08-使って下さい



※性的描写あります。苦手な方は観覧をご遠慮下さい。



「あー…むーり。キツい…。想像以上にキツい。つーか…股間が痛ぇ…」
『ハァ?!この期に及んで泣き言?アンタ、現代最強でしょ。股間が痛かろうが、そこはぐっと耐えてやり抜け!やれ!やるんだ、五条!』
「…いや丹下段平風に言わないで…そもそも"ジョー"しか被ってないし…」

まるで明日のジョーに登場する丹下段平の如く暑苦しいエールを送られた。まるきり他人事。いや、女の家入に男の苦悩など分かるわけはないが、その謎の発破が五条の心に沢山の穴を開けるかの如くブっ刺さっていく。

「だいたい、こんなのに最強とか関係なくない…?」

と五条はガックリ項垂れた。途中経過を伝えるのにかけた電話で、家入に泣き言を言ってしまった自分が愚かだったと。
五条や夏油の実力が凄まじく、普段は目立たないものの。高専入学当時からクズコンビと長らく行動を共にしていられたのだから、家入硝子もまたイカれた側の人間である、と五条は失念していたようだ。しかし、この何とも言えないモヤモヤを吐き出せるのは、事情を知っている家入のみ。そこが五条の不幸でもある。
ベッドの方をちらりと見れば、がぐったりしたように眠っていた。

『っていうか、そんなに時間かかるわけ?』
「…当たり前だろ。やっぱり痛みは相当強いみたいだし、の体がもたないから少しずつ流してんだよ、こっちは。それになまじ思い入れが強い呪印だから、そこに触れると僕までその欲に引っ張られるっつーか…」
『え、何それ』
「だから…ストーカーの念なのかエロ呪霊のかは知らないけど、呪印に中てられると過剰にエロい気分が盛り上がってきて、こっちまで変な気分なって変なこと口走るっつーか…とにかくヤバいんだよ、色々と」

五条の説明にしばし黙った家入だったが、意味を理解したらしい。突然『ぶはっ』と吹き出して大笑いしはじめた。さすがにカチンとくる。

「笑い事じゃないから」
『まあ、そうだよね…。で、どのくらい削れた?』
「今のとこ四割ってとこ」
「…マジ?」
「仕方ねえだろ…!痛がるんだから…それでもよく耐えてるよ、のやつ」

早く終わらせた方が五条の為だと思っているのか、は限界まで激痛に耐え、先ほど意識を失ってしまった。しかし意識が戻れば、また行為を続行しなければいけないので、この機会に今は体を休めさせてるようなものでもある。

『まあ、そうだよねえ…場所が場所だし…でも、もう少し下ろせばどうにかならない?』
「…下りてきちゃいるけど痛みが少し和らぐ程度だろ、そんなもん。痛いことに変わりないでしょ」
『五条の呪力は強力だろうしな…。まあそうなるか…』
「だいたい…女の子の体、それも大事なとこを傷つけるわけにはいかないだろ」

そもそもが敏感な場所であり、そこへ高電圧を流すのと同じなのだから確かに一気に祓うのは無理がある。無理やり続ければの体が傷つく上に、後遺症も負いかねない。それだけは五条も避けたいんだろう。家入はしばし考えこんでいたが、不意に『じゃあさー』と何かを思いついたように口を開いた。

『やっぱり五条がを抱いて、ナカにアレしちゃった方が早くない?』
「ハァ?まだそんなこと言ってんのかよ…」

五条は飲みかけていたコーヒーを吹きそうになった。

『だってその方がの体への負担も軽減されるし、一度で祓えるし一石二鳥じゃん。痛みもゼロ。まあ破瓜の痛みは多少あるかもだけど、そこは散々慣らしたわけだから、普通の初体験より全然マシだと思う』

家入の言うことは最もであり、五条とて一瞬は考えたことでもあるので、わざわざ言われなくても分かっている。でも、それをしてしまえば体は楽になるかもしれないが、今以上にの心に負担をかける気がした。そもそもは割り切って男に抱かれるようなタイプでもない。

