Chapter.16 証明~大人になったら~                   Only you can love me...






僕、ルパート・グリント15歳。
只今、ハリー・ポッターに出演中。


いやぁ、この前の大雨の一件の後は凄かったね。
何が凄かったって、ダンのルシーナへの態度さ!
大雨で撮影が中止になり、僕らは早々にホテルに戻った。
ダンも雨に濡れたを着替えさえ(トレーラーで何をしてたんだか!)気遣うように一緒に戻って来たんだけど、
そこへ何も知らないルシーナが、


「あら、ってばびしょ濡れじゃない。大丈夫?」


なんて、わざとらしい笑顔を見せた瞬間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダンがキレた――――!







でも切れたと言っても怒鳴ったりしたわけじゃない。
周りにスタッフだっているし、あんなホテルのロビーでケンカを始めるほど、ダンはバカじゃないからね。
まあ、相手がいくらムカつく相手でも一応は女の子。
ダンも、その辺を考慮して、最も分かりやすい形でルシーナを遠ざけた。




「ああ、ルシーナ。勘違いしてるようだから言っておくけど、は全くトムには気がないから、あまり彼に変なこと言うなよ?」



その言葉を言われた時のルシーナの顔と言ったら!
今、思い出しても噴出しそうになっちゃうよ!
でも、僕が噴出す前に、ルシーナが引きつりながらも、


「ど、どういうこと?」


とダンに問い掛けた。


するとダンは、あの世界中の老若男女を騙している(!)営業用スマイル満開で、



は僕と付き合ってるからさ」


とサラリと言って、の肩を抱き寄せたんだ!
その時のルシーナの顔ったら!さっき以上に笑えるんだ。
一瞬で眉が吊り上がった顔を皆にもお見せしたいね!


その後ルシーナは顔を真っ赤にしながら、


「・・・そ、そ、そうなの。ごめんなさいねっ?勘違いしててっ」


という捨てゼリフを残し、その場から逃げるように立ち去った。
そのルシーナのうろたえぶりに笑いながら僕とエマは思わずはしゃいでハイタッチなんてしちゃったよ!
でも、その後がもっと大変だった。
その場にいたのは何もルシーナや僕たちだけじゃない。
当然、一緒に戻って来たスタッフや、他の共演者だっていたんだ。
皆はダンの、"と僕は付き合ってます宣言"に歓喜の如く声を張り上げて、一斉に冷やかし始めた。





"ヒュ~~♪♪やっぱりな~!そういう事だと思ったよ、ダン~!!"


とか、


"お似合いだよ!大事にしろよ?!"


とかね。



それにはダンも、まんざらでもなさそうな顔で、真っ赤になってたの耳元で何かを囁いたりしてたんだけど、
(早速見せ付けてくれるよ・・・)


しか~し!最後にロバートの無謀な一言で一瞬にして鬼のような顔をになった(!)




"ベッドで愛を確かめ合う時は、まず俺のとこに相談に来いよ~う?!手取り足取り(!)指導してやるからなぁ~?"



というロバートのセクハラ発言とも取れる言葉に真っ赤になって怒り出したんだ。


まあ、これはロバートも他のスタッフからも殴られたんだけど、ダンも本気で蹴ってたっけ。
ホテルのロビーには、ロバートの、"うぉ!"とか、"ぁぃたぁ!"とか、"ぐぉ・・・っ"という変な声が響き渡っていたけどね。
だから暫く、その場で大騒ぎだったんだけど、は真っ赤になってエマにしがみついちゃうし、それをダンは必死に慰めてるし、
僕らは僕らでスタッフと一緒に、"静かにして下さい!"な~んてホテルの支配人に、ガッツリ怒られるしで、ちょっと大変だったんだけどさ。


まあ、それでも、やっとダンとも公認の仲になった事で、残りのロケも平穏無事に終わったんだ。
あ、因みにルシーナは次の日、他の仕事が入ったとかで先に帰っちゃったって事だけは付け加えておこうかな♪
ま、彼女はエキストラなんだし、いなくなっても支障も出なかったしね。


それで今、僕は何をしてるのかというと・・・・・・・・・・・・・・・





「ダン、あれタヌキ寝入りじゃない?」
「エマも、そう思う?僕も絶対、そう思うんだ.・・・。くそぅ・・・羨ましいな・・・(!)」
「ちょっとルパート?あんた、諦めたんでしょ?」
「ぃてて・・・。突付くなよ、エマ・・・。そりゃ諦めたけどさぁ・・・。みたいに可愛らすぃ~子なんて滅多にいないんだし、
今でも僕のアイドルに変わりはないよ」
「ふぅ~ん。ま、今の台詞、後でダンに伝えておくわ?」
「バ・・・それだけは言うなよ?!僕がダンに絞殺されてもいいのか?!(そりゃ事件です)」
「あーら。絞殺されるだけなら、まだいいんじゃない?(!)その後、証拠隠滅で、どっかの山に埋められるかもよ?」(うぉい)
「エマァ~~それじゃ、どっちにしろ僕の命はないってことじゃないかぁ~・・・っ」
「ま、ダンの愛しいに、ちょっかい出したら、それくらい当たり前なんじゃないかしら?オホホホ~♪」


