春の嵐、
到来C









「静が大学に戻って、昼は学校、夜は弁護士の秘書になって勉強の毎日…。俺はそれをただ見てるだけで、一日中ぼんやりと家で静を待ってた」

波の音に混じって、花沢類の優しい、それでいて寂しげな声がの耳に届く。
未だに頬が熱いのは、さっき抱きしめられた時の体温が僅かに体に残っているせいだ。

「それが嫌で何かをしようと思っても…が前に言ってたように自分で仕事をした事もないからさ。何も出来なくて…結局そんな自分がますます嫌になった」
「……あ…あれは…」
「前に俺が凄く内向的な子だったって言ったっけ」
「あ…うん……」
「あの頃と全然変わってねーんだよ、俺…。好きな女の為に何も出来ないガキのまま。そんな俺は静と同じ目線では生きていけないって分かったんだ」

静かな声で話す類の横顔は、さっきよりも悲しげで、胸がどんどん苦しくなっていく。
――――きっとこんなに自信を失うほど、静さんの事が好きなんだ。らしくない行動をしてしまうのも、きっと傷ついた心を持て余してるから。
そんな事に気付いてしまえばしまうほど、彼を好きだと言う想いが行き場を失って、胸が痛い。

「…って、ごめん。俺、なんでこんな話、にしてんだ」

ハッとしたように類が苦笑いを零す。

「…何でかな…。にはいつもこんな話しちまうな。仲間にも話せない事…」

そう言いながら優しい眼差しで見つめてくる類が、はたまらなく愛しくなった。
自分の存在で彼が少しでも癒されるなら、どんな話でも聞いてあげたい。たとえそれが自分にとっては辛い内容だったとしても…。

「私で良ければ――――――」

"何でも言って"――――――そう言いかけた時、不意に静寂を破る耳障りな着信音が鳴り響き、はビクっと体が跳ねた。

「な、何…あっ…で、電話…?」

司からもらった電話をポケットに入れたままだった事を思い出して慌てて出せば、そこには"俺さま"という表示が出ている。
類も覗き込むようにそれを確認して、軽く笑みを漏らした。

「それ司からだろ。また、いない事に気付いて心配してるんじゃない?」
「え、あ…うん…」
「出ないの?」
「で、出るけど…」

そう言いながらも、は今の今まで、何故自分がこの島にいるのかすら忘れていた。
司からの電話で急に現実の世界へと引き戻されたような、そんな気持ちだ。

「…もしもし」
『今どこにいんだ?!』

開口一番、そんな怒鳴り声が聞こえてきて、はチラっと類の方へ視線を向けた。
彼は特に気にしていないのか、立ち上がって服についた砂を軽く払っている。

「えっと…やっぱり寝付けなくてちょっと散歩してたの」
『…今すぐ戻って来い!』
「え、ちょ――――――」

それだけ言って切れた電話に唖然としたが、今ここに司が探しに来れば類に迷惑がかかる。
は仕方なく電話をしまって立ち上がった。

「…あ、あの…行かなきゃ」
「司、心配してるんだろ?早く戻りなよ」
「うん…あ、花沢類は?」
「俺はまだここにいる」
「で、でも…」
「…もう平気だよ」

心配そうな顔をするを見て、類はゆっくり歩いて来ると彼女の頭をそっと撫でた。
その手の温もりに、の胸の奥が、また音をたてる。

「…ありがとう。

その一言には泣きそうになったが、ぐっと堪えて笑顔を見せる。
ほんの少しでも花沢類の気持ちが楽になったのなら、それでいい、とは思った。

「…じゃ…お休みなさい」
「お休み」

月明りの中、手を振る類の姿を見てると、にも多少の心残りはあったが、これ以上待たせれば司がここへ来かねない。
そう考え急いで別荘の方へと走る。
胸の奥がズキズキして、やけに頬が熱かった。無理に押し込めた想いが、今また溢れだしてきて、ただ苦しい。

「おい!何やってんだよ!てめぇはよ!」
「……あれ…2人まで」

ロッジへ戻ると、すぐに司の怒鳴り声が響いた。何故か総二郎とあきらまで一緒だ。

「あれ?っじゃねえよ!どこフラフラしてたんだよ!」
「ごめん…。ちょっと…ひ、一人で海を見に…」
「だぁ〜から心配する事ねえって言ったじゃんか〜ふぁぁぁ」

どうやら司に起こされたらしい総二郎は呆れ顔で、の方に歩いてきた。

「こいつ、スゲーんだぜ。急に部屋へ飛び込んで来て、がいないって叫び出して、波にさらわれたかもしんねえーーって、みっともねえほど慌ててんの」
「え…?」
「うげっ!―――――ええい、余計なこと言うな、総二郎!」