「――ってわけだから却下」
『そりゃがそういうタイプじゃないってのは私も分かってるよ…でも今の方法がそんなに負担かかってキツいなら――』
「いいんだよ…そこは耐えてもらうし、僕も加減しながら祓っていくから。そもそもセックス自体、知らないがこんなことで処女散らすことないでしょ」

まさかの五条にド正論を言われるとは思わず、家入も「う」と言葉を詰まらせた。

『…そりゃ一応私も女だから分かるけど、さ…』

そう、女として、またはの先輩としてなら、当然恋人でもない男とセックスなんてさせたくない、と思う。でもいつの間にか自分が医者目線で考えてたことに気づいてハッとさせられた。例え好きでもない相手と初体験する羽目になったとしても、命を守れるならそれくらいはいいんじゃないかと。先輩としては最低だと改めて思う。
しかも気づきをくれたのが、出会った当初から口も態度も最悪で、クズだ何だとからかってきた同級生なのだから嫌になる。

「綺麗なやつが綺麗なままでいられるなら、絶対その方がいい」

五条のその一言に家入は一瞬、呆気にとられたが、ふーん、と返しながら、つい苦笑を零してしまった。五条がまた数段飛ばしで大人への、いや教師への階段を上がったような気がしたからだ。

『ま…五条の言う綺麗の基準は分からないけどさ。でもはどんなことになってもだから、純粋で可愛い後輩ってのは変わらないよ。今後もね』

じゃ、後半も引き続き宜しく、と言って家入は電話を切った。

「変わらない、か…」

スマホをテーブルへ滑らし、五条はソファへ寝転ぶと、溜息を吐いた。そんなことは分かってるし、例え家入の言う方法で祓ったとしても、が汚れるとは五条も思っていない。今回の件は全て自然災害と同じく、不可抗力のもとで起きたことであり、には何一つ非がないからだ。
でも出来ることならこの先、に好きな相手が出来た時の為に、初めてはとっておいて欲しいと思っただけ。ただ、それだけだ。

「……痛…」

不意に胸の辺りがチクチクとした痛みを訴え、五条はそっとその場所へ手を置いた。まるで細い針で刺されたような感覚だ。その痛みに続いて今度はずーんと重苦しいものが腹の底からこみ上げてくる。
に彼氏が出来て、その男と仲良く高専の敷地を歩いてる、なんて光景が頭に浮かんだ瞬間、何ともおかしな症状が現れた。

「…ん…」

その時、ベッドの方でがかすかに動く気配がした。

「…気が付いた?」
「…ん、…五条…先輩…?」

五条がベッドの方へ歩いて行くと、がゆっくりと上体を起こす。その際かけられていた薄手のタオルケットが肩から滑り落ちて、乱れた胸元が五条の目に晒された。

「…わ…」
「今更隠しても意味ないでしょ」

恥ずかしそうにタオルケットを掴むを見て苦笑する。ただ、そんな反応をされると五条としても変に意識してしまいそうになるのがツラいところだ。
そういう意味も含めてなるべく素っ気ない態度で行為を進めているのに、男の性については何も知らないは無意識で煽ってくるのだからタチが悪い。
行為中、何度自分の欲望と戦ったか分からないくらい、五条も肉体的に追い詰められ、先ほどの家入への泣き言へと繋がったのだ。
正直、今もツラいが、ここでにまで泣き言を言うわけにもいかず、五条はタオルケットに包まってしまった彼女の隣へ腰を下ろすと、「体の痛みはどう?」と尋ねた。

「は、はい…少しジンジンしてるけど…大丈夫…です」
「………(いや、可愛すぎでしょ!)」

恥ずかしそうに視線を泳がせながら、かすかに頬を染め、子供のようにタオルケットに包まってるは、ぐうの音も出ないほどに可愛かった。五条の体のどこかを"可愛い"の巨大文字が突き破っていくほどの威力があり、つい頬が緩みかけるのをどうにか軌道修正する。

「でもキツいなら今日はもうここで止めて、後日また改めて――って言っても、それもマズいか」

呪印がある状態ではの体はそれだけで衰弱していく。それに呪霊とリンクしている状態の今は、高専の敷地から出ることも出来ない。またいつ襲ってくるか分からない上に、もしまた襲われでもしたら、の体内に呪いが充満し、一気に命を持っていかれるリスクもある。

