
※性的描写があります。18歳未満の方の観覧はご遠慮下さい。
硬いモノが体内に埋められていくのを信じられない思いで見ていた。
「い、やあ……っだめ……っ」
ずぷん、と最初から奥まで挿入された感覚に、ふわふわしていた意識がクリアになった。
焦燥、驚愕、疑問。複雑な感情が入り混じる中、どうにか逃げようと体を捻っても五条の力には敵わない。
何で?これまで絶対ゴムだけはしてくれてたのに――。
「……んあっ……ぁあ!」
挿れた瞬間から激しく腰を打ち付けられた。奥を何度も突かれて苦しいのに、肉体だけは快楽を拾い続けるせいで、いつまで経っても思考が定まらない。
ゴムをつけてるのとつけてないのとでは全く感覚が違うのも最悪だった。直接擦られると、怖いくらいの快感がそこから脳天まで突き抜ける。つけないでするのは初めてだから、余計に過度な快楽へ落とされていく。
「は……のナカ、凄いよ……。僕のに吸いついてうねりまくってる……そんなに気持ちいい?」
「…ぁ…ん、あっ」
ぱん、ぱん、と激しく肌と肌がぶつかる音に交じって、吐息交じりの五条の声が聞こえる。五条の方もわたしと同じくらい快楽に飲み込まれてるような顔をしてた。艶のある切なげな声はわたしの鼓膜を厭らしく刺激して、また上り詰めてしまいそうになる。
「んんっ…ふ…ぁあ、あっ」
「こんなに感じちゃってかわい……もう僕のこと好きだって認めたら……?」
「……やあ……っせ、せめてゴム――」
「もう遅いし……もちろんナカに出すから」
「……だ、め……」
「僕の子を孕んじゃえば……もう逃げられないでしょ。安心して。責任はとるから」
「な……っ」
覆いかぶさって唇をちゅっと啄んでくる五条に唖然とする。責任とるって何?
驚きで固まるわたしを、五条は感情の見えない瞳で見つめながら「結婚しよう。僕と」とあり得ない言葉を口にした。騙すにしても、わたしにとったら残酷なプロポーズでしかない。
「やめて……っ」
力いっぱい五条の胸元を押し戻す。もし本当にわたしの気持ちを分かってて言ってるなら、あまりに酷い。
「そ、そんな嘘つかないでよ……!本当に結婚するつもりないクセに……っ?」
五条と目が合った瞬間、心臓が締め付けられるくらい体が震えた。こんなにも静かに怒る五条を、わたしは初めて見たかもしれない。
「そう……ここまでしても信じないんだ。じゃあもうホントに孕ませるしかないか――」
「ま、待って……いや……っ」
五条は途中まで陰茎を引き抜くと、わたしの太腿をぐっと押して今度は上から奥まで一気にぐちゅん、と突き入れてくる。
「ぁあ、あ……っ!」
強烈なオーガズムに襲われて目の前がチカチカと何度も弾けた。次第に速くなっていく容赦のない抽送は五条の本気を思わせる。連続で達しすぎたせいなのか。脱力したわたしは逃げる気力もなくして、ただ揺さぶられることしか出来ない。
「このまま永遠に閉じ込めて毎日ナカで出してあげようか?のここに、僕の子ができるまで――」
五条はわたしの下腹部に手を添えて、冷えた笑みを口元へ貼り付けた。もう何が何だか分からなくて、五条の何が嘘で、どれが本当の姿なのかも分からなくなっていく。
ここまで執着される覚えはなかったし、わたしなんかアッサリ捨てることが出来る人だと思ってた。
なのに何でここまで――。
「あ……やめ、て……お願い……っ」
両脚を抱えられ、五条の体重がかけられる。その体勢でガツガツと腰を振られると、意識が飛びそうなほどに気持ちがいい。そのまま何度も子宮口を抉られた瞬間、また大きな波がわたしを飲み込んでいった。
「んあ……っぁあ……っ!」
「は……すっごい締め付け。これで何回目……?そんなにナカに出されたいんだ」
「……ち、違……っあっ」
「……も気持ちいい?」
「……き、気持ち……よくなん、か……んんっ」
「はは、嘘つき……またイった……?そういう強がりなとこも可愛いよね、は」
「……ぁ!」
