14-幸せの形
※性的描写あり
「」
「ら…蘭ちゃん…っ?」
次の日。仕事の終わる時間に蘭ちゃんがお店に迎えに来てギョっとした。今日はそんな約束なんてしてなかったからだ。蘭ちゃんが入ってくると店内がざわつきはじめて、視線が一斉にわたしと蘭ちゃんへ向けられる。皆が灰谷兄弟の"お兄さんだ"っていう好奇な目で見ている気がした。
「ど、どうしたの…?」
「ん-?オマエを迎えに来たの。ダメだった?」
蘭ちゃんは小首を傾げながらニッコリと微笑む。てっきり夕べ拒んじゃったことを怒ってるかと思ったのに。
ほんとは、あんなことするつもりじゃなかった。でも頭の中にずっとコウさんに言われた言葉がぐるぐるしてて、どうしようもなく苦しくなった時、気づけば二人から逃げ出していた。だから今朝も二人が寝てる間にサッサとマンションを出てきちゃったから、こうして顔を合わせるのは夕べ以来だ。
何となく気まずくて俯いていると、すぐ後ろから爽やかな声が聞こえてきた。
「お客様。お席へどーぞ」
「……っ」
振り返ると、コウさんが顔を引きつらせながら歩いて来るからヒヤリとした。嫌な予感しかしない。
蘭ちゃんはわたしに向けていた笑顔をコウさんにも向けたけど、よく見れば目は笑っていないからヒヤリとする。お願いだからここでケンカをしないで欲しい。
「客じゃねーし。つーかオマエにも話あんだよ。どっかで話せねえ?」
「……どういうつもりだ。灰谷蘭」
「あ?そりゃコッチの台詞だよ」
二人ともめちゃくちゃ笑顔のまま、小声で牽制しあってるのが怖い。怒りながら笑ってる人というネタが何故か頭に浮かぶ。
いや、そんなこと考えてる場合じゃない。どうしようと交互に二人を見上げていると、コウさんが先に折れた。周りの客が騒ぎ始めたからだ。
「ちゃん。彼を休憩室に案内してあげて」
「は、はい…」
コウさんはいつもの笑みを浮かべながら「そこで待ってろ」とすれ違いざま蘭ちゃんにひとこと言って奥へと歩いて行った。とにかく店の中は目立ってしまうから、わたしはすぐに蘭ちゃんをバックヤードにある休憩室へと連れて行く。その間、店のスタッフにも「蘭さんだ」と騒がれ、蘭ちゃんは無駄に笑顔を見せながら手を振っていた。どこのアイドルだ。全く。あ、カリスマなんだっけ。
「はあ…もう何で急に来るの…?コウさんに何の用事?」
「んー?ちょっとお灸をすえにさあ。ってか、そんなホッペ膨らませても可愛いだけなんだけど」
「ひゃ、ちょ」
蘭ちゃんは休憩室のソファに座って、更にわたしの手を引っ張ると、いつものように膝の上に座らせた。そのままくちびるを近づけて来るからギョっとして顔を背けると、頬にちゅっとされる。その感触に「ひゃ」と変な声が出てしまった。
「なーんでそっぽ向くんだよ」
「だ、だってここお店だし…!」
「別にここで襲う気はねえって。オレ、そんな節操なく見えるー?って、まあ家じゃ節操ねえか、確かに」
蘭ちゃんは自虐みたいにそんなことを言って呑気に笑ってるけど、この場合、エッチだけの問題でもなく…。
「ちゅ、ちゅーもダメっ」
「えー…」
