× Extra story. El amor se da







ただの気まぐれだったはずなのに――


そう思いながらも、オレの腕の中で眠る彼女の額に、そっと口付けた。
出会いは唐突で、今思えばおかしな状況だったと思う。
全てに絶望したかのような目をした人間の女は、オレを見ても平然とした顔で、目の前に立っていた。
殺すのは簡単だったはずなのに…
オレを見ても怯えもしない人間はが初めてだった。


再会した時、が死神になっていた事にも驚いたが、「ずっと探してた」と言われた事にも驚いた。
たった数分の出会い。その記憶を持ち続けたまま尸魂界へ行った彼女が、このオレを探していたなんて思うはずもない。
何となく興味が沸いた。そう、ほんの気まぐれだったはずなのに…


「…チッ。何でオレがこんなガキに…」

子供のような寝顔を見下ろしながら、溜息交じりで苦笑する。スヤスヤと眠る顔に、色気なんかあったもんじゃない。
なのにさっきは驚くほどに欲情し、を夢中で抱いていた。心なんか、はるか昔に失ったはずなのに、ないはずの心が満たされていく感覚に戸惑いながら…に溺れた。
これまで、どれほどの戦いをし、相手を叩きのめした時でも、これほど全身が満たされた事はない。

(認めるしかねぇか…)

今、心の奥を満たしているのは、目の前の女なのだと。何の力も持たない、この少女なのだと。
僅かに微笑み、その小さな唇に口づける。その時、が僅かに目を開けた。

「……ん…」
「起きたかよ」

やっと目覚めたのを見て、オレが声をかけると、は慌てたように体を起こし、自分の格好を見て更に「ぎゃ」と小さく叫び声を上げた。内心、もっと女らしい声が出せネーのか、と苦笑しつつ、胸元が肌蹴た状態のを眺める。
決してグラマーとは言えないその華奢な体つきも、今のオレを欲情させるには十分すぎた。
先ほど散々味わいつくしたはずなのに、更にもっと欲しくなるんだから、不思議だ。
そんなオレの視線を感じたのか、は顔を真っ赤にしながら、頭から布団をかぶっている。そのあまり見た事がない"恥じらい"が、また愛しさを連れて来た。

「隠さなくてもいーだろ、今更」
「い、今更って問題じゃないっ」

布団をまくれば、は耳まで赤く染めながら叫んだ。今まで抱いた女の中で、こんなにも恥ずかしがったヤツなどいなかった。

「じゃあ、どんな問題だ?」
「ちょ、何して…」

必死に胸元を隠そうとするの上に覆いかぶされば、驚いたような声を上げる。まだ足りない。まだ欲しい、とオレの本能が訴えてくる。

「何って……もう一回ヤろうかと――」
「じょ、冗談でしょっ。あんな痛いのもうやだ…んっ」

言い終わる前に、深く口付ける。この衝動は止められそうにない。焦らすようにの舌先をゆるりと絡めとり、弄ぶようにねぶれば、喉の奥から可愛い抗議の声がかすかに漏れてきた。

「ん…ちょ…っ」

必死で体を捩るを押さえ込むように深く口づける。
とっくに反応している体は更に熱くなって、甘い疼きが腰に走った。なのに――




「何だよ、この手……」
「だ、だって……」

思い切り胸元を押されて見てみれば、は最後の抵抗なのか、オレの体を両手で突っぱねている。それにはオレも思わず目を細め、邪魔な手を軽く拘束した。

「ちょ、何…」
「邪魔だからな」

そう言ってニヤリと笑えば、の顔が引きつった。そんな彼女の両手を頭の上で拘束したまま、再び口付ける。
最初から唇を割って舌先を侵入させれば、の体がビクンと跳ねた。

「ん…グリ…ムジョ…」
「……まだ抱き足りねぇ」

僅かに唇を解放して耳元で囁く。恥ずかしいのか、の顔が真っ赤に染まった。
その表情がオレを煽るだけだという事を、は気づいてないんだろう。

「…ん、…や…」

首筋に唇を這わせ、の肌蹴た胸元へと滑り落ち、露になっている小さな膨らみへと下降させる。
そして立ち上がった胸の先をそっと口に含めば、短い声がの喉から漏れた。

「ん…や…」

は頭を振りながらも、オレの与える刺激に体を震わせる。
その反応に答えるかのように、オレは舌先で立ち上がったそれを舐め上げた。

「…んんっ」

恥ずかしさで震えながら、声を押し殺すにオレの息も上がっていく。
だがが唇を噛み締めているのを見て、そこへそっと手を伸ばした。

「……咬むな、バカ…切れんだろ」
「……だ、だって…」
「いーから声、我慢すんな。別に恥ずかしい事じゃねえ」

体を起こし、泣きそうなを見つめると、触れるだけのキスを、赤くなっている唇へと落とす。
そのまま角度を変えながら、優しくキスを繰り返すと、も少しづつ体の力を抜いていった。

