*** L ***
「よし!そこだ!いけー!」
「………」
彼女はさっきからこんな感じで私を見てくれようとしない。
何度か名前を呼んだり、腕を引っ張ったりしているのに、「邪魔しないで」なんて睨まれる始末。
そんなにワールドカップが楽しいんだろうか。
「…どうせ負けますよ」
「え?何か言った?L」
「いいえ、別に」
母国の代表チームを応援している彼女は私の言葉なんて耳にも入らないというようにテレビだけを見つめている。
少しくらいこっちを見てくれてもいいのに。
テレビばかりを見つめる彼女に、隣にいるのに変な距離感を感じ、ふと寂しくなった。
「な、何?L」
徐に抱きしめ、頬に口づけると、ほんのりと赤く染まる。
そして困ったような顔で私を見て唇を尖らせた。
少しでも彼女の視界に入れて嬉しいと感じた私は、そのまま可愛らしく尖っている唇にも口付ける。
ちゅ
「ちょ…L、あの」
「少しは私を構ってください」
「え?でもサッカーが―」
「サッカーと私、どっちが大切なんです?」
構ってもらえない寂しさから少々意地悪い質問をする。
思ったとおり、彼女は困った顔をして軽く私を睨んだ。
「そんなの比べられるわけないでしょ?」
「…というと?」
またしても意地の悪い質問をすれば、彼女が照れたように視線を反らした。
「…に決まってるじゃない…」
「え?」
「…Lに決まってるでしょ!」
「じゃあもっと私を見てください」
有無を言わさず彼女を強く抱きしめる。
私を見て、もっと愛して
そう願うのは我がままじゃないはず。
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皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて…
【SICILY...管理人:HANAZO】
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