調教-02


兄妹のように育ってきたふたりの関係が、少し形を変えたのは二年前。五条が十四、が十三歳になった辺りだった。長年の想いを拗らせた五条は、常にそばにいる女の子を、ついに自分のものにしようと決めた。今までのような形式ばった関係でも、また気のおける幼馴染でもなく。それ以上に親密な関係になりたかった。
世話係のは、唯一五条の私室に入ることを許された存在であり、身の回りの世話も全て彼女がやってくれる。
朝、寝室に起こしに来て、着替えを手伝い、食事さえ部屋でとると言えばが運んでくる。家にいる間、彼女は常に五条のそばにいた。
そんな毎日は、幼馴染でもある彼女に仄かな想いを寄せていた五条にとって、幸せでもあり、嬉しくもあり、また――苦痛でもあった。

互いに思春期と呼ばれる時期になれば、恋しい女が自分の目の前をちょろちょろ動き回るのは、想像以上に目の毒だった。
朝、起こしに来たときも、眠っている五条を揺り起こし、起きたあとはきちんとシーツを替えてベッドメイクも済ませてくれる。歯を磨きながら彼女のそんな姿を眺めていると、ついつい視線が彼女の柔らかそうなくちびるや、はたまた丸みを帯びてきた尻だとか、かすかに膨らんできた胸元へと向いてしまうようになった。それが毎日続くと、今度はそこへ触れてみたくなるのは、男として当たり前の欲求だったかもしれない。

いつものように五条の世話をしにやって来たを強引に寝室へ連れ込み、ベッドの上で彼女の着物を一枚一枚、脱がしていく。は何をされてるのか分からないといった表情で、最初は五条のされるがままだった。その無防備な顔を見ていると、たまらなくなったのは、男の支配欲を刺激されたせいだ。五条はそこで初めて、彼女のくちびるを奪った。だが、そのとき彼女は五条の突然の行為に驚き、僅かな抵抗を見せた。かすかに怯えた様子だったのは、余裕のない五条の強引な行動のせいなのは明らか。
そこに気づいた五条は強引に抱くのをやめ、ゆっくりと事を進める方法を選ぶことにした。
理由はただ一つ。
可愛いくて、愛しくて、大切な大切な自分だけの女の子に嫌われたくないから。それだけだ。

だから、まずは五条が触れることに慣れさせた。最初は手を握ることから始めて、次に優しい抱擁をする。朝、起こしに来たとき、夜、寝る前の着替えのとき。ことあるごとにへ触れて、優しくぎゅうっと抱きしめる程度。そうした行為は意外と有効で、は五条が自分に触れるのは当たり前のように感じてきたらしかった。純粋かつ染まりやすい彼女の性格も幸いしたかもしれない。
だいぶ触れる行為に慣れてきた頃、今度は額や頬へのキスをする。もともとは五条に従順な女の子なので、強引なことをしなければ、五条のすることを受け入れてくれたのと、徐々に照れ臭そうな反応を見せるようになった。
よく異性に触れられると、そこから恋愛ホルモンが刺激されると聞くが、あながち間違ってなかったようだ。

そもそもの話。五条はただスケベ心で彼女をモノにしたいわけじゃない。幼馴染や五条家次期当主といったものではなく、異性として意識して欲しかったし、好意を持って欲しかっただけだ。
そうして気が遠くなるような調教にも似た行為を二年も続けられたのは、他のことでは堪え性のない五条が、彼女のことに関しては意外なほど我慢強かったからに他ならない。

「…ん…ぁ…さと…る兄さま…やぁっ」

薄暗い寝室に、の可愛い声が響く。その声に興奮を覚えながら、五条は彼女の胸の膨らみから顔を上げた。

「ふたりのときは悟。何回も言ってんじゃん」
「…ん…さとる…」
「ふ…いい子」

昔のように名前で呼んでくれるのが嬉しくて、つい口元が緩む。彼女の額は少し汗ばんでいて、前髪がぺたりと張り付いている。それを指で避けると、五条はしっとりとした肌へちゅっと口付けた。たったそれだけでは恥ずかしそうに目を伏せるのだから、可愛くて仕方がない。今の今までもっと卑猥なことをされていたという自覚はないんだろうか。