そのエマの言葉に僕は一瞬で恐ろしくなってしまった。
そして未だ、の肩に寄りかかるようにして寝ているダンへと視線を戻す。


ったくぅ・・・ダンの奴、俺を殺す気か?!(被害妄想)
まあ、確かに、あの姿を見てもダンがにベッタ惚れしてるってのは分かりすぎるくらいに分かるけどさあ・・・
でも、ちょーっとくっつきすぎなんでない?


僕はジトォ~っとした目つきでスヤスヤ眠っている(絶対タヌキだ、タヌキ!顔もタヌキ顔だ、ダンは!)ダンを見た。
一見、の肩に寄りかかってるだけのように見えるけど、よぉーく見てみると、ダンはの腰に右手を回し抱きしめるようにして寝てるんだ。
もちろん左手はのお腹にまわしてるという念の入れよう。
何だか寝てる間も(絶対タヌキだと思うけど)"誰にも渡さないオ-ラ"が出てるようだ。
いや、もしかしたらダンはロバートと同じくらいスケベなのかもしれないな・・・(!!)


そうそう。因みに、今は車の中。
10日間のロケもやっと終わり、ロケ現場だった郊外からロンドン市内に戻る途中ってわけさ。
運転手は、もちろん天性のセクハラ男、ロバート・フェリス、26歳。(因みに恋人いない歴1年。職業、ハリー・ポッター製作、美術スタッフ)




「おい、そろそろ市内に入るけど、誰を最初に送ればいいんだ?」


そのロバートがバックミラー越しに聞いてきた。
それには僕とエマは顔を見合わせつつ、


でしょ、やっぱり。一番、近いし」
「だね。それでいい?」


と二人でを見る。
すると彼女は真っ赤な顔のまま小さく頷く。
そう、さっきから静かにしてるけど、は別に寝てるわけじゃない。
ダンのスケベ行為(!)で恥ずかしそうにしながらも、起こしちゃいけないと思ってるのか、ジィっと動かないでいただけだ。
そんな健気なが可愛いなあ、ちくしょう!と思いつつ、僕は前に少しだけ体を乗り出した。


「ロバート、の家に先に行ってくれる?」
「アイアイサー」


ロバートは能天気に返事をすると、すぐにハンドルを切っての家の方向に向う。
少し走ると、すぐにの家が見えて来た。


「あ、そこで止めて」
「はいよ」


エマの言葉にロバートが車を道路の脇に止める。


、ついたよ?」
「・・・う、うん・・・・・・」


はやっと顔を上げて動こうとした。
だけど、すぐに困ったような顔で、俯いてしまう。


「ああ、ダンなんて気にしないで起こしちゃいなさいよ」
「で、でも疲れてるみたいだし・・・・・・」
「いいわよ。どうせ今日は、この後ゆっくり休めるんだから。 ―ちょっとダン!起きなさいよ!が下りられないでしょ?!」


エマは、こういう時、一番強い。
の困った顔を見て、すぐに立ち上がると、ダンの頭をペシっと殴っているんだから!(ある意味、尊敬する)


「ちょ・・・エマ・・・・・・」
「いいのよ、これくらい。ほら、ダン?!」
「・・・・・・んぅん・・・・・・」


ゆっさゆっさと揺さぶられ、ダンがやっと少しだけ頭を動かした。
だが、それはダンを起こすほどのものじゃなく、逆にの肩越し・・・と言うよりも首筋に顔を埋めただけだった!


「キャ・・・ダン・・・?」


案の定、は真っ赤になりつつ驚いて体を動かすが、ダンがガッチリと腕をまわしているので、それほど動けない。
それを見たエマの顔は・・・・・・とても言葉では言い表せないほど恐ろしいものなので描写は遠慮しておこう・・・(!)



