04-脱ヴァージンは突然に


※性的描写あり



「ん…ふ…」

静かな室内にくちゅくちゅと互いの舌が交わる音が響いて凄く恥ずかしい。なのに頭がボーっとするくらい気持ちいいって思ってる。蘭ちゃんはこんなエッチなキスをいつどこで覚えたんだろう。竜ちゃんも慣れた感じだったし、二人にはハッキリ別の女の人の影がちらつく。それがやけに気になってしまう。

「ら…蘭ちゃ…ん」

長い長いキスの後、足りなかった酸素を補給するように名前を呼ぶと、また太腿のきわどいところを撫でられて「あ」と声が洩れてしまった。蘭ちゃんはさっきから触って欲しいと思うとこを全然触ってくれない。

(竜ちゃんはすぐしてくれたのに…)

もどかしくて何故かじわっと涙が浮かんできた。その時ふと蘭ちゃんと目が合う。蘭ちゃんは薄っすら綺麗なくちびるに弧を描いてコツンと額をくっつけてきた。

「今、竜胆と比べただろ」
「そ…そんなこと…ない…っ」
「ぷ…、嘘下手すぎ。そーいうとこも好きだけど」
「……ぁっ」

蘭ちゃんは胸の膨らみへ舌を這わせて先端の周りをくるりと舐める。また肝心のとこはしてくれなくて、下腹の奥がジンジンしてくるのが分かった。経験はなくても、この疼きが何なのかは分かる。まだ処女なのに体だけどんどんエッチになってくのが凄く恥ずかしかった。

「おねだりしてくんねーの?」
「……や…」
「………(だからマジ可愛いすぎ)」

わたしが首を振って拒否してるのに、何故か蘭ちゃんは口元を緩ませてわたしのくちびるにちゅうぅっと長いキスをしてきた。何か仔猫とかにするキスみたいで、わたしのこと子供扱いしてるのかなと恥ずかしくなる。こんなことくらいで真っ赤になって恥ずかしがってるようじゃしてあげないって言われてるような気がしてきた。

「竜胆だったらここで絶対に言わせてやるってムキになんだろうけど…」

言いながら、蘭ちゃんはわたしの両手を掴むと体を引っ張り起こして自分の前に座らせる。わたしは蘭ちゃんに背中を預ける格好になって、すぐに後ろからぎゅうっと抱きしめられた。

「オレはいくらでも待つし」
「…んっ」

後ろから手を伸ばしてわたしの両脚を開かせると、蘭ちゃんの指が濡れてる場所へ埋め込まれていく。でも浅いとこへ挿れただけですぐに抜いた。

「まだ頑張る?こんなにぐずぐずになってんのに」
「…や…い、言わない…で…」
「…マジで愛いな、は」

恥ずかしがるわたしを見て蘭ちゃんは楽しそうに耳元で含み笑いをする。耳にかかる蘭ちゃんの吐息だけで、身体中ぞくぞくさせられた。

「んあ…っ」

また指が挿入されて、浅いところを擦られると、ちゅぷちゅぷと恥ずかしいくらいの水音が立つ。脚を閉じたいのに蘭ちゃんは自分の長い足を上手く使って閉じさせないよう固定していた。

「…やぁ…蘭ちゃ…んっ」
「あんま声出すと竜胆が起きてくんぞ」
「……っ」

ドキっとした瞬間、蘭ちゃんの指を締め付けてしまったらしい。耳元でかすかに笑われ、かぁぁっと頬に熱を持った。

「それとも竜胆起こしてやっぱ三人でする?」
「……ん」

耳元で囁くように言われただけでぞくりと肌が粟立つ。こんなこと嫌だったはずなのに、今はどこかでそれを期待してしまってるわたしがいて。だけど初体験が3Pなんて、どう考えてもおかしい。そう思ったらやっぱり首を振ってしまった。

