心配性とジェラシーの関係









オーランド




僕は今、凄く機嫌がいい。
だってと二人で手を繋いでディズニーランドに来ているんだからね!
もちろん皆もいるけど、さっきウロウロしている途中ではぐれてしまったというわけ。
だから僕はが乗りたいと言った"スペース・マウンテン"に乗る為、トゥモローランドって場所に来て、"スペース・マウンテン"の乗り場を探してるのさ。


「ねぇ、オーリー。皆、心配してるんじゃないかしら?」


が少し不安に思ったのか僕を見上げてくる。
僕はを安心させるように優しく微笑むと、の額にキスをした。

「大丈夫さ!皆だって乗り物に乗って楽しんでるって!」
「そうかなぁ?でも・…ここにいるって電話した方が・…」
、せっかく僕と二人きりなんだから、皆のことは今は忘れて!ほら、"スペース・マウンテン"の乗り場についたよ?」

僕が笑顔で乗り場を指をさすと、も嬉しそうに、「わぁー奇麗なドームね?!早く行こう、オーリー」と僕の腕を引っ張って走って行く。
知らず顔が緩む俺。ザマ―ミロ、ドムめ!


今日は日本を発つ日。
ナリタに行く前に、が、ディズニーランドに行きたいと言うので、皆で朝早起きしてやってきた。
朝一番で、しかも平日に入ったからか、そんなに混んではいなかった。
それでも、あちこちにアトラクションが散らばっている為、勝手に動いていたら、ソッコーで皆とはぐれてしまった。
ってすぐに携帯に電話をすればいいんだけど、僕は少しだけを独り占めしたくて、あえてしなかった。
僕は携帯を持ってないし皆はかけてこれないし、の携帯は、さっき僕がコッソリと電源を切っておいたからね!
今頃、ヤキモキしながら必死に僕らを探していることだろう。
もう、そろそろ空港に行かないといけない時間なんだけど、この"スペース・マウンテン"だけは乗せてあげたい。

僕とは並ぶ事もなく、すんなり中へと入れた。
係りの人の案内で、"スペース・マウンテン"に乗り込む。

「何だかドキドキしてきたわ…」

がちょっと怖いのか不安げに呟く。

「僕はワクワクしてきたよ?ジェット・コースター大好きだからさ!」
「オーリーは、ほんと、こういうの好きよね?」

がクスクスと笑っている。

その時、ゆっくりとコースターが動き出した…。














レオナルド




「おい、いたか?」

俺は周りを見渡し、と、ついでに(!)オーランドを探しながら、反対側を探して戻って来たジョシュに声をかけた。

「いや、いない!」

ジョシュも焦った様子で溜息をついている。

「ったく!どこに行ったんだ!オーリーの奴、携帯持ってないから探しようがないぞ?のも電源入ってないし…いっそ迷子のコールでもしてもらうか?」
「そうするか?このままじゃ飛行機に乗り遅れちまう…」

ジョシュは頭をかきつつ、まだ辺りを見渡している。

「お〜い!いたぁ〜〜?!」

今度は他のアトラクションの場所に探しに行ったイライジャが走って戻って来た。

「いや…そっちも…いなかったか…」

俺はイライジャが一人で戻って来たのを見て少しガッカリした。今、俺たちは、"ウエスタン・ランド"という場所にいる。
ここにある、"シューティング・ギャラリー"で遊んでいたのが、ふと気付くとがいないので大騒ぎになった。
ついでに、オーランドまでいなくて、皆で探し回っているところだ。

「いっそ入り口の方まで戻ってみるか?そこにいたら、時間までには現れるだろ?」
「そうだな…。きっと連絡してこないって事はオーリーの確信的犯行動だからな…。どうせと二人で楽しく乗り物にでも乗ってるんだろ?」

ジョシュが少し怒った口調でぼやいている。
とりあえず俺たちは入り口へと向った。
ドムとリヴも探し回っているが、すぐに携帯へ電話して、入り口に集まるように言った。

入り口まで歩いて行くと、すでにドムとリヴが心配そうな顔で待っているのが見える。

「あ、リジー!は…はいたのかーーーー?!」

ドムが凄い形相でリジーに走りよって来て、リジーも一瞬、逃げ出そうとしていた(!)

