オレの彼女はエロ可愛い


※温めの性的描写あり


1.

まだと体の関係がない頃、悶々としすぎて、いっそ抱いちまった方が落ち着くんじゃないかと思ってた。だけどキスだけでパンクするがどうなるかなんて未知数だし、オレだって一回やって満足する保証もない。逆に求めすぎて猿になったらどうすんだって変な怖さもあった。だからあれはあれで正解だったと今、実感している。
初めて抱いてから10日。抱く前よりも渇いてる気がする。遊びの女を抱いてた時には一切なかったものだ。の身体に負担がかからないよう「しばらくお休みだな」と言ったのはオレの方だけど。

と付き合いだして初めて迎えるGW。大学も休みに入って連休中は毎日会えるのかと思っていたら、毎年恒例の家族旅行があるらしい。「イザナと離れたくない」と騒ぐを「たった3日だろ」と宥めても、悲しそうな顔で「三日もだよ」と呟いてた。オレだって3日も離れるのは寂しいって一言でも言えればいいんだろうけど、そこはやっぱり照れ臭いから、代わりに「楽しんで来いよ」と笑顔で送り出した。でも案の定、不在の3日間はオレの機嫌も乱気流並みに荒れてて。ちょうど天竺を潰そうと乗り込んで来たチームを二つ三つ潰して終わった。

「今のイザナにケンカ売るとかタイミング悪すぎ」
「何も超不機嫌な時に来なくてもいいのに。バカな奴ら」

圧倒的勝利で終わってもスッキリしないオレを横目に、蘭や望月がそんなことを言いながら笑ってた。でもイラついた日々も今日で終わりだ。

「イザナ~!ただいま!」

朝、お昼には家につく、なんてメッセージが来てたからバイクで迎えに行こうと思ってたのに、向こうからやって来たから唖然とした。旅先から写真とかは送られてきてたけど、実際こうして顔を見ると予想以上に会いたかったんだと気づく。でも部屋に通した時、てっきり抱き着いて来るかと思って「おかえり」と両手を広げたら、は顔を真っ赤にして床をゴロゴロ転がりだした。

「イザナの笑顔が優しすぎるー!ムリ!好き、大好き♡」
「いや、そこはオレに言えよ…。心の声、駄々洩れてんじゃん」

両手で顔を覆いながら転がる恋人の姿に思わず吹き出すと、の頬がまた赤く染まった。それでも腕を引っ張り起こしてやると、そのまま首に腕を回してぎゅっと抱き着いて来た。

「3日ぶりのイザナだ~!」

頬を擦りつけながらはしゃぐに苦笑しながら、

「たかが…3日――」

と言いかけた時、ふわりとの甘い香りに鼻腔を刺激され、今ではすっかりオレに馴染んだその匂いにホッとするのを感じた。そのまま腰を抱き寄せオレもぎゅっと抱きしめる。それだけで昨日までのイライラが綺麗さっぱり消えてしまった。

「あのね、これ美味しかったから買って来たの。チームの皆と食べて。あ、あとコレも珍しいから買ってみたんだけど――」

少し落ち着いた頃、並んでソファに座ると、が土産を広げだした。でもオレは話よりも、に触れたくてうずうずしてたかもしれない。ついサラリと垂れた髪を指で耳にかけてやると、が「聞いてる?イザナ」とオレの顔を覗き込んで来た。

「聞いて…ねえ」
「もーっ」

と頬を膨らませながらも、オレに抱き着いて顔を見上げて来る。キスをするのにちょうどいい角度だから、そのまま唇をそっと重ねた。

「ん…イザナ…ひゃっ」

頬を赤くしたを見ていたらもっと傍に来て欲しくて、の脇をひょいっと抱えると自分の膝の上に抱える。そうすることで、いっそう互いの唇が近づいた。

「ん…」

膝に乗せることで、俺より少し高めの位置に来たの唇に触れるだけのキスを繰り返す。

「何時までいれんの?」
「…多分、夜の9時くらい…」

今日はお土産を持って来ただけで、連休中には変わりなく。は実家で過ごすことになっていた。

(まだ午前中だぞ…)