「ひゃ…ちょ、っと」
「何だよ…」

の頬や首筋にキスを繰り返しながら、手で胸の膨らみを撫でると、はそれが恥ずかしいのか、潤んだ目でオレを見上げてきた。それがオレを煽るというのに。

「あ、あまり…触らないで…恥ずかしい」
「あ?さっきも散々触ったじゃねぇか」
「そ、そういうこと言わないでっ」

あまりに可愛い事を言うに、内心苦笑しながらも答えると、はそれだけで泣きそうになりながら叫んだ。
そういう顔を見ていると、つい意地悪をしたくなる。

「揉まなきゃでかくなんねぇだろ」
「…ヒドイ、気にしてるのにっ」
「だからオレが手伝ってやるって言ってんだろーが。いいから黙って触らせろよ」
「………その言い方、なんかエッチ…」
「つか、やらしいことしてんだろ、さっきから」
「………ッ」

呆れたように目を細めると、はぐっと言葉に詰まった。

「グリムジョーが勝手にしてるんでしょ…っ」
「いちいち、うるせぇなあ、テメーは…大人しくオレに抱かれてろ」

そう言いながらも、優しく肌に口付けていくと、も諦めたように、ぎゅっと目を瞑った。

「……んっ」

ゆっくりと指先で体の線をなぞり、の太腿を撫で上げながら、少しづつ足を開いていく。
そのまま濡れ始めた中心部を撫でれば、オレの腰の疼きが増した。
余裕のないガキみたいに、そのままのスカートをたくし上げる。
だがその時――不意に近づいてくる大きな霊圧を感じ、一瞬で気持ちが萎えた。

「…グ、グリムジョー?」
「……はあ……」

近づいてくる霊圧が誰のものかを悟り、深々と溜息をついて、の上に倒れると、彼女からは抗議の声が上がった。

「どうしたの?具合でも――」
「…邪魔しやがって」
「え…?」

オレが忌々しげに呟くと、は訝しげな顔で首を傾げている。その時、突然部屋のドアがノックされた。

「…チッ、何しに来やがった…」

そう言いながら体を起こすと、オレは自分の服を身につけ、ベッドから降りた。
が、ふと思い出しすぐに戻ると、の服へと手を伸ばし、胸元のジッパーを上げる。――こんな格好をヤツに見せたくはない。
はその行動にキョトンとしていて、オレはガラにもない事をした気がして僅かに視線を反らした。

「…そんな格好、他の奴に見せんじゃねえ」
「………ッ」

そう呟くと、はドキっとしたように顔を上げた。オレは少し屈むと、見上げてくるの唇に触れるだけのキスを落とした。
それだけで未だ鼓動が早くなるんだから、オレもヤキが回ったもんだ、と溜息をつく。

「……お前はそこにいろ。オレが出る」
「う、うん…」

その言葉に素直に頷くと、はベッドの上に座った。
それを確認してから、ドアの方へ歩いて行くと、静かに扉を開ける。そこには思った通りのヤツが、相変わらずの無表情で立っていた。



「エレナはいるか」
「あぁ?アイツに何の用だァ?ウルキオラ」

オレに用事かと思えば、の名を口にされ、ムっとする。
その時、後ろで聞いていたのか、が慌てて走ってきた。思わず睨むと、は困ったように俯き、

「あ、あの…聞こえちゃって。――私に何の用ですか?」
「女、オレと一緒に来い」
「え…?」

当然といった顔でを連れて行こうとするウルキオラに、さすがにカッとなった。

「…テメー、ウルキオラ!どういう意味だ!」

ウルキオラはそれでも表情を崩さないまま、言葉を続けた。

「藍染さまの命令だ。少しこの女を借りるぞ」
「あぁ?こいつをどーする気だよ!」
「………」

オレがそう食って掛かると、ウルキオラは静かな声で「オレと一緒に黒崎の下へ行ってもらう」と一言、告げた。
それにはオレも、そしてもギョっとしている。

「私が…黒崎のところへ…?」
「そうだ」
「ふざけんじゃねぇ!何でエレナがあんな死神のとこへ行く必要がある!」
「それは藍染さまの考えだ。いいからオレと一緒に来い」
「おい、ちょっと待てウルキオラ――」

の手を掴んだウルキオラに対し、オレはキレた。思い切りウルキオラの胸倉を掴み、壁へと押し付ける。
やっと手に入れた女を、藍染の目的の為、あの黒崎とか言う死神の元へ行かせるのは、今のオレには許せなかった。
それを見たが慌ててオレの腕にしがみ付いてきた。