「い、いや…いなかったよ…。とりあえず、ここで待ってみようって事になってさ」
「くそう…!バカオーリーめ!をどこに攫って行ったんだ!」

この時ばかりは、ドムの言葉に皆が頷いた。

その時―――能天気な声が聞こえた。



「あれぇ?皆、ここに集まってたの〜〜?」



一斉に、その声の方を見ると、オーランドが仲良くと手を繋いで戻ってくるのが見えて、俺とジョシュ、イライジャは二人の方へ走って行った。

「オーリー!!お前、どこに行ってたんだよ!探したんだぞ?!」
「ほんとだよ!何してたのさ!」
「携帯に連絡くらい入れろ、バカ!」

最後にジョシュがオーランドの額に思い切り、デコピンをかましている。

「あぃだ…っ!ぃったいなぁ!いいだろ?が、"スペース・マウンテン"に乗りたいって言うから連れて行ったんだよ!」

オーランドは額をさすりつつ口を尖らせて文句を言っている。

「だからってな!そうなら電話で一言、乗ってくるって言えよ、バカ!」

俺も腹が立って、オーランドの額にデコピンしてやった。

「ぃだっ!レオのが一番、痛いよ!!」
「レオ…ごめんなさい!私が乗りたいって言ったの…!オーリーを怒らないで?」

が俺に抱きついて必死にそう訴えた。
俺は少し溜息をつくと、の額にキスをして思い切り抱きしめた。

「とにかく…良かったよ…」
「心配かけて、ごめんなさい…」

は俺を見上げて悲しそうな顔。
俺は、のそんな顔は見たくないので優しく微笑んだ。

「いいんだ。ちゃんと、こうして戻って来たから…。 ――そろそろ時間だし空港に行くよ?」
「うん」

やっとも笑顔を見せて頷いた。ジョシュやリジーもを抱きしめて、頬にキスをしている。
それを羨ましげに、ヨダレでも垂らしそうな勢いで見ているのがドム。
ドムも、に近付こうとしたが、そこはオーランドが阻止した。 ――心配かけたんだ。これくらいはしてもらわないと!

「ドムゥ〜〜!心配かけてごめんね?!僕が悪かったよ!」
「うわ!バカ、抱きつくな!誰もお前なんて心配してないんだよ!俺が心配してたのは…っ」
「俺だろぉう?!そんな照れるなよ、ドムーー!」
「バ…!バカヤロ!ホッペにキスするなーーー!!」

ドムの雄たけびがディズニーランドに響き渡った。

「あの二人、放っておいて…さっさと空港に行こう…」

俺は溜息交じりで、そう言うとの肩を抱いて出口の方へと歩きだした。










ドミニク




くそぅ…せっかく同じ飛行機に乗ったというのに何でよりも一番遠い席に座らせてる?俺!
マネージャーがくれたチケットは、の席から通路を挟んで3つ隣だったのに!
それに気づいたリジーが、「僕、ここがいいな!」 と先に座りやがった…!
おかげで俺はのいる窓際の席の、全く反対側の窓際の席になってしまった…っリジーめ…覚えてろ!!

俺は楽しそうに身を乗り出して、に話し掛けているリジーを思い切り殺意を込めて睨んでやった。
の隣はもちろんレオだ。
通路を挟んで、隣がオーリー。その隣にリジー(元は俺の席)その前にリヴとマネージャー連中。
レオの前の席にジョシュ。
皆で俺とを引き裂こうとしてるんだな?!悪魔的だぞ?お前ら…。

今はロス行きの飛行機の中だ。
一旦、ロスへと戻って、一日あけて次の日には、またプロモーションのため、俺、オーリー、リジー、リヴの4人は、あちこちと回る。
だからと一緒にいれるのは今しかないんだ…っ暫く会えなくなってしまうからな…。なのに何で俺は、こんな遠くに…。 

――因みに俺の隣はマネージャーだ。面白くも何ともない――

ああ……あんな楽しそうに前の席のジョシュと話している…。
ファーストクラスだから席との間が、かなり開いてるし顔を見ながら話せるのだ。

あ…レオのやつ、シャンパンなんて頼んでやがる…
CAは、CAで、レオの顔を見て頬なんて赤らめて…!レオのファンか?!くそう…ムカつく男だ。
レオはしっかり営業スマイルで、CAをノックアウトしている。
何だか他のCAも、大した用事もないクセに、ちょこちょこと来ては、「何か、お持ちしましょうか?」 とやって、ジョシュや、オーリー、リジーの顔を見て、いそいそと戻って行く。
きっと裏では、「ハリソンファミリーの兄弟が勢ぞろいよ〜」 などと騒いでやがるんだろう。
CA失格もいいとこだ!仕事しろ!バカCAどもめ…っ
どうせ、お前らは、スターと、お近づきになりたくて、この仕事を選んだんだろう?! (もの凄い偏見)
一度くらい俺様にも、「お飲み物はいかがですか?」 とか何とか言いにきやがれってんだ!