「だ、大丈夫です、わたし…。なので…お願いしていいですか…?」

アレコレとの身に起こりえるかもしれない最悪の状況を想定していると、彼女がおずおずと五条を見上げてくる。どこか不安げに自分を頼ってくる姿は、さっき以上に五条の情緒を破壊していく。頭上に燦然と輝く"理性"という文字にピシっとヒビが入った瞬間だった。

「ハァ…オマエは何でそう…無防備なわけ…」
「え…ご、五条先輩…?」

深い溜息と共に五条はグッタリと項垂れた。状況が状況なだけに、家入に訴えたことはあながち間違っておらず、延々と生殺しされてる状態なのは、想像以上にキツい。

「だ、大丈夫…ですか?」
「んー…大丈夫…ではない、かな」
「え…!五条先輩、具合悪いんですか…?もしかしてわたしのせい…?わたしがこんなこと頼んだから…」
「…オマエが悪いわけじゃ…まあ…関係ないとは言えないけど――って、泣くなよ」

ふと顔を上げて隣を見れば、の瞳が涙で潤んでいる。うるるんとしたその顔を見ているだけで腰にくるものがあり、五条は困った様子で「頼むから泣かないで」彼女の頭をくしゃりと撫でた。

「具合が悪いわけじゃないし…自制すりゃいいだけの話だから」
「…?」
は分かんなくていーんだよ」

きょとん、とするを見て五条は苦笑すると、「じゃあ…もう一回、濡れるように自分で触ってみて」と言った。濡れるまでの行為を本人がしてくれれば、五条は呪印にだけ集中できるし、変な欲に引っ張られないで済む。そう考えたのだが、は「え、そ、それは…」と困ったように口ごもった。

「もう一人で出来るでしょ」

こういう時の為にに自慰のやり方を教えたのだ。しかしはしゅんと項垂れながら「お、覚えてなくて…」と蚊の泣くような声で呟く。

「え…マジ?」
「そ、それに…最初に自分でやってみた時のことを思うと…ご、五条先輩に触ってもらう方が…ぬ、濡れる気がします…」
「……っ!」

真っ赤になりながら見上げてくるは、今の台詞も相まって犯罪級の可愛さだった。五条の心臓が自らの蒼によって捩じり潰されたのかと思うほどに、ぎゅううっとおかしな音を立て、これもちょっとした可愛さの性暴力なんじゃないのか?とアホなことを考えてしまうくらい、男の本能をドストレートに刺激されている。

「…それ…意味分かって言ってる?」
「え…意味…?」
「…………」

あーこの子、何も分かってねーなー的な顔になってしまった自覚があるくらい、顏の表情筋が死んでたかもしれない。
要するに、はただただ事実を口にしたまでで、自分がどれほど大胆なことを言ったのかすら理解していないのだ。
それを分かっていながら、すでに五条の体は限界だったらしい。さっきから疼いていた腰の辺りがずん、と重たくなった。

「…ハァ…もう…オマエがいちいち無意識に煽るのが悪い」
「…え?――ひゃ」

顔を覗き込んできたをタオルケットに包まったまま押し倒すと、彼女はびっくりしたのか、目をまん丸にして五条を見上げきた。

「せ、せんぱ…い?な、何か当たって――」
「オマエのせいで、こうなってんの。僕も一応、男なんで。分かる?この意味」
「え…」

の体を隠しているタオルケットを剥ぎ取り、両脚の間に自分の体を入れる。そのまま何も身に着けていない彼女の陰部に硬くなった場所を押し付けると、ごり、という感触でさすがに気づいたらしい。の顏が一瞬で真っ赤に染まった。

「…男って生き物はさ。女の子の体に触れたりしたら自然にこうなるわけ。の感じてる顔とか、エロくて可愛い声とか聞かされたら普通に欲情するし、目的忘れそうになるんだよ」
「え……そ、それは…」
「抱きたくなるってこと。当たり前だろ。まあ…はそういう男の部分は知らないだろうから仕方ないけど…」

