僕 を 呼 ぶ そ の 声 を ど う か 失 く さ な い で ね
Chapter.23 雨に消えた涙 Only you can love me...
2005年・冬― と別れて・・・新しい年を迎えた。 "日本に行って来るから" そう言うと母さんは、ただ悲しそうに微笑んで僕を見送ってくれた。 ほんとは分かってるんだ。 母さんが僕の将来の為を思って色々心配してくれてるって・・・ でも・・・でもね、母さん。 この恋だけは手放せないんだ―― 「ダン、大丈夫?緊張してる?」 「・・・まあね」 ちょっと不安そうに後ろから顔を覗かせるエマに僕は軽く肩を竦めた。 そして窓の外に視線を戻す。 一面、青い空に時々白い雲が流れていく。 どうやら飛行機は少しづつ高度を下げていっているようだ。 ということは、もうすぐ日本に着くと言う事だろう。 (この空の下に・・・がいるんだ) そう思うだけで緊張と不安とが交じり合ったような何とも言えない気持ちになってくる。 映画のプロモーションで日本に行くと決まってからずっとこんな感じだ。 日本に行ける事は嬉しい。 ただ・・・と会えるかどうか・・・いや・・・会ってくれるかどうか・・・その事だけが心配だった。 「ねぇ、ダン。の家は知ってるの?」 「うん。って言っても本人から聞いたんじゃなくて・・・チャーリーにから来た手紙を見せてもらったんだ」 「そう。チャーリーには連絡してきたの・・・」 「そうみたい。"元気でやってる"ってさ。で・・・封筒に書いてあった住所、メモしてきたんだ」 手に持っていたバッグから小さなメモを出し、エマに見せると彼女はホっとしたように微笑んだ。 「良かった。住んでる場所が分からなきゃお手上げだわーって思ってたの」 「うん・・・知らない国だし特にね・・・。でも・・・時間あるかな・・・?」 「大丈夫よ。取材とかは多いけど少しくらい自由な時間もあるってフレッドも言ってたから」 「そっか・・・良かった・・・」 エマの言葉に独り言のように呟く。 ただ・・・会いに行ってもが僕に会ってくれるかどうか・・・その事への不安は残る。 別にケンカ別れをしたわけじゃないが、日本で頑張っているの元へ僕が急に会いに行っても迷惑なんじゃないかとか、色々考えたりして。 それに・・・今回の僕の来日をは知ってるのかどうかも気になる。 もし・・・知ってるなら・・・どう思ったんだろう? 「ねぇ、ダン」 「・・・ん?」 再びエマに呼ばれ僕は振り向いた。 「日本についたら・・・に電話してみたら?」 「・・・え、でも・・・」 「私たちが行く事は・・・知ってると思うわ?きっと映画会社が宣伝してるし・・・」 「うん・・・でも出てくれるかな・・・」 「それは・・・分からないけど・・・せっかく携帯を使えるようにしてもらってるんだし・・・。一度かけたらいいじゃない」 エマはそう言って「ね?」と優しく微笑んだ。 僕はちょっと笑って息をつくとポケットから携帯を取り出す。 そしての携帯番号を出してみた。 別れてからも・・・消せない彼女の番号・・・ もしかしたら・・・すでに電話も変えて番号だって変わってるかもしれない。 なのに・・・どうしても消去する事が出来なかった。 未練たらしいって分かってるけど、これを消してしまえば・・・との繋がりがなくなってしまう気がして。 こんな小さな繋がりでも僕にとったら凄く大事なものだから。 電話番号一つでも・・・まだと繋がっていたかった。 アドレスに残しておくだけで・・・ほんの少し安心できるから。 『・・・まもなく当機は着陸体勢に入ります。お客様はベルトを着用して・・・』 不意にアナウンスが流れ、飛行機が下降していくのが分かり緊張が走った。 とうとう日本へついた。 のいる・・・日本に。 前に映画のプロモーションで来た時は・・・普通に旅行気分だった。 でも今はの住む国と思うと僕にとっても特別な場所に思える。 ふと窓を覗けば遥か下に空港らしき建物が見えた。 (・・・やっと君の住む国に来れたよ・・・) 懐かしい彼女の笑顔を思い出し、かすかに胸が痛む。 君も・・・こんな風に僕を思い出してくれてるんだろうか・・・ 僕が心の中で君の名前を呼ぶように・・・も・・・僕の名前を呼んでくれてるんだろうか。 僕らは離れてしまったけど・・・心だけは一番近いところに在ると信じてるから。 だから・・・ キュっと唇を噛んでシートに凭れると静かに目を瞑った。 この日本で・・・何かが変わると信じながら― 『とにかくね、凄いのよー!一番前よ、一番前!』 カオリの興奮した声が受話器越しに聞こえてくる。 それを聞きながら胸がどんどん締め付けられる感覚になった。 