一気に真っ赤になった司は、思い切り総二郎の顔を殴り、と目が合うなり、突然笑いだした。

「ははは!さ、明日も早いし寝よーぜ!」
「ってえな!寝よーぜじゃねえよ、この野郎!!」

当然、その理不尽な暴力に総二郎は怒ったが、あきらが何とか宥めて2人で部屋へと戻って行く。
それを見送りながら、は気まずそうにしている司を見上げた。

「あ…あの…ごめん…」
「…謝るくらいなら一言、言ってけ!明かりついたままだから、まだ起きてんのかと思って覗いてみればいねーしよ…。驚くだろが」
「う、うん…ごめん」

――――――そんなに心配してくれたなんて知らずに、私は花沢類と一緒にいた。
その事への罪悪感からの喉の奥がつんと痛む。

「……いーから寝るぞ」

司は項垂れたの頭をクシャリと撫でて、自分の部屋へ戻って行く。
その後ろ姿を見ながら、は心の中でもう一度、ごめんと呟いた――――――。














次の日は朝から快晴で眩しいくらいの陽気。この島は沖縄よりも少し南にある場所らしく、朝には夏日に近い気温になった。

「暑ぃ…」

夕べなかなか寝付けず、結局朝方までウトウトしたは、朝の9時近くに暑さで目が覚めた。
カーテンを開けたままだったせいで、もろに入る太陽の日差しが眩しいくらいだ。
ついでに部屋の電話が鳴っていて、気だるい体を起こし、受話器へ手を伸ばせば相手は司だった。

『おう、起きたか?』
「…うん…。どうしたの?」
『もうすぐ朝食だから顔洗って早く来い。分かったか?』
「…もう?随分と早いのね…」
『今日は島を案内してやるって言っただろ?いいから早く来い』
「…分かったわよ」

本当に勝手なんだから、と電話を切り、思い切り体を伸ばす。
寝不足のせいか、少し頭がボーっとした。

「ふあぁぁぁ…って、これじゃ花沢類だわ…」

思わず出た欠伸に苦笑し、ふと窓の外を見る。類の部屋である6号室は未だにカーテンがひかれたままだ。

(花沢類…夕べはちゃんと寝たのかな…)

ふと寂しげだった顔を思いだし、は窓の方へと歩いて行った。
その時、不意に6号室のドアが開き、中から誰かが出て来た。
一瞬、類かと思ってドキリとしたが、それが誰か把握した時、違う意味での心臓が音を立てる。

「あの子…確か音大の…?」

6号室から出て来たのは、夕べ総二郎達が連れて来たという女のうちの一人だった。
どうして花沢類の部屋から?と思ったが、良く考えれば三人いた。
総二郎とあきらが一人づつ部屋に泊めたのだろうから、後の一人は当然、類の相手として、彼の部屋に泊めていたとしても不思議じゃない。
は一瞬そんな事を考え胸が痛くなったが、夕べ類が言っていた事を思い出せば、彼女の事を嫌がっていた。
何もなかったはずだ、と自分に言い聞かせた。

「あ…そうか…。だから浜辺にいたのかな…」

ふと、そこに思い当たり、少しだけホッとしたが、そこへ再び電話が鳴り響き、出ればまたしても司からだった。
「まだかよっ?」と怒る司に今行くと告げ、は軽くシャワーを浴びると、ダイニングへ急ぐ。
その途中、廊下で話してる音大の子達を見かけ、ふと足を止めた。

「法子、どうしたのぉ?さっきから元気ないじゃない」

そう話しかけているのは確か総二郎と2ショットになっていた子だ。――――――名前は確か裕子さんと言ったっけ。
法子、と呼ばれた女性は、夕べ花沢類にくっついていた子だった。

「う〜ん…ちょっと自信喪失〜。夕べ類くんてば私に指一本、触れないんだもん。ずっと部屋にいなかったし」
「え〜っ?マジで?」

そんな会話が聞こえてきて、はドキっとした。やはり類はあの後も部屋に戻らなかったらしい。
じゃあ、どこで寝たんだろ、と考えていると、その2人がの方へ歩いてきた。

「おはよう。ちゃん、だっけ」
「あ…はい。おはようございます」

さすが女子大生なだけあって、2人は朝からメイクもばっちり決めている。
それでもドレス姿だった夕べより、カジュアルな格好の今の方が若く見えた。

「いいわねえ、ちゃんは。あの道明寺財閥の跡取り息子が恋人だなんて」
「えっ?いやあの…恋人っていうか…」
「夕べのデートもあなたの為に、この島セッティングしたんでしょう?羨ましい〜」

否定する間もなく、2人はしきりに溜息をつき、別荘を見渡している。
彼女たちはデートの盛り上げ役として誘われたようだから誤解していてもおかしくはない。

「それで夕べはどうだった?やっぱりロマンティックな夜になったでしょう」
「…え?ロマン…?」
「やーだ、当然よ。やっぱエッチは燃えるんじゃなーい?彼氏がこんな素敵なデート用意してくれたんだもの〜」
「エッ…!!チ…!?」

