カリスマ日記

夜中から朝まで延々とラットくんのお相手。処理をするのを下っ端に任せて、オレと竜胆と鶴蝶で朝飯食いに行った。この時間はファミレスくらいしか開いてないしダルい。チンして出しました系のパサパサのオムレツは食えたもんじゃない。の出汁スクランブルエッグが恋しくなったｗ

鶴蝶は朝からステーキセット…オマエの胃袋は何でもありだなってツッコんだら、「鍛えてっからな！」というアホな言葉が返って来た。でも帰りのタクシー内で「う」とか言い出して降りるの笑う。だいたい胃袋ってどうやれば鍛えられんだろ？
あとタクシーって何であんなに車酔いするような匂いなわけ？酒飲んだ後に乗ったら竜胆は毎回吐きそうんなってるしｗ

それから速攻で帰ってシャワー入ってベッドに潜り込む。ひらひらフリルも気にならねーくらいに眠たかった。前なら絶対24時間睡眠突入って感じだけど、何故かを迎えに行く時間になると自然に目が覚める不思議。竜胆はまだ寝てたけど。

店まで車で迎えに行ったらオレ担当のカリスマ美容師から「婚約祝い」という名のシャンプーセットもらったｗ
何でもイギリス王室で使われてる高級シャンプーだそうで、トリートメントやパックなども入ってたし、が大喜びしてた。でも海外のだから匂いが少し強め、イギリスらしく薔薇の香りだったけど。
帰りは映画を観る時用に色々つまみと酒を調達して帰宅。
今夜はが観たがってたホラーからスタート。予想通り、オレにぴったりくっついてくんの可愛いかよ。そのうち竜胆が起きて来た。
「お、おもしろそー」って一緒に観だすのやめて。空気読んで。

朝、が出て行く気配がして目が覚めた。いや正確に言うと部屋のドアが開いた気配で起きた。
いつもはそんなことないからが忘れ物を取りにでも来たのかと思えば、ベッドに上がる音がしたから驚かそうかと寝たふりをしてたら、唇に柔らかい感触。まさかのキスに残りの睡魔が飛びそうになった。

「行ってきます」

小さな声で言いながら静かに彼女が部屋を出て行った後、ガキみたいにドキドキしてる自分に笑った。
とは何度もしてんのに、彼女の方からされただけで（しかもこっそり）こうもドキドキするもんかと驚く。はどっちかと言えば、かなり照れ屋な方でオレからしないと全然してくれねーのに。まあ付き合った男がオレで二人目だって話だから仕方ねーけど。そんなからのキスでめちゃくちゃ幸せな気持ちになって、そしたらまた睡魔が襲って来た。今ならいい夢見れそう。
今夜は特に大事な仕事もねえし、誰もオレを起こすなよ。

それでも夕方起きてを迎えに行く用意をしてたらモッチーから電話。探してたラットが見つかったらしい。今夜は面倒くさい仕事が決定した瞬間だ。仕方ねーからに絶対タクシーに乗って帰れよって電話して、すぐに梵天事務所へ向かう。
今夜も遅くなりそう。とのんびり映画でも観ようと思ってたのに。
この苛立ちは当然――裏切者のラットにぶつけた。
明日はぜってーと映画観る。

寝起きの感想→喉乾いた。
夕べは皆で盛り上がって久しぶりに二日酔いになるまで飲んだかも。
なのにはキッチリ仕事に行ったようで、ほんと尊敬する。オレならぜってー休んでるし。
ご褒美に今日はの大好きなゴディバのアイス沢山買って来るか。「もうすぐなくなっちゃうー！」ってこの前騒いでたし。12セットにすれば喜ぶはず。

キッチンで水飲みまくってたら竜胆が寝ぐせ全開で起きて来た。顔が死んでて笑う。アイツもオレが水飲んでんの見て笑ってたけど、その後に竜胆もサーバーごと飲む気かってくらい水飲んでた。ってかオレと竜胆、砂漠で遭難してたのかよってくらい水飲んだかもｗ