『もうー!も来たら良かったのに!そしたら目の前でダンを見れるのよ?』 「・・・ごめんね・・・。学校休めないもの・・・」 『そんな一日くらい大丈夫よ!あ、でも今日の授業、後でノート見せてね?』 「うん。分かってる。コピーしとくわ?」 『サンキュ~!それにしても凄い人だなあー。やっぱり人気あるわよね、ダンは』 「・・・・・・」 ダン・・・その名前を聞くと今でも胸が痛い。 何度・・・心の中でその名を呼んだだろう? 何度話しかけただろう・・・? もうあれからかなり経つのにダンとの思い出はちっとも色褪せなくて・・・今も私の記憶の中で息づいている。 今日はダン達が来日する日・・・ それを雑誌で知ってから・・・毎日が苦しかった。 遠く離れていたからこそ・・・寂しくても諦めがついてた。 どうせ会えない距離にいるんだから、と― でも・・・同じ国にいるとなれば・・・無理やり閉じ込めた想いが今更ながらに溢れそうで怖かったのだ。 今日、カオリとアヤはダンたちの出迎えをすると言って学校をサボり成田空港へ行っている。 私も誘われたがもちろん行けるはずもなく学校を理由に断ってしまった。 それでも凄く気になって授業中も時計ばかり見ていた。 カオリたちが調べた、ダンの到着時間が近づくたびに心臓がドキドキして息苦しくなっていった。 時折二人から来る報告メールを読むたび何故か緊張して、ハッキリ言って授業なんて頭に入っていない。 ただ紛らわせるためにひたすらノートをとってるだけだった。 そしてダンたちの乗る飛行機が到着する10分前・・・ちょうど昼休みに入った頃にカオリから電話が入った。 『何とか最前列をゲットしたの!凄いでしょ?』 彼女は興奮したように、そう報告してきた。 それを聞いて胸がギュっと痛くなる。 ダンに・・・会える二人が凄く羨ましく感じた。 『あ・・・何だかザワザワしてる!ついたのかな・・・!』 「――ッ」 不意にカオリが甲高い声を出し、ドキっとした。 受話器の向こうからは警備員らしき人の怒鳴り声が聞こえてくる。 『・・・押さないで!!危ないから下がって!!』 『・・・キャ!痛ーーい!押さないでよ!』 アヤのそんな声まで聞こえてきて成田の空気が直接私にも届く。 もうすぐ・・・その場にダンが来るんだ、と思うと携帯を持つ手が震えた。 『キャー!あれスタッフじゃない?ねね、アヤ!写真スタンバってよ!』 カオリは私と電話をしている事も忘れたように、そんな事を叫んでいる。 このまま切ってしまおうか、とも思ったがどうしても切れなかった。 直接会えなくても・・・ダンの姿が見えなくても・・・この電話でその場所と繋がっていたいなんてバカな事を考えた。 『あ、もしもし??』 「・・・凄い騒ぎね」 『あ、良かったー!切れちゃったかと思った!ごめんね、もう凄いのよ、周りが!』 周りがだんだん騒がしくなったからか、カオリはさっきよりも少し大きな声で話す。 時計を見れば飛行機の到着時間が6分ほど過ぎていた。 という事は・・・ダンたちはすでに成田についているのかもしれない。 現にカオリの後ろからは他のファンの子の黄色い声がやたらと聞こえてくる。 『あ~もうー緊張してきた~!』 「・・・大丈夫?」 『ダメー!苦しくて・・・!さっきからスタッフらしい人たちが数人出たり入ったりしてるの!あのドアの向こうにいるのかな~』 「・・・・・・」 それを聞いただけで私まで緊張してしまう。 別に見えるわけじゃないのに、ふと成田空港の到着ロビーが脳裏に浮かんできた。 (スタッフ・・・もしかして・・・マネージャのフレッドも一緒に来てるのかな・・・) そんな事を考えると懐かしくて涙が出そうになる。 その時、受話器の向こうからさっき以上の黄色い歓声が響き渡った。 『キャ~~っ!!!!ダン~!!』 「―――ッ!!」 カオリも大きな声で叫びだし、私は一気に鼓動が早くなったのを感じた。 今、この瞬間、確かにダンは同じ日本にいるのだと思うと喉の奥が痛くなる。 『!出てきたわ!ダンとエマとルパートがこっちに歩いて来る~!あ、アヤ!ちゃんと撮ってる?!』 『撮ってる!カオリもカメラ回してよ!』 『OK!あ、、ごめん!ちょっと待ってて?』 「・・・え?」 『携帯首にかけるから・・・!そのまま聞いててよ!うまくすればダンの声が聞こえるかもよ?』 「ちょ・・・カオリ?!」 驚いて声をかけたがすでにカオリは携帯を首から下げたのか、返事はなく、その代わりキャーという声だけが聞こえてくる。 今日はデジカメの他にビデオカメラも持っていくと張り切ってたから、きっとビデオを撮ってるんだろう。 