「ちょっーっとダン!早く起きなさいよ!つか起きてるんでしょ?!」


エマはそう言うや否や、ダンの頭をガシっと鷲掴みにして、から一気に引き剥がした(!)(怖いよ、ママン・・・!)
何だかベリっと音がしそうな勢いで、から剥がされたダンは相当痛かったのか、
顔を顰めて目を開けた。(どうやらタヌキではなくマジ爆睡だったようだ)


「ぃたた・・・っっ!」
「・・・ダ、ダン、大丈夫・・・っ?」


痛がりながら体を起こしたダンに、はやはり心配なのか、顔を覗き込むようにして問いかけた。
すると何の痛みで起こされたのか気付いていないダンは、起きた瞬間に見えた愛しい彼女の顔に、嬉しそうな笑顔を見せる。


「おはよ、・・・」
「お、おはよ・・・・・・」
「おあようじゃないわ、ダン」
「・・・・・・ぁれ?エマ・・・・・・いたの?」
「いるわよ!一緒に車に乗ったでしょーが!」


ダンの寝ぼけてるのか、はたまた本気なのか、よく分からない発言に再びキレるエマ。
だがダンはキョロキョロ車内を見渡し、


「ああ、そっか・・・。俺、今、と一緒にホテルの部屋で映画見てる夢見てたから、まだ部屋かと思ったよ」


とあっけらかーんと言い放った。
そして窓の外を見て、の家についたと分かると、すぐに立ち上がる。


「あ、ついたんだね。じゃあ、僕もここで降りるよ」
「え?」


そのダンの言葉に驚いたのはだった。(僕らはダンがそうするって分かってたもんね)


「ダン・・・?」
「ほら、の両親に挨拶するって約束したろ?」
「あ・・・・・・」


少し驚き気味のに、ダンがそう言うと、彼女は思い出したように頬を赤くした。(くぅぅ、可愛いなぁぁ・・・・・・っ)


「で、でも・・・・・・今?」
「うん。あ、嫌?」
「い、嫌じゃないけど・・・・・・」
「じゃあ行こ?」


ダンはニッコリ微笑むと、のバッグと自分のバッグを同時に持って、車を降りていく。
その後からも慌ててついて行った。


「ダン~もしかして、"娘さんを僕に下さい!"なんて言う気じゃないだろうなぁ?」


ダンが下りた時、ロバートが窓を開けて、そんな事を言った。
だがダンは顔を顰めつつ、


「そんなの、まだ早いだろ?」


と呆れたように呟いた。
その発言にロバートはキラリと目を輝かせる。


「ん?早いって事は、じゃあ、いつかは言いに行く気だな?!
あ、でも、だったら、その前に婚前交渉して体の相性を確めてから・・・・・・っ


「そーんなこと言うのは、この口が悪いのかな?ロバート・・・」


言わなきゃいいのに、と思うような発言をしたロバートの首に、ダンが思い切り手をかけ、絞めているのを見て僕とエマは固まった(!)


うぉ!ダンの奴、マジ絞殺する気か?!そりゃ殺人だろ?!



ぇぇ・・・ず、ずみばぜん・・・。もぉ言わないでふ・・・っ」


「そうしてくれる? "僕の"は凄くシャイなんだ。そんなジョークは通じないよ?」


「ァ、ァイァイサァ・・・・・・」


ロバートが、やっとの思いで、そう呟けば、ダンもすぐに手を離す。
そして赤い顔のまま俯いていたには優しく微笑むと、


「じゃ、行こうか」


と声をかけている。
今の今まで人を殺そうとしてた奴(!)には、とても見えない。
それにはエマも僕も、今後、ダンをからかうのはやめようかな・・・と考えていた。


「あ、あの・・・じゃあエマ、ルパート・・・。またね?」
「う、うん、またね!
「メールするわ?今日はゆっくり休んで」
「うん。ありがとう、じゃあ・・・」
「じゃーね、皆!また明日スタジオで」


とダンは僕らに、そう言って手を振ると、二人仲良く歩いて行ってしまった。


「はぁ・・・いいなぁ・・・・・・」
「ほーんとお似合いよね?でも今回のロケは思ってもみない展開だったわぁ♪あのダンが、あそこまで女の子に入れ込んじゃうとこ見れたし!」
「ああ、全くだ・・・ゴホ・・・っ」


未だ苦しいのか、ロバートも首を擦りつつ苦笑いしている。


「ま、これでダンの演技にも艶が出るかもなぁ~。演じる者は恋をすると、それが演技に出て来るって言うし」
「へぇ、そうなの?」
「ああ。だからエマも、どんどん、いい男捕まえて恋をした方がいいぞぉ~?そしたら、もーっと奇麗になるからなっ」
「そうなの?じゃあ、ダンとのこと羨ましがってる場合じゃないわねっ。私も恋しなくちゃ!」
「ああ、そうしろ!何なら俺が相手になってやってもいいけどな!」