だんだん動きが緩慢になって少しホっとしたのもつかの間、五条は一度陰茎を引き抜くと、力の入らないわたしの体を抱き起こし、そのまま反転させた。抵抗する間もなく腰を掴まれ、今度はバックの状態で奥までずぶりと挿入され、悲鳴に近い声が洩れる。頭が痺れるほどにイカされて、声が掠れるほど喘がされているせいか、現実なのか夢なのかも分からなくなってきた。
「……好きだよ、」
「……んあ……あぁ……」
肌のぶつかり合う音や、ベッドの軋む音に交じった告白。激しい抽送を止めないまま五条が呟く。
「どうしたら……信じてくれる……?」
「ん……も……言わないで……」
「信じてくれるまで言うって……言ったでしょ」
「……だ、から……ツラ……い……のっ」
「ツラい……?どうして」
背中に五条が覆いかぶさり、項に優しく口付けられる感触に肩がびくっと跳ねてしまう。動きは激しいのに、わたしに触れる唇が優しいからツラい。
「……う……嬉しいのに……苦しい……」
激しく攻め立てられながらも、堪えていた本音が口から零れ落ちる。もう意地もプライドも全てが決壊する寸前で、わたしは五条への想いに押し潰されそうだった。
酷いことをされてるはずなのに、嘘でも好きと言ってもらえたことが嬉しくて、こんな強引なことをしてまでも引き留めてくれるのが嬉しくて、離れると決めたのは自分のくせに、もう陥落しそうになってる。
「それは……僕のことが好きってことでいいの?」
「……んんっあっ」
「何度でも言えるよ、僕は。のことが好きだって……――年前もからずっと、ね」
「……ふ、あぁ……っ?」
一気に奥を貫かれ、目の前がスパークした。五条の言葉も聞き取れないくらいに脳内が弾ける。全身が震えて、熱を発散するかのように汗が噴き出す。息も胸も全てが苦しい。
「……僕も限界……ナカに出すよ」
「……ぁあ……んっ」
「全部……受け止めて」
五条の動きが再び激しくなって、射精に向かって加速し始めたのだけは分かる。最後にずん、と最奥を突かれた瞬間、ナカで五条のものがドクドクと波打つのをはっきりと感じた。それが何を意味するのか、途切れ途切れになる意識の中で考えても答えなんて出るはずがない。
その時、ずるりとナカのものを引き抜かれた感覚で、また落ちそうになっていた意識が戻る。
「……――」
五条の手が肩へ触れて労わるように擦られた時、また涙が溢れてきた。
「わ……わたしだって……」
「……ん?」
「今も五条が好きだよ……」
その言葉を口にしたら酷使していた心臓が再びドキドキを伝えてくる。この一言を伝えるのが、どんなに怖かったか。五条に分かるはずもない。
「でも五条が言ったんじゃない……。わたしは五条のことを好きだと言わないから楽だって……。だからバレないように気持ちを押し殺して、めんどくさいって思われるのが怖かったから……なのに今更好きだなんて言われても信じられるはずないでしょ……っ」
シーツに顔を押し付けて涙を隠す。想いを口にしてしまったことを後悔しても、言ってしまった言葉は取り消せない。
「僕が言った……?それを覚えてたの?」
「……だ、だって……あの時の五条の言葉は……わたしにとっての呪いだもん……忘れるわけない……」
どうやら五条は自分の言ったことをあまりハッキリとは記憶してないようだった。今日まであの言葉に縛られてきた自分がバカらしく思ってしまう。
「ごめん……あの頃は勘違いしてたし、色々あって適当なこと言ったかも――」
「え……?」
「いや、何でもない……でも本当にごめん。全部僕が悪い」
五条は背中を向けてるわたしを仰向けにすると、もう一度「ごめん」と呟いて唇に触れるだけのキスをした。さっきされたキスよりも優しいその唇は、最後にちゅっと啄んですぐに離れていく。
「でも僕がを好きなのは本心だよ。だいぶ遠回りしたけど……今度こそ信じて欲しい。だめ?」
五条の瞳にさっきまでの怒りの炎は見えない。今はただただ、慈しむような柔らかい優しさが滲んで見えて、また瞼の裏がじわりと熱くなる。
ダメじゃない、と呟いて小さく首を振ると、五条の唇がわたしの唇に重なった。ベッドに横たえた手にも大きな手が絡みつく。