私は携帯を握り締めながら自分の席を立ち窓際へと寄った。 窓を開けて外を眺めると青い空が広がっている。 この空の下にダンも来ている・・・ そう思うと息苦しくて胸が痛い。 受話器から聞こえてくる黄色い歓声・・・この向こうにダンがいるんだ・・・ 本当なら・・・今すぐそこへ飛んでいきたい。 会えなくても・・・一目でいい、ダンの笑顔が見たい。 『キャー!ダンが来た!!ダン~!!こっち見て~~!!』 「――ッ」 カオリの興奮した声が聞こえて私はギュっと携帯を握り締めた。 『ダン!こっち~!こっち見て!キャ~!!!き、来たよ、アヤ!写真撮って!』 「・・・・・・ッ」 今まで以上にカオリの騒がしい声が聞こえてきた。 この様子だと近くにダンが来たらしい。 私は必死に涙を堪えるのに唇を強く噛み締めた。 その時・・・かすかに英語が聞こえて私の胸がドクンと跳ね上がった。 『...Thanks! glad...Hey...!dangerous... 』 「ダン・・・ッ!」 その声を聞いた時、思わず叫んでしまった。 歓声の合間に・・・かすかに聞こえたのは間違いなくダンの声・・・ 聞こえるはずないのに・・・つい彼の名を口に出して呼んでしまった。 堪えていた涙が頬を伝っていく。 教室に残っていた生徒が数人こっちを見ているけど、そんなものは気にならなかった。 久しぶりに聞いたダンの声で・・・堪えていた想いが一気に溢れ出す。 たった短い、すぐ歓声にかき消されてしまったダンの声・・・ でも私の耳にはしっかり届いたから・・・ "ありがとう、嬉しいよ。あ・・・危ないよ?" ファンの子を気遣う彼の言葉が何度も頭に響く。 本当に・・・ダンが来ているのだと、そこで実感した。 『キャ~!ダン!!』 「・・・・・・ッ」 未だ叫んでいるカオリやアヤの声。 それを聞いてふと我に返った。 そして慌てて頬を伝う涙を拭くとこっちを見ているクラスメートに背中を向けた。 と、その時受話器の向こうから「!?」と私を呼ぶ声が聞こえてきた。 「あ・・・な、何?」 『あ~良かった。切れたかと思った~』 「だ、大丈夫・・・カオリは大丈夫・・・?」 涙を拭きながらなるべく明るい声を出す。 するとカオリは興奮しながら、「私は平気!それよりダンが話し掛けてくれたの~!」と叫んだ。 『こっちに来たから手を伸ばしたらダンが何か言ってくれたの!にも聞こえた?』 「え、あ・・・うん、かすかにだけど・・・」 『凄い優しい~!あの綺麗な瞳を目の前で見ちゃった!あ、ビデオ撮ったから後で見せるね!』 「う、うん・・・」 『あ、いけない!アヤが先に行っちゃったの!これから買い物して家に帰るし、また電話する!』 「分かったわ」 『あ、そうだ!ニュースで見てみて?私たち映ってるかもしれないから!』 「うん」 『じゃ後でね!』 「うん、気をつけて・・・」 そこで電話が切れて私は思い切り息を吐き出すと携帯を閉じて窓の枠に肘を突いた。 たった数分の事なのに何だか緊張しすぎてグッタリしている。 (ダン・・・本当に今、日本にいるんだね・・・) 青い空を見上げながら少しだけ笑顔になる。 あの雨の日に別れて以来のダンの声だった。 あれから・・・思い出すのが辛くて映画すら見れないままだったから・・・ ダン・・・今・・・何を考えてる・・・? この日本で私の事・・・思い出してくれてるのかな・・・ そう思えば思うほどダンに会いたくなる。 そしてふと携帯を開き、ダンの電話番号を出した。 別れてからも・・・消せないダンの番号・・・ もう二度とかける事はないのに・・・どうしても消去する事が出来なかった。 未練たらしいって分かってるけど、これを消してしまえば・・・ダンとの繋がりがなくなってしまう気がして。 こんな小さな繋がりでも私にとったら凄く大事なものだから。 電話番号一つでも・・・まだダンと繋がっていたかった。 アドレスに残しておくだけで・・・ほんの少し安心できるから。 「...I want to... hear Dan's voice...」 "ダンの・・・声が聞きたい・・・" 思わず英語で呟いた。 少しでも・・・ダンを近くに感じたくて― 「おい、ダン。大丈夫か?」 「うん、何とか・・・」 「そっか。じゃあホテル行くからな」 フレッドはそう言うと日本のスタッフと何やら話している。 少しすると大きなワゴンが動き出し、空港を後にした。 「でも凄い人だったね~!前回より凄いんじゃない?」 ルパートが興奮気味に僕の方を見た。 「ほーんと!特にダンのファンなんて死んじゃうんじゃないってくらい叫んでるしビックリしたわよー」 「・・・ああ」 「何よ、暗いわねー!