「「・・・・・・・・・・・・・・・」」



そこで暫しの沈黙の後。
静寂を破ったのは、僕の一言だった。




「・・・・・・・・・・・・・・・ロバート・・・ロリコン・・・・・・?」


「・・・・・・・・・んな・・・・・・っっ?!」




僕の怯えたような言葉に、ロバートはギョッとしたように目を剥き、エマは半分呆れながら、



「私・・・・・・・・もっと渋くて大人な男性が好ましいわ?」



とツラっと言っていたのが印象的だった・・・。













、疲れた?」


家の前まで来た時、ダンが優しく頭を撫でながら聞いてきた。


「ううん。平気よ?」


私が笑顔で首を振ると、ダンは持ってたバッグを一旦、置いて、そっと私を抱き寄せた。


「・・・・・・ダン・・・?どうしたの・・・?」


家の前で抱きしめられ、私はドキドキしながら体を動かした。
すると少しだけ体を離したダンは、私の顔を優しい瞳で見つめている。


「どうもしないよ?ちょっと抱きしめたかっただけ」
「.・・・・・・・・・・・・っ」
「あ~また赤くなってる・・・」


ダンはクスクス笑いながら、赤くなった私の頬に手を添えると、そっと引き寄せ、触れるだけのキスをしてくれた。
そして、そのままコツンと額を合わせると、鼻と鼻をくっつけて不安げな顔をする。


の両親に・・・・・・反対されたりしないかな・・・・・・?」
「・・・・・・そんなこと・・・。きっと逆に大喜びしちゃうかも・・・・・・」
「そう・・・?」
「ぅん・・・ダンのこと凄く気に入ってるし、迷惑かけちゃうかも・・・・・ひゃ・・・っ」


そう言いかけた時、ダンに強く抱きしめられた。


「そんな迷惑なら大歓迎だよ」
「ダン・・・」


ダンの言葉が嬉しくて少し顔を上げると、すぐに唇を塞がれ、体中が震えるくらいドキっとした。
それが彼にも伝わったのか、ゆっくり唇を離すと、心配そうに、


「・・・寒い・・・・・・?」


なんて聞いてくる。
こんな時にまで心配してくれる優しいダンに、私は胸がいっぱいになった。


「ううん・・・・・・ダンがいるから寒くないよ・・・?」


今の気持ちを精一杯、口にしてみれば、ダンは嬉しそうに微笑んでくれる。


「・・・じゃあ、行こうか」
「うん」


そこでダンは私を名残惜しげに離すと、


「ほんとは・・・このまま攫って行っちゃいたいとこなんだけど・・・」


と小さな声で呟いた。
その言葉には驚いて、ダンを見上げると、彼は照れくさそうに舌を出し、


「なんてね。まだ早いよね」


と苦笑している。


それだけで涙が出そうになり、慌てて顔を反らし、家の門を開け、中に入った。


のパパ、帰ってるかな?」
「ま、まだだと思う・・・。きっと夜の7時には・・・」


何とかドキドキを押えながら答えて家のチャイムを鳴らした。


「は~い」


すぐに、お母さんの声が聞こえて来て、今度は別の意味でドキドキしてくる。


そ、そうだ・・・今からダンが、お母さんに挨拶するのよね…
ちょっと忘れそうになっちゃったよ・・・
もう・・・いつもダンにドキドキさせられっぱなしだな・・・


そう思いながらチラっと隣にいるダンを見れば、彼も私を見ている。
それには鼓動が一段と早くなり、すぐに反らそうとした時・・・・・・







チュッ



「・・・・・・っっ」


不意のキスに固まってしまった。
そんな私を見て、ダンはちょっと笑うと、


「中に入れば出来ないからさ」


と澄ました顔で呟いた。


「な・・・・・・」
「あら、お帰り、!」
「・・・・・・っ」


そこに、お母さんが顔を出し、私はダンに言いかけた言葉を飲む込む。


「まあ、ハリーくんも一緒なの?もう!それならそれで電話くれればいいのに!」
「今晩わ」


ダンを見て大騒ぎしている、お母さんにダンは笑顔で挨拶をしている。


「今晩わ!を送って来てくれて、ありがとう。どうぞ入って入って?」
「はい、お邪魔します」


まだ半分、固まった私を残し、お母さんはダンを家の中へいれる。
そして立ったままの私に気付き、


?どうしたの?顔が真っ赤よ?」


と首を傾げた。
これにはドキっとしつつも首を振り、


「な、何でもない・・・・・・っ」


と言って私も家に入る。


「変な子ねぇ。風邪でも引いた?」


とお母さんは訝しげな顔。
ダンは、ちょっとだけ笑いを噛み殺しているようだ。
その時、勢いよくリビングのドアが開き、誰かが飛び出してきた。


「おぉ!、ハリーくんまで!お帰り!」
「お、お父さん?!」
「あ・・・今晩わ」


てっきり、まだ会社にいるもんだと思っていた、お父さんが出てきて、私は凄く驚いた。


「いやぁ、よく来てくれた!ささ、どうぞ中へ!」
「じゃあ・・・・・・お邪魔します」


ダンが一緒だったのが、相当嬉しいのか、お父さんは私を無視して、さっさとダンをリビングに連れて行ってしまった。


「もう・・・お父さんったら何で、この時間に家にいるの?」


私は少し口を尖らせ、お母さんを見る。
すると、お母さんはクスクス笑いながら私の肩を抱く。


「今日はちょっと早かったのよ。それにが帰って来るからって言って急いで帰って来たみたい」
「ふ~ん・・・。まぁ・・・いてくれて良かったけど・・・」
「え?どうして?」
「あ・・・な、何でもない・・・」
「?」