蘭ちゃんはスネたようにくちびるを尖らせながら「とちゅーしてぇ…昨日はハンパなとこでお預け喰らったし」とブツブツ言っている。それだけでも顔に熱が集中していく気がした。でもその時、ドアが開いてコウさんが入って来た。
「は…?ってか何やってんだよ、灰谷蘭!ウチの店員にセクハラすんな」
「あ?はオレのもんだし何したっていーだろ、別に」
「ちょ、ちょっと二人とも…ケンカは――」
「チッ。膝に女乗っけてオマエは殿様かよ」
「ふははっ殿様ってウケる」
蘭ちゃんは楽しげに笑ってるけど、この感じは凄く怒ってる感じがした。まさかこんな場所で殴り合いはしないだろうけど、ホントに蘭ちゃんは何しに来たんだろう。
「んでー?オレに何か用かよ。もうソイツに手を出す気ねえって言ったの聞かなかった?」
「ああ、聞いたけど」
「だったら何しに来たわけ」
コウさんは溜息交じりで向かいのソファに座ると、蘭ちゃんの膝に抱っこされてるわたしを見て、呆れたように鼻で笑った。
「いっつもそんな感じなんだ。これじゃあ逃げ出せねえなあ」
「え、あ、あの…」
「あ?は逃げようなんて思ってねえし。つーか、オマエさあ。に余計なこと言ったろ」
「余計なこと?あー。三人でってのは異常だとは言ったけど?それが何だよ」
「チッ。やっぱテメェか」
蘭ちゃんはわたしを膝から下ろすと、急に立ち上がってコウさんの方へ歩いて行く。まさか殴る気じゃ…と慌てて腕を掴んだけど、「何もしねえよ」と蘭ちゃんは笑った。
「ほんと…?」
「ほんとー。オレがオマエに嘘ついたことある?」
「……ない」
首を振って腕から手を放すと、蘭ちゃんはわたしの頭を撫でながら、ゆっくりとコウさんの方へ振り向いた。
「ただ…テメェの価値観をに押し付けんな」
「…価値観も何も…普通の意見を言ったまでだ」
「普通?普通って何?オレも竜胆も昔からコイツを好きだったし、今もそれは変わらねえ。はオレ達兄弟にとっては特別な存在なんだよ。も同じだ。オレ達のことが好きでどっちかなんて選べねえ。だから三人で一緒にいるのがオレ達の普通なわけ。それを外野にとやかく言われたくねーんだわ」
「…蘭ちゃん…」
キッパリと言い切る蘭ちゃんを見て、じわりと涙が溢れてきた。そんな風に思っててくれたなんて知らなかった。好きだって言ってはくれてたけど、どこまで本気なのかも分からなくて、わたしは二人に流されてばかりで、いつも不安だった。だけど、結局このわたし達の歪な関係の根本は、とてもシンプルなものだった。
「はっ…マジかよ、灰谷蘭…。そこまでこの子に入れこんでるとはな…」
「入れ込んでちゃわりーかよ。オマエもあのマリナって女に入れこんでるなら分かるだろ。理屈じゃねえって。フラれてもしつこく想ってたんだろ?」
「……そりゃ、まあな」
「別にオレ達だってオマエのその気持ちと何も変わんねーよ。ただ大切で好きで、一緒にいたいってだけ。それを異常って言葉だけで終わらせんな」
蘭ちゃんはそれだけ言うと「、帰るぞ。着替えて来い」とわたしの頭にポンと手を置いた。
「う、うん」
チラっと見れば、コウさんはもう何も言う気がないのか溜息交じりで肩を竦めている。