その会話に一気に赤くなったを見て、2人はまたしても「いいなあ」を連発している。
すっかりと司がそういう関係だと勘違いしているようだ。

「い、いやあの私と司はそんな関係じゃ―――――――」
「総二郎くんもかなり慣れた感じだったから、色々とムードを作ってくれたけどね〜」
「いいなあ。私も今夜もう一回、頑張ってみようかなあ」
「あの……え…?」

なかなか否定させてもらえず、が困っていると、法子がそんな事を言いだしドキっとした。
頑張る、とは当然、類の事だろう。も、それには何とも答えようがなかった。

「ねえ、あなた、類くんとも仲がいいんでしょう?同じ学校だっていうし」
「え…?いや、まあ…多少は…」
「彼、どんな女の子が好みなの?知らない?類くんは凄くタイプだし絶対に落としたいの」
「…え…っ?っと、ですね…」

法子は縋るような目でを見て来る。よっぽど類にご執心らしい。
と言って、彼が彼女と…というのもにとっては嬉しくない事だ。

「…は…花沢類の好みは…」

――――――そんな人、静さん以外にあり得ない。

よっぽど、そう言ってやりたかったが、彼女達に言っても仕方のない事かもしれない。

「…知的で…清楚な感じの女性…かな?」

どう言っていいのか分からず、曖昧に応えれば、法子は「そっかー。知的で清楚なフリをすればいいんだ」などと言いだし盛り上がっている。
はそれ以上、類の事に口を出したくなくて、司が待っているから、とその場を後にした。

「…はあ…。花沢類を落とす…かあ…。無理だと思うけど」

どれだけ綺麗な女性が束になって言い寄ったところで、花沢類は絶対に落とせない――――――。
簡単に近づけるほど、軽い存在じゃない。
類と出会ってからずっと、自身がそう感じて来た。

(花沢類に近づいていいのは…愛されていいのは…静さんだけだもの)

そう、花沢類はあんな事を言っていたけど、あの2人の絆があれば乗り越えられる。
お互いに想いあってるんだから花沢類が自分に自信をつけさえすれば、きっと…

「…私にとっては辛い事だけど」

ふと苦笑が漏れ、そんな事を呟く。
結局どれだけ類を好きでも、彼をパリに送り出した時のの気持ちは変わらない。
類が辛い顔をしている姿なんて見たくないのだから、結果として出る答えも同じでしかないのだ。
夕べはつい気持ちが昂ぶり、想いを言ってしまいそうになってしまったが、言ったところで、どうにもならない事だとは充分に分かっている。
類も困るだろうし、気まずくなるくらいなら今のままの関係の方がよっぽどいい。

(何とかまたパリへ行くよう説得してみようかな…)

そんな事を考えながらダイニングに入ると、早速「遅い!いつまで待たせんだ!!」という不機嫌そうな司の声が飛んできた。











「うっわー!クルーザーまであるの?!」
「ったりめーだろ」

朝食を食べた後、司が島を案内すると言いだし、全員で出かける事になった。
島を一周する為、用意されたのは道明寺家の大型クルーザーで、それに全員が乗り込む。
クルージングをするのは初めてのも、感動しながら船内を見て回った。
こうした大型メガヨットの場合、三階建てのものが多く、中にはリビングはもちろん、キッチン、バールーム、ベッドルームなど、数多くの部屋が設置されている。

「わ、凄い部屋…。ここってリビング?普通にテレビとかソファとかある」
「当然だ。食いもんや飲みもんもあるぜ」
「へえー。あ、私、甲板の方も見て来る」
「ああ、海に落ちんなよ。つか、上にもテーブルあるし外で酒でも飲もうぜ」
「私、先に行ってるね」
「あ、おい!――――ったく…はしゃぎやがって」

一人で飛び出して行くを見て、司は苦笑気味に呟きながら奥のキッチンへ行き、設置されているワインセラーから、の好きそうな銘柄を取りだした。
そこへ総二郎、あきら、音大の3人も合流すると、途端に賑やかになる。―――――類だけはリビングのソファで丸くなっていた―――――

「ったく、類の奴、こんなとこ来てまで寝てるよ」
「夕べは女の子ほったらかして、ほっつき歩いてたみたいだからな」

あきらと総二郎は軽くビールを煽りながら苦笑している。その会話を聞きつつ、司は小窓から甲板にいる音大の3人へ視線を向けた。
彼女達も同様、船内を興味津々で見て回っているようだ。

「けっ。静がいんのに類があんなの相手にするわけねえ。ビーチで寝てた方がマシだったんだろ」

今朝がた、海の方から欠伸全開で歩いて来る類を見つけたのは司だった。
「何してたんだ?」と尋ねると、「浜辺でぼーっとしてたら寝ちゃった」とトボケた返事が返って来たのだ。