視線を下げれば、衿もとを乱され、白い膨らみを露わにした華奢な身体。先ほどまで五条の舌で可愛がられた乳首は、赤みを帯びてツンと上を向いている。こうして見下ろすとあまりに淫らな光景で、五条は無意識に喉を鳴らした。その欲求のまま、再び硬くなった場所を口へ含み、ちゅうっと吸い上げる。舌先で転がし、くにっと形を変えてやれば、また可愛い喘ぎが五条の耳を刺激してきた。
最初に彼女へ手を出そうとしたときは怯えられたが、今では五条に触れられる恐怖はすっかり失われたようだ。

ここまで来るのに二年近くもかけたのは正解だったかもしれない。途中、何度もこのまま抱いてしまおうかという誘惑にかられたが、今、それをしても気持ちがいいのは自分だけというのは、五条も分かってた。処女のは痛いだけの行為になってしまう。そんな怖い思いをさせてまで、強引に抱こうとは思えなかった。だからゆっくりとの身体を慣らして、五条に触れられるのは気持ちのいいことなのだという刷り込みをした。
その甲斐あってか、乱れた着物の裾から忍ばせた手で太腿を撫でていくと、彼女はふるり、と身を震わせ、僅かに腰をもぞもぞと動かし始めた。その様子を見れば、このあと五条がどこへ触れるのか理解しているようだ。

「…ん、ぁ」

彼女の想像通りの場所を下着の上からそっとなぞれば、かすかに揺れてた腰がびくりと跳ねるのが分かった。口内で更に硬く主張し始めた乳首を吸い、膨らみに跡を残しながら、指先で彼女の割れ目を優しくなぞるように撫でる。そうしてるうち、下着が少しずつ湿り気を帯びてくるのが分かった。濡れてきたのか…気づいたとき、五条の腰の辺りがずくんと疼いてくる。もともと勃ちあがっていた陰茎が、更にガチガチに硬さを増して痛いくらいだった。
それまでは彼女も緊張や羞恥心などで、あまり濡れるところまではいかなかった。だが、だいぶ触れることには慣れてきたおかげで、今夜はリラックスしてくれてるようだ。現に五条が指を動かすたび、は甘い声を漏らし、腰の辺りが揺れている。気持ちいいと思ってくれてるのなら、五条の長年の計画は成功したといえるだろう。
ゆっくり進めて開発した甲斐あってか、の身体もすっかり快楽を覚えて、処女なのにも関わらず、だいぶ感じてくれるようになっている。こうなってくると、もう少し先へ進めてみたくなるのは、男の性かもしれない。

「下着、汚れちゃうから脱がしてい?」
「…え…?」

一度身を起こし、彼女の額へ口付けながらお伺いを立てれば、の頬の赤みがいっそう増して、大きな瞳が恥ずかしそうに揺れ動いた。その顏は反則だろ、と五条は腰の疼きをどうにか耐える。

のここ、濡れてきたから」
「……な、何で…?」
「何で…って…そりゃ…俺に触られて気持ちいいからじゃね?」
「……ぇ」

彼女はこうした行為に疎いせいか、あまり自分の身体の異変には気づいてないようだった。そこがたまらなく可愛いのだが、そろそろ次の段階へ進みたい五条は、何故気持ち良くなるのかという説明は省いて、返事も待たずに彼女のショーツを脱がしてしまった。

「あ、あの…悟…」
「直接触りたいし…ダメ?」

いきなり下着を脱がされて驚いたのか、が困惑した表情を浮かべたのを見て、五条は甘えるように囁いた。自分がこう言えば、が従順になってくれるのは分かっている。

「痛いことはしねえから…約束する」
「う…うん…」

僅かな怯えが見て取れて、五条がそう付け足すと、はこくんと小さく頷いてくれた。そんな従順な彼女を見てると、五条の中のオスの部分が腰の辺りで暴れ出す。
はこういった行為を何も知らず、五条の望むように事を運ばれてることを知らない。最初にどう言いくるめたのかは忘れたが、告白して、ただ好きだから触れたいという趣旨のことを言った気もする。純粋無垢なは、それがどういった意味合いのものかも知らず、五条の好きなようにされていることも分かっていないのだから、かわいそうに、と思う反面、そこが可愛くて仕方ない。