呆れたように見下ろすと、は耳まで赤くして瞳を潤ませた。その表情すら煽ってんだよなぁ、と思いつつ、五条は欲を落ち着かせる為に深く息を吐き出す。

「だから――あんま男を煽るような言葉は言わないこと。分かった?」
「…う…は、はい…。ごめんなさい…五条先輩…」
「………いや、だからそんな可愛い顔しないで」

うるうると今にも泣きそうな顔で見上げてくるを見て、つい真顔で突っ込む。ただでさえエロい体勢にしてしまったことで、硬くなってる場所が更に硬さを増していく。

「へ…?ひゃ、な、何かおっきく…」
「…が言ったそばから僕を煽るからでしょ…」
「え…」
「ハァ…つら…理性飛びそう…」

と密着しているだけでも呪印の力に引っ張られる。家入に話したのは嘘でも冗談でもなく。胎内でそれに触れると抵抗するように五条を飲み込もうとしてくる。人の、それも歪んだ愛情ほど厄介なものなのだと改めて思い知らされた。特に性欲というのは人間の三大欲求に入るほど強い。
言わないつもりだったのに、ちょっとした泣き言を呟く。その時、の手が五条の火照った頬へと触れた。びくりと肩が跳ねる。

「だから煽るなって――」
「ご、五条先輩になら…いいです…」
「……は?」

何が?という思いで見下ろすと、はさっき以上に瞳を潤ませ、五条を見つめている。何かを決心したようなその表情に、彼女が何を言ってるのか何となく伝わってきた。

「…五条先輩もツラいなら…最後の方法で…祓って下さい…」

は真剣な顔で五条を見つめている。しばし呆気にとられた五条は最後に深い溜息を吐いた。

「……オマエ、それ意味分かって――」
「わ、分かってます…っ。ちゃんと…硝子先輩から説明されました…だから、ちゃんと分かってます…」
「だったら」
「い、いいんです…。先輩はわたしが経験ないから気を遣ってくれてるかもしれないけど…わたしはもう呪霊に穢されたようなものだから…」
「そんなことないだろ…。は少しも汚れてなんかいないし、そんな風に投げやりになるなよ」

普通とは言えない状況でも少し気分が昂ってるのかもしれない。五条は宥めるように諭しながらの頭を撫でた。しかし彼女の意志は固いらしい。目に涙をためながらも五条にしがみついてきた。

「じゃあ…ほんとの初めてもらって下さい」
「………だから、それは――」
「わたし…五条先輩にならいいって思うから…」

その一言は五条の中の何かを的確に撃ち抜いたらしい。じわり、と胸の奥に熱が広がっていく。これまで味わったことのない高揚感を覚えながら、目の前の彼女が後輩としてではなく、一人の女の子として可愛いと思ってしまった。とんでもない誤算だ。

「ったく…大胆なことを軽々しく言ってくれちゃって…」
「せ…せんぱ…」
「そんなこと言われたら――」

五条の手がの頭を引き寄せ、唇が頬へと触れる。

「…我慢出来なくなるだろ」

の耳殻へ口付けながら、ベッドへと押し倒す。この衝動的な行為によって、自分の気持ちが大きく動かされることを、この時の五条はまだ分かっていなかった。






「…ん…ぁ…はぁ…はぁ…」

五条の唇が首筋に吸いつき、ぞくぞくした快感がそこから広がるたび、の息は荒く乱れていく。未だに陰部へ押し付けられている硬さを増した熱が、彼女からも理性を奪っていった。自分がどれほど大胆なことを口走ったのかすら、朦朧とした頭では考えられない。
乱れたシャツの合わせ目から五条の手が躊躇うことなく滑り込み、の肌を撫でていくと、ブラのホックを簡単に外していく。密着してる部分にすりすりと硬いものを擦りつけられるだけで、そこが潤み始めてきたのが分かった。

「ン…ご、五条せんぱ…い…そ、そんなのしなくても…濡れてるから…平気です」

愛撫する手を止めるように見上げれば、五条もかすかに息を乱しているのが分かる。自分に興奮してくれてるんだと思うだけで、呪印のある場所がきゅん、と甘い反応をして、奥から更にとろりと蜜が溢れてきた。

