、そんなメロを抱きしめる事しか出来ない。 「……おい、…」 「痛くないんでしょ?心配させた罰よ…少しだけこうしてて」 「……ったく…」 私の言葉に溜息をついたメロは、それでも大人しく私のしたいようにさせてくれた。 いつもより熱を帯びた体を抱きしめていると、私の体に切り裂かれるような痛みが走る。 胸が痛いとか、そんなもの、とっくに通り越してる。 「……痛いよ、メロ…」 「…それはオレの方だろ」 「でも私だって…痛いんだよ…」 メロが傷つけば私も傷つく。 メロが苦しいなら私も苦しい。 痛みだって分け合えるはずだ。 「メロが痛い時は…私も痛いの」 私達は、繋がってるんだよ、どうしようもないくらいに。
あなたの感じた痛みを、半分ください。
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