が味噌汁を作っておいてくれたらしい。すげー美味かった。
他の料理は失敗すんのに、が作る味噌汁は超美味い。
訊いたら、それだけはシッカリ母親に教わったと言ってた。
の母ちゃんには反対されてっから、その辺を何とかしないといけない。絶対も母ちゃんに祝って欲しいはずだから。

夜も二日酔いが微妙に残ってたけど、今日もしっかり見回り終了。
事務所に顔出したら三途に「酒くせぇな」と言われたから、「この前のストリップクラブの金、払えよ」と言ってやった。でもアイツは「あ、そーだ。マイキーにおつかい頼まれてたわ」と急に言い出して逃げやがった。お使いってガラかよ。まあ三途の中身は小学生で止まってるしな。
ついに例の隠し撮りした写真が日の目を見る時か？

帰りがけ竜胆が銀座に寄ろうと言い出した。何かと思えばにお土産とか兄弟で同じこと考えてたの笑った。
は皆から愛されてるなー♡
誰にもやらねえけど！

起きたら夕べ竜胆に渡された鶴蝶からのプレゼントが上掛けに広げられてて口元が引きつった。寝る前にソファの上に置いておいたのをが開けたくせえ。今夜からこのファンシーな布団で寝るのかと思うと、自分でジワるけど、が気に入ったんならいいか。鶴蝶には何かお礼しねーとなー。
事務所に置くベンチブレスでも買ってやろう。

テーブルの上に大量のスクランブルエッグ。腹が減ってたから、とりま食ったら想像してた味と違った。
「何で出汁の味がすんだ？」って聞いたら、竜胆は笑いながら「だってが作ったし」なんて答えが返って来た。それで納得したオレもたいがいすぎて笑う。でも味は美味いしそのまま全部食った。結婚することが決まった時、は苦手な料理も頑張ると言い出して、いや別にそこは無理すんなよって言ったけど、本人はやる気満々だ。今夜は料理教室の申し込みに行くらしい。オレの為に何かを頑張ろうとするの気持ちがマジで嬉しくて胸熱になったのは内緒だ。

夜は別のカジノ回ってたら酔っ払いが竜胆に絡みだして久々に大乱闘。まあ相手はどっかのチンピラ。全員素っ裸で放り出した。そうそう！途中、気づけば一緒に来てなかったはずの鶴蝶も乱入してて爆笑の嵐ｗ
おかげで早く片付いたから、そのまま鶴蝶誘って自分の鉄板焼きの店に飯食いに行った。ベッドカバーのお礼言ったら、アイツのスカーフェイスが真っ赤な林檎みたいになってビビる。ケンカ屋鶴蝶が照れてるとか可愛いかよｗ
この顔であのファンシーなカバー買ったのかと思うとウケるけど、気持ちは嬉しかった。まで可愛がってくれて、鶴蝶のそーいう優しさもオレは好きなんだよなぁ。

その後にが合流して「お祝いありがとね、カクちゃん」と言われた途端、大泣きするからがびっくりしてた。鶴蝶は酒飲むと泣き上戸になんだよな、昔からｗ
「オマエら幸せになれよ」はまだ分かるけど、「ちゃん幸せにしてやれよ、蘭！」と何故かオレの胸倉をつかんできた！
の親父の気分なのか？まあ幸せにする気持ちしかねえけど。

朝、の楽しげな声が薄っすら聞こえて来たと思ったら、「遅刻しちゃう！」という慌てた声で完全に目が覚めた。バタバタと走る音がしたからベッドから抜け出してドアを開けると、ちょうどが靴を履いてるとこだった。「おはよー」と声をかけたら「ごめん、起こしちゃって」と眉を下げるは今日も絶妙に可愛い。腕を引き寄せてキスをすると、ほんのりほっぺが赤くなるまでがデフォルトだ。

「行ってきます」という彼女を「いってらっしゃい」と見送る。「ドジすんなよー」とつけ加えると、むぅっとした顔で振り返るから思わず吹き出した。は落ち着きがない上にドジだから、なかなか見習いから卒業できなかったけど、一年半くらい前からやっとひとりで接客を任されるようになった。その時は約束通り、にオレの髪を切ってもらった。ガキの頃から伸ばしてた髪だけに思い入れはあったけど、だからこそ彼女に切って欲しいと思った。まあ案の定失敗してどんどん短くなっていったってオチはついたものの、今の髪型も結構気に入ってる。染めてくれたのももちろんで、メッシュを入れたのはまあ…これものドジが原因だけど、この話ははぶこう。

