オレの彼女はエロ可愛い
※性的描写あり
の実家に泊ったものの、ほとんど一睡も出来ないまま自宅マンションに戻って来たら何故かまでがくっついて来た。
「オマエ、学校だろ?何で来るんだよ」
「だって…まだイザナと一緒にいたい…」
「ダーメ。ちゃんと大学に行けって」
「今日の講義は午後からだもん…」
「………」
くぅんと鼻でも鳴らす勢いでオレを見上げて来るの頭に垂れた犬耳が見えた気がした。ウルウルしてる瞳を見て盛大な溜息を吐く。睡眠足りてねえから夕方まで寝ようと思ってたが、この分じゃ無理かなと苦笑いが零れた。
「ちゃんと時間なったら行けよ?」
「うん!」
オレの一言でぱあっと顔に花を咲かせたみたいに笑うは本当に可愛い。施設にいた頃も、再会した時も、は何一つ変わっていなかった。
「何か飲む?オマエの好きなカフェオレ作ってやろうか」
「え、いいの?」
「一応、ミルクは買ってある」
らしくねえけど、この前ふとコンビニに寄った時、いつでも作ってやれるようにと、つい手が伸びてた。
「今日暑いからアイスに――って、何、ニヤニヤしてんだよ」
「だって…わたしの為に買っておいてくれたのかなって思ったら嬉しくて」
「…チッ。自惚れんな。オレも飲むんだよ」
「イザナ、いつもブラックじゃない」
「……たまにカフェオレも飲むんだよ」
何となく見透かされた気がして照れ臭くなった。とりあえずコーヒー豆をセットしてコーヒーを淹れると、好みの甘さにして、8:2の割合でミルクと混ぜていく。というよりの場合はほぼミルクだからインスタントコーヒーでも良さそうなもんだが、やっぱそこは美味しく作ってやりたいって気持ちが湧いて来る。ただ一つ困るのはオレがキッチンで作業してる間も、が延々オレにくっついてることだ。腕にしがみついてるから、どうにも作業がしにくい。
「オイ…邪魔だからアッチで座って待ってろよ」
「えー…イザナと離れるのイヤだもん…」
「いや、すぐそこだろ?」
「間に金魚の水槽があってイザナが見えない」
「……ベタは金魚じぇねえ…熱帯魚だって何度言やあ分かるんだ、オマエは」
言いながら額を小突くと、の頬がぷくっと膨れた。
「イザナはわたしよりベタの方が可愛いんだ……」
「まあ、ベタはどっかの誰かさんみたいに我がまま言わねえしなー」
「…む」
今度はこれでもかってくらいに口を尖らせてスネている。それが可愛くて吹き出しそうになるのを堪えつつ。身を屈めてちゅっと軽く口付ける。たったそれだけでの頬が美味しそうな桃色に染まった。
「熱帯魚にまでヤキモチ妬くなよ」
「……だって。イザナとずーっと一緒にいれるベタが羨ましいんだもん」
「だっていっつもここに入り浸ってんだろ?」
「そうだけど…学校もあるしあの子よりは確実に時間足りてない」
はシュンとしながら水槽の中を泳ぐベタを見ている。
「わたしも水槽の中に入れたら、ずっとイザナを見てられるのにな…」
水槽を指でなぞりながらポツリと呟くに、ふと笑みが漏れた。そうなったらそうなったでオレも安心なんだけど。まあ、そういうわけにもいかねえしな。
「ほら出来たぞ」
アイスカフェオレ(ほぼコーヒー牛乳)を持ってソファの方へ移動すると、は嬉しそうに追いかけて来た。ソファに座ったら座ったで一ミリの隙間もなくオレに密着して来る。
「…おかしいな。このソファ3人掛けのはずなのに狭ぇ」
「ん?何か言った?」
「いや…」
隣でニコニコしながらカフェオレを飲んでるを見たら、まあいっかという気持ちになる。これまで離れていた分を取り戻したいくらいそばにいたいのはオレも同じだ。
「ふぁぁ…」
でもさすがに自宅に戻ったら気が抜けて睡魔が襲って来た。は夕べ、オレを煽るだけ煽った後でグースカ寝てたから、オレほどは眠くないようで「イザナ眠いの?」と不思議そうな顔で訊いて来る。
「オマエのせいだろ…」
「え、何で?」
「いや…いい」
少しも分かってない様子のを見てたら脱力して、ソファに寝転がる。の膝の上に頭を置くと、そっと髪を撫でられた。それが何とも言えず心地いい。目を瞑ってしばらくの手に撫でられるのを堪能していると、顏に影が落ちてちゅっというリップ音と共に柔らかいものがくちびるに押し付けられた。薄っすら目を開けると、が身を屈めていて、目の前にはこれまた柔らかそうな膨らみが二つ。