「ら…蘭ちゃん…」
「ん?」
「も…意地悪…しないで…」
「…………っ(可愛すぎだろ!)」

思わず後ろの蘭ちゃんを仰ぎ見ると、蘭ちゃんは一瞬動きを止めて、そしてまた眉をへにょっと下げながら微笑んだ。

「しねえよ」
「…あ…」

蘭ちゃんはナカから指を引き抜いてわたしを布団の上に押し倒すと、部屋着のパンツのポケットから何かを取り出し、それを口に咥えた。

「仕方ねえからおねだりは次の楽しみにとっておくわ」
「…え」

蘭ちゃんは口に咥えてた袋をピッと破って開けると、そこから何かを取り出して――。

(って…あ、あれ…コンドーム…?!)

薄闇で良く見えなかったけど、話でしか聞いたことがない初心者のわたしには刺激が強すぎてクラクラしてきた。その間に蘭ちゃんは準備を済ませたのか。いきなりわたしの太腿を持ち上げてくる。そこでハッと我に返った。

「ら…」
…力抜いて…」

蘭ちゃんは腰を密着させるような体勢でわたしを見下ろして、濡れた場所に硬いモノを押し付けてくる。それが何を意味するのか分かった瞬間、さっきまで触られてた場所からグっと何かが押し入ってくる感覚にひゅっと息を吸い込んだ。

「えっ?ちょ…待って蘭ちゃ――」
「なるべく優しくすっから」

蘭ちゃんは鼻先をくっつけながら切なそうに呟くと、くちびるをやんわりと塞いでくる。同時に腰をぐいっと押し付けられたと思った瞬間、ぐちゅっと音をさせて熱く昂ったモノが挿入される。その圧迫感で思わず呼吸が止まった。なのに散々焦らされたせいか、体は十分受け入れられるくらいに準備が出来ていたらしい。ぎちぎちと締めてる入口を強引に広げられる感覚が怖いのに、そこから一気に快感が広がって、口から自分でも聞いたことのない声が漏れた。

「…ッ…ぁあ…っ」
「…く…さすがに狭ぇな…」

全身が粟立ち、足が震えて目の前がチカチカとしている。一瞬脳内がフリーズして鼻先で揺れる蘭ちゃんの三つ編みをただ見ていることしか出来ない。その間も、蘭ちゃんの熱がゆっくりと挿入されていく感覚があった。

(っら…蘭ちゃんのが…入って…。う…そ…)

ずりずりと押し入ってくる圧迫感のあるものが蘭ちゃんのだと思うと、我に返った瞬間、恥ずかしさで体に力が入ってしまった。そのせいでナカを締め付けたようで、蘭ちゃんが「あんま締めんなって」と苦笑気味に言ってきた。

「今、ちょっとイっただろ」
「…ん…ぁ…ち、違…」
「少し挿れただけでイクとか可愛すぎ。すっかりエロい体になっちゃって。焦らした甲斐があったなぁ?」

そう言いながら火照った頬にちゅっとキスをされた。でもそれだけでゾクリとしてしまうほど、今、わたしの体は全身が敏感になっている。

「…んんっ」

ぐぐっと奥まで押しこまれたことで、より互いの体が密着する。夢中で蘭ちゃんのシャツを掴むと、蘭ちゃんはゆっくりと腰を動かし始めた。体内を質量のあるもに擦られる感覚は言葉で表現できない。少しじくじくした痛みはあるのに、それを上書きするように甘い感覚が襲ってくる。

「…ひゃ…ぁ…んっ」
「…痛いか?」
「……っい、痛くは…あ…っ」

初めては痛いと聞いていたのに、たっぷり濡らされたせいか、圧迫感は凄いけど痛みはそれほど感じない。それ以前にさっきから奥がじんじんと疼いてる。蘭ちゃんのゆっくりとした動きがもどかしいと思うくらい、この疼きを止めて欲しいと思ってしまった。でもそれも蘭ちゃんは全て分かっていたみたいだ。