「言うねえ。結構いい子達だぜ〜?何でもシテ、、、、、くれるし」
「イ、イヤラシイ顔すんじゃねえ、総二郎っ!」

総二郎の意味深な言い方に司の顔が真っ赤になる。
相手が誰でもいいと言うわけではない司にとって、2人のアッチ系の話は不潔以外の何ものでもない。
相変わらずだな、とあきらに笑われたが、司は渡されたビールを一気に煽り、2人を睨みつけた。

「俺は惚れてもない女とそーゆー事すんのが嫌なんだよっ。お前らと一緒にすんな!」
「出たよ、司の潔癖症〜」
「だったら夕べはちゃんとデキたのか?どうせしてねーんだろ」
「う、うるせぇな!初デートでするわきゃねえだろ!つーか、お前らが邪魔でデートにすらなってねーし!」

肝心なところで邪魔された事を未だに根に持っているらしい。司は2人を睨みつけると、高級ワインを慣れた手つきで開け始めた。
グラスが二つ用意してあるところを見れば、おおかたと一緒に飲む気なのだろう。
それを見たあきらが冷蔵庫から、これまた高級そうなチーズを何種類か出し、皿へと盛り付けてやった。
他にもフルーツや、軽くサラダを添えると、ちょっとしたオードブルになる。

「ほら、これも持ってけよ。ワインに合うから」
「…何だよ。まだ腹は減ってねぇぞ」
「バーカ。女の子と酒飲むなら、これくらい気を利かせろっての」
「う、うっせぇな!」

と、文句を言いつつ、それでも皿を奪う。――――――と、そこへ横から手が伸びてきて、皿の上の苺を一つ、さらっていった。

「…美味しい」
「あっ!てめ、類!何勝手に食ってやがるっ」

いつの間にか起きて来た類が後ろにいて、司がギョッとする。
類は欠伸を噛み殺しながら、

「お腹空いたんだよ。朝食食べ損ねたから」
「てめーが遅れたからだろ。ったく…腹が減ったんなら冷蔵庫の中のもん、勝手に食っとけ」
「…それでいいんだけど」

類はそう言いながら、今度はチーズに手を伸ばそうとする。
それには司も慌てて「食うなっ」と皿を引けば、その勢いで苺が一つ、皿の上から零れ落ちた。

「あ…っ!」
「あ〜あ。もったいない」
「って、てめーのせいだろがっ」

司が目を細めながら怒鳴る。
類はそれすら気にしない様子で呑気に苺を拾おうと屈んだ。が―――――その拍子にパーカーのポケットから、ある物を落とした。
ゴトンッと音がして、

「いけね…」

類はすぐにそれを拾い、傷が付いていないか確認している。
が、ふと思い出したように司を見ると、ソレを差し出した。

「あ、そうだ。これ、に返しておいて」
「…あ?」

自分へ差し出された物を見て、司は一瞬だけ表情を強張らせる。
無言のまま受け取れば、それは夕べにプレゼントしたばかりの携帯だった。

「…これ…どうしたんだ?類」
「ん?ああ、夕べビーチでに会った時、落としてったんだ」
「…ビーチで?」
「うん。―――――あ、あきら。俺にも何か食べる物ちょーだい」

類は特に気にしてない様子で2人の方へ歩いて行った。
それを見ながら、司は手の中にある携帯に視線を落とす。最後の着信履歴を確認してみると、昨夜の0時すぎ。
当然、司の番号が残っていた。部屋にがいない事に気付き、司が心配してかけた時のものだ。
類が"と会った時に落として行った"と言っていたのだから、夕べ司が電話をかける直前まで、2人は一緒にいた、という事になる。
しかしからは何も聞いていない。

「…………」
「何してんだ?司。早くちゃんとこ行けよ」
「…おう」

ぼーっとしている司に、総二郎が声をかける。類はあきらと一緒にフルーツを摘まんでいた。
そんな類に何かを言いかけたが、司は軽く息をつくと、のいる甲板に、ゆっくりと歩き出した。












は一人、甲板から海を眺めながら、類の事を考えていた。
皆ではしゃいでいる時はいいが、こうして一人になると、つい夕べの事を考えてしまう。
今朝、顔を合わせても何事もなかったかのような笑顔で、「おはよう」と言ってきた類は、夕べとは別人のように明るく見えた。
でも夜になれば、また捨て猫みたいな顔で、海を眺めるんだろう。

「はあ…どうしたらいいんだろ」

――――――私は花沢類の為に、今何をしてあげられる?
そんな事ばかりが頭に浮かんで来る。なのに答えは出ないまま。

「…ボケっとしてると落ちるぜ?」

そこへ司が顔を出した。は一瞬ドキリとしたが、すぐに笑顔を作って振り返った。

「ここ、ホントに海が綺麗ね」
「…泳ぐか?」
「え…い、いいよ。水着とか持ってきてないし…」

司はテーブルの上にワインのボトル、グラスや皿を置きながら、慌てるに軽く笑う。

「そのまま泳げばいいじゃん?」

と、椅子へ座り、ふとを見上げた。

「座れば?」
「…うん。って、何これ、チーズの盛り合わせ?美味しそう。司が盛り付けたの?」
「いや、あきら。お前に持ってけってよ。こんだけマメなら自分でバーとか開けそうだぜ」