「別にオマエの為じゃない。僕がしたいだけだから」

五条は吐息交じりで応えると、のシャツを開いて露わになった胸を揉みしだきながら、すでに上を向いている乳首にもちゅうっと吸いついた。

「あ…っンん」

舌先でくにくにと捏ねられ、更に硬さを増したそこをじゅる、と強く吸われるたび、びくびくと体が反応して、息も乱れていく。オマエの為じゃないと言いながら、に触れる五条の愛撫は全てが丁寧で優しい。

「…や…ぁっ」

左胸の乳首を親指で捏ねられ、もう片方を舌で嬲られると同時に快感が押し寄せてくる。五条の口の中は熱く、それを肌に感じるだけで快感は増していき、その間もぐりぐりと押し付けられる場所までジンジンと疼き始めた。経験はないのに、奥の奥が熱い。

「…はぅ…」

ぐり、とまたしても濡れた場所を刺激され、顏の熱が上がっていく。もどかしいという思いで「も…十分…です」と言っても、五条の愛撫が止まることはなかった。さっきまでの五条とは違い、今は余裕がないように見える。口数も少なく、ひたすらの肌を味わうように、丹念に舐め上げていった。
背中を指で優しくなぞられてのけ反れば、突き出た胸に吸いつかれる。ぞわぞわと肌が粟立ち、そこへ五条の唇が休む間もなく触れていく。

「…んん…ぅ」

そのうち手が腰を撫でながら下がり始め、濡れた場所へ指が触れる。それだけでくちゅ、と音がするほど溢れているのが自分でも分かった。その場所を指が往復し、指先がナカへ吸い込まれるたび、ぬぷぬぷと卑猥な音が洩れてくる。

「…ぁ…ん、ご、五条…せんぱ…い…んっ」
「…ナカ、とろとろ…痛くない?」
「…ん…い、痛く…なんか…ひゃぅ…」

痛くないと言った瞬間、五条の長い指がずちゅ、と奥まで入り込む。その指を少し締め付けてしまったのは無意識だ。先ほどから五条の甘い香りとかすかな汗の匂いがの鼻腔も刺激するせいで、気分が高揚していた。快感を拾う頻度がさっきよりも早く、今は五条のことしか考えられない。
一度深い場所を往復したあと、浅いところで指をじゅぷじゅぷと抜き差しされる恥ずかしさと気持ち良さで、ナカがきゅん、と疼くせいだ。
その時、乳首を嬲っていた五条がちゅるん、とそこを舐め、ゆっくりと上体を起こす。とろんとした目を向ければ、五条も似たような表情でを見下ろしていた。
艶のある唇をぺろ、と舐める姿が、男の人とは思えないほどに色っぽい。

「ん、」

ナカから指が引き抜かれ、再びごり、と勃起したものを押し付けられると奥がきゅうっと疼いたのが分かる。濡れすぎてるせいで五条の服にまでシミを作っているのが恥ずかしいのに、勃起したモノでぐりぐり陰部を刺激されるたび、どうしようもなく下腹の奥の奥がきゅん、と疼き、同時に肌がぶわっと粟立った。

(…お腹…苦しい…もっと奥に…触れて欲しい…ナカが熱くて…疼く…)

どうしようもなく、もどかしい感覚に襲われながら、は潤んだ瞳を五条へ向けた。この疼きは呪印のせいなのか、それとも五条のせいなのか、もはや分からなかった。

「…五条…先輩…」

五条の息も荒く、頬が高揚してるのは自分と同じで、かなり辛そうに見えた。こういう時、男がどんな風に辛いのかまでは経験のない彼女には分からない。ただ、苦しげな息を吐く五条を楽にしてあげたいと思っただけだ。

「わたしの体…使って下さい…」

そんな思いから出た言葉。しかし五条はぎょっとした顔でから離れると「だから…簡単にそういうこと言うなって…」と上から睨みつけてくる。その表情はと出会った当時の五条のようだった。

「で、でも…その方がお互いに負担はかからないって硝子先輩も――」

五条のシャツをぎゅっと掴むと、「引っ張んなって」とその手を引きはがされてしまった。

「オマエに経験がなかろうと、もう体はガキじゃないし、挿入するって行為を解って言ってんだと思うけどさ…これはを救う為の行為であって僕の為じゃない。ツラいとは言ったけど、にそこまで背負わせる気はないから」
「だったら…わたしの為に先輩がツラい思いをすることもないです…。それに…わたしは五条先輩を信じてるから…」
「………っ」