「ごめん、起こしちゃった…?」
「いや、起きてたし」
そう言いながら腕を伸ばしての項へ回す。体を起こしてぐいっと引き寄せると、さっきよりも深くくちびるが重なった。
「ん、イザナ…」
「夕べは落ち着いてできなかったしな」
「え…寝ないの?イザナ…」
完全に体を起こして抱きしめると、は恥ずかしそうに見上げて来た。夕べはあんなに大胆だったクセに、と苦笑が洩れる。
「…ここなら誰にも邪魔されねーじゃん」
「…あ、そっか…。で、でもわたし大学あるから――ん、」
何かを言う前にくちびるを塞ぐと、すぐに舌を滑り込ませる。それだけで胸元をぎゅっと掴んでくるは頬が真っ赤になっていた。去年から付き合いだして、キスをするまでに半年もかかった。は強引で積極的なところがあるくせに、こういうスキンシップには免疫が一切なく、最初はオレが触れるたび真っ赤になって失神しかけるくらいに恥ずかしがる子だった。だから手を出すに出せなくて結構時間をかけた気がする。オレがそこまで大事にした女は後にも先にもコイツだけだ。
でもキスをしたらしたで、恥ずかしいと言っては一週間ほどオレを避けていたこともある。にとってはファーストキスだったせいもあるかもしれない。だから今度は手が出せなくなって、初エッチまでにまた半年以上もかかってしまった。ただその後、またオレを避けるかと思えば逆に走ったのは誤算だった。
――イザナに触れられると気持ち良くて幸せ。
そんなことを言って平気でオレの心を揺さぶってくるようになった。まあ、好きな子にそんなことを言われたら嬉しいしかねえけど、夕べみたいにツラい時もあったりする。
「ん…イザナ…」
じっくりと深いキスを交わして舌を絡ませ合っていると、自然にそっちの欲求が出てしまう。の背中を抱き寄せながら、そのままソファに押し倒そうとした。なのには「ま、待って…」とオレを静止して、恥ずかしそうに見上げて来た。
「何だよ…」
やっと誰に遠慮することもなく抱けると思っていたのに、何故かはモジモジとしながら俯いてしまった。あんなに積極的だった夕べのはどこへ行った?と思っていると、「だって…大学前にイザナとエッチしたらヘロヘロになりそうだから…」と呟いた。その言い分は何となく分かる。きっと一回や二回じゃ済まないからだ。
「はあ……分かったよ。じゃあお預けな」
頭をガシガシと掻きつつ溜息交じりで言えば、はパっと顔を上げてぶんぶんと首を振った。
「違うの。だから……わたしがシテあげる」
「………は?」
ふと顔を上げた途端、はオレをソファに押し倒して上に乗っかって来た。さすがにギョっとして起き上がろうとしたのに、上からくちびるを塞がれる。これじゃいつもと逆じゃねえかと思っていると、の手がオレの下半身へ触れた。
「…おい、…」
「夕べはシテあげられなかったから」
「は?あれは別に――って、脱がすなっ」
は人の話も聞かずにオレのズボンのジッパーを勝手に下げて、そこへ手を滑り込ませて来た。すでに勃ち上がってたそれにの手で刺激が与えられて更に硬くなったのが分かる。はビックリしたように目を丸くした。
「わ…凄い…」
「…っやめろって。そんなんしなくても――」
「わたしがしたいんだもん」
「だから何で…?」
「イザナが好きだからだよ。それに…いつもイザナはわたしのこと気持ち良くしてくれるから、わたしも同じことしてあげたいって思って…」
だんだん言葉は尻すぼみになって今じゃ顔を真っ赤にしてる。夕べは酔ってたから大胆だったけど、本当は恥ずかしいクセにと思わず苦笑してしまった。
「だからって別にムリしてしなくていいって」
「でもこんなにおっきくなってるのに――」
「ってか撫でるな!オマエが触るから……っぁ!」
人が話してんのには更に下着の中へ手を入れて直に触れて来た。突然の刺激にビクリと腰が跳ねて、そこに熱が集中していく。
「わ…イザナのここ凄いよ」
「…だ…からが触るからだよ…っ…ぅ」
つつつっと指で撫でられ、ゾクリとした。しかも下着からオレのモノを出して直にしごいてくる。これにはたまらず、のけ反ってしまった。