私は笑って誤魔化すと、急いでリビングに入った。
見ればダンはソファに座らされ、お父さんのはしゃぎっぷりに笑顔で答えている。



「ちょっと、お父さん・・・。ダン、疲れてるんだから、あまりハイテンションで話しかけないでよ・・・」
「おっと、そうだったな!ロケから帰って来たばかりなんだよなっ。いやぁ、すまないね?ハリーくん」
「いえ・・・」


相変わらずの、お父さんに、ダンはちょっと笑いながら首を振った。
そこで、お父さんもやっと落ち着いたのか、向かいのソファに腰をかけると、お母さんに紅茶を頼んでいる。
私は少し緊張しつつも、どこに座ろうと考えた結果、やっぱり話の内容が内容だし・・・と、ダンの隣へ座った。
そんな私を見て、すでに、お父さんはニコニ・・・もとい・・・ニヤニヤしている。


「で、ロケはどうだった?
「・・・・・・凄く楽しかったわ?」
「そうかぁ~!羨ましいぞ!出来れば私も一緒に行きたかった、うんっ」
「今度、是非、と一緒に来て下さい」
「な、何だって?行っていいのかい?!」
「ええ、もちろんです」


お父さんにまで、優しいダンに、私は、やっぱり素適な人だな・・・と思っていると、そこへお母さんが紅茶を運んで来た。



「はい、ハリーくん」
「あ、ありがとう御座います」


未だ、ダンの事を、"ハリーくん"などと呼ぶ、お母さんに、私は呆れながらも紅茶を口に運んだ。
隣のダンも静かに紅茶を飲んでいたが、ふとカップを置いて、お父さんと、その隣に座った、お母さんの方を見た。


「あの・・・今日は、お二人に話があったので、こうして寄らせて頂きました」
「・・・・・・っ」


(ま、まだ心の準備が出来てない・・・・・・っ)


突然、切り出したダンに私はドキっとして顔を上げると、お父さんとお母さんは何事かと顔を見合わせている。
そして先に口を開いたのは、お母さんの方だった。


「話って何の・・・・・・?」


いつもと変わらず、ニコニコしながらダンの方を見ている。
私は緊張のあまり、ジットリ汗をかいた手を膝の上で握りしめた。
そこでダンが静かに口を開く。


「僕と・・・・・・・・・・・・さんの事で・・・・・・」


(い、言っちゃった・・・・・・っ)


今の私は心臓が口から出そうなほどに鼓動が激しくなり息苦しさを感じていた。
そぉっと目の前の両親を見れば、ダンの言葉で、更にキョトンとした顔のまま、黙って私とダンを交互に見ている。


と・・・・・・ハリーくんの事と・・・・・・言うと・・・・・・それは・・・・・・一体、どういう事かな?」


今度はお父さんが確認するように聞いてきた。
それにはダンも真っ直ぐに、お父さんを見て、


「僕はさんの事が好きです。だから、彼女と付き合う事を認めて頂きたいんです」


とハッキリ言った。
それには私の顔の熱が一気に上がる。
お父さんと、お母さんも例外ではないようで、暫くポカンとした顔をしていたが、急に二人の顔が赤くなり、アタフタし出した。


「な・・・・・・何だって?おい、今の聞いたかっ?」
「え、ええ・・・っ」
「あのハリーがの事を好きだと言ったぞ?!」
「ええ、しっかり聞いたわ?ど、どうしましょ・・・っ」


今度は私とダンがポカンとする番だった。
二人は、相当、驚いたのかソファから立ち上がったり座ったりを交互にくり返し、


「ど、どうする?つ、付き合うって事はだな・・・。えっと・・・二人は、あれか!こ、恋人同士とかになっちゃうって事か?!」
「そ、そうよ!カップル成立って事よ!(?)」


いったい、どんな番組を見てるの、お母さん・・・と呆れつつ、ちょっと恥ずかしくなって私はソファから立ち上がった。


「ちょっと二人とも、少し落ち着いてよ!」
「こ、こ、これがおち、落ち着いていられるかっ」
「そ、そうよ?我が家、始まって以来の大事件だわ?!(!)」
「ちょ・・・じ、事件って、そんな大げさな・・・・・・」


私が溜息交じりで呟くと、お母さんは怖い顔で立ち上がった。


「じ、事件じゃないのっ!一人娘が初めて男の子と、こ、交際するのよ?!これが事件じゃなくて、どれが事件なの?!」
「そ、そうだぞ?!これは事件だ・・・!ど、どこに通報すれば・・・っ(?!)」