「ごめん……全然納まんない」
指を絡めた手をぎゅっと握られた瞬間、足を開かれ再びナカに五条が入ってくるのを感じた。
さっきみたいな強引さも勢いもなく。今はひたすら優しく抽送してくる。気持ちの昂ぶりも相まって、さっきとは別の快感がじんわりと全身に広がり始めた。
「……ぁ……ん、ん」
「は……のナカ……さっき以上に熱くて気持ち良すぎ……は?気持ちいい?」
「……ん、んあ……き、気持ちい……」
ここまで乱れてしまえば、意地も見栄も必要ない。全てを捨て去ったら素直な言葉が口から洩れた。その瞬間、ナカに埋められたものがいっそう大きくなる。
「……ひぁ……ぅっ」
「強情なも可愛いけど……素直なはもっと可愛い……」
蕩けるような瞳で見下ろされ、全身が一瞬で燃えるくらいに熱くなった。
もう嘘でも何でもいい。全身で五条が好きだと叫んでるくらい、与えられる快楽に溺れていく。
こうして五条に抱いてもらるなら、別に結婚とか、恋人だとか、関係なんてどうでもいいとすら思った。それくらい、今は心も体も満たされている。
今この瞬間、五条と一緒にいられることが、わたしの幸せなんだと気づいてしまった。
それから何度も溶け合うほどに抱き合って、気づいたら室内を太陽の陽が薄っすら照らしている時間だった。
「……ん……?」
眩しい、という感覚と共に意識が戻ると、すぐ近くで「おはよ」という声が聞こえた。
何故か全身が気怠い。声のした方へゆっくり視線を向ければ、何とも爽やかな笑みを浮かべた五条がいた。
「体、大丈夫?」
「……五条?」
わたしの隣で寝転がり、何故か頬杖えをついてる五条を見た瞬間、結局また関係を戻してしまったんだっけ、と内心苦笑する。
五条はとっくに服を着ているから、もう帰るところなのかもしれない、と思いながら、上体を起こして乱れた髪をかきあげる。夕べシャワーを浴びて乾かすことなく五条に襲われたから、あちこち跳ねてるのが気になった。
「あー頭がボーっとする……」
寝起きとはいえ、記憶も途切れがちなのは無茶な抱き方をされたせいだろうか。夕べだけで死ぬほどイカされた気がする。
そう言えばどんな話をして、どうなったんだっけ――?
理性がぶっ飛んでる時に交わした言葉はあまり覚えていなかった。好きだと言われたことは覚えていても、自分が必死に拒んだとこまでしか記憶がない。
未だ火照った額に手を当てながらボーっと考えていた時、見慣れないものが視界に入って「え」と短い声が洩れる。
今、自分の額に沿えてる左手の薬指に、覚えのない指輪がはめられていたからだ。
「……な……何よ……これ」
呆気にとられながら自分の左手を見下ろすと、五条が「婚約指輪」なんてシレっと言い放つ。完全に幻聴か、聞き間違えかと思った。
「は?」
「いや、だから婚約指輪だって」
「…………は?」
「だから婚約――」
「……はぁぁあ?!」
目ん玉が飛び出そうなほどに驚いたのは当然だ。セフレ関係の男から、いや、あの五条から婚約指輪をもらう理由が一ミリも分からない。
「な……まさか……わたしが寝てる間にわざわざ適当なもの買ってきて信じ込ませようと――?」
「いや、何でそうなんの?夕べっていうか、さっきだけど、ちゃんと僕の気持ちは伝えたでしょ!」
「え……」
五条は珍しく真剣な顔で怒りだし、わたしは心底きょとんとしてしまった。抜け落ちてる記憶の中に、答えはあるらしい。
「前から用意してたんだよ……この前のオマエの誕生日に渡そうと思って」
「え」
「でも渡す前に振られて……ここ数日はその辺の雑魚にも負けそうなくらい落ちてたし、伊地知にまで心配されるわで散々だったよ」
「……え?」
体を起こしてベッドの上に胡坐をかいた五条は、言葉通りがっくりと頭を垂れた。その言葉の数々を何度も反芻したわたしは、やっぱり驚愕するしか今の感情を表す方法がなかったようだ。
つい「え、五条って本当に……わたしのこと、好きなの……?」と口走っていた。
「って、まだ疑ってたわけ……?」