「はあ…まあ…悪かったよ、口出して。オレとしてはちゃんが心配で言っただけだし」
「は?オマエにを心配されたくねーわ。…次はねえぞ」
「…う…わ、分かったって」
ジロリと睨みつける蘭ちゃんにコウさんも言葉を詰まらせホールドアップをする。どうにか殴り合いに発展することなく終わったようで少しホっとして、その日は蘭ちゃんと二人で家に帰った。
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「多数決を取ろうと思う」
夕飯を食べて、さあ寛ぎタイムだと言わんばかりに冷蔵庫から食後のデザートを出していると、蘭ちゃんが変なことを言いだした。
「…多数決?」
何の?と思いながらソファに座ると、蘭ちゃんが笑顔で一言。
「三人でシテもいいと思う人」
「ん」
「ズルい!絶対2票入るもんっ」
つかさず竜ちゃんが挙手したのを見て思わず突っ込む。でも蘭ちゃんはわたしの頭にポンと手を置いて「ホントに嫌ならしねえよ」と言ってくれた。
「オレだって別にを傷つけたいと思ってるわけじゃねえし…同じ気持ちだと思ったから手を出しただけで。でも…他人の常識じゃなく、オレはの気持ちが知りたいんだけど」
「…わたしの…気持ち…」
蘭ちゃんが真剣な顔で訊いてくるから、余計なことを省いて自分の気持ちだけを考えてみた。するとやっぱり答えは二人と同じところに辿り着いてしまう。
ただ――。
「…変…だとは思う…」
「じゃあ…オレか竜胆、どっちか選ぶー?」
「そ…れは…その…」
蘭ちゃんの口からハッキリ言われると言葉に詰まった。子供の頃から蘭ちゃんも竜ちゃんも大好きで、どちらかを選ぶなんて考えたこともない。それは今も同じだ。
だって、どちらかを選んでしまえば、もう一人とはもう幼馴染ですらいられない気がしてたから。
応えられないわたしを見て、そんなズルい気持ちを察したらしい。竜ちゃんが急に吹き出した。
「はは、欲張り」
「り、竜ちゃんっ……だ、だって…二人とも好きだもん…!」
からかわれて恥ずかしくなったのに、つい勢いで告白をしてしまった。ハッと我に返って口を塞いだけど、時すでに遅し。
蘭ちゃんと竜ちゃんは驚いたような顔でわたしを見ていたかと思うと――いきなり抱き着いてきた。
「ひゃ」
「オレ達もが大好きだし問題ねえ」
「ちょ、ダ、ダメ…」
体を抱き上げられ、蘭ちゃんの部屋へと連行されると、ベッドの上に押し倒された。驚いて起き上がろうとしたら、今度は竜ちゃんに肩を押されてくちびるを塞がれる。すぐに侵入してきた熱い舌がわたしのに絡みついて、軽く吸われると全身まで勝手に火照ってきた。
「ったく素直じゃねえなあ、は」
「り、竜ちゃん…」
竜ちゃんはくちびるに垂れた唾液を指で拭いなら笑っている。その仕草にドキっとしていると、蘭ちゃんの手がわたしの頬へ伸びた。
「やっぱ三人が一番平和じゃね?」
「ら…蘭ちゃん…?」
蘭ちゃんもちゅっとわたしの頬に口付けると、「なあ、」と上から見下ろしてきた。視界に蘭ちゃんの三つ編みがゆらゆらと揺れている。
「とりあえず今夜はいいってことにしねえ?」
「……ん…っ」
わたしの気持ちは、どっちなんだろう――?