さっきまで営業スマイル振りまいてたくせに!」 エマはそう言うとバンっと僕の背中を叩いた。 だが僕は窓を空けて顔を出すと空港の方を振り返る。 「なあ・・・」 「え?」 「さっきさ・・・かすかに・・・聞こえた気がしたんだ」 「・・・何を?」 僕の言葉に首を傾げつつエマが隣から顔を覗き込んでくる。 僕は溜息をついて彼女を見ると、 「だから・・・の僕を呼ぶ声が・・・さ」 「・・・は?!嘘でしょ?!」 エマは驚いた顔で口をあけている。 すると後ろからルパートも身を乗り出してきた。 「嘘だろ、おい・・・まさか・・・あの場にいたなんて・・・」 「さあな・・・。ほんと・・・一瞬だったし・・・慌てて周りを見たけど・・・ファンの子の声で分からなくなった・・・」 僕がそう言うとエマとルパートは顔を見合わせた。 「まさか・・・あんなうるさい中で聞こえるはずないよ・・・。それに・・・が来てるって保証もない」 「そうよ・・・。会いたいあまりに幻聴聞こえたんじゃない?」 「そう・・・かな・・・」 「そうよ!だいたいがあんな場所に来るはずないじゃない」 「・・・そうだよな・・・」 二人にそう言われると僕も何となくそう思えてきた。 でも・・・さっきは本当に聞こえた気がしたんだ・・・ "ダン・・・!" 僕の名前を呼ぶの声が― ハッキリ聞こえたわけじゃない。 到着ロビーを歩いていくと一番前にいた子がプレゼントのようなものを差し出してるから受け取りに行った。 その時、後ろから人が押してきて僕は慌ててその子に声をかけたんだ。 そのすぐ後だった・・・あの歓声の中、かすかに・・・そう本当にかすかに聞こえた気がした。 だからファンの子の前なのに思わず立ち止まって、あの大勢の女の子を見渡したんだ。 でも・・・その中にの姿はなかった。 それに僕が立ち止まったせいでファンの子は前に押し寄せてきたから慌ててスタッフが飛んできてそれ以上、その場にいれなかった。 幻聴・・・か・・・ 確かにそうかもしれない。 会いたいと思いすぎて・・・そんな気がしただけかも・・・ 「・・・ダン、大丈夫・・・?」 「・・・うん。ごめん」 心配そうに顔を覗き込んでくるエマに僕はちょっと笑顔を見せるとシートに凭れかかった。 「ダン、疲れてるのよ・・・。ここんとこプロモーション続いてるし寝不足じゃない」 「・・・そうだな・・・」 「ホテルについたら少し眠ったら?今日はホテルから出られないと思うし・・・」 「うん、そうする・・・。ちょっと眠いし・・・時差ぼけかな」 僕はそう言って窓の外に顔を出すと冷たい冬の風が頬を掠めていく。 空を見上げれば、さっきまで晴れていた空に雲が溢れて少し曇ってきた。 (今夜は雨が降りそうだな・・・) そんな事を思いながら目を瞑ると、僕は一瞬で眠りの中に墜ちていった― 「おい、」 「あ・・・」 学校からの帰り道に呼び止められ、振り向くと悠木くんが追いかけてきてドキっとした。 彼は少し気まずそうな笑顔を見せながら私の隣に並ぶ。 「まっすぐ帰るのか?」 「うん・・・悠木くんは?」 「俺は・・・もう部活も終わったし真っ直ぐ帰って受験勉強だよ」 「そう・・・。私もよ」 そう言ってゆっくり歩き出す。 去年の秋に告白されて以来、彼とはまともに話をしていなかった。 帰る時もなるべくアヤとカオリに一緒にいてもらったし、学校内でもそうだった。 二人から悠木くんが落ち込んでる、と聞いてはいたが私は曖昧に誤魔化していた。 あの雨の日・・・悠木くんに告白されて・・・私はつい泣き出してしまった。 それはダンのことを思い出したからなのに悠木くんは自分のせいだと思ったみたいだ。 そのまま小雨になってから家まで送ってくれた時、悠木くんは困った顔で私に言った。 "あのさ・・・返事とか・・・すぐじゃなくていいし・・・お前が・・・好きな奴を忘れるまで友達でいてくれるか?" 私を気遣う彼の言葉が痛かった。 だから余計にあの後、悠木くんと気軽に話すことが出来なくて・・・ 友達でいようって思ってるのに何故か避けてしまっている自分がいた。 二人で歩きながら変な沈黙が流れる。 お互いに黙ったまま、この前雨宿りをした神社までやって来た。 私は必死に何か話さなくちゃ・・・と頭の中をめぐらせる。 悠木くんも気まずいのか、しきりに頭をかきながら何度か咳払いをしていて、 それを見ていると自然と笑みが零れた。 彼も・・・いい人・・・ 気遣って友達でと言ってくれた彼に私は酷い事してるのに・・・文句も言わないで普通に接してくれている。 やっぱり・・・このまま卒業なんて嫌だと、ふと思った。 