力なく上げた五条の顔まで驚愕の色に染まるのを、信じられない思いで見ていた。
「ハァ……僕ってそんなに信用ないんだ。まあ……自業自得ではあるけど」
「ご……五条?え、ほんとにこれ……」
目の前で大きな体の五条がどんどん沈んでいく姿を見てたら、記憶にある嘘みたいなあの告白の数々が全て本当だったんだと、やっと心に染み入ってくる。
いつになく五条が真剣だったのは何となく気づいてた。でも言われたことは本当なのかなと信じたい反面、やっぱりどこかでありえないと思い込みすぎて、今いち信じきれていなかったせいだ。
だけど指輪を見てたら、あの言葉に何ひとつ嘘はなかったんだと気づく。
その瞬間、じわりと涙が溢れてきた。
「……」
ハッと我に返って顔を上げると、肩にバスローブをかけられた。前を合わせて膝を抱えながら、そこへ顔を埋める。こんなグチャグチャな顔は見られたくなかった。
「オマエはいい歳だから、なんて言ってたけど……婚活なんてしなくていい。っていうか、僕以外の男と結婚するなんて嘘でも言わないで。任務に支障をきたすから――」
と苦笑交じりで言ったあと、五条は「結婚しよう、」とハッキリその言葉を口にした。心臓がきゅうっと縮んだ気がするほど苦しくなったあとに、涙腺が決壊。ボロボロと涙が零れてくる。
「な、何で泣くわけ」
「だ……って……夢みたいなんだもん……」
そっと肩を抱かれて、ぐすっと鼻を啜りながら隣に座る五条を睨む。
ほんとにこの男は、人を振り回して混乱させる天才としか思えない。
「指輪持ってるなら……早く見せてくれたら良かったのに……」
そうしたら、もっと早く五条の言葉を信じられたはずだ。そんな思いを込めてジトっと睨めば、五条は自嘲気味に肩をすくめてみせた。
「いや、忘れてきたの思い出して、オマエが寝てる間に取りに行ってきたんだよ」
「……もう……そういうとこだよ、五条」
「っていうか、にあれこれ送り返されてショック受けたの、こっちは。そんな余裕なかったんだよ」
「な……っだ、だって自分だってあっさり荷物を取りに行くとか言ってたじゃない……」
「あれは……まあ、取りに来ると見せかけてプロポーズしようと思ってたし」
五条はどこか照れ臭そうに顔を背けると、ガシガシと頭を搔いている。その横顔をついマジマジと見てしまった。
セフレの時は気持ちをバレるのが怖くて、こんな風に見つめることも出来なかったから。
「……で。の返事は?」
少し拗ねた顔で唇を突き出す五条が可愛い。いつもは憎たらしいと思う表情も、今なら好きが増える要素のひとつになってしまった。
「わたしも……五条が好き。これからも一緒にいたい」
真っすぐ五条だけを見つめながら応えた瞬間、一気に恥ずかしさが襲う。今まで五条にこんな素直な言葉を言ったことはない。信じられないくらい顔が真っ赤になった自覚がある。
五条はふっと笑みを浮かべてわたしの後頭部を抱き寄せてきた。
「よく出来ました」
子供にするみたいに頭を撫でて、五条は身を屈めるとわたしの唇にちゅ、と軽く口づける。でもすぐにまた唇を塞がれ、唇同士を擦り合わせながら「舌、だして」と強請ってきた。
おずおずと舌を出せば、すぐに絡みとられる。
「……んっ」
唇を貪りながら五条の手が背中へ回り、支えるようにしてベッドへ押し倒される。驚いて胸元を押したけど、ちゅっと唇を最後に啄んだ五条はバスローブを羽織っただけのわたしを、男の欲を孕む瞳で見つめてきた。夕べ散々したのに、まだ足りないみたいだ。
「ま、待っ……」
「もう待つ気はないよ」
言った瞬間、合わせ目を開き、裸の胸を揉んでくるから思わず身を捩ったけど無駄だった。すぐに下りた手のひらが何も身に着けていない下腹部を撫で、その更に下へと触れていく。
「……濡れてる」
「あ……っ」
くちゅくちゅと割れ目を指でなぞられ、頬がカッと熱くなる。キスだけで濡れたなんて思われたら凄く恥ずかしい。
「……んんっ」