そう思った瞬間、ニコニコと微笑みながら、「お客様、何かお飲み物でも、お持ちしましょうか?」 と声をかけてきた。
俺はそれで少し気分を良くしてやった(!)

「じゃあ、シャンパンを…。 あ、ドンペリ二ヨンね?」 と澄まして言った。

「はあ?お前が、ドンペリ二ヨンだって?どうしたんだ?レオの真似か?」

俺のマネージャー、トムが、バカにしたような目つきで俺を見た。

「む…っ。あんな奴の真似なんかするわけないだろう?」
「そうか?向こうに対抗してんじゃないのか?」

トムはそう言いながら苦笑して、「あ、俺にはバーボンのロックを」 とCAに頼んでいる。

「かしこまりました」
そう笑顔で答えて、CAは歩いて行った。

「お前は顔にぜーんぶ考えてることが出てるんだよ。ほんと分かりやすいよな?」
「何だとぅ?」
の近くに座れなかったから、スネてるんだろう?お見通しだよ?」

トムはそう言うと、飲み物を持って来たCAに、「あ、ありがとう。君、奇麗だね?名前は?」 などとやっている。
お前こそ、レオの真似事してるじゃないか!! (これも凄い偏見)

俺は受け取ったシャンパンを一気に飲み干した。

「同じ物を!」
「あ、は、はい」

トムと何やら仲良さげに話していたCAに、そう言うとトムは俺を軽く睨んだ。

「お前、人が電話番号を聞きだそうとしてるとこを…邪魔するなよ…」
「何おぅ?俺は飲み物を頼んだだけだぞ?それに、あいつらは、それが仕事だろう?電話番号なんて教えてる暇があるなら働けってんだ!」

一気に飲んだシャンパンが、もう効いてきて、いい感じに酔ってきた。
俺の声が大きかったからか、他のCAどもが、こっちをジロリと睨んでくるが俺は気にしなかった。

「あのなぁ…。お前、その自分は客だって態度やめろよ…モテないぞ?あ、お前、自分がモテないからって、ひがんでるな?」
「トムはいちいち、うっさいぞ?!誰がモテないんだ、誰が!」

「「「「お前だろ?」」」」

「……?!」

一斉に俺との仲を引き裂こうとしている悪魔どもが、こっちを見て声をそろえた。

く、くそう…!CAのやつ等も何だかクスクスと笑ってやがる…!何てムカつく航空会社だ!
どういう教育してるんだ?全く!よーし…後で訴えてやる!!!

俺は、シャンパンを持って来たCAの手からグラスを奪うと、またそれを一気に飲み干した(!)

「おい、おい…お前もう少し味わって飲めよ…そりゃビールじゃないぞ?」
「うるさい!俺の勝手だろう? ――おかわり!」

俺はヤケクソで叫んだ…。








イライジャ




あ〜あ…ドムったら荒れちゃって…僕が席を無理やり替わったから不貞腐れてるんだな…
分かりやすい奴…しかもCAに当たっちゃって…皆から睨まれてるよ…
わ…あいつ何杯、シャンパン飲む気だ?ここは飲み屋じゃないぞ…?あれで確か…6杯目?!
うわぁ…知ーらないっと…!!どうせ、そのうちドムは寝るに決まってるし…その方が大人しくなっていい。
ああ、ほら…何だか体もリラックス体勢になってきてシートに埋もれてきたよ…
あ…欠伸してる…こりゃ、もうすぐダウンだな…

僕はドムを観察しながら、軽くワインを飲んでいた。
すると隣のオーリーも、クスクス笑いながら、「ドム、もうすぐ寝るね?」 と呟いた。

「ああ、どうせならロスにつくまで寝てて欲しいよ、ったくさぁ」

僕とオーリーは二人で苦笑しながら、すでに目が虚ろになってきたドムを見た。

「ドムったら一気すると必ず寝ちゃうんだよねぇ…。ま、それで助かる事も多いけど」
「ああ、前はオーリーと一気飲みで戦って、あの時も最後は寝ちゃったよね?まあ、あれはオーリーもダウンしたけどさ?」

