***雲雀(REBORN)*** 「……何、これ」 朝、早起きして一生懸命に考えて作ったものを彼に差し出すと。 恭弥は今まで見た事もない顔をした。(はとが豆鉄砲ってこんな顔かなぁ?) 「お、お弁当…作って来たの…」 何を言われるかドキドキしながら、彼の胸にグイっとそれを押し付ける。 いつも一緒にお昼を食べてるけど、こんな風に私が彼の分のお弁当を作ってきたのは初めてだ。 だって恭弥はいつも私を連れて近くにランチを食べに行くから…(中学生のくせに) しかも支払いはいつも恭弥がしてくれちゃうし、それが毎日だから、いくら何でも、そろそろマズイなぁ、なんて思って。 だったら私が彼の分のお弁当とか作っていけばいいかな、とか色々考えた。 グルメの恭弥の口に合うように、色々なお弁当の本とか買ってきて、朝、早起きして頑張って、ちょっと遅刻はしちゃったけど、 思ったより上手く出来たと思う。 なんて言われるのか、とドキドキして待ってると、恭弥は私の手からお弁当の箱を受け取って、小さく溜息をついた。 「…それで今日、遅刻したってわけ?」 「う…」 お、怒ってる…のかな、もしかして。 そりゃそうよね、だって恭弥は風紀委員なわけだし…! ど、どうしよう… いつ怒鳴られるかとビクビクしながらも、そっと顔を上げて、「…ごめんなさい…」と素直に謝る。 恭弥は相変わらず無表情で私を見ていて、何を考えてるのか全然、分からない。 「ふーん…」 恭弥はそれだけ言うと、一歩私の前に歩み寄り、俯き加減の私の顔をパッと覗き込んできた。 いきなり目の前に恭弥の顔が現れ、ドキっとして固まると、恭弥はニヤリと笑ってから私の唇に触れるだけのキスをする。 「………っ」 「今度からは遅刻しないように」 「…え?」 その言葉に驚いて顔を上げると、恭弥は嬉しそうな笑みを浮かべて私をそっと抱きしめた。 「…今日は…特別に許してあげるよ」 「…え…?ん、」 思ってもないほどの優しいその声と、死ぬほど柔らかいキスに、食欲がなくなったのは私だけ…? ランチ
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