泣くの堪えながら言い切ると、五条は僅かに息を呑み、しばしの沈黙のあと、はぁ、と小さく息を吐いた。

「…僕の何を信じてるのか知らないけど…実はこの状況を利用して可愛い後輩をヤっちゃおうとか思ってるかもよ?」
「五条先輩はそんな人じゃないもん…。それに、もしそうなら何でずっと我慢してくれてるんですか…?」

もう一度五条のシャツをぎゅっと掴むと、澄んだ青が僅かに細められ、今度は呆れたように項垂れる。

「もぉ…オマエ、ほんとしつこい…」
「…ぁ」

長い腕がの背中へ回り、ぎゅうっと抱きしめられる。その腕の強さに再び顔の熱が再燃して、ついでに心臓がきゅっと鳴った気がした。
五条は諦めたのか、をもう一度ソファへ寝かせると、自身のベルトを外してズボンを少しだけ下げたようだった。その瞬間、濡れてぐずぐずの場所にぬるり、と硬いモノが擦りつけられ、びくんと腰が跳ねる。熱を持ったソレは愛液を潤滑油にしながら、ヌルヌルと敏感な場所を擦り上げてくる。

「ん、せ、先輩…あの…そこじゃなくて…ちゃんと…ナカで…はぅ…あ」

五条は勃起したものをの陰部に挿れるのではなく、腰をゆっくりと動かして擦りつけるだけだった。それが恥ずかしいのに、もどかしい。

「いい。のここ、ぬるぬるだから十分気持ちいい」
「……っ」

かぁぁっと音が出たかと思うほど、の顏が赤くなった。この行為は知らないものの、擦られるたび敏感な芽に触れて快感が広がっていく。
挿入してるわけでもないのに、五条が腰を動かすたびベッドがギシギシと苦しげな音を立てるのも、の羞恥心を煽ってきた。

「…ふ…ぁ…ん…あっ…ん」
「…ここ、擦られんの気持ちいい?」
「…ふぁ…っ…」

荒い呼吸を繰り返しながら腰を動かす五条を見上げると、腕をぐいっと引っ張られ、向かいあう形で座らされた。何も身に着けていない尻を五条の手が支え、ぐいっと腰を押し付けられるたび、また擦られている場所からとろりと蜜が溢れてくる。
その快感に思わず肩が跳ねて、五条の背中に腕を回した。両手でぎゅっとシャツを掴み、五条にしがみつく。

「…ご、五条…先輩…は…気持ちいい…?わたし、もっと…先輩のこと…」

気持ち良くしてあげたい、と言いかけた時、僅かに体が離れ、ちゅっと額に口付けられた。

「ナカでするのは…が本当に好きな奴ができた時の為にとっておけよ…」
「…え…ん、…は…ぅ」
「今、こんな形でするべきじゃないし…その相手は僕じゃないでしょ。流されてしたって後悔するだけだから」
「…んん…ぁあ…」

ぐちゅぐちゅと音をさせて擦られるたび、の腰が跳ねる。

「オマエのここ…当たって気持ちいい…も気持ちい?エロい顔してる…」
「…ひゃ…ぁぅ…あ…や…だ、め…んあっぁ」

次第にぷっくりしてきたせいか、クリトリスを陰茎に擦られるとさっき以上に刺激が強くなる。ぬるぬるとした動きで捏ねられるように愛撫されると、ナカとは違う疼きがそこから一気に広がっていく。ぶるり、と肩が震えた瞬間、目の前がチカチカとして、はそこで絶頂を迎えた。

「あーかわい…僕もイキそう…」
「……は、ぅん、…あ…ぁっあ…ま、たイっちゃ…」
「うん…イって…」
「…あ…ぁ…ああっん」

いっそう腰の動きが速くなり、それに合わせてイったばかりの場所をずるずると擦られたもまた、二度、三度とオーガズムを感じて、最後は五条と同時に達することが出来た。
そこから、ぷっつり記憶はなく―――気づいた時には、何もかもが終わっていた。

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