僕は、あの時の事を思い出して吹きだした。
オーリーは顔をしかめつつ、

「あれは、に会いたいから家に泊めろって言われた時だったねぇ…それを阻止するべく、わざわざ一気飲みの勝負したんだよ。
おかげで俺は次の日二日酔いだったろ?」
「ああ、そうだったね!全く…家に泊めるわけないだろうっつーのにさぁ」
「何だ?やけに静かになったな?ドムの奴」

レオが気付いて、こっちを見た。

「レオ。見てやって?あの顔!もうあと5秒で寝るね?ワーン…ツースリーフォー。――あ、寝た!4秒か!惜しいな…」

僕はドムが寝る時間をカウントしながら苦笑した。

「あ〜あ…大口開けちゃって…トム、凄いやな顔してるよ」

レオはそう言いながら笑っている。
ドムはトムの方に寄りかかるように倒れてきて、トムが嫌そうな顔で、ドムを窓の方へと押しやっている。

「トムも大変だねぇ?あんなアッホォー(!)の担当なんてさ!」

オーランドも、そう言いながら大笑いしている。

その言葉に笑いながら、「全く、その通り!(でも人の事は言えないよ?オーリィ…(心の声)」 と言って残りのワインをぐいっと飲み干した…。











レオナルド





、大丈夫か?眠い?」

俺は目をこすっているを見て顔を覗き込んだ。

「ん…ちょっと…」
「そっか…。夕べもパーティーで結構、飲んだしな…今朝は早起きだったから疲れたろ?少し眠れば?」
「そうね…。まだ、あと7時間くらいかかるもんね…」
「ああ、だから少し寝ろよ…。後で時差がきつくない時間に起こしてやるから」
「…ん。分かった…。あっちついたら夕方だもんね…。じゃあ…少しだけ寝ようかな? レオは?寝ないの?」
「俺は眠くないし、まだ酒でも飲んでるよ」

笑いながら、そう言うと、もちょっと微笑んで、そのまま目を閉じた。
俺はの頬にキスをして、手を軽く上げ、CAを呼んだ。

「はい、いかがなさいました?」

満面の笑みで歩いて来た。

「ちょっとブランケット持ってきてくれますか?」
「あ、はい。かしこまりました」

そのCAは嬉しそうに微笑んで、すぐにブランケットを持ってきてくれた。
俺はニッコリ微笑んで、「ああ、ありがとう」 と言うと、そのCAは顔を赤らめて戻って行った。
そのCAは、さっき俺に小さなメモを渡して来た女だった。
に見付からないうちに、すぐポケットの中で握りつぶしたけど。

俺はブランケットを、の膝にかけてやった。そして頬に、また軽くキスをする。

「おやすみ、…」

「あれ?、寝ちゃったの?」

通路を挟んで隣からオーランドの大きな声が聞こえて、俺は顔をしかめた。

「しぃ! 、疲れてるんだよ…。少し静かにしろ」
「は〜い…。あ〜寝ちゃったらつまんないよ…」

オーランドは少し寂しげに、そう言うと自分もブランケットを貰うなり、「俺も寝るね」 と目を瞑った途端、3秒で寝入ってしまった。
それを呆れ顔で見ているリジーと目が合って、お互いに、「相変わらずだな」 と笑った。

「何?、寝たの?」

前にいるジョシュが振り向いて言った。

「ああ、夕べも大騒ぎしたしな…。疲れたんだろ?」
「そっかぁ〜俺も眠いよ、ほんと…」

ジョシュはそう言うと大きな欠伸をした。

「少し寝たらどうだ?さっきは散々走り回って二人を探したし疲れたろ?」
「ああ、そうだな…。少し寝よう…」

ジョシュもそう言うと、シートに深く座って足を伸ばしている。
ジョシュは、188cmも身長があるからか、いくらファーストクラスのシートとはいえ、少し小さそうだ。

俺はブランデーを、ゆっくり飲みながら、父さんは今夜は家に帰ってるだろうか?と考えていた…。









その頃…ロサンゼルズ・ビバリーヒルズのハリソン家では――





ハリソン




私は彼、ヴィゴ・モーテンセンに、極上のブランデーを出しながら、一体どうしたものかと考えていた。


「ああ、ありがとう。ハリソン…いや、お義父さん」
「お前な…。その"お義父さん"ってのはやめろ…。10歳しか違わないんだから…」
「いや、しかし…」
「あのな…。まだ、お前にを嫁にやるなんて言ってないし許した覚えもないぞ?」

