長い夜の始まりに-01

Love phantom

※性的描写あり。苦手な方はご注意下さい。




「…んんぅ、ぁ…っ」

あまりの息苦しさに思わず口を離せば、すぐに顎をつかまれて再び口内へそれを捻じ込まれた。乱暴に喉の奥を突かれると吐きそうになる。でもそんなことをしたら彼を怒らせるだけだから必死で我慢するしかない。

、もっとちゃんと咥えろって」

言われるがまま、狂暴なほど硬くなったそれに舌を這わせ、唇をきつく締めるようにしながら括れの部分を擦ると、彼は小さく呻いたようだった。

「だいぶ上手くなったじゃん…」

荒い呼吸の合間、彼はそう言いながら私の頭を撫でてくれる。行為は乱暴なのに手の動きは優しくて、それだけで胸の奥がキュっと鳴った。
両手を後ろで縛られているせいで自由が利かないけど、もっと褒められたくて、舌の柔らかい部分で先端を擦る。すると彼のモノがビクンと震えたのが分かった。

「あー…出そう…」

彼は吐息交じりで呟くと、セックスをしている時のように腰を揺らして抽送しながら私の口内を犯し始めた。奥を突かれるたび、また吐き気が襲ってきたけど、彼の両手で頭を固定されてるから逃げることも出来ない。とにかく喉に当たらないよう、必死で唇に力を入れて強く吸い上げた。その瞬間、彼のモノがビクビクと大きく震えた。

「イク…っ」

低く呻くような彼の声と一緒にどろりとした苦味のある液体が一気に口の中へ吐き出される。それをどうにか飲み込もうとしたけど、唇の合間からポタポタと垂れて、私の顎を濡らしていった。

「ハァ…ハァ…」

彼の口から荒い呼吸が漏れてるのを聞きながら、ゆっくりと口内で暴れていたモノを離す。私の唇と彼自身の間には粘液の糸が僅かに繋がっていた。
私は服も下着も乱され、半裸のまま両手を縛られた恥ずかしい恰好なのに、彼は未だにスーツを乱すこともなくキッチリと着込んでいる。なのに今まで繋がっていた部分だけが卑猥な色を残していた。

「ヤバ…気持ち良すぎ」

満足してくれたのか、彼がかすかに微笑むのが分かった。だけど一回出したところで彼が許してくれることはない。
未だ目の前にあるそれは、私の唾液で厭らしいほど濡らしながら硬さを保って勃っていた。彼の美しい外見とは裏腹に、それは狂暴で猛々しい姿をしている。

「ちゃんと飲んだー?」

伸びてきた綺麗な指先に顎を掴まれ、無理やり上を向かされる。部屋の照明で影ができて彼の表情は見えないけど、形のいい唇が残酷に歪んでいるのはわかった。
粘りのある精液はかなり飲みづらく、顎の疲労が残る状態じゃ尚更キツい。それでも何とか頷くと、彼はニヤリと笑った。

は嘘つきだよなァ?」

グイっと顎を持ち上げられた瞬間、口の中に残っていた液体をゴクリと飲み込まされる。これで飲んでいなかったことがバレてしまった。
恐々としながら視線を上げると、彼は薄く笑みを浮かべていた。またイジめられる。そんな予感がしてゾクリと背筋が寒くなった。彼は私が上手く飲めないことを分かっていながら、わざといつも口に出すのだ。

「ちゃんと全部飲めって、いつも言ってんじゃん」
「…ぁ…っ」
「ってか、さっきちょっと弄っただけでこんなに濡らしてんの?はエロいよなーマジで」

何の前触れもなく体を反転させられ、後ろから抱きしめられる。その体勢で前へ伸びてきた手が、すでに恥ずかしいほど濡れている場所へ触れた。スカートは捲り上がり、身に着けていた下着を剥ぎ取られた無防備なその場所へ、遠慮のない指が轟く。そのまま乱暴に掻き回されると、くちゅくちゅと恥ずかしいほど卑猥な音をたてた。さっき散々指と舌で弄られ、快楽の余韻を残してるせいだ。

「もしかしてオレの咥えながら感じてた?」
「ち、違…んぁ…っ」
「何も違わねえだろ?」

細く綺麗な指に、浅い一番気持ちのいいとこを強く擦られて、身体が意志とは関係なく震えてしまう。

「相変わらずのナカせま…。指、食いちぎられそう」

彼が愉しげに耳元で囁くから、またしてもゾクゾクとしたものが首筋に走った。

「頑張ったご褒美にイカせてやるからなー?」
「…ぁぁあッ…!」

私の耳殻をペロリと舐め上げ、淫靡な声で囁く。
同時に彼の指が何度もナカを擦り付けるように動くせいで、私は呆気なく絶頂を迎えた。

「かーわい」

グッタリと彼の腕にしなだれかかった私を抱きしめながら、彼――蘭さんが呟くのを、朦朧とした頭で聞いていた。
でもこれで終わりじゃなく、きっと始まりに過ぎない。長い夜を迎えようとしていた。
何故、こんなことになったんだろう。
何度考えても答えは出ない。
そもそも、蘭さんは私がバイトで入った会社の上司に当たる人だった。なのに――。
最初のキッカケはあの雨の夜。蘭さんの戯れから始まった。