これは遠い日の面影を忘れた罰-12


※性的表現あり⚠



全身が燃えるように熱い。蘭ちゃんの手や、舌が触れるところ全てが火照っていく。そこから生まれる甘い疼きは、じわじわと下腹の奥に広がっていく感じがした。経験がなくても知識としてはそれが何なのかを、知っている。経験のあるリコに聞いたからだ。でも聞いただけではよく分からなかった感覚が、自ら経験していると不思議なくらいに理解できてしまう。

「…んっ…」

舌先で硬く主張している乳首を弄ばれると、意識もしてないのに勝手に高い声が漏れてしまう。下着の中へ吸い込まれた蘭ちゃんの細い指が、自分でも触れたことのない襞の中の方を何度もなぞっていく。時々ある部分に掠るたび、強い刺激がそこから生まれた。くすぐったいむず痒さに思わず身を捩ると、蘭ちゃんが耳元でかすかに笑った気がした。

「ここ…触れられるのイヤか?」
「…ん…何か…くすぐったい…凄く…ぁ…っや」

くすぐったいって言ったのに、蘭ちゃんはその部分に指を這わせて優しく撫で始めた。そのたびむず痒さが湧いてたまらず身を捩る。

「ら…蘭ちゃん…そこやだ…」
「ここは女が感じる部分だから、触ってたら刺激に慣れて、だんだん気持ち良くなんだよ」

頬に口付けながら笑う蘭ちゃんに視線を向けると、唇を塞がれた。その間も指の動きは止めてくれなくて、くぐもった声が塞がれた口から洩れてしまう。

「…やべ…すげーコーフンするわ、これ」

唇を離した蘭ちゃんが耳にもキスを落としながらそんなことを囁く。興奮されてるのかと思うと恥ずかしさでまた熱が顔に集中してきた。擦られる場所から強い刺激が連続して襲って来て、たまらず頭を振っても、蘭ちゃんは許してくれない。襞の間を指が往復するたび、腰の辺りがムズムズとしてきた。

「…ぁ…っんん、ゃあ…っ」

自分でも出したことのない甘さを含む高い声が勝手に洩れて、唇を解放されても息苦しさは変わらない。頭の中が熱で埋め尽くされていく。その時、蘭ちゃんが上半身を起こして下へ移動したのが分かった。暗闇に慣れた目を蘭ちゃんに向けると、着ていたシャツを脱いだのか、細いのに筋肉質な胸元が視界に入った。前にも一瞬だけ見たことのある蘭ちゃんの体は、男を意識させるには十分だった。慌てて目を反らした時、腰を持ち上げられ、ドキっとする。

「何…」

と聞く間もなく、ショーツをするりと下ろされる。大事な部分を守っていた最後の一枚も脱がされた。とうとう体を隠すものがなくなった心細さは何とも言えないもので、今度は恥ずかしさよりも怖いという思いがこみ上げて来る。つい身を捩ろうとした私を制止するように、蘭ちゃんが太腿を押し広げながら、そこへ体を入れて来た。

「や…蘭ちゃん…?」
「見せて」
「え…なに…」

何をするのかと怖くなった時、左右に広げられた足の間に蘭ちゃんが顔を埋めたのが分かった。さっきまで散々指で弄ばれた敏感な部分に、ぬるりとした感触が走る。たまらず声が漏れた。

「…ひゃ…ぁっ」

ちゅうっという音をさせて吸い付かれたかと思えば、唇で襞を割り、舌先で形を確かめるようにゆっくりと舌が動く。その強すぎる刺激で全身がビクビクと跳ねた。

「ら…んちゃ…や…やめて…そんなとこ…ダメ…っ」
「でも濡れて来た…」

そう言われても何のことか考えられずに、私は無意識に腰を引こうとした。でも腕で抑えつけられ、逃げることも出来ない。

「逃げんな…を全部味わいたい…」

蘭ちゃんの熱い吐息が敏感な部分にかかり、何度も執拗に舐られる。一番敏感な部分を舌先でつつかれて、また吸い付かれると強烈な何かがそこから全身に広がった。

「…ぁ…っんんぁー…っ」

その甘い痺れは足のつま先まで駆け抜けて、頭が沸騰したのかと思うくらい熱が膨らんで、それが一気に弾けた気がした。次の瞬間には全身がぐったりとして気怠さが襲って来る。