私は苦笑しながら、彼を見た。
ヴィゴも少し顔を赤らめつつ、

「まあ、そうですけどね…。いずれは、きちんとプロポーズを…」
「や、やめてくれ…!」
「どうしてです?愛に歳の差なんて関係ないと教えてくれたのは、ハリソンじゃないですか」

ヴィゴは苦笑しながらブランデーグラスを揺らしている。

「ま、まあ…それはそうなんだが…。お前とはだな…違いすぎると言うか…は、まだ21歳だぞ?普通でも結婚なんて早すぎる…!」
「そんな愛があれば早いとか遅いとかは…」
「愛があるのか?お前との間に」
「そ、それは…これからですよ。これから!」

ヴィゴは、そう言うと、ちょっと照れたようにブランデーを飲み干した。
私は溜息をつきながらソファーに座った。

今日は皆が帰国する日だからと私が早めの帰宅をした頃、いきなりヴィゴから電話をもらい、「今から行きます」 と言われて驚いた。

まさかに告白する気じゃ…?とも思ったが、まだ彼も、そこまでの勇気はないらしい…。
ああは言ってるけど、歳の違いを一番気にしているのは、ヴィゴ本人なのだろう。
今日は告白ではなく、ただ単に久し振りにに会いたかったらしい。
ヴィゴも、またオーリー達と同じで映画のプロモーションのため、各国を回ってたようだが、
が、まさか日本について行ったとは思ってなかったようだ。
リヴから電話が来て驚いたらしい。
そして自分も日本に行きたかったと嘆いていたんだとか…(!)

今日、帰国する事も聞いて、だから真っ先に駆けつけたという事だ。
の父親としては、娘に近付こうとしている、この40過ぎの男を歓迎するべきではないのだろうけど、
私は人間的に、このヴィゴのことが好きだった。
気も合うし、息子、特にオーリーには、いい先輩で、良き相談者のようだ。
そして何より頭が良く、私も彼とは話していて楽しかった。

これでに惚れていなければ…大歓迎しているところだ。
いや、今も歓迎はしているのだが、何だか娘の事を考えると心配事が増えるので、そっちに気がいってしまう。
全く…ドムとか言う、小坊主(!)までが、に惚れているようだし…
オーリーとリジーが撮影で行ったニュージーランドになんか行かせなければ良かった…と後悔するも、時すでに…というやつだ。
現にそのニュージーランドで大の男二人が、21歳の我が愛娘のにノックアウトされたのは、紛れもない事実で私の悩みの種の一つでもある。

全く…モテる娘を持つと父親は心配で心配で、おちおち恋をしている暇もない。 ――いや、してるけど――

そんな事を考えていると家の電話が鳴った。
どうやらエマが出てくれたようだ。少しするとエマがリビングに顔を出した。

「あ、ハリソンに電話よ?レオから」
「な、なに?レオから?!」
「ええ、父さんは帰ってるかって…。一応、帰国の報告らしいけど…携帯通じなかったって言ってたわ?」
「え?携帯…?あ…部屋に置きっぱなしだった…!で?今はまだ繋がってるのか?」
「ええ、待ってるわ」

私はすぐソファーから立ち上がると、ヴィゴに、「ちょっと待っててくれ」 と言った。

「ああ、分かった…」

ヴィゴは、帰国の連絡を聞いて、緊張してきたのか、何やら汗をかいている。
私は心の中で苦笑しつつ、リビングの電話を取らず、キッチンの電話を取りに行った。

「Hello?レオか?」
『ああ、父さん?家に帰ってたんだ』
「ああ、お前たちが帰って来ると思ってな?」
『そうかな?と思ったんだけどさ。あ、今LAXに着いたから…あと30分くらいで帰るよ』
「何だ、そうか!じゃ、気をつけてな?」
『ああ、分かった。じゃ…』
「あ、ああ!待ってくれ、レオ!」

私はヴィゴの事を思い出し、大きな声を出した。

『?…何?』
「あ、あのな…。今、家にヴィゴが来てるんだ」
『…はあ?何しに?』

あからさまにレオは不機嫌な声を出した。ヴィゴがに手を出すんじゃないかと心配なのだろう。
ま、ドムとか言う小坊主ほど敵視はしてないようだが…やはりヴィゴの方が、も惹かれるのでは?という心配も多いのかもしれない。