グラスにワインを注ぎながら司が苦笑すると、「あ〜分かる。お姉さま客で毎日、満員御礼になりそうだよね」と、も納得したように頷いた。
普段、人妻との付き合いがあるせいなのか、あきらはF4の中でも一番、女性に対して機転が利くのだ。
言われずとも、女が望むものを察して、それをさりげなく提供する。確かに接客業に向いているかもしれない、とは思った。
その点、司は本能のまま行動する事が多い為、相手の事より、まず自分の気持ち優先で動く。

(司に接客業は無理ね。ムカつく客が来たら殴っちゃいそうだし…。違う意味で花沢類も無理だと思うけど…。注文来ても寝てそうだわ)

全員が御曹司なのだから、やるわけはないと分かっていても、ふと、2人がバーテンダーになって接客しているところを想像し、は吹き出しそうになった。

「何、ニヤついてんだよ。気持ちわりいな」
「…う、うるさいわねっ。別にニヤけてなんか…」
「ほら、飲めよ」
「う、うん…ありがと」

ワイングラスを差し出され、言いかけた文句を呑みこむ。

「Cheers.」

と言い、軽くグラスを合わせると、綺麗な音が響いた。

「美味しい…。いい香りだし」
「そりゃ、年代物だからな」

司がグラスをゆっくりと回しながら、呟く。

「はあ〜。何か贅沢。この歳で、クルーザーに乗りながら高級ワイン飲んでるなんて」
「普通だろ」
「…あんたの普通は他の人の普通とは違うの!」

相変わらずボンボン思考の司に、は呆れながら横目で睨む。が、ふと司が真面目な顔でを見た。
その真剣な眼差しに、も一瞬ドキリとする。

「あのよ」
「な…何?」

船の上に2人きり。こういった状況の時は、大抵にとって気まずい話になりそうな気がして、笑顔が引きつった。
この島には一応、デートという名目で来ているのだ。
F3の乱入であやふやになってはいたが、こうして改めて2人きりになると、少しだけ困ってしまう。
しかし司の話は、の予想外のものだった。

「お前、俺がやった携帯、どうした?」
「え?携帯…?あ〜あれなら…確かここに」

考えていたような話ではなく、は若干ホッとしながら、持っていたトートバッグの中を覗いた。
しかし自分の携帯はあるものの、司からもらった携帯はどこにも見当たらない。

「あれ…?おかしいな…」
「…ないのかよ」
「う、うん…。ごめん、多分部屋に置いて来ちゃったんだと思う」
「…ホントか?部屋にあるんだな」
「え、あ、あるわよ。当たり前じゃない。て、いうか、あれ着信音でかくない?夕べビーチ散歩してたら急に鳴るし驚いちゃった」

そう言いながらも、はあの携帯どこに置いたっけ?と考えていた。
夕べまでは確かにあったのだ。でも今日は使ってない為、どこに置いたのかすら覚えていない。
でも、そんな事を言えば司の機嫌を損ねてしまう、とは敢えて、嘘をついた。

(大丈夫…きっと部屋にあるはず)

そう信じながら、は無表情のままの司に笑顔を見せた。

「でも、どうして?今は一緒にいるんだし必要ないでしょ」
「…ああ。そうだな」

の言葉に、司はそれだけ言うと、静かにワインを飲んでいる。その様子がいつもと少し違う事を、は気付かなかった。












通された部屋へ足を踏み入れた瞬間、「やっと戻ったのね」と冷ややかな声が飛んで、大和は苦笑いを零した。

「しゃーないやん。予測不能な事が起きてんから。あんたかて今日、日本に戻ったばかりやろ」
「あら。入院って本当だったの?私はてっきり怖気づいたのかと思ったわ」

どこか人を馬鹿にしたような物言いで笑う道明寺楓に、大和は「相変わらずやな」と呆れたように息を吐く。
といって、楓の強烈なまでの嫌味にも、だいぶ慣れてはきた。
大和は気にも留めず、社長室の中央へ進むと、勝手にソファへ腰を下ろし、手にしていた鞄を放る。
そして徐に足を組んで見せれば、その大柄な態度に一瞬、楓の片方の眉がピクリと動いた。
が、気持ちを切り替えたように椅子から立ち上がり、大和の向かい側に座る。
互いに顔を合わせると、双方の間にはほんの僅か、緊張した空気が流れた。