そんな感じでドジは今も健在らしいけど、素直で頑張り屋の彼女は客からも慕われてボチボチ指名も増えて来たらしい。そういうのを聞くと、初期の頃を知ってるオレとしても巣立つひな鳥を見てる気分になる。らしくねえけど。

そういや日記つけ始めて、ちょうど一週間。日記ってより独り言になってる気がしないでもないけど、まあいっか。

今日は竜胆と一緒にカジノ見回って、ゴネてる客から更に金を引き出すことに成功。その後に事務所に顔を出したら、さっそく鶴蝶が竜胆を連れてどっかに出かけて行った。また無茶なトレーニングに付き合わされるんだろうと思ったから、トイレに隠れてて正解だったかもしれない。

とりあえずココにカジノの売り上げの報告をして雑談してたら三途まで事務所に顔を出した。オレの顔見て「ちょーど良かった」と嫌な笑みを浮かべやがった。
案の定「ラットがいるとの情報が入ったから確認しに行く。灰谷もつき合え」と、まためんどくせーことを言ってきた。コイツ、女にフラれたからって仕事張り切りすぎじゃね？こんなことなら鶴蝶についていきゃー良かったと後悔。

面倒な仕事はとっとと終わらせて、夜はを迎えに行った。一緒に飯を食ったら仕事のイライラも解消。
の好きな焼き鳥屋に連れて行ったら大喜びされた。の食の趣味がオッサン寄りなのが、地味にツボる。あげく「ぼんじりってお尻のお肉なの？！」と目をまん丸くして驚いてた。知らねえで食ってたのかよ。可愛すぎだろ。よく分かんねーけど、ずっと笑ってた気がする。やっぱ一日の最後に彼女と笑いあうのがオレの一番の癒しだって再確認した。

梵天事務所に顔を出したら珍しくマイキーがいた。相変わらず顔に笑顔はねえけど、いきなり「灰谷、と結婚すんだって？」と言われてビビる。
「結婚祝い何が欲しい」と訊かれたから、が前から欲しがってた「ルンバ？」と言ったら、午後には最新モデルが届いた。マイキーはアイロボットの回し者か？

因みにマイキーはをかなり可愛がってる。初対面の時に一緒に酒を飲んで、その時に彼女が酔っ払って色々とやらかしたせいだ。動くたびなにかしら破壊するをオレが追いかけながら片付けていくのを見てたマイキーが珍しく大笑いしてた。こっちは大変だっつーのに。
マイキーは可愛がってた妹がいたけど、数年前ある男の陰謀で殺された。その妹の面影をどこかと重ねて見てる気がする。は根っから妹キャラだし。マイキーのを見る目が優しいのも、きっとそのせいだとオレはひそかに思ってる。

午後、そのルンバを持って来たのが九井だ。
「蘭さんもついに結婚ですか」とからかわれたけど、次に「だったらコレはヤバいでしょ」と大阪出張の時の領収書をヒラヒラされた。
「悪いけどコレは落ちませんからね」と言われ、何かと思えば、例のストリップクラブの領収書。
「ちゃんがいるのに、こんなとこ行って何してんすか」と呆れられたが、いやちょっと待て。オレは別に裸のおっぱいに諭吉は挟んでねーし、端っこで大人しく飲んでただけだけど？
女にフラれた三途のために行ったと説明してんのに、九井の奴は「それ梵天の仕事と関係ないっすよね。経費じゃ落ちません」と言いやがった。

よし、この金は三途に払わせよう。

今日はの仕事が休みだからオレも休んで昼頃まで一緒に寝ようと思ってたのに朝から起こされた。
を抱きしめながらキスしたり、何だかんだしてたらすっかりオレの体がその気になったのに「今日はドレス選びに行く日だよ」と言われて、ソッコーで飛び起きた。

