✿彼氏×彼女✿


せっかく家に遊びに来たのに竜ちゃんの機嫌が悪い。さっきからムスっとした顔で私を睨んでくる。
今日は「兄貴がいねえから遊びに来いよ」なんて言ってきたくせに何でこんなに機嫌悪いの?しかもジーっと私の胸元や足元を見てくるから、ちょっと恥ずかしい。
なんて思ってたら、竜ちゃんが「…」と怖い顔で歩いてきて、ソファに座る私の前にしゃがみこんだ。

「……さっきから思ってたんだけどさー」
「な…なに?」
「そのワンピ、胸元開きすぎだしスカート、短くね?」
「え、そ…そう、かな…そんなことないでしょ」

今日着てきたワンピは先日買ったばかり。今日は竜ちゃんの為に初めて着てみたやつだ。確かに胸元も少し大胆に開いてるし、スカートは膝上ではあるけど、てろんとした生地で動くたび裾の小さなフリルが揺れて可愛いから凄く気に入ってる。竜ちゃんも誉めてくれると思ったのに、怒られるとは思わなかった。

「いーや、胸元開きすぎだし、スカートも短すぎる。つーか脚が出すぎー。これじゃその辺の男にエロい目で見られんじゃん」
「そんなこと…普通だよ、これくらい」
「あ?こんなん着てて、もし満員電車とかで上からおっぱい覗かれたり、駅の階段とかで下からパンツ見られたらどーすんだよ」
「え、駅なんて使わないもん…いつもタクシーで来いって言うじゃない。蘭ちゃんも竜ちゃんも」
「……じゃあ、そのタクシーの運転手にエロい目で見られて、そのまま連れ去られたらどーすんだよ」
「………(これマジでおこなやつだ)」

もう何を言ってもダメらしい。前はこんなことなかったのに付き合い始めた途端に竜ちゃんは口うるさくなった。ううん、竜ちゃんだけじゃなく、蘭ちゃんもうるさいし、何で男って、女の子の服装に文句をつけるんだろう。
(※男は他の男のエロい気持ちもよーく理解できるため)

「家で着る分にはいいけど、こんなの着て出歩くの禁止な」
「えーっ竜ちゃん横暴!これ凄く気に入ってるのに!」
「ダメったらダーメ。兄貴だってぜってー同じこと言うかんな」
「…むう…。最近の竜ちゃん心配しすぎだよ…。私そんなに心配するほどモテないもん」
「はあ?バカなの。はめちゃんこ可愛いから。のおっぱいも足も他の男に見せたくねえじゃん」
「………」

めっちゃ真顔で言われたから、さすがに頬が赤くなる。でも好きな服を着れないのはツラい。

「……保護者みたい。竜ちゃんの心配性」
「……(ピキッ)」

つい言い返したら、竜ちゃんの地雷を踏みぬいたらしい。ソファへ押し倒されて開いた胸元にちゅうっと吸い付かれた。

「ひゃ…な、何して…っ」
「こうしとけば、もうこれ着らんねーだろ」
「あ、ン、」

ニヤリと意地悪な笑みを浮かべた竜ちゃんに胸元をいっぱい吸われて、ついでに太腿まで赤い跡だらけにされてしまった。

その二時間後――蘭ご帰宅。

「あれ、。来てたん?どうした?」

オレに甘えるようにぎゅうっと抱き着いてくるから、ぎゅうって抱きしめ返して膝の上に抱えると、はオレの首に腕を回してしがみつく。何、この可愛い生き物。
でもオレのいない間に何かあったらしい。隣に座る竜胆もちょっと機嫌悪そうだし。

「何、オマエ、に何かしたの」

ジロリと睨みながら訪ねると、竜胆は溜息交じりで首を振った。

「いや別に…。ただ露出が激しいからお仕置きしたら、がスネた」
「竜ちゃん嫌い…っ」
ー…ごめんてー。こっち向いて」
「や」

オレのいない間に何故かそんなことになってる。何が原因なのか聞いたら、の服装がどーたらこーたらと竜胆が言い出した。言われて改めての恰好を見てみれば、確かに露出が激しい。けど許容できねえくらいにキスマーク付けてんのはムカつく。はオレのでもあんのに。

「ってか、竜胆…オマエ、これやりすぎー」
「あ?じゃあ兄貴は他の男にがエロい目で見られてもいーのかよ」
「……まあ、それは許せねえな」
「だろ?」

そこは兄弟で意見一致。

「ってことで、~」
「え…?」

首にしがみついてたを引きはがすと、そのままソファへ押し倒した。

「オレの印もつけさせて」
「……えーっ蘭ちゃんまで…ひゃぁ」

ちゅうっと白い胸元に上書きするよう赤い跡をつけてやると、はジタバタ暴れ出す。子犬がきゃんきゃん騒いでるみたいで、めちゃくそ可愛い。

「ン、あ…ひゃ」

肌を吸うたび、が可愛い声を上げるのもたまらん、と、スカートを捲り上げてきわどい部分にも吸い付く。内股は浮気防止とオレのものって意味を込めて濃いのをつけてやった。は「やだやだ、そんなとこ恥ずかしいっ」と涙目になってるけど、その顏もエロ可愛くて、オレを煽るだけだ。

「兄貴…やりすぎ」

それまで黙ってた竜胆もさすがにヤキモチ妬いたのか、不機嫌そうに文句を言ってきた。

「んー?こんなに沢山、にキスマーク付けたくせによく言うなあ?」
「でもオレはそこまでつけてねえじゃん。オレのでもあるんだから、変なとこにまでつけんなって」
はオレのでもあんだから、好きなとこにちゅーして何が悪いんだよ」
「ひゃあ」
「あ?ってか、パンツ脱がしてんじゃねえ!今度はどこにつける気だよ!」
「え?聞きたい?」

オレがニヤリと笑って振り向けば、竜胆はむっとした顔で「じゃあオレもそこにつけるわ」と参戦してきた。
おかげで、部屋中にの悲鳴が響き渡って、途中から可愛い喘ぎに変わったのは――オレの狙い通りだけどな。




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