今度は蘭ちゃんにキスをされて、呼吸が乱れる。その間に竜ちゃんがわたしの服を捲って、胸の先を口へ含んだのが分かった。蘭ちゃんの舌に咥内を甘くかきまわされながら、竜ちゃんの愛撫に体が自然と反応して、下腹部の奥がじんわり疼いてくるのが分かった。
「ん…んっ」
三人でするのがおかしいって、コウさんの言ってたことは間違ってない。でもわたしはやっぱり今でも二人のことが――。
「なあ、…いいって言って」
ゆっくりと唇を離した蘭ちゃんが切なげに囁く。わたしに触れる時の蘭ちゃんはいつも蕩けるくらいに優しい。しょっちゅう失神させられるのも、蘭ちゃんがあまりに丁寧にわたしを可愛がってくれて、時間をかけて気持ち良くさせてくれるからだ。
「きょ、今日は…一方的にしないでね…」
そう告げると、蘭ちゃんは嬉しそうに微笑んで「分かった」と約束してくれた。
「……ン…く、くすぐった…ぃ…っ」
蘭ちゃんの綺麗なくちびるが胸の先へちゅっとキスをして、その場所からむず痒さが生まれる。竜ちゃんの舌が太腿の内側を舐めていくと、そこも同じような疼きが走った。
「これもくすぐったい?」
蘭ちゃんは小さく笑ってわたしの胸の先をペロリと舐めて、もう片方を指できゅっと優しくつまむ。そこからジンと快楽の波が広がって、思わず声が漏れた。
「そ…っ、そこは気持ち…いい…」
ふるりと身震いしながら応えると、いつの間にか体を起こした竜ちゃんがわたしの頬へ手を添えた。驚いて視線を上げれば、竜ちゃんの鋭い瞳がかすかに細められていて、どこか拗ねているように見える。
「おい、兄貴にばっか感じてんなよ」
「え…んっ」
ぐいっと後頭部を引き寄せられ、口付けられる。最初からくちびるを割って入ってきた舌先が強引にわたしの舌に絡みつき、互いの唾液を混ぜ合うような厭らしいキスをされた。脳が沸騰しそうなくらい、顏が熱くて涙が溢れてくる。
「…他に何して欲しい?」
ちゅ、と音を立ててくちびるを離すと、竜ちゃんの男の欲を孕む瞳が見つめてくる。恥ずかしいのに、その視線に抗えないから首を振るだけで精一杯だ。
それに二人にはいつも気持ち良くしてもらってばかりだから、わたしも少しは返したいと、ふと思った。
「どうした?やっぱ、イヤなの」
「ううん…じゃなくて…えっと…わたしも……する」
「「……………」」
わたしの一言で、蘭ちゃんと竜ちゃんの動きがピタリと止まった。恐る恐る顔を上げると、きょとん、とした顔の二人が一ミリも動かずに、わたしを凝視している。
(あれ…何か…間違えちゃった…?)
二人の表情を見てたら少し不安になりつつ、「わたしも…気持ち良くしてあげたい…んだけど…」と分かりやすく言ってみる。
「どっちからすればい――」
「オレ「オレ」」
「―――ツ?」
同時に声が被ってギョっとした。二人は互いに顔を突き合わせてじっとりとした目で睨み合っている。
「竜胆…こういう時は兄ちゃんが優先だろ?」
「あの…」
「兄貴いっつもそれじゃん!」
「えっと…」
「じゃんけんするか?」
またしても兄弟ゲンカが始まりそうだと思った時、竜ちゃんにぎゅっと抱きしめられた。それを見た蘭ちゃんが、不意にニヤリと笑みを浮かべたのを見て、何となく嫌な予感がするのは気のせい?
「いいわ。今日は竜胆に譲ってやるよ」
「え、マジ?」
そう言いつつ蘭ちゃんはわたしの中途半端に乱れた服を脱がしにかかった。
「、手、上げて」
言われるがまま両手を上げて蘭ちゃんのされるがままに脱がされていく。この瞬間は未だに慣れないし凄く恥ずかしい。
「珍しいじゃん、兄貴から引くとか」
「んー?まあ、竜胆を頑張って悦ばせたいのに、オレのせいで集中できないも見てえなと思って」
「は?相変わらず性格わりー!」
「そうかもなァ?ってことで――」
と蘭ちゃんはわたしを四つん這いにさせると、腰を突き出させるような体勢にした。これはかなり恥ずかしい!
