Hisoka
※三角関係×ヒソカサイド(性的描写あり)



(飛行船、飛ぶかな…)

ヒソカに体を弄られながら、窓の外にチラチラと舞い降りる雪を見て、わたしはそんなことを考えていた。夕方の便でパドキア共和国へ行かなければならない。クリスマスに会う約束をした人がいるからだ。
ヒソカに抱かれる時、こんな風にわたしは別のことを考えることにしている。
この関係に、溺れてしまわないように。

「だいぶ女らしい体つきになったねぇ。腰は細いのにちゃんと出るとこは出てる。腹なんかこんなに薄いままなのに」

言いながら、ヒソカは胸を弄んでいた右手を下へ滑らせ、わたしの下腹部の更に奥を探った。その場所は二人分の体液でしっとりと濡れている。少し前にもヒソカに抱かれた名残だ。 いや、正確に言えば犯されたようなものだけど。
ヒソカの泊まる豪華なスイートルーム。キングサイズのベッドの上で、ヒソカはわたしを抱き寄せ、圧し掛かってくる。筋肉質な裸体を見上げながら、また犯されるのだと早々に覚悟を決めて、わたしは見下ろしてくるヒソカの視線から顔を背けた。

「…可愛いよ、

ヒソカはわたしの胸元へ顔を埋め、左側の乳首へ口付けた。たったそれだけで、散々貪られた体の熱が蘇って、下腹に向かって甘い疼きが走った。

「…はどこもかしこも甘いよねぇ。美味しい」

ちゅうっと音を立てて乳首を吸われ、右側のそれを指の腹で円を描くように撫でられ、刺激されるたび、わたしの口から艶のある喘ぎが漏れる。ツンと主張した先を赤い舌先でちろちろと舐られて、思わず背中を反らせてのけ反った。
ひとしきり胸を堪能すると、ヒソカは再び背後から抱きしめてくる。支配欲が煽られるのか、ヒソカはこの体勢が好きらしい。

「あ…ん…っ」

背後から前へ手を回され、陰部を弄られる間、腰のあたりに質量のある硬いモノが押しつけられる。さっきもしたばかりだというのに、ヒソカのそこは最初の時と同じくらいに硬い。

「ここも素直になったねえ、随分と」

割れ目を行き来していた指が、上の主張してきた部分を撫でてきて、その強い刺激にまたビクリと体が反応した。先ほどからの執拗な淫行で濡れているそこは、指の動きをいっそう滑らかにするようだ。ぬるぬると擦られるたび、子宮の奥が疼いてまたはしたない声が漏れてしまった。

「ヒソカ…ダ…メ…」
「でも気持ちいいんだろう?こんなに膨らませて」

普段は平気で他人を嬲り殺せる男が、わたしに触れる時だけは甘い声で話すのだから不思議だ。煽る言葉さえ、どこか優しさを感じるなんて。

「ほら…ボクに触られて喜んでるよ」
「ぁ…っ…い…ゃあ…」

剥き出しにされた芽を指で弄り回されて、ビクビクと腰が跳ねてしまう。わたしは思わずシーツに顔を押し付け、必死に漏れる声を殺した。

「ここを弄るとナカもどんどん溢れてくるねぇ」

ヒソカは嬉しそうに言いながら、芽を捏ねくり、花弁の奥へと細く長い指を埋め込んでいく。絶え間なく襲う快楽に、息が乱れ、体が一気に熱量を増した。

(しつこくされたら…イっちゃいそう…っ)

二本に増やされた指でナカを掻きまわされ、奥を何度も突かれると、抗議にもならない喘ぎ声が出るだけだ。ヒソカはこうして自分の記憶をわたしの体に刻みつけてる。芽を擦られるたび、指の埋まった場所が震えた。まるでもっとしてくれとでも強請るような淫らな収縮を、ヒソカは悦んでいるようだ。さっきからわたしの腰に押つけられた狂暴な雄が、更にぐっと頭を擡げ始めた。