連休中ってことでホテルもかなり混雑してたしウゼェ。
目を放すとは時々迷子になるから、しっかり手を繋いでいたら、ホテルスタッフに「仲がいいですね」と言われ、が照れていた。その後、トイレ行くのに手を放したら案の定、数分で迷子になった。慌ててケータイに電話したら何故か他人の結婚式場にいた。ロビーで待ってたらドレス姿の女があまりに綺麗でフラフラくっついて行ったらしい。やっぱ目が放せねぇ。

合流してやっとドレスルームに辿り着く。
沢山あるドレスの中からが選んだのは某有名タレントのデザインしたドレスだった。
ふんわりとした上質なレースが可憐な印象のプリンセスラインスカートと、ビスチェにオーガンジーのホルターネックで上品なデザインながら可愛らしい。童顔の彼女にめちゃくちゃ似合ってて思わず見惚れた。
そのまま即決。

その後は久しぶりにのんびりデートをした。
六本木はどこ行っても人が多くてウザかったけど、隣で彼女が笑ってるなら何でもいいかと思える。
3年経った今でも、といる時間は楽しいしかねーんだよなァ。
これって、なかなか幸せなことなんじゃね？

朝一で新幹線に乗った。いつもは寝坊の常習犯なわけだけど、早く帰りたい気持ちが睡魔に勝った瞬間だったわ。
土産は食いしん坊なのために食いもんばっか。
がたこ焼きみてーなほっぺ膨らませてたこ焼き食う姿を想像したらジワった。
「兄貴、なにニヤケてんの。こえーわ」と竜胆にツッコまれたから一発シバく。

後ろ歩いてた三途が「何でこんなに人が多いんだ、クソがっ」と相変わらずキレてて周りの客からドン引きされてんの草。
梵天のキレキャラマスコット目指してんのか。
でも動画撮ってに送ったら「春ちゃん可愛い」と返って来て白目になった。
三途のどこに可愛い要素があんの？
ときどきの趣味嗜好はオレでも理解できねえ。

ちなみに三途とは何故か仲がいい。
三途が髪を切りたがってた時、が切ってやって以来、何かと交流してんのがムカつく。
オレが三途を嫌いな理由、第一位がコレ。

昼に起きて竜胆とホテルのレストランで飯を食ってると三途が顔を真っ赤にして怒鳴りこんできた。
「オレの財布の金、どこやった？」とキレまくるから「夕べ散々チップばらまいてたじゃん」と教えてやったとたん、黙って飯を食いだした。竜胆と吹いた。
ストリッパーのおっぱいに諭吉を挟みまくってた三途の写真はいつか役に立ちそーだ。

午後、大阪の組織のヤツと一緒に神戸の組織を潰しに行った。
イライラしてた三途が日本刀振り回したせいで、意外と早く仕事が終了。
バカと三途は使いようってことか？

世間はGWらしい。どこもかしこも人が多くていやんなる。
早く帰ってに癒されてえ。

今日は竜胆や三途と大阪出張。
移動中、と電話してたら三途に嫌な顔されてムカついた。
「オレの前でイチャイチャすんじゃねえ」って相変わらず生意気だ。
昨日鶴蝶からチラっと聞いたけど、女にフラれたって話はマジっぽい。
ウケる…ｗ
かわいそーだから夜は嫌がる三途を連れてストリップクラブに連れてってやった。オレってやさしー！

もちろんには内緒。でもこの手の店に行くのは浮気じゃねえとオレは思う。あくまで女にフラれてかわいそ～な三途を慰めてやるための夜遊びだったけど、なかなか面白い場所だった。
飛び交うチップ、魅惑的なポールダンス、マッチョのセキュリティ達。
ノリノリの三途！（←ここ大事）
日本とは思えない光景だった。

ホテルに戻ってからの深夜、にお休みの電話したら「早く帰って来て」と可愛いことを言われた。
今から帰ろうかマジで悩んだ。

に今日から結婚式までの期間、みんなで日記をつけようと言われた。
正直、何を書いていいかわかんねーけど、初日っつーことでプロポーズした時の指輪の写真、貼っておくわ。