指の腹が何度か往復して表面を撫でたあと、ずぷっと挿入されただけで全身にぞくぞくとした刺激が走り抜ける。最初から二本も挿れられて出し入れされるたび、甘イキしてしまうのが恥ずかしかった。
もう少しでまたイキそうになった時、不意に指を引き抜いた五条は着ていたシャツを徐に脱ぎだした。
「ごめん……今、僕ぜんぜん余裕ない」
「……え?」
驚いて見上げると、言葉の通り五条は少しツラそうな表情だった。珍しく頬を紅潮させて、息が荒い。興奮してくれてるんだと思うと、わたしまで子宮の辺りがきゅ、となってしまった。
「もうに挿れたい……ダメ?」
ガチガチに勃起したモノを濡れた場所へ押し付け、五条が切なげにおねだりしてくる顔の破壊力がすさまじかった。思わずこっちが赤面するし、つい意地っ張りな自分が復活してしまった。
「い、いいけど、別に」
顔を背けながら照れ臭いのを隠すように素っ気なく応えると、何もつけてない五条のモノが割れ目をぐりっと刺激してくる。体が快感を覚えてるのか、それだけで膣内がきゅんきゅん反応してるのが分かった。
「……生でしていい?」
「も、もう今更でしょ……」
「……ツンなも好きだし可愛いんだけど……もう素直な感情見せてくれない?」
五条の手が伸びて顎を掴むと、顏を元の位置へ戻される。五条と目が合うだけで、下腹の奥が反応してしまった。
わたしの体がこんなにエッチになったのは、絶対に五条のせいだ。
「もうこれからはずっと一緒なんだから、今のの素顔が知りたい」
確かに今日まで気持ちを押し殺してきたせいか、学生の頃とは違って五条の前ではいつも意地を張ってた。昔のように慣れあうのは怖くて、自然に接することも出来なくなってた気がする。でも今はもう身も心も裸にされて、五条に隠すものは何もない。
「な……生でして……五条のが……欲しい……」
最後は恥ずかしくて尻すぼみになってしまったけど、五条には今ので十分だったらしい。
興奮したように両手でわたしの腰をガシっと掴んだかと思えば、一気にどちゅん、と奥へ突っ込んできた。
「……ああっ」
「ごめん……優しくできないかも」
最初から激しく抽送され、連続でイってしまったわたしは、なんて厭らしいんだろう。だけど止められない。想いを通わせて抱かれるのは、これまでの比じゃないくらいに全てが違い過ぎた。
「気持ちいい……は?」
「き……き、気持ちい……んぁっ」
「素直なも可愛い……好きだよ」
腰を激しく打ちつけながらも、五条が乳首をきゅっと摘まむ。それだけでナカが何度も収縮を繰り返す。
「……ん……も……っと……好きって言って……んっ」
「……好きだよ、」
「……ぁあ……っ」
ちゅっとキスをされ、好きだと言われるたび、体がおかしなくらいに感じてしまう。好きと言われただけなのにナカまで反応するなんてどうしちゃったんだろう。
そう思ってたら五条も同じことを感じたらしい。
「ナカがすっごいんだけど……気を緩めたら一気に持ってかれそうなくらい締め付けてくる」
「だ、って……五条が……ひゃっ」
ずんっと奥を突かれて思わずのけ反ると、五条はわたしの額に貼りついた髪を指で避けながら、そこへちゅっと口付けた。
「悟って呼んで」
「え……ぁ……」
「には悟って呼んで欲しい」
「……な……ぁあっ」
「早く」
またしても子宮口をずんっと突かれて背中が反りかえる。こういう意地悪なところは変わらないらしい。でもわたしもずっと、他の子みたいに名前で呼んでみたかった。
「さ……悟……」
そんな思いを込めて五条の名前を口にすると、ナカのモノが見事に反応したようだ。ぐぐっと圧迫感が増していく。
「……ひゃ、す、すごいおっきくなった……?」
「そりゃ……っていうかヤバい。に名前呼ばれるのマジでくる」
「な……何……っんあっぁ!」
赤くなったのが恥ずかしかったのか、手で口元を覆っていた五条は名前を呼んだだけで興奮したらしい。そのあとは無茶苦茶に腰を振られて連続イキ地獄を味わわされてしまった。
「そんなに嬉しい?ずっと眺めちゃって」
左手を天井に翳しながらもらった指輪を眺めていると、いつの間に目覚めたのか五条が体を起こして笑ってた。