お父さんも相当、慌てているのか、意味不明な事を口にして、リビングをウロウロしだした。
それを見て私とダンは顔を見合わせる。
ダンは両親を怒らせたかと勘違いしたのか、かなり不安げな表情だ。
だが思い切ったように、ダンも立ち上がると、再び二人に声をかけた。


「あ、あの・・・っ」
「な、何だい?ハリーくんっ」


興奮したように振り返った父を見て、ダンは一瞬、怯んだが、軽く咳払いをすると、


「それは・・・僕との交際を反対していると言う事でしょうか・・・?」



と冷静に問い掛けた。
この辺、さすが子供の頃から大人と一緒に仕事をしているだけあるな、と私は驚いてしまう。
どっちかと言えば、お父さん達の方が冷静じゃないのだから。
だが、二人はダンの問いかけに再び、顔を見合わせると、突然、お父さんがダンの方に歩み寄った。


「お父さん・・・?!」





ツカツカ・・・っと歩いて来た父を見て、まさかダンのこと殴る気じゃ・・・と慌てて止めようとした、その時―――











「何を言ってるんだ!そんな反対なんてするはずないだろう!」







「うぁ・・・っ」







「!!!」


















父は、そう言った瞬間、思い切りダンに抱きついた。


そりゃ、もうガバっと。


抱きつかれたダンも、さすがに驚いて後ろにのけぞっている。





「いやぁぁ!生きてて良かった!(?)自分の娘が、こんな男前、しかもハリーくんを射止めたんだからなっアハハハ!」


バン!



「・・・ぅっ」




父に背中をバンっと叩かれ、ダンは苦しそうな声を上げたが、それでも嬉しかったのか顔は笑顔に戻っている。
そこに、お母さんも、やっと落ち着いたのか笑顔で歩いて来ると、


「ほんとねぇ。でも私、こうなるんじゃないかなぁって思ってたわ?良かったわね?


と言って私を抱きしめた。
それには、さすがに恥ずかしくなってくる。
だいたい娘にボーイフレンドが出来て、ここまで喜ぶ親も珍しい。


「あの・・・じゃあ・・・さんとの交際を認めてくださるという事ですか?」
「YES!Of Course!反対する理由など全くもって、なぁぁいっ!!アッハッハ!
この前電話でも言ったように、どーぞ貰ってやってくれ!」
「はぁ?!」


お父さんの言葉に驚いて思わず、顔を向けると、ダンも嬉しそうに、


「じゃあ、お言葉に甘えて」



なんて言っている!
しかもお母さんまでが、


「キャ♪じゃあハリーくんが息子になってくれるの?!」


と、素っとん狂な事を言い出し、私は顔が真っ赤になってしまった。


「ちょ、ちょっと、お父さん、お母さん!ダンは、そんな事を言ってるんじゃ・・・・・・・・・・・・・・・っ」
「何?そうじゃないのか?じゃあ何の話なんだ?」
「だ、だから貰うとか、あげるとか、そんな大げさな話じゃなくて、ただ付き合う事を認めて・・・・・・」
「いいよ、
「ダン・・・?」


私の言葉を遮るように、ダンが優しく手を握ってきた。


「いいって、だって・・・」
「いいんだ。ほら、今から了解してもらえれば将来、もう一度、"を下さい"って頼むことなくなるだろ?」
「・・・・・・ぇ?!」


その言葉に心底、驚いて顔を上げれば、そこには、ちょっと得意げなダンの顔。
そして、お父さんも、お母さんも嬉しそうにニコニコしながら、


「お、おい、今夜はお祝いだな!ちょっと赤飯でも焚いてくれっ」


なんて言いだした!
それには呆れ果てたが、お母さんまでが、


「そ、そうね!ご飯炊いちゃったけど、今からピンクにするわ!」


などと、到底、無理な事を言い出しキッチンへと走って行く。



「ちょっと、お父さん・・・もう大げさなことやめてよね・・・・・・・・・・・・・・・?」
「何でだ?めでたいんだから、いいじゃないか!ハリーくんが私の息子になるんだぞ?!明日、会社に行って自慢しないと・・!」
「ちょ、それだけはダメ!!!」
「・・・・・・・・・な、何でだ?」