「、頑張れよ?」
「え…ひゃぁ…っ」
蘭ちゃんがわたしのお尻にちゅっとキスをして、恥ずかしい場所をペロリと舐める。あまりに強い刺激と恥ずかしさでジワリと涙が浮かんだ。でも目の前に竜ちゃんが来て顔を上げさせられた。
「…してくれるんだろ?」
わたしの前にあぐらをかいて座った竜ちゃんの手がわたしの手を掴んで自身の下半身へと導いていく。初めてまともにみた場所は、スウェットパンツを押し上げるように大きくなっていた。
(こ、これが…竜ちゃんの…)
そっと下着ごとパンツを下げると、初めてみるものがポロリと出てきてビックリした。手で触れるとピクっと動くそれは、おっきくて熱くて、少しだけ怖い。
「ん…」
「……っ」
ちゅぷっと先の方だけ口へ入れてみる。でも大きくて全然入らないけど大丈夫かな。そう思いながら視線だけ上げて見ると、竜ちゃんは今まで見せたことのない表情を浮かべていた。僅かに眉間を寄せて頬も紅潮している。呼吸も荒くて全然余裕のない顔。こんな竜ちゃんを見るのは初めてで、やけに胸がドキドキしてきた。
「良かったなぁ、。竜胆気持ちいいって」
「……んぐ…」
蘭ちゃんが一度顔を上げて笑う声が聞こえる。いつもなら突っ込む竜ちゃんも、今はそんな余裕もないみたいだ。そっとわたしの頭に手を置いて優しく髪を撫でてくれる。
「あんま吸うなよ…」
「……ん、」
「…口ん中、出しそうだから」
竜ちゃんはわたしの耳にも指を伸ばしてそっと撫でていく。ゾクリとしたものが走るのと同時に、蘭ちゃんから与えられる刺激と相まって全身が粟立った。
(さっきから…蘭ちゃんの舌が…激し…)
背後でくちゅくちゅと卑猥な音がして、わたしの鼓膜を刺激して来る。時々ちゅうっと吸われると腰がビクリと何度も跳ねた。それでも竜ちゃんのを口から出さないよう頑張って咥内で扱くように口を動かしていく。
「やっぱ…は随分とエッチになってきたなー。竜胆の舐めて興奮してる」
「…ンっ」
「簡単に二本は入るし」
濡れた場所を指で擦られたと思った瞬間、ちゅぷっと指を埋め込まれてびくん、と腰が揺れてしまう。ナカの弱いところをわざと突くように出し挿れされて、たまらず竜ちゃんのから口を放してしまった。
「待っ…蘭ちゃん…そこ…イっちゃ…」
「まだダメだって」
蘭ちゃんは指を引き抜くと、今度は後ろからわたしを抱えるよう自分の上に座らせて「少し腰を浮かせて…そう、そのまま下げて」と言ってきた。蘭ちゃんのガチガチに熱い塊が入口に当たってゾクリとする。自分で挿れるのは初めてで少し怖いけど、いつもされてばかりだから言われた通り、お尻をゆっくり下げていく。
「んんっ…」
「ゆっくり下げろって…痛くねえ?」
「だ…だいじょ…ぶ…んっ」
蘭ちゃんの手に導かれるよう腰を下ろすと、大きな熱が体内に埋め込まれていく。この体勢だとすぐに奥まで届いてナカが引きつくのが分かった。
「…ぁあ…ぅ」
「このまま前に倒して」
言われた通りにすると、前に座る竜ちゃんに縋りつく格好になった。
(蘭ちゃんのが奥までくる…気持ち良くてどうにかなりそう…)
後ろからゆっくりと蘭ちゃんが動くたび、きゅうっと締め付けてしまうくらい気持ちいい。
「のナカ、凄い動いてる。そんなに気持ちい?」
「…んぁ…ぁう」
蘭ちゃんが少しずつ腰の動きを速めて抽送を始めると、背中が反ってしまうくらいにゾクゾクした。涙がポロポロ零れ落ちて、竜ちゃんの膝を濡らしていく。
「…」
その時、竜ちゃんの切羽詰まった声が聞こえて頬に熱い手が添えられた。
「オレもして」