私は小さく深呼吸をすると思い切って顔を上げた。 「「あの―・・・?!」」 お互いにそう言って顔を見合わせる。 そして同時に噴出した。 「ごめん、何?」 「い、いや・・・別に・・・。から言えよ」 「でも・・・」 「いいよ。・・・何?」 悠木くんは照れたように笑って私を見た。 そんな彼に私も微笑むと思った事を素直に口にする。 「あの・・・今までごめん・・・ね」 「・・・え?」 「悠木くんは・・・友達でいようって言ってくれたのに・・・避けるようなことして・・・」 「・・・・・・」 そう言って彼を見上げると悠木くんは少し驚いたような顔で私を見た。 「・・・そんな事・・・。俺のせいなんだし・・・さ。気まずいのかなって思って・・・」 「・・・悠木くんのせいなんかじゃない・・・。ただ・・・私が逃げてただけで・・・」 「逃げてた・・・って?」 「・・・曖昧な態度じゃ・・・傷つけるかもしれないって思ったから・・・悠木くんの気持ちから逃げてた・・・」 そう言って小さく息をつくと悠木くんは不意に立ち止まった。 「やっぱり・・・忘れられない奴がいるからか・・・?」 「・・・それは・・・」 「まだ・・・そいつの事が好き・・・?」 「・・・・・・ッ」 ストレートな問いに私はドキっとした。 顔を上げると真っ直ぐな瞳と視線がぶつかる。 悠木くんは普段見せないような真剣な顔で私を見つめていた。 「答えてよ・・・。そいつの事が・・・そんなに好きなのか?」 「・・・悠木くん・・・」 「もう・・・会えない奴なんだろ・・・?」 「・・・うん・・・」 「だったら・・・」 悠木くんはそこで言葉を切ると不意に私の前に来てギュっと手を掴んだ。 「・・・ッ?」 「俺は・・・まだの事が好きだよ・・・。友達でいいなんて・・・カッコつけたけど本当は・・・」 「悠木くん・・・」 その真剣な眼差しから目が逸らせなかった。 握られている手だけが妙に熱い。 伝わってくる体温で少しづつ鼓動が早まって、忘れかけていたダンの温もりを思い出した。 自分で別れようって決めたんだ・・・ ダンから離れたのは私の方だった。 なのに・・・いつまでも引きずって周りの人を見てなかった。 こんなに好きなくせに・・・私はダンからも逃げてきたんだ・・・ 自分が・・・いつかダンの負担になってしまう事への怖さから・・・。 そう・・・私は怖かっただけ・・・ ダンのためと思っていても・・・本当は・・・忙しいダンとあのまま一緒にいる事が怖かった。 ダンはこれからもっと有名になって大きくなっていく人だ。 そんな人がいつまでも私の事だけを想っていてくれるはずがない・・・ 私は・・・自分に自信なんてなかったから。 そうなって傷つく前に・・・ダンの仕事や距離を理由に・・・彼の傍から逃げただけなんだ・・・ 「・・・・・・?」 僅かに悠木くんの手を握り返すと、彼は驚いたようにその手を離した。 「ごめんね・・・。私・・・」 「・・・それって・・・やっぱり忘れられないって事・・・?」 悲しげな声で問い掛ける彼に私はゆっくりと首を振った。 「そんなんじゃない・・・。私は・・・弱いから・・・彼からも逃げてきた・・・。自分が傷つくのが怖くて・・・ 彼を傷つけた・・・。それなのに・・・今更忘れられないなんて勝手だもの・・・」 「・・・」 我慢していた涙が零れた。 自分の愚かさを目の当たりにして情けなくて・・・ 初めての恋だったから。 あんなに人を好きになったのは初めてだったから。 何もかも捨ててもいいなんて・・・子供のくせにそんな事まで思ったくらい。 でも・・・そんなに好きだった人を自分から手放したのだ。 いつか失うのが怖くて・・・逃げたんだ。 それなのに未だ後悔して引きずってるなんて何て勝手なんだろう・・・ さっきだって・・・ダンの声を聞いただけで会いたくなって・・・ 何て意思が弱い― 「おい・・・泣くなよ・・・」 「・・・ごめ・・・」 ポロポロと頬を伝う涙を悠木くんが制服の袖で拭ってくれる。 「・・・俺、お前に泣かれると・・・どうしていいか分かんねーよ・・・」 「・・・ごめ・・・ね」 「わ・・・何でまた泣くんだよ・・・っ」 そう言って悠木くんは再び涙を拭いてくれる。 いつもはシッカリしていてクラスの中でもリーダー的存在の彼が、女の子が泣いてるだけでこんなにオロオロしている。 その姿に思わず笑みが零れた。 「って・・・何で笑ってんだ・・・?」 「だ、だって・・・」 「ったく・・・女ってほんと分かんねー・・・。泣いてるかと思ったらすぐ笑えるんだな・・・」 悠木くんはそう言ってガシガシと頭を掻いている。 