「それで…もらって来てくれたかしら。お父様のサインは」
「もちろんや。ここにある」

言って、大和は鞄の中から、A4サイズほどの封筒を取り出し、ひらひらと振って見せた。

「見せなさい」
「見せてもええけど…これはコピーや。本物は例の件を発表した後で、オヤジが直接渡す言うてた」
「…信用されてないのね」

テーブルに放り投げられた書類を手にすると、楓はきつい口調で言った。その表情からはハッキリと苛立ちが見て取れる。
相手側のペースで交渉を進めた事が殆どない楓にとっては、たかが高校生の少年に対等な口を利かれるのが気に入らないのだ。

「当然やろ。こっちの要求も確実になってへんのに契約書を渡せるかいな」
「すでにアメリカでの事業計画に結城の名を発表する用意は出来てます」
「…事業の方は、な」

大和の言葉に、楓は今日初めて笑みを見せた。といっても、あまり好意的とは言えないものだ。

「結城社長のものではなく…あなたの、要求ね。でも…お膳立てはしたわよ。彼女はすでに道明寺家の――――――」
「分かっとるわ。ただ…例の件、発表するまでは俺も安心してられへんしな」
「大丈夫よ。あの子は私の頼みを決して断れない。ただ…その発表、、、、、合同にして欲しいの」
「……は?何とやねん」

思わぬ要求に大和もさすがにギョっとする。その問いに、楓は僅かに眉を寄せると、

「…あなたが前、私に言ったのよ。司はあの子に夢中だと…。最初は私も信じてなかったけど」
「だから何や?」

訝しげに眉を寄せる大和に、楓は溜息混じりで首を振った。

「…司は今、あの子を連れて別荘に行ってるようなの」
「それが?F4はしょっちゅう遊びに行ってはるやん。前にも大勢でカナダに――――――」
「今回は司とあの子の2人だけ、と聞いてるわ。うちのジェット機まで手配してね」
「……2人…きりかいな…」
「ええ…」

楓の話に、さすがの大和も困惑気味に口元を覆った。
義理とはいえ2人はすでに兄妹になっている。なのに、たった2人きりで旅行に行くとは考えもしなかったのだ。

「せやから言うたやん。自分の息子も止められへんのかいな」
「黙りなさい。そっちはもう手は打ってるの。だからこその合同発表よ」
「…へえ。で、何を発表する言うねん」

大和の問いに、楓はニヤリと笑みを浮かべ、何かを言いかけた。
が、その時、社長室の直通電話が鳴りだし、楓はすぐに歩いて行くと受話器を取る。

「―――――もしもし。はい…まあ!大河原さん!ええ、もちろんですわ」

急に声のトーンを変えた楓に、大和はウンザリしつつ「けっ」と鼻で笑った。
楓のような人間は相手を見て態度を変える事は大和も充分に承知している。
幼い頃から父親や、周りに群がって来る人間達を見て来たからこそ、大和はこの手の人間は好まないし信用もしていない。
ただ、将来自分が継ぐ事になる会社の為、今は道明寺家の力も必要なのだ。
そう話していた父親を思いだし、大和は溜息をついた。

(それにしても大河原て、どこかで聞いた名前やな…)

ふと楓の方へ視線を向けたが、楓は完全に大和に背を向け、楽しげに電話で話している。

「――――ええ。すでに準備は整ってます。もちろん、大丈夫ですわ」

そんな会話を聞きながら、大和は楓の電話の相手が誰なのか、という事を、ぼんやりと考えていた。














「―――――やっぱ海と言えば夜はキャンプファイヤーだろ!」

クルーザーで島を一周して帰って来たかと思えば、総二郎のそんな一言で宴会は始まった。
別荘前のビーチには、どこから持って来たのか、すでに薪を組んで中では煌々と炎が燃えている。
その周りには大きなテーブルが用意され、料理もあっという間に並べられた。

「っよっしゃ。飲もうぜ〜」

船でも散々呑んだクセに、と思いながら、は小さく欠伸を噛み殺した。
もワインを飲みすぎて、多少酔っている。ついでに寝不足という事も重なって、少し眠たかった。

「ほら、食えよ」
「あ…ありがと…って、こんな沢山食べられないよ」

司が取り分けてくれたのか、出された皿には肉やサラダ、魚介類などが乗っていて、はギョっとした。

「いーから食え。お前、ランチも殆ど食ってねえだろ。だから酔っぱらうんだよ」
「でも…夜にこんなに食べたら太っちゃう」
「お前は少し痩せすぎなんだから多少太ったっていーんだよ。胸でかくなんねぇぞ」
「よ、余計なお世話よ!このスケベっ!」

軽く鼻で笑われ、は思い切り司の背中を叩く。
確かに最近は疲労なども重なり、前より体重が減っていたのだ。当然、胸も同時に減っていき、も多少は気にしていた。

「ってぇな!ホントの事だろ?」
「例えそうでも人に言われたくないの!ほっんとデリカシーのない男ねっ」
「あぁん?!デリバリー?!てめ、何言ってやがんだっ?」
「バカ!デリバリーじゃなくてデリカシーでしょーがっ!ホント、あんたって――――――」

