*** Near ***














「きゃー!ゴールー!」





その突然発せられた大きな声にビクっとなって手にしたパズルがポトリと落ちた。
恐る恐る振り返れば、私の仕事で使うのに置いてある大画面で、彼女はワールドカップなるものを見て大喜びをしている。
さっきから何度か「あ、危ない!」とか「そこ!行け行け〜!」などと騒いでたのは知っていたけど、まさかこれほどのめりこんで見てるとは。


まあ、そういうところも可愛い、と思ってしまうのは惚れた欲目というやつだろうか。


「あ、ごめん、二ア。邪魔しちゃった?」
「いえ」


軽く首を振り、パズルを置くと彼女の隣に座った。


「あれ、珍しい…。二ア、サッカー見るの?」
「…あなたがそれほどのめりこんでるなら面白いのかと思いまして」
「ふふ、面白いよ?でも二アがそう思うかは分からないけど」


彼女はそんな事を言ってクスクス笑うと、また画面に視線を戻す。
その横顔は真剣で、少しすると私の存在などいないかのようにテレビに夢中になっている。


「ああ!バカ、そこはダメだよ…あぁぁ〜っ」
「…………」


ハッキリ言って私には興味のないものだ。
それよりも、こうして彼女がテレビを見ながら一喜一憂してる姿というのを見てる方が楽しいと思ってしまう。


「二ア…サッカー見ないの?」


私の視線に気付いた彼女が首を傾げた。


「私はあなたの顔を見てる方が楽しいですから」
「……な、何それ…」


たったそれだけの言葉で頬を赤くする彼女はとても可愛い。
今も画面に視線は戻したものの、頬は赤いままで、こっちを少し意識してるように思う。


(…私は自惚れてもいいんだろうか)



ふと彼女の様子を見ていて、そう思った。






「早く、私のものになってくれませんか」






その一言で、彼女の顔が耳まで赤く染まった。

















可愛い彼女



















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皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて…

【SICILY...管理人:HANAZO】