「やめ…ろって、マジ…で…」
これ以上触られれば速攻でイってしまいそうだ。がオレのに触ってると思うだけでコーフンしてくる。だからの肩を掴んで押し戻そうとした。でもそれよりも先には身を屈めると、何を思ったのかオレのモノをパクリと口に含んだ。そのぬるりと湿った感触で思わず声が洩れそうになった。
「な…にして…」
「なふってほれしららきほひいーれしょ?」
「…は……何…言ってっか…わかんねえっ!ってか咥えながら喋ん…なっ」
引きはがしたい気持ちと、このまま快楽に身を任せたい欲とがせめぎ合って、むしろツラい。その間もは慣れない行為を続けてて、ヌルヌルと口内でしごかれると完全に体の力が入らなくなった。がオレのを咥えてる姿が視覚的にエロ過ぎて、すでにイク寸前だった。
「…く……」
伸ばした手を力なくの頭に置いて、そっと髪を撫でると、先っぽをちゅっと吸われてビクンとアレが反応した。もう完全に快楽に流されてて思考が上手く働かない。気持ち良すぎてっていうのもあるが、が一生懸命オレを気持ちよくしてくれようとしてる姿がいじらくて、胸の奥が何度も音を立てた。
「…う…あ…っ」
その時、裏側を舌先で下から上へと舐められ、一気に射精欲が溢れて来る。このままじゃ彼女の口に出してしまう。それはオレの中で良しとしなかった。今度こそ引きはがそうと慌てて手を伸ばす。その時だった。インターフォンが鳴ったのと同時に鍵の開ける音、そして「イザナ!帰ったのか!お、もいんだな」という声が玄関に響き渡って心臓がピンポン玉かっつーくらいに跳ね上がった。当然のごとく玄関にはオレとの靴がある。それを見た鶴蝶はズカズカと中へ入ってきたようだ。マズいと最後の力を振り絞ってを引きはがしたのと、リビングのドアを開けられたのは、ほぼ同時だった。
「おーイザナ!どうだった?のご両親は―――って、何してんだ、オマエ!!」
がオレの股間から顔を上げた瞬間を見てしまった鶴蝶の目がアニメかと思うほどに飛び出た気がした。これは非常に面倒くさいことになる。そんな気がした。
「もぉー!お兄ちゃん邪魔しないでよー!もうちょっとだったのにっ」
「は…はああ?じゃ、じゃじゃじゃ邪魔だと?オオォオマエ、今イザナのアレ――」
真っ青になって震える指をこっちに向ける鶴蝶に、オレはオレで恥ずかしくて死にそうだ。だから逆切れしてやった。
「あーうるっせえな!下僕のクセに勝手に入ってくんじゃねえよっ」
「あ?!つーか、イザナ!オレの大切な妹になにさせてんだよっ!」
「オレがさせたわけじゃねえ!むしろ止めたし!でもが勝手にしてきたんだよっ」
普段は従順な男だが、こと妹のことになるとオレにも平気でたてついて来る。そもそもが幼馴染だから昔の鶴蝶に戻るようだ。
「はあ?は女の子だぞ!そんなわけねえだろ!どうせイザナが無理やりやらせた――」
「お兄ちゃん!もうやめてよ、恥ずかしい!」
「恥ずかしいのはオマエがしてたことだろっ?だいたい、こんな真昼間から何してんだっ」
「いいでしょ?わたしとイザナは恋人同士なんだから。お兄ちゃんには関係ないもん」
「か、関係なくねえだろ?兄ちゃんだぞ?あ!おい、どこ行くんだ!」
は呆れたようにバッグを持つと玄関まで走っていく。
「大学!早くしないと遅れちゃう!あ、じゃあイザナ、また夜、続きしてあげるね♡」
「……はあ?夜だと?そんなのオレが許さん!あ、待て、!こらっ!」
が慌てて出て行くと、鶴蝶もその後を追いかけていく。二人が出て行ったことで、室内が急に静かになった。ついでにオレの体も静まってくれてホっと息を吐く。ただ出る直前まで行って中途半端に終わったせいか、腰の奥が酷く気持ち悪い。
「ったく…また煽るだけ煽りやがって…」
急に睡魔と疲れが一気に来て、オレはソファに倒れ込んだ。何であのタイミングで来るんだ、あの妹バカは。普段パシリをさせてるせいで合鍵を渡していたことが仇になった。今度からはしっかりサブキーもかけてやる。そう心に誓いつつ。
――夜、また続きしてあげるね♡
の言葉を思い出し、脳内がそれ一色に染まってしまったのは仕方のないことだった。