「…ぷ…っうくくく…」

いつもの言い合いが始まった時、不意に笑い声が聞こえて、2人は同時に振り向いた。

「は…花沢類…っ」
「…2人、相変わらず仲いいね」
「「はあ?仲良くないっ!」」

2人同時に否定して、互いに顔を見合わせる。
そして、すぐさま、

「真似しないでよ」
「真似すんな!」

と文句を言いあう2人に、類が更に噴き出した。

「息もピッタリじゃん」

その言葉に司は若干、顔を赤くした。が、しかし、はからかわれた事よりも、類が楽しげに笑っている事に少しだけホッとしていた。
―――――良かった。今日は元気になったみたい。
少しでも笑顔になってくれるなら、例え笑われてもいいとさえ思う。

「あ…花沢類も食べるでしょ。私、持ってきてあげる」

類が何も口にしていない事に気付いたは、急いで総二郎達の元へ走って行く。
それを見送りながら、類は小さく笑みを漏らした。

「…はいつも元気だよね。1秒ごとに表情が変わる感じしない?」
「……ああ」

司は軽く相槌を打ちながら、ふと類を見た。その表情はさっきよりも少しだけ暗いものだ。
ポケットに突っ込んだままの手が、先ほど受け取った携帯に触れる。司は軽く息を吸い込み、口を開いた。

「あのよ、類」
「ん?」
「お前ら、もしかして――――――」
「え?」

キョトンとした顔の類に、司は一瞬、言葉に詰まる。そこへ料理の乗った皿を手にが戻って来るのが見えた。

「……いや。何でもねぇ」
「変な司。何かあった?」
「…いや…」

いつもの顔を見せる類に、何も訊けずにいると、が笑顔で戻って来た。

「お待たせ!はい料理」
「あ、ありがとう」

から皿を受け取ると、花沢類は黙ってそれを食べ始めた。
その姿を微笑ましそうにが見つめている。それに気付いた司は思わず視線を反らした。
――――――その時、携帯で今日1日のニュースをチェックしていたあきらが、突然「類!!」と声を上げた。
あきらは真っ青な顔をして走って来ると、


「静がフランスの次期大統領候補ってヤツにプロポーズされてるってマジかよ?!」

「―――――――っ」


携帯画面を見せられた類の顔から一瞬で表情が消え、その場にいる全員が固まった。

「静がこいつの強引さに押し切られ、年内に結婚って載ってるけど…類、お前これ知ってたのかよ?!」

あきらの、その問いに、皆の視線が類へと向く。そこで類は小さく息を吐き、

「…知ってたよ。パリにいる頃から凄い評判だったから」
「い…いいのかよ?静、結婚しちまうかもしんねーぞ!」

総二郎もつい口を挟む。しかし類は無表情のまま、「いいんだよ」と静かに呟いた。

「もう…終わったんだ。何もかも」

淡々とした声で紡がれるその言葉の重みに、皆もそれ以上何も言えなくなる。
類はふと目の前のを見ると、料理の皿を差し出した。

「やっぱ俺、こんなに食べられないし、、食べて」
「う…うん…」

呆然としたまま震える手で、皿を受け取ったに、類は「もう寝るよ」とだけ言い、その場から去って行く。
その後ろ姿を見送りながら、は喉の奥がぎゅっと痛くなるのを感じ、必死に泣くのを堪えた。類の痛みが伝わる。
――――――だから、だったんだ…帰国後…あんなに変わってしまったのは。傷ついて一人、部屋を出て来たんだ…静さんの為に―――――。

"好きな女の為に何も出来ないガキなんだよ"

夕べ、類が言っていた一言、一言を思い返し、は強く拳を握りしめた。
――――――花沢類だけの問題じゃなく、静さんの方にも事情があったの…?そんな事って……。
簡単ではない目の前の現実に、は自分が何も出来ない事を悟る。そして、そんなを、司は悲しげな顔で見つめていた――――――











暗い夜の浜辺に、波の打ち寄せる音だけが響いている。あとは砂を踏む、自分の足音だけしか聞こえない。
浜辺には、先ほどのキャンプファイヤーの名残りが残ったまま。
あの後に盛り上がる空気でもなくなり、早々にお開きになったのだ。
はゆっくりと歩きながら、夕べと同じ場所へ向かっていた。そこには思った通りの人物がいる。
じっと海を見つめるその横顔は、昼間は明るかった表情とは打って変わって寂しげだ。
ボンヤリと前方だけを見据えているその姿を見るだけで、の目に涙が溢れて来た。