でもふと笑みを洩らすと、 「まあ・・・は笑顔の方がいいよ・・・」 「え・・・?」 「泣き顔なんて見たくないし・・・さ・・・」 「悠木くん・・・」 顔を逸らしてそう呟く彼を見上げると、悠木くんは不意に私の鼻先を指で摘んだ。 「それに・・・他の男の事で泣いてるって思うとムカつくし?」 「・・・・・・ッ」 少しスネたように彼は横目で私を見た。 それにはかすかに頬が赤くなる。 確かに無神経だったかもしれない。 「ご、ごめんね・・・」 「まあ・・・いいけど・・・。スッキリしたか・・・?」 そう言って私の頭にポンと手を乗せる悠木くんは、いつもの優しい笑顔を浮かべていた。 それはロンドンに行く前、私が憧れていた頃の笑顔だった。 「うん・・・ごめん」 「・・・何だよ。誤ってばっかだな、さっきから」 「だ、だって―」 「いいよ、誤らなくて。そんな誤られると何度も振られた気分になるし・・・」 「え・・・?」 「まあ・・・とっくに振られてるんだよな、俺」 「悠木くん・・・」 彼はそう言って溜息をつくと神社の境内に腰を下ろした。 「あーあ。がそんなに好きになった男ってどんな奴なんだよ・・・。イギリス人なんだろ?」 「・・・う、うん・・・まあ・・・」 「そっかぁ・・・。まあ・・・イギリスって言ったらベッカム筆頭に美形揃いだしなぁ・・・」 「・・・・・・」 さすがサッカー部といった言葉に思わず吹き出してしまった。 「何だよ・・・」 「ううん・・・。悠木くんって面白いなぁと思って・・・」 「面白くねーよ・・・」 「悠木くんだってモテるじゃない・・・。後輩の子から毎日差し入れもらってるってカオリとアヤが言ってたよ?」 「・・・あれは・・・チッ・・・あいつら余計なこと言いやがって・・・」 悠木くんは気まずそうに顔を顰めると溜息をついた。 そして空を見上げるとゆっくりと目を瞑り、そんな彼を見ながら私も隣に腰を下ろす。 すると悠木くんは静かに目を開けて膝の上で手を組んだ。 「・・・なあ・・・」 「・・・え?」 「さっき・・・言ってた事だけどさ・・・」 「・・・うん・・・?」 「"曖昧な態度は・・・"ってやつ・・・」 「あ・・・」 彼の言葉に少し目を伏せると悠木くんが私を見た。 「あれ・・・俺は別にいいって言ったらお前どうする?」 「・・・え?」 「俺は・・・それでもお前と・・・こうして一緒にいたいって思った」 「悠木くん・・・?」 「友達でもいいんだ。曖昧でもいい。でも・・・卒業してからもこんな風に会いたいなって思ってさ・・・」 悠木くんはそこまで言うと照れくさそうに指で頬を掻いている。 私は彼の言葉に驚いて、何と答えていいのか迷った。 「・・・それでも・・・嫌か?」 再度そう聞かれて私は彼を見上げた。 真っ直ぐな瞳で私を見ている悠木くんに少しドキっとする。 「で、でも・・・私はそんな風に想ってもらえるような人間じゃない・・・」 「そんな事ないよ・・・」 「けど―」 「お前が・・・俺のこと嫌いだって言うなら諦める。でも少しでも可能性があるなら・・・俺は諦めたくない」 「悠木くん・・・」 本気なんだ、と思った。 純粋な想いが私の心を揺さぶる。 そう・・・私もいつまでも逃げてちゃいけないんだ・・・ 一歩でも・・・前に進まないと・・・ ダンと別れた意味がなくなってしまうから― 「嫌いじゃ・・・ないよ・・・?」 「・・・え・・・?」 「嫌いじゃない・・・」 もう一度そう呟くと、悠木くんはポカンとした顔で私を見た。 「え・・・それってじゃあ・・・」 確かめるように私の顔を覗き込んでくる悠木くんに笑みが零れる。 「ほんとに・・・?マジで卒業してからも会ってくれるわけ?」 「・・・うん。あのでも―」 「分かってる!俺、待つからさ!お前がその男を忘れるまで・・・。だからそれまでは友達でいいし!」 悠木くんはそう言って立ち上がると嬉しそうに、「やった!粘り勝ち!」なんて言ってガッツポーズをしている。 そんな彼に思わず顔が赤くなった。 「良かった~!俺、オフェンスは得意なんだけどディフェンス弱くてさ!って別にサッカー関係ねーか・・・」 「・・・ぷ・・・」 「あ、何だよ。笑うなよ」 「ご、ごめん・・・」 「あーでもマジでホっとした・・・」 悠木くんはそう呟くと照れくさそうに微笑んで私の鞄を持ってくれた。 「このまま・・・家まで送ってくよ。もう暗くなっちゃったし・・・」 「あ・・・うん・・・ありがとう」 気づけば辺りも薄暗く、夕方の5時になろうとしていた。 私も立ち上がるとスカートの土を払って悠木くんから鞄を受け取る。 彼は隣に並ぶと私に合わせてゆっくりと歩いてくれた。 「あ、そう言えばさ。