01-変化
※軽めの性的描写あります。苦手な方は観覧をご遠慮下さい。
「これは硝子も言ってたように荒療治だから、オマエも意識はすんな。分かった?」
その言葉は素っ気ないものなのに、五条が彼女へ触れる手は優しく。まるで恋人を抱きしめるかのように繊細で、彼女は酷く落ち着かない気持ちになった。しかも胎内にあるもののせいで勝手に体が火照ってくる。息苦しさは続いていて、本音を言えばどうにかなってしまいそうなほどに下腹部が疼いていた。
「……っあ」
「どこが気持ちいい?」
「わ…わから…ない…」
「自分の体なのに?」
後ろから抱きしめるようにしながら耳元で問われ、は恥ずかしさから頬が一瞬で赤くなった。後ろから伸びてきた五条の骨ばった指が、シャツの上から胸の膨らみをやんわりと揉み始めたからだ。初めて男に、それも昨日までは最強の先輩だと憧れていた相手に体を弄られるなど思いもしていなかった。
意識をするなと言われても、どうしたって意識してしまう。出来ることなら今すぐこの場から逃げ出したい衝動に駆られた。けれど、そうしてしまえば体の奥に刻まれたもののせいで、また眠れない夜を過ごすことになる。それでは何の解決にもならない。
「、集中して」
「…は、はい…」
長い指にくいっと顎を持ち上げられ、上から美しい青の虹彩に見下ろされる。それだけで下腹の疼きが悪化した気がして、は小さく深呼吸をした。
「これは?」
「…ひゃ…ぁっ」
シャツの上から乳首をきゅっと摘ままれ、の口から甘い声が上がる。彼女のその反応を見て「ここ弄られんの好きみたいだな」と、五条が呟いた。その聞きなれた、それでいて初めて聞く甘い声を耳が拾うたび、ぞくりと肌が粟立つ。
「ちゃんと気持ちいい?」
硬さが増した乳首をシャツの上から指の腹で優しく撫でつつ、もう一度だけ確認すると、は俯いたまま首を左右に振る。同時に下へ垂れた長い髪もふわふわと揺れた。自然と体が前かがみに倒れてしまうのは、触れられるのが恥ずかしいがゆえの無意識的な行動だろう。彼女は否定したが、それは本心じゃないと五条も気づいている。こうして触れていれば、相手が感じているかいないかくらい、経験のある男なら分かってしまうものだ。
「ご…五条先輩…」
「ん?」
「こ、これしか方法…ないんです…か?」
「呪印がオマエの中にある以上、攻撃することも出来ないし、反転も効かないんじゃあ、やっぱ硝子の言う通りにするしかないんじゃねーの?」
「…うぅ…」
「泣くなって…お…僕だってオマエにこういうことすんの不本意なの。分かる?」
「は…はぃ…」
「じゃあ集中しろ。そんなんじゃ濡れるもんも濡れないし」
「……う、はぃ…」
ひっくと嗚咽を漏らしながらも、がどうにか頷いてくれたのを見た五条も、内心いくらかホっとした。
どっちにしろ自分で出来ないのであれば、誰かが彼女に同じことをしなければいけなくなる。それが彼女の一つ上の先輩に当たる七海でもだ。一定量の呪力を持つ術師はそれなりにいても、ずば抜けた呪力量を持つ術師は限られている。そして反転術式を扱える術師は更に限られていた。
ソファに座り、後ろから彼女を抱え込む形で、五条は更に長い髪を片寄せると、露わになった白い首筋にもちゅっと口付ける。たったそれだけの接触で彼女の肩がびくん、と跳ねた。しかし腕の中の華奢な体は羞恥で震えている。それが伝わってくればくるほど、五条の頭にヤバいかも…という思いが擡げ始めた。
昨日までは確かに先輩後輩という健全な関係だったのに、こんな形で触れることになろうとは思ってもいなかった。
入学当初から、可愛がっていた後輩の女の子に――。
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