父の言葉に驚き、慌てて怒鳴ると、何だか悲しげな顔で見てくる。
そんな父の前に立って、


「ダンとの事は誰にも話さないで。お願いだから」


と真剣な顔で言った。
父は一瞬、悲しげな顔をしたが、ダンの方をチラっと見ると軽く溜息をつく。



「分かったよ・・・。誰にも言わないよ・・・。ハリーくんに迷惑がかかるんだろ・・・?」
「そういう事!絶対よ?」
「・・・・・・はぃ」


怖い顔で、そう言えば父もシュンとしたように素直に頷く。
すると後ろで見ていたダンがクスクス笑い出した。


って家では凄くシッカリしてるんだね?」
「え・・・・・・?」
「僕の前だと、守ってあげなくちゃって思うくらい、か弱そうなんだけど」
「・・・・・・っっ」


ダンに、そう言われて、つい両親の前だと、いつもの調子でやってしまった事に気付き恥ずかしくなった。
そこに父がニヤ~っとしながら口を挟む。


「いや、ハリーくん、は本当に、か弱いから常に守ってあげてくれないとねっ」
「え?あ・・・・・・はい。もちろん、そのつもりです」
「そ、そうか!いや~!出来た息子を持てて幸せだよ、私は!」
「お父さん!!何、勝手に息子だなんて・・・・・・っ。!ダ、ダンも、そんなこと言って・・・・・・・・っ」


勝手にダンの事を息子と呼んでる父と、その父のノリに合わせているダンを、私は軽く睨みつつ口を挟むも無駄に終わった。
二人は、すっかり意気投合し、


「今夜は、一緒に夕飯を食べて行ってくれ。未来の息子よっ」
「いいんですか?お養父さん」


なーんて楽しそうに会話をしている。
その光景が、ほんとに未来にありそうで、私は何とも言えない気持ちになった。


万が一、もしも、だけど・・・・・私とダンが結婚したとして、
その時でもきっとダンが、お父さんより一枚も二枚も上手なんだろうなぁ・・・・・・なんて思ったら、ちょっとだけ笑えた。




でも・・・・・・そうなったらいいなって・・・・・・思った事は、ダンには内緒・・・―――













「ご馳走様でした」
「いいえ、また来てね?私、腕によりかけちゃうから」
「ほんとですか?じゃあオフに入ったら、ほんとに来ちゃおうかな?」
「おぉう!是非、泊まりに来い、息子よっ」
「ちょ・・・・・・お父さん!何言ってるの?酔っ払い!」
「何だよ、~~・・・・・・お父さん悲しいぞぉぉう・・・・・・?」
「キャ・・・・・・もぅ離してよ~っ」


はパパに抱きつかれてジタバタ暴れている。
僕から見ると子猫が毛を逆立ててるように見えて、自然に顔が綻んでしまった。


「じゃあ、僕はこれで・・・・・・」
「あ、、そこまで送って行ったら?」
「えっ」


のママが、そう言ってをパパの腕から助け出すと、背中を押した。


「じゃあ、そこまで送る・・・・・・」


が恥ずかしそうに、そう言って僕の方に歩いて来た。
それをニコニコしながら見送る、ご両親に、


「それじゃ、また」


と挨拶をすると、二人とも大きく手を振ってくれている。
それを見ながらと並んで門を出た。
今はもうすっかり暗くなっていて、この閑静な住宅街も昼間以上にシーンとしている。



「はぁ・・・・・・ごめんね・・・?」
「え?何が?」


門を出た瞬間、が疲れたように息をついた。


「お父さんがはしゃいじゃって・・・・・・。やっぱり大変だったね・・・・・・?」
「そんな事ないよ?凄く楽しかったし、との事、認めてもらえてホっとした」


僕が、そう言って立ち止まるとも足を止め、顔を上げる。


「あ、あの・・・・・・でもお父さん変なこと言っちゃって・・・・・・」
「え?ああ、を貰ってくれって?」


僕が笑顔で、そう聞けばは頬を赤くして俯いた。


「ぅ、ぅん・・・・・・気にしないでね?うちの、お父さんダンのファンだから、つい、あんなこと言っちゃったんだと思うの。だから―――ん・・・っ」


再び顔を上げたの唇にキスをすると、彼女は驚いたように目を見開いた。


「ダ、ダン・・・」
「僕は貰う気なんだけどなぁ?」
「・・・ぇ?」
「今は・・・無理だけどさ・・・・・・。もっと大人になったら・・・・・・」


そこで言葉を切り、顔を赤くしたまま固まっているを見つめた。


「・・・・・・嫌?」


ちょっと意地悪な笑顔で、そう聞くとはハっとした顔でふるふると首を振って恥ずかしそうに俯いてしまった。
そんなの華奢な体を抱き寄せて、頭に頬を寄せる。


「早く・・・・・・大人になりたいって思ったのは・・・初めてだな・・・・・・」
「・・・・・・・・・?」


が、かすかに動き僕を見上げてきた。
そのまま彼女の額にチュっと口付け、


「好きだよ・・・」


と言えば、すぐ恥ずかしそうに俯こうとする。
そのの顔を覗き込むように屈んで押し付けるように口付けた。
彼女を抱きしめると、かすかに震えてるのが伝わり、ゆっくりと離す。