「オレでいっぱい気持ち良くなれよ」
「……んっ……お、奥…ぁっ」

いきなり最奥まで入ってきたと思ったら、ピンポイントでどこかを突かれた。脚がびくびく痙攣して、また全身が粟立ち、快感の波が全身に沸き起こる。

「なあ…竜胆ともここまでした?」

ゆっくりと腰を抽送しながら、意地悪な質問をしてくるから思わず首を振ると、蘭ちゃんはふっと嬉しそうな笑みを浮かべた。

「また兄貴のいいとこ取りだって文句言われそうだな…」
「……っぁ」
「でも…オレがイライラした分、竜胆にもイライラしてもらおうか」
「……んぁ…っら…蘭ちゃ…ん…ぁあっあ…っ」
「…またイきそう?いいよ、好きなだけイけよ」

濡れすぎてるせいで蘭ちゃんが動くたび、ぐちゅ、ぐちゅ、と卑猥な音が響いて耳を覆いたくなる。でも逆にエッチなことをされてると思えば思うほど心身ともに昂ってしまうのは何でなんだろう。わたし、こんなに厭らしい子だったの?と驚いてしまう。初めてなのに、何でこんなに体が反応しちゃうんだろう。

(それだけ蘭ちゃんが経験多くてテクニックがあるってことなんだろうけど……それがやだなって、少し思っちゃってる…)

頭の隅でそんな思いが過ぎった時、また奥を突かれて、そこからぶわっと気持ちのいい感覚が広がっていく。

「あ…っま…、待って…またわたし……っ」
「…まさかナカイキしちゃったのかよ。エロ可愛いな、マジで」

脚をガクガクとさせ、ナカを締め付けるわたしを見下ろしながら、蘭ちゃんの甘ったるい視線が降ってくる。そんな本気で愛しいみたいな眼差しで見つめられたら蕩けてしまいそうになる。その想いが体に伝染したようだ。蘭ちゃんはそんなに激しく動いてないのに、中がきゅううっと収縮して連続でイってしまった。文字通り目でイカされたようなものだ。

「…く…、またイったろ…感度良すぎ」
「ぁ…ら…蘭ちゃん…も…むり…」
「んー?もうちょっと頑張って。オレ、まだと繋がってたいしー」

わたしが締め付けてしまうせいか、蘭ちゃんが挿入している場所を指でなぞる。それだけでゾクゾクして頭を振った。

「も…ダメ…ぁっ」
「オレはまだ全然足りねえ…」

朦朧としてグッタリしたわたしにちゅっと口付けた蘭ちゃんは、一度自身を引き抜き、わたしをうつ伏せにして腰を引き寄せた。

「な…蘭ちゃん…?ひっぁ」

今度は後ろからずぷっと挿れられてさっき以上の快感に襲われる。背中が反りかえるくらい奥にズンズン当たって息苦しいくらいだ。そのまま前に身体を倒されて、うつ伏せのまま後ろから抽送されると、蘭ちゃんの体重がかかってよりナカが圧迫される。それがどこかを刺激するのか、ぞわぞわした感覚が連続で襲ってきた。

「…ゃ…あっあっんん」
「やべ…蕩けそう…」

後ろからわたしの腰を掴んで、自分の腰を打ち付けながら、蘭ちゃんが切なそうに呟く。蘭ちゃんの三つ編みが背中を撫でていくだけでわたしの体も反応した。次第に蘭ちゃんの動きが早くなって、わたしはまたイってしまった。そこで蘭ちゃんも限界が来たらしい。「締め付けすぎ…」と苦笑したかと思うと、がつがつと腰を振って「あーイク…」と呟く。
この時のわたしと蘭ちゃんは、きっと夢中になりすぎて音とか声とかに無頓着だったかもしれない。だから竜ちゃんがトイレに起きて来たことにも気づかず、まして変な気配を感じてわたしの部屋のドアを開けることなんて考えてもいなかった。いきなりドアがガチャっと開いて、パっと室内の電気をつけられた瞬間、わたしはすでに揺さぶられるだけの人形みたいにグッタリしてて、声を出すことも出来なかった。