何度もキスを交わしていると、自然に体が火照って来る。頭の中で抑制しようと思うのに、一度触れてしまうと手を放すことが出来ない。触れるだけじゃ物足りなくなって、僅かに出来た隙間から舌を忍び込ませると、控えめながらもそれに応えてくれる。ぎごちないのが却ってオレをドキドキさせた。

「イザナ…」
「ん?」
「こ…ここで…する?」

何となく空気を察したのか、一度唇が離れた時にが照れ臭そうに訊いて来る。それが可愛くてぎゅっと抱きしめた。

「いや…部屋で――」

と言いかけた時、密着してるの胸が物凄くドキドキしているのを感じた。まだ慣れてもないクセに、オレを煽るんだからタチの悪い恋人だ。ただある意味、オレも蛇の生殺しだった頃より、の肌を知ってしまった今の方が飢えている気がする。

「……先にシャワー入るか?」
「え…」
「その方がリラックスできんだろ、も」

頬にキスをしながら言えば、は火照った頬を手で押さえながら小さく頷いた。

「イ…イザナも入る…?」
がリラックスできる方でいいよ」

恥ずかしそうにモジモジしているを見て、笑いを堪えつつ言うと、「じゃあ…ひとりでサっと入っちゃうね」とオレの膝から下りて、バスルームへ走っていく。まだ少し怖いくせに、痛い思いもさせたのに、初めて抱いた夜、「またしてね」と言ってくれた。それが可愛くて、早く抱きたいと何度思ったかしれない。あまり最初からがっつくのも良くねえかと「しばらくお休み」なんて余裕ぶって見せたけど、本当は余裕なんて全くなかった。を待ってる間もソワソワしてるって童貞かよと自分で苦笑が洩れた。

「…イ、イザナ…出たよ」
「って、何でバスタオル一枚なんだよ」

バスルームからひょこっと顔を出したは、真っ赤な顔で慌て出した。

「え、やっぱり着るべき…?脱がせる楽しみもあったりするんでしょ…?」
「誰情報だよ、それ。オレもシャワー入るから待ってる間に冷えるだろ?それまでこれ羽織ってろ」

羽織っていたパーカーを脱いで裸のに着せると、前のジッパーをキッチリ閉じた。確かに裸でこれは何となく視覚的にエロい気はする。

「すぐ行くから湯冷めしないようにベッド入ってろよ」

バスルームに向かいながら言えば、は恥ずかしそうに頷く。そのままオレも軽くシャワーを浴びてから寝室へ行くと、は言いつけ通り、ちゃんとベッドに入って待っていた。ただオレが上半身裸のままだったことに驚いたのか、小さな悲鳴を上げて「何で裸なのっ」と布団に潜っている。

「いや、だってすぐ脱ぐし」

言いながら隣に潜り込むと、は恥ずかしそうに顔を上げて、寝転んだオレの上に乗って抱き着いて来た。「んーイザナの匂い」と頬を擦りつけてくる姿は、やっぱり猫みたいだ。

「今日まで出来なかった分、いっぱい触ってね」
「…言われなくても」

可愛いことを言うに思わず口元が緩む。今、蘭とかに会えば「大将、締りのねえ顔」って笑われんだろうなと、苦笑が洩れた。

「ん、」

そのまま口付けて、の首に手を回す。何度かキスを交わしながらが怖がらないよう、優しく舌を絡ませる。それだけで真っ赤になっているんだから可愛すぎだろと胸の奥が何度も音を立てた。

「ん…ぁ」

キスを交わしながら太腿を撫でていくと、控えめな声が耳を刺激して来る。たまらなくなって上半身を起こすと、の首筋に吸い付いた。くすぐったいのか、は首を窄めてビクリと肩を揺らした。

「あ…っ」

体勢を変えてをベッドへ押し倒すと、頬から首へ唇を滑らせ、ジッパーを下げていく。そうすることで見えて来た膨らみへもちゅっとキスをすれば、の呼吸も少しずつ乱れてきた。