「――大丈夫?」
「・・・・・・ぅん」


照れくさそうな笑顔が見え、僕もつられて微笑むと、そっと彼女の手を繋いで、二人ゆっくりと歩き出す。


「明日からスタジオで撮影だね・・・・・・」


不意にが呟いた。
少し寂しげな、その声に繋いだ手をギュっと握ると、彼女も握り返してくれたのが分かる。


「毎日、電話する。出来ない時はメールするよ・・・?」
「ぅん」
「それと・・・。その前に、まだ休みはあるし、もまた見学に来てよ。ね?」
「うん」


が嬉しそうに微笑んで、僕を見上げてきた。


「あ・・・ここでいいよ?」


いつも分かれる角まで来ると、そう言って立ち止まる。
は少し目を伏せて小さく頷いた。
その寂しそうな顔を見ると、このまま、ずっと一緒にいたい・・・なんて思ってしまう。


「じゃ・・・」
「うん・・・またね?ダン・・・」


無理に笑顔を見せるの手を離そうとした。
だけど最後に、彼女に触れたくて少しだけ強く引き寄せ腕の中に包むように抱きしめる。


「・・・お休み・・・」
「お休みなさい・・・」


そう呟いて顔を上げたの唇に触れるだけのキスを落とすと、ゆっくり手を離した。




彼女の方を見ながら後ろに下がりつつ手を振ると、も笑顔で手を振ってくれる。





いつも一日の最後に、の笑顔を見たい。




少しづつ遠くなるの姿を見ながら、心の底から、そう思った―――













私はダンが見えなくなるまで、そこに立っていた。


何度か追いかけたい衝動に駆られる。



"まだ一緒にいたい・・・・・・"



そんな贅沢な思いが胸をつく。


別に永遠の別れでもないのに、何で、こんなに寂しいの・・・?
この10日間、ずっとダンと一緒だったから・・・・・・?


こんな思い、初めて知った。



人を好きになると幸せな事が多い分、こんなにも切ない気持ちになるんだって・・・・・・





「・・・・・・帰ろ・・・」



ダンが見えなくなり、私は踵を翻し、家に向って一気に走った。
まるでダンの面影を振り払うかのように。


今の私の心は全てダンに向ってる。
ダンが傍にいてくれないと何だか心半分、持ってかれた気分だ。


「はぁ・・・・・・」


一気に走って家の玄関まで来ると思い切り息を吐き出した。
そして息を整えると、軽く深呼吸をしてドアを開ける。


「ただいま!」


元気に、そう言ってリビングに顔を出すと、お父さんがソファで眠りこけている。


「やだ・・・。お父さんってば酔って寝ちゃってる・・・」


口を開けて寝ている父の姿に呆れて、ちょっと苦笑すると、そこへお母さんが顔を出す。


「あら、帰って来たの?」
「うん。お父さん寝ちゃったんだね」
「そうなの。もう飲みすぎよね?」


お母さんも呆れたように笑うと、ゆっくり私の前に歩いて来た。


「良かったわね、
「え・・・・・・?」
「ハリーくんに想いが通じて♪」
「お、お母さん・・・」


お母さんは、優しく微笑んで私の頭を撫でた。


「今の、いい顔してる」
「・・・・・・ぇ?」
「ちょっと前とは違う雰囲気っていうか・・・凄く奇麗になったわ?」
「お母さん・・・・・・」


お母さんは、そう言って私を見つめると、


「彼は凄くを大切に想ってくれてる。ずっと仲良くね?」


と微笑む。


お母さんの言葉に、照れくさいのを我慢して頷くと、お母さんも小さく頷いてキッチンへと戻って行った。
それを見て私も部屋に戻ろうと、リビングを出る。
階段を上がっていると、電話が鳴るのが聞こえた。


きっと、お母さんが出るだろう。




私は、そのまま軽快に階段を上がって行った。



寝る前に・・・ダンにメールしよう・・・



そう思いながら―――
















「あなた・・・あなた起きて?」
「・・・・・・ん?」
「電話よ?会社から」
「・・・・・・ああ・・・分かった・・・・・・ふあぁぁぁ・・・何だ、寝ちゃったか」


そう呟いてソファから、ノッソリ起き上がると、すぐに受話器を取る。




「Hello.........?あ、はい。どうも」



声に緊張が走る。
という事は上司からの電話だろう。


暫く重苦しい雰囲気で話していたが、数分後、溜息と共に受話器が置かれた。







「はぁ・・・・・・・・・早いな・・・」






眉間を寄せながら、そう呟く。









それは、これからの家族の事を思う、父の不安の呟きだった――――



















 


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Postscript


やっとこロケ編、終わりです。
初ルパート語りから入りました(笑)
結構、楽しかったです^^


本日も皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて...


【C-MOON...管理人:HANAZO】