「…はあぁぁぁ?!何やってんの?!兄貴!」
「おーおはよー竜胆。ってか、もう少しでイキそーだったのにさあ…」

竜ちゃんが入って来たにも関わらず、蘭ちゃんは普通のテンションで声をかけると、ずるりと自分のものを引き抜いた。そのまま服の乱れを直しながら平然と竜ちゃんに微笑みかけてる。それを視界の端に捉えながら、蘭ちゃんはやっぱりこういう行為に慣れてるんだなぁ、と漠然と考えてた。もう慣れたと思ってたのに、蘭ちゃんに他の女の子の影が見え隠れするせいで、胸の奥がじくじく痛みだす。
だけど、やっと解放された体は全然力が入らなくて。だから竜ちゃんに抱きしめられるがまま、お約束の言い合いを聞いていた。

「なーんかエロい声聞こえんなあと思って来てみたら……なに最後までヤってんの?!」
「あ?先にヌケガケしたのどっちだよ」
「…ぐ…クソ!さっき我慢すんじゃなかった…!絶対オレが先にの処女もらうつもりだったのに…っ!」
「って竜胆が思ってそうだったから、そこはやっぱ兄貴としては譲れねえかなと思ったんだよ」
「あ?!の痕、見なかったのかよ?あれ全部オレがつけたやつだから」
「あ~あれ。上書きしといたし」
「おいっ!」
「だってズルいじゃん。竜胆の方がといる時間多いってのに。兄ちゃんは四天王ってだけでイザナに連れまわされんだし?」
「どう考えても兄貴のがズルいわっ!いっつもいっつもいいとこ取りしやがってっ」
「いや、でも最後までシテねーじゃん。オレ、寸止めされた感じでアソコが気持ち悪いんだけど」
「知るか!自分で抜いてこいよっ」

「…………」

いつものようにケンカを止める元気もなく。竜ちゃんの腕からも解放されたわたしは、フラフラになりながら部屋着や下着をかき集め、本日三度目のシャワーを浴びにバスルームへ這っていく。

(…もう…何で二人はいっつもモメるの…?)

足に力が入らないからバスマットに座って頭からシャワーを浴びる。鏡に映ったわたしの首元や胸元には蘭ちゃんのつけた赤い痕があって、さっきのアレは夢じゃないんだと知らしめてくる。同時に蘭ちゃんにされたことが脳裏を過ぎって今更ながら顔が熱くなった。いつもの兄弟ゲンカが始まって忘れそうになったけど、わたしはついに脱ヴァージンというやつを経験してしまったんだと、少しの間放心しながら自分の顔を鏡で見ていた。
それも昔から大好きだった蘭ちゃんとなんて、未だに信じられない。蘭ちゃん的には中途半端で終わったみたいけど、わたしからすれば完全に初体験だと思う。現にあそこは何となくヒリついてるし、下腹部の奥は鈍痛みたいなものまである。行為の最中は気持ち良さが勝って気づかなかったけど、初めて男の人を受け入れた身体には、それなりに負担がかかっていたんだなと改めて思う。足もちょっと筋肉痛みたいにギシギシするし。

(それにしても…セックスをしたからって見た目は特に変わらないもんなんだな…)

ボーっと鏡を見ながら、そんなバカなことを考える。そして現実問題、これからどうなるんだろうと不安になった。蘭ちゃんとエッチしてしまっても、わたしは別に彼女でも何でもないし、どう接するのが正解なのかも分からない。竜ちゃんだってあんなに怒ってたし、最悪追い出されちゃうかもしれないのだ。

"何、オレの兄貴とヤってんだよ、この淫乱!"

そんなこと言われたらどうしよう。なんて、まだ言われてもいないのに最悪なことを想像して、わたしは深い溜息を吐いた。





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