今日カオリとアヤ、サボってただろ」 「あ・・・え・・・っと・・・」 「いいよ、分かってるから。どうせあれだろ?ハリーの出迎えだろ?」 「・・・・・・」 いきなりその話題になり私はドキっとした。 だが悠木くんは気づかず話を続ける。 「ったく、この時期にしょーもねーな・・・あいつら。どうせがノートとってやってんだろ」 「あ・・・うん。でもコピーして渡すだけだし・・・」 「あんまし甘やかすなって。あいつら、受験生って自覚ないんだから」 悠木くんはそう言いながら肩をすくめて笑っている。 その時私はカオリが言っていた夕方のニュースを見るのを忘れていた事を思い出した。 でも・・・今更そんな映像を見ても仕方がない。 自分が苦しくなるだけだ。 ・・・後でカオリとアヤには誤っておこう。 そう思いながら思い出してしまったダンの来日を頭から追い出すように悠木くんの話に耳を傾けた― 僕は沈んでいく夕日を見ながら小さく溜息をついた。 そして窓の下に見えるビルや車を見ながら、ここが日本だという事を実感する。 (・・・今、同じ空の下にいるんだよな・・・) そう思うだけで胸がギュっと鷲掴みにされた気分になる。 こんなに近くにいるのに、すんなり会いにいけない今の状況や自分の立場に今更ながら嫌気が差した。 「ダン」 その声に振り向くとフレッドが紅茶を持って歩いてきた。 「ほれ。これ飲んで少しは休め。ここんとこ寝不足だろう?」 「サンキュ・・・」 紅茶の置かれたテーブルの方に歩いていくと大きなソファに体を静める。 頭も瞼の奥もチリチリと痛んで、すでに限界まで来ている事を悟った。 「今日は・・・寝れそう・・・」 「だろ?時差もあるしな・・・。今日はグッスリ眠って明日からは新作のPRを頑張れ」 「・・・うん」 紅茶を飲みながら僕は軽く頷き、小さく息をついた。 フレッドは向かいに座りながらスケジュールチェックをしつつ煙草に火をつける。 「なあ、フレッド」 「んー?」 「こっちで・・・全然時間取れない・・・?」 「・・・ああ・・・その話か・・・」 僕の問いにフレッドは煙を吐き出しながらニヤっと笑って顔を上げた。 「ちゃんに・・・会いに行きたいんだろ・・・?」 「・・・うん」 「そうだなぁ・・・。まあ明日は無理でも・・・明後日・・・くらいには空く時間もあるかな」 「ほんと?何時頃?!」 その言葉に身を乗り出すとフレッドはスケジュールの載っているプリント用紙を見ながら顎を撫でた。 「うーんと・・・朝から雑誌の取材に・・・映画会社の人と宣伝用のVTR撮影・・・その後に会食・・・」 「・・・ちょっと・・・いつ時間なんてとれるのさ!」 そのスケジュールに頭が痛くなり僕はクッションを抱きしめつつシートに凭れた。 だがフレッドは呑気に笑いながら顔を上げると、 「会食の後・・・夕方までならあるぞ?」 「え?どのくらい?」 「ん~。まあ、せいぜい・・・2時間・・・だな・・・。午後2時から・・・4時の間ってとこか」 「それだけ?!それだけじゃの家探しに行くなんて無理だよっ」 「仕方ないだろう?遊びで来た訳じゃないんだし・・・それにいくら会いたいからってお前を一人で行かせるわけにはいかないぞ」 「は?何でだよ」 フレッドの言葉に顔を顰めると彼もまた顔を顰めた。 「当たり前だろ?お前は世界的に有名なハリーポッターだぞ?一人でウロウロしてたら誰かに見つかるし、 ただでさえ知らない国なんだから迷うに決まってるだろう。言葉だって通じないんだぞ?」 フレッドは呆れ顔でそう言うと煙草を灰皿に押しつぶし溜息をついた。 僕は分かってる事をポンポン言われてムっとしつつ顔を横に逸らす。 「分かってるよ・・・。でもじゃあ・・・どうしたらいいわけ?」 「そんなの決まってる。俺も行くよ」 「は?だってフレッド他に仕事もあるだろ?」 「その2時間は俺もオフだ。ちゃんの住所をこっちの知り合いに聞いて大体の場所は調べておく」 「ほんと?」 「ああ。それくらいはしてやる。俺だってお前とちゃんは会わせてやりたいからな・・・」 フレッドはそう言って微笑むと少しだけ体を前に乗り出した。 「だけど・・・ちゃんはお前が会いに行くって知らないんだろう?」 「うん・・・まあね」 「もし・・・会ってくれなかったらどうするんだ・・・?」 「・・・・・・」 フレッドの言葉に胸が痛んだ。 だが僕は真っ直ぐ彼を見ると、「それでも会いに行く」とキッパリ言った。 「そうか・・・。決心は固そうだな・・・」 「うん・・・。もう・・・後悔したくないんだ」 「・・・後悔・・・?」 