五条は中学を近々卒業し、呪術高専へと入学する。も一年後には高専へ入学することが決まっているが、その間は今みたいに会えないことになる。そうなれば彼女も自由な時間が増えるだろうし、五条の知らないところで色んな出会いが待っているはずだ。そうなる前に、を自分だけのものにしておきたかった。今はそのための調教といった段階だ。
好きな女の子の身も心も全て手に入れたいが為に、彼女を騙すような形でエッチな行為を何年も進めてきたことは、さすがに変態だな、と自分に呆れてはいるが、ここまでしておいてやめる気などさらさらない。拗らせた初恋をどうにか実らせようと、ただ必死なだけなのだ。

そもそも「お前が好きだ」と言って、素直に頷いてくれるような女なら、五条もここまでしなかっただろう。しかしは五条家に仕える身。幼い頃から親に諭され、素直に従ってきた子だ。いくら幼馴染という関係でも、五条が「次期当主さま」という考えは簡単には覆らない。だからこそ、五条は心がダメなら体から、という手っ取り早い方法を選んだに過ぎない。まあ、スケベ心は多分にあるが。

「すげー…濡れてんだけど…」
「あ…や…やだ、そこ…」

遂に直接、の秘部へ触れたとき、指先にぬるりとした湿り気を感じて、エロ過ぎる、と頭で考えた瞬間、五条は今度こそごくりと喉を鳴らしてしまった。指を少し動かすだけでも、ぬるぬるとしたものが指に絡みつく。時間をかけて開発したの身体は、処女にも関わらず、すっかり快感を知ってしまったようだ。その事実が五条の気分を高揚させ、更には興奮してしまう。

「…ひゃ…ぁ…や、やめ…そこ、いや…」
「いや?でもお前、気持ち良さそうな顔してんじゃん」

いやいやと首を振るは、頬もさっき以上に朱に染まり、瞳には涙が溢れている。その表情全てが扇情的で、五条の欲を高めていく材料にしかならない。今まで下着の上からしか触れてこなかったので、少し刺激が強いらしい。愛液を潤滑油に割れ目を撫でるだけで、の腰が何度も跳ねた。そのたびに、小ぶりな胸が五条を誘うように揺れる。はだけた衿もとから覗くそれは、視覚的にエロい。五条は誘われるように、再び主張してる乳首に吸い付き、同時に割れ目をなぞっていた指を肉襞の間へ滑り込ませた。上下に擦れば、徐々にぷっくりとしてきたものが指に触れる。それが女の気持ちいい場所、という知識は五条にもあった。指先に感じるぷっくりとした感触は、五条を興奮させ、つい容赦なくその膨らみをくにくにと捏ねまわす。途端にの細腰がびくん、と反応した。

「んんぁっ」

乳首と同時に刺激され、強い快感に襲われたらしい。が一際高い声を上げて背中を反らせる。その姿にまたずくんと腰の疼きが増した。

「そ、それ…や…くすぐ…ったぃ」
「…気持ちよくねえの?」

すっかり主張し膨らみを増した陰核を、痛くないかと心配しながら優しく捏ねる。それだけでの首まで朱に染まっていくものの、彼女は涙を流していやだいやだと首を振るばかり。でもその姿もまた色っぽく映り、五条の欲を昂らせるだけだった。陰核から更に下の方へ指を滑らせていくと、愛液の出ている場所へといきつく。そこは指で触れても分かるほどにとろとろで、一本くらいならすんなり入ってしまいそうだと思う。