竜ちゃんも限界といった顔で哀願してきた。その欲情と熱に浮かされたような顔を見てると、またきゅんと胸が鳴って、蘭ちゃんを受け入れてるナカまで快感が駆け巡る。
「またすげー締まった…、イキそ?」
「…んん……ふ…」
視界も、口内も、体内も、匂いでさえ全身が二人に埋め尽くされていく。まるでこの世界に三人しかいないような錯覚さえ起こしてしまいそうだ。
蘭ちゃんが言ってたこと、今なら少しは分かる。三人一緒だと、三人分幸せになれるって。
「いいよ、三人で一緒にイク…?」
「……く…っ…」
「……ンん…ぁっ」
蘭ちゃんの動きが急に速くなって何度も腰を打ち付けられる。そのたび口内にある竜ちゃんのものが乱暴に擦れて、最後に大きくうねった気がした。その直後、
「………ンぁっ…」
蘭ちゃんに最奥を突かれた時、目の前がチカチカして頭が真っ白になった気がした。
|||
気怠さを感じてふと目を開けた時、わたしを真ん中にして左右に蘭ちゃんと竜ちゃんが寝ていた。
「あ、起きた?」
「ん…蘭ちゃん…?」
「はいっつもイクとぶっ倒れるよな、マジで感じ過ぎじゃね」
「…竜ちゃん…」
「バーカ。そこが可愛いんだろ、は」
「まあ…そうだけど…」
二人はわたしを間に挟んでそんな会話をしている。でも眠たいわたしは反論することもできずに目を擦りながらくっつきそうな瞼を押し上げた。
「とろんとした顔しちゃって。かわい」
「…ひゃ…痛っ」
蘭ちゃんの腕にぐいっと抱き寄せられ、裸の胸に顔を押し付けられる。蘭ちゃんの胸板は固いから、鼻を思い切りぶつけたら普通に痛かった。
「あ、わり…痛かった?」
「う…い、痛いよ…」
「ったく…乱暴にすんなよ。が壊れんだろ」
呆れたように言いながら、今度は竜ちゃんの腕に抱き寄せられる。
「大丈夫か?って、鼻赤くなってじゃん。マジ可愛いんだけど。トナカイ?」
「え…あ、赤くなってる…?」
「あ、ほんとだ。可愛いトナカイがいる」
「ら、蘭ちゃん笑いごとじゃないよ…」
笑いながら頬にちゅーっと長いキスをしてくる蘭ちゃんに文句を言いつつ、鼻をさすると、今度は竜ちゃんがオデコにちゅっとキスをしてくれた。
「ところでさー」
「え…?」
「どうだった?やっぱ三人の方がよくね?」
「え…と…」
「当然だろ。あんなに感じてたんだから。なァ?ちゃん」
「う……」
蘭ちゃんが途端に意地悪な笑みを浮かべるから、わたしも言葉に詰まってしまった。だけど、確かに抱き合ってる時、三人でしてることを幸せに感じてしまったわたしがいて。今までみたいに頭ごなしでダメ、なんて言えなくなってしまった。三人で一つになったようなあの不思議な感覚は、わたしを心の底から満たしてくれるから。
「やっぱオレらはこれでいいんじゃねーの」
「そうそう。どこの誰に何を言われてもオレや兄貴、が良ければ何でもいーんだよ。幸せなんだから」
「……幸せ…?」
「そうだよ。だって」
「オレ達はを誰よりも愛してるから」
「ごめんなー?重たくて」
蘭ちゃんと竜ちゃんは優しく微笑みながらわたしの頬にそれぞれちゅっと口付けてくれる。でもそれだけで心も体も満たされていく気がして。これが答えなのかもしれないなと、ふと思った。
蘭ちゃんと、竜ちゃん。二人の幼馴染に愛されすぎるくらい愛されて、わたしは今、確かに幸せを感じている。
歪で異常なまでの愛情だけど、これでいいんだと、初めて心から思えた気がした。

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