「…イっただろ」
「…ぇ…?」
「イった時の、すげー可愛い」

呼吸を浅く早く繰り返す私を見て、蘭ちゃんが笑みを浮かべたのが分かった。イった、というのは話に聞くアレのことなのか自分ではあまり分からなかった。ただ強烈な感覚に襲われたのだけは分かる。

「な…なに…んんっ」
「すげー濡れて来たけど、このままじゃ痛いだろうから少し慣らさねえと」

一時の羞恥から解放されたと思ったのもつかの間、蘭ちゃんはまた私の足を押し広げると、舌先で敏感なところを舐め始めた。さっきよりも強烈な刺激を感じて、腰が僅かに跳ねる。

「やだ…なに…んぁぁっ」
「イったばっかだからすげー敏感になってんなぁ…可愛い」
「…ら、蘭ちゃ…ん…ひぁ…っ」

同じところを何度も舐め上げられてビクンと腰が浮きそうになった。でも次の瞬間、体の中に何かが入って来るのを感じて、ひゅっと息を吸った。少しずつ押し入ってくるそれが蘭ちゃんの指だと気づく。

「…ゃ…ぁ、ら…んちゃん」
「痛い…?」

そう聞かれて首を振った。痛いというほど痛くはない。でも少しだけヒリヒリする感じだった。それ以上に蘭ちゃんからの甘い刺激が強すぎて、そっちに意識を持って行かれる。蘭ちゃんはゆっくりと指を押し込んで中を解すように動かしだした。同時に敏感な場所を舌で優しく転がされると、初めて感じる中からの刺激と相まって、何とも言えない感覚が下半身に広がっていく。とろりとしたものがそこから流れたのが自分でも分かった。

「すげー溢れて来た…」
「…ゃ…あ…」

言葉の通り、蘭ちゃんが指を動かすたび、次第にくちゅくちゅと卑猥な音が響いてきて、それが自分の体から洩れているのだと思うと、恥ずかしくてたまらなくなった。その溢れたものを舐めとられるたび、そこが疼いておかしくなりそうだ。

「はー…も、無理」

蘭ちゃんは吐息交じりにぼそりと呟いて体を起こすと、私に覆いかぶさって来た。いつの間にか浮かんでいた目尻の涙もペロリと舐めてくれる。ゆっくり見上げると、蘭ちゃんの綺麗な瞳は初めて見るくらい熱っぽく揺れていた。

の全部が甘くて限界…挿れてい?」
「……っ」

その言葉を聞いて、気だるい体がまた緊張で強張る。蘭ちゃんは私の唇に触れるだけのキスを落とすと「やっぱ怖い?」と訊いて来た。正直に言えば凄く怖い。今されたことでも恥ずかしさと緊張ですでに限界なくらい疲れていた。でもここまでしてダメなんて言えないし、先延ばしにしたところで出す答えは同じだ。私は覚悟を決めて「大丈夫…」と何とか応えた。不意に蘭ちゃんが微笑んで、もう一度唇にキスを一つ。

「ほんとに初めてがオレでいいんだな」

上から見下ろす蘭ちゃんがあまりに艶っぽくて、体の刺激で齎されるものとはまた別に、背中がゾクリとする。

「蘭ちゃんがいい…」
「可愛いこと言うなよ」

今度こそ迷うことなくハッキリと応えた私に、蘭ちゃんは耳元に口付けると、真剣な声で好きだと言ってくれて。幸せすぎて泣きそうになった。