「あー…も、むり。、エロすぎだし…かわいいし、頭どうにかなるわ、これ。ヤバい。頭んなか、エロいことしか浮かばねえ」
「え…な…さ、悟…?」

がばりと身を起こした五条は、一瞬だけと目を合わせると「ごめん」とひとこと呟いた。その謝罪の意味が分からず、が涙で濡れた瞳を瞬かせる。

「…すげー濡れてっから…たぶん…色々しても痛くはない…と思う」
「…え…い、ろいろ…って――」

が戸惑った瞬間、五条は自身の体を下へ移動させ、の着物の裾から伸びている白い足を、強引に左右へ押し開いた。これにはも驚いて「な、何するの」と上体を起こす。五条は彼女の股の間へ顔を埋めて「ここ、舐めさせて」と真顔で言った。このとんでもないお願いに、一瞬が固まる。いくら何でもそんな場所を見られるのは、まして舐められるなど、には考えられなかった。

「や…だ、だめっ。そんなとこ汚いもん…」
「汚くねえよ。ってか、風呂入ってからここ来てんじゃん」
「そ、そーいう問題じゃ――」
「あーもう、むり。視覚的にエロい。勝手に舐めるし吸う」
「す…吸うって…や…やだ、やめて、さとる…」

五条はの制止も聞かず、おもむろに彼女の恥部へくちびるを寄せた。が脚をばたつかせたものの、五条の力には敵わない。太腿の付け根を抑え込むと、彼女の厭らしい部分が五条の目に晒される。触れていた時にも分かったが、そこはたっぷり濡れて艶やかに光っている。ウォールライトの明かりだけでは分かりにくいものの、綺麗な花びらの間から、ぷっくりとした陰核も僅かに顔を覗かせている様は、本格的に五条を興奮させた。ためらうことなく、そこを口に含むとじゅうっと音を立てて吸い付く。
もまさか本当に吸われるとは思っていなかったらしい。その強い刺激に「ぁああっ」と喉を反らせて声を上げる。一瞬で脳内がスパークした感覚と、全身に電流が流れたような痺れが突き抜け、自分の意志とは関係なくガクガクと足を震わせてしまう。それを見た五条は顔を上げて「もしかして…イった?」と聞いた。しかしの耳には届かなかったようだ。今ではぐったりとして荒い呼吸を繰り返している。

「マジ、かわいすぎ」

着物を乱れさせ、とろんとした顔で横たわるに欲情し、五条は再び彼女の股へと顔を埋めた。一度イったその場所はひくひくと痙攣し、先ほどよりも潤みを増して五条の口元を濡らしていく。それにかまうことなく、今度は舌先で割れ目をなぞれば、がまた甘い声を上げた。初めての絶頂は尾を引いて、やたらと敏感になっているようだ。さっきまではイヤだイヤだと言っていたも、すでに抵抗する気力もないらしい。今は嬌声を上げるだけで精一杯で、身体は五条の好きなようにされている。その姿に気を良くした五条は、指で花びらを開く。そこに現れた膨らみを今度は舌先でぬちぬちと捏ねれば、はあっけないくらい二度目の絶頂を迎えた。舐めてるそばから、とろとろと愛液が溢れてくる。それが凄く卑猥で、五条の身体も限界だったらしい。一気に腰の疼きが高まり、軽くイってしまった。触れてもないのに吐精できることにちょっと驚く。どんだけ興奮してんだ、俺は、と溜息が出た。

「あ~あ…シーツ、あとで代えねえと…」

と言っても、すでにの汗や垂れた愛液のせいでシーツもぐっしょり濡れている。いつもが替えを用意してくれてるので、そこは後で考えようと、五条は行為を続けることにした。

「さ、さと…る…も、だめ」
「んー…もう少しだけ…頑張って、
「…あぁぅ」

とろとろの場所を何度か指で往復させると、そのまま膣口へ指をそっと埋め込んでいけば、やはり濡れすぎているせいか、すんなり奥へと入っていく。初めてナカを刺激されたせいか、がくぐもった声を上げ、腰が少しだけ引けたようだった。