「は色々な事を不安に思ってたりしてたと思うし・・・そんな事も気づいてあげられなかった自分が情けない」 「おい、ダン・・・あんまり自分を責めるなよ・・・。ちゃんが帰ったのは親の事情なんだしさ」 「でもその事があったからこそ見えてなかったものが見えたんだ・・・。好きってだけじゃダメなんだって事も・・・」 「ダン・・・」 「あんなに傍にいたのに・・・が悩んでる事も気づいてあげられないで・・・」 そこまで言うと僕は溜息をついた。 「に不安な思いをさせてた。仕事の事や全ての事を曖昧にしてたから・・・ 何とかなるって言葉だけで彼女を引き止めるなんて無理だったんだよ・・・ だって僕らは大人じゃないし・・・は特に普通の子だから・・・ きっと後の事を考えて色々不安だったんだと思う。 でも僕はそんな彼女の気持ちよりも自分が離れたくないって感情だけを押し付けてた・・・ 大人でも遠距離恋愛なんて不安だろ?僕らの年ならなおさらだよな・・・」 今まで感じてた憤りを一気に話すと僕はソファに寄りかかってギュっと唇を噛み締めた。 あの時の自分に無償に腹が立ってくる。 するとフレッドが軽く息をついて再び煙草に火をつけた。 そしてゆっくりと天井に上がっていく白い煙を眺めながら静かな口調で話し始める。 「少し・・・成長したみたいだな?」 「・・・え?」 「たかが15・・・ああ、もう16歳になったか。そんな歳でそこまで考えてあげられるなら合格だよ」 「フレッド・・・」 「ちゃんだってまだダンの事が好きだと思うし・・・お前がそこまでシッカリ考えてるなら分かってくれるよ」 フレッドはそう言うと軽くウインクをしてソファから立ち上がった。 「さ、まずはゆっくり休め。明日は記者会見だぞ?」 「・・・うん。あ・・・エマたちは?」 「ん?ああ・・・二人は部屋に入った瞬間に爆睡中。時差ぼけだろ」 フレッドは笑いながらそう言うと自分の荷物を持ってドアの方に歩いて行った。 「じゃあな。色々不安だろうけど・・・今はゴチャゴチャ考えずちゃんと寝ろよ?」 「うん、分かったよ」 「よし。じゃあ明日の朝モーニングコールするから」 「うん。お休み、フレッド」 「ああ、お休み、ダン」 フレッドはそう言って軽く手をあげると静かに部屋を出て行った。 そこで一人になると急に欠伸が出てくる。 「うあ・・・体のあちこちが痛いよ・・・」 寝不足がたたって体全体が筋肉痛みたいになっている。 頭も重いし目も痛い。 最悪な体調だと思いつつ、ベッドルームに向かった。 そこでベッドに倒れるように横になると、すぐに布団に潜り込む。 「ふぁぁ・・・ヤベ・・・ほんと眠い・・・」 ふかふかのベッドに横になった途端睡魔に襲われ、大欠伸をしながら着ていた服を布団の中で脱いだ。 ゴソゴソと動きつつ、タートルネックと下に穿いてたジーンズを何とか脱ぐとそれをベッドの下へと落とす。 だが荷物の中から着替えを出そうと思った瞬間、僕は夢の中に引きずり込まれるようにして眠りに落ちた。 眠る前に脳裏を掠めたのは・・・の優しい笑顔・・・ あの頃と同じように僕に微笑みかけてくれてる彼女の笑顔だけが浮かんでは消えていく。 僕は何度も彼女の名前を呼んだ。 ねぇ・・・・・・君はまだ・・・僕の名を呼んでくれてるの・・・? 僕と同じように・・・心の中で何度も・・・何度も・・・何度も・・・ どうか・・・忘れないで― 語るように長く切ない 凄く器用なキスをしたね 探りあいながら さよなら交わして その手 離した あの日 優しく濡れる 夜明けの雨に守られて 喜びも夢も自由も温もりも 君となら分け合える そう信じつづけた 僕を呼ぶ その声を どうか失くさないでね 二人だけの秘密を時には確めて いつの日か 「思い出」 と呼べる その時までは 振り向いたりしない 最初で最後の恋 |
Postscript
久々のダン夢で御座います!
そ、そして・・・申し訳御座いません~!!m(__)m
改装前に・・・もう少しで終わる、と言ってたこの作品ですが・・・
お気づきの通り・・・第三部に突入で御座います・・・Σ(|||▽|||
)
いやね・・・何となく話を思いついちゃって~(ぇ!)
なのでもう少しの間、この作品とお付き合い下さいますでしょーか(苦笑)
ちょっと大人になったダンとか書きたくなって(!)(コラァァッ)
少しだけ付け足して書いて行く予定です・・・(;´▽`A``
いや・・・そんな長くならないと思うんだけど・・・ドゥかな・・・俺の事だから(オイ)
本日も皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて...
【C-MOON...管理人:HANAZO】