「…んあ…イ…イっちゃ…う…」
「いいよ。何度でもイってくれて構わない」

ヒソカは唇に妖しく弧を描き、指の動きを速めてくる。外とナカを同時に弄られ、わたしは呆気なく絶頂を迎えた。同時に彼のモノが入口に押し当てられる。

「ま…待っ…て…まだ…」
「イってる時に挿れるのがいいんだ」

ヒソカは耳元でそう囁くと、強引に欲望の塊を濡れてぐずぐずの場所へ押し当てた。

「あ…っんん…っ」

絶頂による震えの止まらないナカへ、太くて硬いモノが入ってくる。最初の時も同じようにされて、わたしは痛みを感じなかった。一晩かけてじっくりと蕩かされたナカは、わたしの意志とは違うところで焦れていたようだ。

「あ…ぁあ…っ」

ぐぐっと後ろから根元まで押し込まれ、背中が反りかえる。初めてヒソカに犯された時も、同じような感覚になったことを思いだした。
わたしとヒソカは幼少を同じ場所で過ごしたことのある、言ってみれば幼馴染のような関係だった。ヒソカの異常性を知りながら、わたしは彼を慕い、どこに行くにも付いて行くような子供で、そんなわたしをヒソカも大切に守ってくれた。その関係がおかしくなったのは、初めて出来たボーイフレンドを、ヒソカに殺された時だ。

――ボク以外の男は信用しちゃダメだよ。

優しい声色で言ったヒソカは、急に豹変してわたしを押し倒した。今思えば殺しの後で興奮していたんだと思う。
あの時は酷かった。三日三晩監禁されて、処女だった体を貪りつくされた。
あれから二年。今もわたしはヒソカとの関係を続けている。それはわたしもヒソカのことを大事に想っているからに他ならない。
だけど――ヒソカに紹介されたイルミにも、わたしは惹かれてしまった。彼もまた、ヒソカに蹂躙されているわたしの何かを気に入ってくれたらしい。わたしはヒソカに内緒でイルミとも会うようになった。バレたらどうなるのか分からないし、ヒリヒリした関係かもしれない。でも、ヒソカとイルミ。どちらも愛しいと思うのは抑えられないのだから、わたしもつくづく欲深い女だと思う。

「ああ…いいよ…凄く気持ちいい…」

腰を止めたヒソカは、愉悦な表情でわたしのナカを味わっているようだ。

「先っぽに吸い付いてくる感じがたまらないんだよ、は」
「や…ぁ…動かないで…っ」
「それは無理だよ。気持ち良すぎてさ」
「あ…ぁあ…っ」

再び抽送を再開したヒソカはゆっくりとナカを擦りながら、恍惚の表情を浮かべている。でも少しずつ腰の動きが速まり、わたしを更に追い詰めようとしてきた。ヒソカが動くたび、ベッドのスプリングがギシギシとかすかに軋んで、粘液の絡み合う音がわたしの鼓膜を刺激する。互いの激しい息遣い。自分じゃないような甘ったるい嬌声。頭が浮かされるように熱くて、脳が沸騰しかけてるようだ。

「あー…っぁあ…っ」

パンパンっと肌のぶつかる音と共に激しい動きの後、熱いモノをどくどくと注がれて、目の前が白く弾け飛んだ。ヒソカは余韻を味わうように動きを止めて、互いに快楽の残滓を味わう。わたしも息が切れ切れで、言葉を発する力もなかった。

(ずっとこのまま繋がって溶け合いたい…)

ふとそんな思いが胸に過ぎる。ヒソカがどう思っているのかは知らない。彼の言動は歪んでいて、どちらかと言えば支配的だ。それはどこかイルミと似ている。

(結局…わたしは似たような男に惹かれてしまう運命なのかな…)

自分の愚かさに苦笑が漏れる。ヒソカとは違う優しさをくれるイルミもまた、愛しく感じるのだから困ってしまう。こんなこと、ヒソカに知られたら二人は今までのような関係でいられなくなるかもしれない。いや、ヒソカのことだから、すでに知っているということもあり得る。

「…ん…」

ヒソカの体がようやく離れて、ナカから引き抜かれる感触にさえ、体が感じてしまう。その時、かすかに震えた体を反転させられ、やっとヒソカと向き合うことが出来た。言葉を交わすことなく唇を塞がれ、舌を絡みとられる。その行動は、何か話したいことがあるのに、それを避けているようにもとれた。
キスを交わしながら、わたしはヒソカの指に自分の指を絡めた。そっと繊細な指先を撫でると、それに応じてヒソカのキスも優しくなる。胸に秘めた想いを、言葉ではなく指先で伝え合った。
もしわたしの不貞がバレた時は、この手で殺して欲しいと願いながら。


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