「痛くねえ?」
「…い、痛く…ない…けど…な、何して…」
「え、それ言わせたい?」

は何をされてるかも分かってないようで、五条の顔に苦笑が漏れた。すでに学校で性教育は浮けたはずなのだが、こんな行為まで習うわけもないのだから、分からなくて当然だ。

「痛かったら言って。すぐやめるから」
「…う…うん…」

と言って今のところ止める気もなく、五条はナカへ埋めた指をゆっくりと抜き差しする。それが視覚的にエロ過ぎて、今イったばかりのモノがすぐに勃ち上がっていく。ぬぷぬぷと彼女の膣壁を指で擦り、出したり入れたりを繰り返せば、の苦しげな喘ぎがまた耳を刺激してきた。何をされてるか分かってないのに感じてくれている。そう思えば思うほど、いけないことをしてる気がしてきたものの、その背徳感すら快感に変換され、熱心に彼女のナカを解したくなる。ただ、指では物足りなくなってくるのも事実で、ぬるぬると濡れている膣口へ、次は尖らせた舌先を押し込み、直接愛液をすする。じゅるるっと卑猥な音が響いて、は「はぅ…ぅ」と驚いたような声を上げた。

「…や…悟…それ…何か…へん…な感じ…んん…ぁ」
「ん~…のここ甘すぎ…気持ちいい?」
「わ…わかんな…んぁ…ぁん」

は言葉にならない言葉を吐きながら、五条の愛撫に身を震わせている。その乱れた姿を見ていると、分からないけど気持ち良くなってくれてるというのは伝わってくる。
女が本気で感じると愛液が甘くなるらしい。そう話してたのはクラスメートの男子たちだった。思春期の男子中学生らしい猥談で、エロサイトで得た知識だったようだが、五条はそれを思い出し「マジだったんか」とちょっとだけ感動していた。

「はぁ…ヤバい…挿れたくなってきた…」

散々、彼女の膣口を蹂躙していると、次なる欲が湧いて五条はゆっくりと身を起こした。散々快楽を貪られ、は息も絶え絶えで五条を見上げている。よく分からないままイかされ、全身が気怠いようだ。
着物もはだけ、帯が腰に巻き付いてるだけの姿は、五条の残り僅かだった理性も消し飛ぶほどにクソエロかった。
最後の一線を越えるのは今日まで我慢してきたが、ここまで事を進めてしまうと、もう制御が利かないほど欲情している。

「…さとる」

急に五条が動かなくなったからか、が不安そうにその白い手を伸ばしてくるので、五条は優しくその手を握り締めた。そのままに覆いかぶさると、彼女の濡れたくちびるを塞ぐ。互いに全身が敏感になっているせいか、くちびるを触れ合わせるだけでも気持ちいい。

「なあ…挿れてい?もー…限界」
「……ふぁ…?」

キスの合間に切なげな声で哀願するよう呟くと、とろんとしていたがゆっくりと目を開けた。至近距離で目が合い、五条の心臓がいっそう高鳴る。大切だから大事に大事に進めてきたが、逆に彼女をむちゃくちゃに抱いて、早く自分だけのものにしたいという身勝手な欲も芽生えてくる。どちらもが好きだから、同じ心から生まれたものだ。

「悟…なんかつらそ…う…だいじょー…ぶ?」

の手が、そっと五条の頬へ触れる。こんなときでも五条のことを気にかけ、心配そうな顔をするが、たまらなく愛しかった。

「俺は…お前が好きすぎてツラいわ…」
「わたし…も悟が好き…だよ」

が五条の心を揺さぶるような言葉を呟き、柔らかい笑みを浮かべる。こういう爛漫なところは本当に可愛いし、愛しい。でも素直に喜べないのは――。

「…ほんとかよ。それって幼馴染とか、主だからとかって意味じゃねえの」
「…え、どういう意味…?」

ぱちぱちと瞬きを繰り返すは、まだどこかあどけない。五条のような恋慕など、まだ分からないといった様子だ。その顏を見ていると、胸のどこかが焼け付くようだった。
いっそ、このまま抱き尽くして、どこかへ閉じ込めてしまおうか――。
そんな仄暗い感情さえ湧いてきて、五条は深い溜息を吐く。この欲を全て吐き出してしまわなければ、本気で実行してしまいそうだった。

「…、痛かったらごめん」
「え…?」

僅かに擡げた暗い欲望がこみ上げて、五条はの上へ、ゆっくりと覆いかぶさった。