「―――――…?」

さく…っと砂を踏む音が響くと、類がハッとしたように振り向いた。

「…どうしたの?また眠れなかった?」

歩いて来るを見て、類が驚いたように言った。
だが無言のまま首を振り、俯くの様子に気付いた類がゆっくりと立ち上がる。
がどうして自分の元へ来たのか、類はすぐに分かった。

「…もう大丈夫だって言ったろ。部屋に戻って寝ろよ」
「………っ」

類の言葉に、また首を振る。
俯いたままのの顔を覗き込むよう屈んだ類は、彼女の頬に伝う涙にハッと息を呑んだ。

「――――――…泣いてんの?」
「…………っ」
「何でが泣くんだよ。俺の事なんか放っておいて司のとこに――――――」
「…ほっとけないの!」
「……っ?」

不意に顔を上げ、が泣きながら叫ぶのを、類は驚いた顔で見ていた。

「ほっておこうと思っても花沢類の事ばかり考えちゃうの!どうしても心配になっちゃう…っ」
「……?」
「何で…?何で幸せになってくれないの?!何で…辛い選択ばかりするの…っ?」

類にしがみつきながら泣きじゃくるの言葉が、類の胸に突き刺さった。

「同情じゃない…慰めてるわけじゃない…っ!私は…花沢類が笑ってくれてたらそれでいい――――――」

その瞬間、類はの体を抱き寄せ、思い切り抱きしめた。
突然の事にが言葉を失い、驚いたように類を見上げる。そんな彼女の濡れた頬を、類はそっと両手で包んだ。

「…最初から……を好きになれば良かった……」

囁くように言った後、類はゆっくりと屈んで、の唇へ触れるだけのキスを落とす。
それはほんの一瞬の短いものだったが、離れた後も2人は暫くの間、見つめ合っていた。

(…頭の芯が痺れてる…。心臓がバクバクしてて苦しい)

再び腰を抱き寄せられ、は全身の力が抜けそうになった。

「……細いね…。もっと強く抱きしめたら…折れそう…」
「……いい…。折れてもどうなっても……」

――――――もう、何でもいい。今すぐ世界の終りが来たとしても…目の前の花沢類しか見えない…。

そう強く心の中で願いながら、まるで夢の中を彷徨っているような時間に思えた。だが次の瞬間、背後で砂を踏む音が耳を掠め、

「――――――司…」

小さな声で、花沢類が呟く、その名を聞いてが弾かれたように振り向く。そこには司が愕然とした表情で立っていた。

「…そういう…事か…」
「……あ……」
「は…っ。そういう事だったのか…」

司は茫然としたように何度もそう呟きながら、強く拳を握りしめ、が気付いた時には類の頬を思い切り殴り飛ばしていた。

「…きゃあっ!やめて、司…!」

ガツっという鈍い音と共に倒れ込んだ類を見て、思わず顔を覆う。
だが、そんな2人を残しそのまま歩いて行こうとする司に気付き、が慌てて追いかけた。

「待って…!待ってよ、司!聞いてよ、お願い…!」
「…触るな…っ!!!」

掴もうと伸ばした手を振り払われ、は小さく息を呑んだ。

「今更…何を聞けっていうんだよ…」
「…司…」
「…俺はお前を好きだと言った…。精一杯の気持ちを捧げた…。――――――お前はその気持ちを…ズタズタに引き裂いてくれたよ」

静かで、それでいて悲しげな声。ゆっくりと振り向いた司は泣きそうな顔をしている。その顔を見た途端、の瞳に涙が溢れた。

「…ごめ…ごめんなさい、私――――――」
「寄るな…!」
「――――――っ」

震える手を伸ばせば、司は再びに背を向けた。

「……今までの事は…全部白紙に戻してやる…。もう二度と…俺に話しかけるな」

司はそれだけ言うと、一人別荘へと戻って行く。はその場に崩れ落ち、涙が頬を伝って行った。

「…わ…私…傷つけるつもりじゃなかったの…。こ…こんな形で…こんな…」


―――――あんなに想ってくれてた司を、傷つけてしまった……。
さっきまでの幸福感が一瞬で消え去り、今は胸のずっと奥が痛い。
司の辛そうな顔が、の脳裏に焼き付いて、思い出せば出すほど、涙が零れ落ちた。

「…ごめん…」

不意に肩を抱かれ、顔を上げると、類もまた泣きそうな顔をしていた。

「ごめん…。俺のせいで…」
「ち…違…。花沢類は…悪くな…い…」
「俺のせいだよ……」

泣きながら首を振るを類は黙って抱き寄せると、何度も、「ごめん」と呟いた――――――









原作とは流れがバラバラで書いてるもので、今更こんな場面など…
原作といえば、私は20巻以降の絵が好き。司も花沢類もカッコ良くなってますよね。
しかし同じ作品中であれだけ劇的に絵が変わる漫画も珍しいと思います(笑) 一巻と最終巻の司なんて、ホント別人ですから(^^;