「やめて!ケンカしないで…。私ちょっと行って来るから……」
「……あぁ…っ?」
「藍染さまの命令なら仕方ないでしょ?私なら大丈夫だから…」

哀願するよう、オレを見上げてくるの目は真剣で、これ以上引き止めても無理だと言っているように見えた。
それにここで引き止めたとしても、藍染の事だ。またいつオレの目を盗んでを連れ出そうとするか分からない。

「………チッ」

オレはウルキオラの胸倉を掴んだ手を離し、未だ無表情のままのウルキオラを睨みつけた。

「コイツを連れて行くなら、お前がきちんと護れ。怪我なんかさせたり、奴らに奪われでもしやがったらオレがテメーを殺す…」
「……………」

そう告げるとウルキオラは軽く息を吐き、「分かった」とだけ言ってへと視線を向けた。

「…行くぞ」
「あ、はい。――じゃあ、ちょっと行って来るね…グリムジョーは大人しく部屋で――」

そう言いかけたの腕を思い切り引き寄せ、強引に唇を塞いだ。本当なら行かせたくはない。そう訴えるようにの体を抱きしめる。

「グ、グリム…ジョー?」

ウルキオラの前――といっても、ウルキオラは一人廊下をサッサと歩いて行く――でキスをしたからか、は真っ赤になった。
そんなの頭をそっと撫でると、

「いいか…もし危険な命令を受けたら無視して逃げて来い…オレがずっとペスキスを全開にしててやる。すぐにオレに霊圧を飛ばせ」
「…で、でも…」
「デモもクソもねぇ。いいか?約束しろ……危険だと思えば、すぐにオレを呼べ、分かったな」
「……う、うん…」

オレの説得に、は渋々頷いた。それを見て少しホっとすると、オレはを軽く抱きしめ、小さな耳にも軽くキスをする。



「……お前はもうオレのモンだ…。ちゃんと言った事、守れよ」


「グリムジョー…」


「――オレは……お前以外に大切なモンなんて何もねえからな…」




オレらしくもない、そんな本音が口から漏れた。は何も言わず、ただ何度も頷いている。そんな彼女を、最後に強く抱きしめた。

「じゃ…行って来ます」

名残惜しげに離れると、は急いでウルキオラを追いかけていく。その後姿を見送りながら、オレは苛立ちをぶつけるかのように思い切り壁を殴った。

手に入れたと思えば、すぐに離れていく――それが、こんなにも苦しいなんて。


「クソ……胸がいてぇ……」


忌々しげに呟き、その場に蹲る。


「ホント……らしくねぇ、か……」


いや…ガラじゃなくてもいい、らしくなくてもいい。今のオレにはが必要で…

あいつの全てを手に入れられるなら―――――






(魂さえ、くれてやる――)









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久しぶりの更新ですが、今回は番外編ということで、グリムジョーの心情をば…☆
早く新刊、読みたいなぁー(>_<)
アニメは次回から、水曜日→火曜日に変更…Dグレが終わるから、その後ブリーチになるんですね…クスン。
ブリーチは終わらないでほしいなぁ…つか何でDグレアニメ終わるんだよ〜!゛(`ヘ´#)



■貴サイトの小説は全て大好きです!!これからも自分のペースで頑張ってください☆応援しています。体調に気をつけてくださいね(大学生)
(ひゃー;当サイトの小説全て大好きだなんてありがとう御座います!感激(*TェT*)お気遣い頂いてホントに嬉しいです!これからも頑張りますね!)

■続きが読みたくて読みたくて・・・でもHPに行くことができません。どうしたらいいのですか?(その他)
(あらら;;ここに来れないんでしょうか;;困りましたね…BBSじゃないのでお返事する事も出来ないですし…とりあえず投票処の左上にある「戻る」という文字をクリックすればトップにいくようにしておきましたので<(_ _)>

■今まで読んだBLEACH夢で一番楽しく、面白い作品だと思います!これからも応援してます!!(高校生)
(ヲヲ〜!そんな風に言って頂けて凄く嬉しいです!これからも頑張りますね!)

■男前なグリムジョーに心を鷲掴みされました(笑)(高校生)
(グリムジョーいいですよね!早く原作にも登場して欲しいんですけど…当分無理かなぁ(TДT)

■グリムジョー大好きです!!!!(高校生)
(私も大好きです♪(*ノωノ)

■グリムジョーが凄くカッコいいです!とても読みやすくて面白いので、この連載が大好きです!(社会人)
(ありがとう御座います!読みやすいOR面白いと言ってもらえるととっても励みになります!゜*。:゜+(人*´∀`)

■更新されていたのでさっそく読みました!このお話は読みやすくて大好きです!(高校生)
(ありがとう御座います!読みやすいと言って頂けて感激しちゃいます!)







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