「お、起きたなら声かけてよ……」
恥ずかしい、と思いながら手を下ろすと、五条は何とも優しい眼差しを向けてくるから、勝手に頬が熱くなっていく。
「が可愛いから見惚れてた」
「……そ、そういうことサラっと言うから信じられないんだよ」
「いや、だって本心言っただけだし。それより指輪、気に入った?」
「うん、すっごく。でも……わたしに似合わないんじゃない?こんな高級なもの……」
「そんなことないけど、気になるならの好きなブランドに買い直そうか?」
「だめ!」
五条の手が左手を持ち上げるから慌てて振り払う。五条に初めてもらった指輪だから、他の物に代えるのは嫌だった。
「五条がわたしの為に選んでくれたなら……これがいい」
「大げさ……って地味に重たいよね」
「……う。そ、そうかも……。重たい女、五条は嫌いだったよね……」
「まさか。だけは別。というか、オマエのそういうところにも惚れてる」
言いながら五条はわたしの頬にちゅっとキスをしてベッドから下りる。
「結婚指輪はが選びなよ」
「え……いいの?」
服を着ながらサラっと言うから、思わず五条を見上げた。
「もちろん。あ、今から買いに行ってもいいけど?」
「……五条、今日は生徒達と呪術自習じゃなかった?」
「あ、そうだった」
「ハァ……五条は逆に色々と軽いよね、ほんと」
「……いや?」
「……好き、だけど」
「だよね」
ちょっと得意げに笑う五条が憎たらしい、と思う反面、好き、という感情が溢れてくる不思議。
長年拗れさせた想いを実らせることが出来たから、今は何でも好きに変換されてしまうらしい。
「あ、そうだ。、今夜予定ある?」
「え?」
「例のレストラン、行かない?七海に聞いたんだけど、もらったでしょ、招待券」
「………あ!」
唐突にその話を持ち出されて思い出した。五条が七海くんにわたしへのプレゼントを強要したこと。
「え、あれ何だったの?七海くんは五条にあれをプレゼントしろって言われたって話してたけど……」
「は?七海の奴、内緒って言ったのにネタバレしたわけ?」
「ネタバレって……何?どういうこと?」
色々気になって尋ねると、五条は気まずそうに頭を掻きつつ「試したかったんだよ」と苦笑した。
「試すって……?」
「だから……がアレをもらったら僕のことを誘ってくれるかどうか」
「へ?」
「オマエ、言ってただろ。テレビでその店見てここ行きたいと思ってたんだって教えてくれた時……彼氏とデートで行けたら最高だなーって」
「……言ったっけ、そんなこと」
「はあ?覚えてないわけ」
「う、うん……行きたいって言ったとこまでは覚えてるけど、そこまでは覚えてない、かも……ごめん」
心底呆れ顔をされて「ははは」と笑って誤魔化す。でも今の話をまとめると、あれを七海くんに強要したのは、自分を誘ってくれるかどうか試してみたかった、ということらしい。結局のところ、わたしと五条は互いに覚えてることや忘れてることが逆だったりして、案外似た者同士なのかもしれない。
「そんなの……五条から誘ってくれたら良かったのに」
「それじゃ意味ないんだよ。が僕のことをどう思ってるのか知りたかったんだから」
「……五条」
「だから七海にアレをもらった時、が僕を誘ってくれたら……その店でプロポーズしようと思ってた。まあ誘われなくてもしようとは思ってたけど」
「………バカ。遠回しすぎ」
本当にこの男は人の情緒を掻きまわす。せっかく瞼の腫れが納まってきたというのに、また泣かされてしまった。
「で、どうする?今夜……行く?」
「……行く」
差し出された手を掴むと、ぐいっと引っ張られて五条の腕の中へ閉じ込められた。五条は何もかも予定が狂った、なんて拗ねてたけど、わたしは思ってもいなかったサプライズをもらいすぎて、すでに胸がいっぱいだった。
「五条……」
「ん?」
「……大好き」
これからは心を押し殺さなくても、もっと素直な自分で五条と向き合っていける。
「僕の方が大好きだと思うけど」
そんな予感がしていた――。