「…怖い?」

念のため尋ねると、は真っ赤な顔を左右に振った。

「…へ、平気…」
「この前より濡れやすくなってっから」
「あ…っ…イザ…ナ…」

刺激して濡れて来た場所へゆっくり指を埋めていくと、の口から切なげな吐息が洩れる。でも俺はとうに限界で、脳が焼け付くくらいに熱いのは興奮しすぎてるせいだ。

…力抜いて」

中を解している間に、すっかり潤みを帯びたそこが指を締め付けて来る。やっぱりまだ狭くて心配ではあったけど、昂った自身を押し当てると、心配してたよりもスムーズに入っていく。ただの中はきつくてトロトロで熱いから、気持ち良すぎてオレがヤバい。

「…く…キツ…」
「ん…っあ」
「…痛くねえ…?」

苦しげな顔をするからつい心配になって尋ねると、は「平気…」と小さく首を振った。

「イザナと繋がってると思うと…痛くない…」
「……っ」
「ひゃ…おっきくなった…?」
が煽るからじゃん…」

額をくっつけながら文句を言うと、彼女は恥ずかしそうに微笑んで「イザナ、大好き…」と呟く。本当に、今そんなことを言うのは反則だっつーの。これまで何百回、何万回と聞いた言葉は飽きることなく、オレに喜びと幸せを与えてくれる。がどれだけ本気なのか、全て内側から伝わって来るからだ。吐息ごと口付けて舌を絡ませると、そこから甘美なほどの快感が全身に広がっていく。

「悪い…動くけど…」
「ん…動いて…いっぱい抱いてね」
「…だから…そーいうこと言うなって…」

可愛すぎて腰がさっきから疼いて仕方ない。ゆっくりと抽送を始めただけなのにそれだけでイってしまいそうなほどに気持ちいい。

「やべ…蕩ける…」
「…んぅ…ん…っ」

オレが動くたび、が甘い声を上げる姿にまたコーフンする。セックスってこんなに理性がぶっ飛ぶくらい気持ち良かったっけ?と疑問に思うほど感じさせられた。オレが抱いてるというより、に抱かれているかのような感覚に溺れそうになる。この熱を知ってしまえば、そう簡単に手放せそうにない。まあ、手放す気は一ミリたりともねえんだけど。
結局、オレは2連続でを抱いて、どうにか気持ちを落ち着かせることには成功した。




2.

イザナに抱かれた後でくっついて寝ていると、イザナが「コンビニで何か食べるもん買って来る」と言い出した。エッチの余韻も冷めて来たけど、わたしは何となく起き上がることが出来ない。

「エッチのあとで普通に買い物とか恥ずかしい」

そう言ったらイザナが笑いながら「は休んでていいけど」なんて言い出した。だから慌てて起き上がって簡単に服を身につける。

「ヤダ、わたしも行く」

玄関で靴を履いていたイザナの腕に自分の腕を絡ませて見上げると、苦笑交じりでイザナがちゅっとキスをしてくれた。これは一緒に行ってもいいって合図だ。

「わ…まだお昼だったね」

外に出ると強い日差しが照り付けてくるから思わず目を細めた。そしてふと、午前中からイザナとエッチしてしまったんだと顔が熱くなって、どれだけ求めてたんだろうと恥ずかしくなってしまう。

「何か腹減ったな。、何か食う?」
「……」
「どした?」

わたしが黙ってると、イザナが身をかがめて顔を覗き込んで来る。

「だって…ムードも何もないんだもん」
「ムードって…」

ハッキリ言ってまだ足りないと思うくらい、イザナに触れていたかった。

「まだ全然イザナが足りない…」

そう言いながら見上げると、イザナは一瞬足を止めて、またわたしの目線まで身を屈めた。そしてちゅっと唇を啄む。

「心配しなくても、帰ったらまたベッドにオマエさらうから」
「え…っ?」
「覚悟しとけよ」

わたしの誘惑より、イザナの誘惑の方が甘かった。