*** Matto***
「おい、サッカー見ようぜ」
「えぇ〜?興味ない」
「いいじゃん。見てれば面白くなるって」
彼女の言い分を無視して勝手にチャンネルを変えると、「メロにサボってるのバレても知らないから」なんてブツブツ言ってるのが聞こえてくる。
でも何だかんだ言って、隣に座るコイツは俺の言うとおりにするんだから可愛い奴だ。
「お、勝ってんじゃん」
チャンネルを変えて見れば俺の母国の代表チームが2点差で勝っていた。
彼女は興味なさげに喜んでる俺を見てるけど、何気なく肩に寄りかかってきたりしてドキっとする。
「マット、煙草ちょーだい」
「お前はダメ」
「何でよ、ケチっ」
「女の子だろ?一応」
「うわ、ムカつく。チャンネル変えるよ?」
「あ、バカ、やめろよ。いいとこなんだから」
サっとリモコンを奪われ、俺が身を乗り出すと、彼女は俺の口から煙草を取った。
「もーらい♪」
「あ、コラ!ダメだって―」
「何でよ。自分はヘビースモーカーのクセに」
「俺は男だからいいんだって」
「何それ。男尊女卑?」
「そういう事じゃなくて…あ、ヤベーじゃん」
歓声が聞こえて画面に目を戻せば相手チームに責められてるところだった。
そこで、余所見をした俺の目を盗んで彼女は煙草を美味しそうに吸い出した。
「コラ、返せよ」
リモコンと一緒に彼女の手から煙草も取り返せば、可愛い頬がぷくっと膨れた。
「マットのケチ!何で自分は吸ってるのに私はダメなの?」
お行儀悪く俺を軽く蹴飛ばす彼女に思わず溜息をついた。
「好きだからに決まってんだろ?」
俺の一言で固まる彼女。
その顔が可愛くて素早くキスをすれば、さらに驚いたように目を丸くした。
「俺の子供、生んでみたくない?」
何も反応しない彼女に痺れを切らし、そう言ってから、もう一度ちゅっとキスをした。
が、その瞬間、またしても一発蹴飛ばされた。(せっかくプロポーズしてやってんのに色気ねーな)
「最低…ムードも何もないわけ?」
「これ見終わったらロマンティックに迫ってやるよ」
「な、何よ、それっ」
「んーそれとも今から…俺達もスポーツする?」
そう言って不適に笑った俺を見て、彼女の顔が真っ赤に染まった。
始まりは、今
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皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて…
【SICILY...管理人:HANAZO】
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