「あ、いや…それが…に久し振りに会いたくなったそうだ…」 ――私もバカ正直に答えてしまった――

『………』

(我が息子ながら…その沈黙は怖いぞ?レオ…)

「Hello?レオ?」
『ああ、聞いてるよ。…分かった。とにかく帰るよ。も疲れたようだしさ』
「あ、ああ…そうか。じゃ、待ってるよ?」
『うん』

そこで電話が切れた。

「はぁぁああ…」

私は思い切り息を吐き出すと、後ろでエマがクスクスと笑っている。

「何だか想像つくけど…。レオはご立腹のようね?」
「ああ…ちょっと怖かったよ…。黙っただけで父親を、こんなにビビらせる息子も、なかなかいないな?いや、たいした奴だよ…」

とちょっと苦笑した。

「レオはの事が可愛くて仕方ないのよ。他の皆も同じだけどね。レオは長男だし…自分が守らないとって思ってるのかも」
「そう…なのかな?まあ…確かに、女にだらしない奴が、の事になると、ほんとに人が変わったように優しくなるしな…」
「もしかしたら…の事、女性として大事にしてるのかもよ?」

エマが意味深な顔で私を見た。

「な、何?!そ、それは…レオがの事を…。一人の女性として…その…愛してると言う事か?!」
「さあ?そこまでは分からないけど…あの接し方を見てると恋人に接してるようにも見えるし…ジョシュだってそうよ?彼女と別れてまでも、が元気ない時に、ずっと傍についていたんだし」
「何?!ジョシュも?!って事は…他の二人も、その可能性はあるわけか…」

私はちょっと考えながらも、まあ、それでも血が繋がってるわけじゃなし…
もし兄の中の誰かとが一緒になってくれたら嫁に出す心配もなくなるわけだしな…ま、それもいいか(!)

などと呑気な事を考えていた。
どこの馬の骨とも知れない男に嫁に出すくらいなら、可愛い息子達の誰かと結婚でもしてくれたら………こんな嬉しい事はないぞ! 

「ま、まあ、それもいいじゃないか!そうなれば、なったで、ずっとこの家族が一緒にいられるわけだしな!アッハッハ!」

私が豪快に笑いながら、そう言うと、エマも少し驚いた顔をしつつも、

「まあ…そうね、そう言うと思ったわ? ――ほんと、変な家族よね?」 

と言って苦笑している。

「そうか?素晴らしい家族じゃないか!皆が、"普通"である必要なんて全くないしな!"変人家族"で大いに結構!アッハッハ…!!」

私は、そう言いながらキッチンを後にした。










ジョシュ





「どうした?レオ…怖い顔して」

今は空港から帰る車の中。リヴとドムは、すでに空港で別れていた。 

――ドムの奴がしつこくに話し掛けようとして大変だった。なかなか車に乗らないんだから――

「いや…。一難去って、また一難?」

レオはそう言うと溜息をついた。

「え?一難って…?」
「今…家にヴィゴが来てるってさ」
「ええ?!」
「え?何?今、家にヴィゴが来てるの?」

オーランドも振り向いた。

「ああ…父さんがそう言ってた」
「そうか…理由は…もちろん…だな?」

僕がそう言うとレオが、チラっとを見た。
は機内で寝たものの、まだ眠いのか、今はレオと僕の間で、うつらうつらとしている。

「まあ…でもヴィゴも、そんなドムみたく、節操がないわけじゃないからさ?大丈夫だよ、きっと」

オーランドは笑顔で、そう言った。

「まあな…。そうは思うが…。ほんと…ドムよりは安心か…」

レオは苦笑しながら肩をすくめた。
僕もそれに軽く頷く。

「でも可愛いよね?わざわざ帰国した日に会いに来るなんてさ?」

リジーもクスクス笑いながら、オーリーと顔を見合わせている。

「まあ、気持ちは分るけどね?」 
「オーリーは呑気だな…?」

僕はそう呟くと、窓の外を見た。
久し振りに見る、ロスのネオンがキラキラと輝いていて、僕はちょっとホっとしていた。
やっぱり、このネオンを見ると安心するし帰って来たという気持ちになる。

車はサンタモニカ・ブールバードを勢い良く走り抜けて行った――







…?ついたよ?」

僕はそっとの頬に触れながら、そう声をかけた。
は、「ん…ついた…?もう…おうち?」 と目を瞑ったまま小声で呟いている。少し寝ぼけているのかもしれない。

?起きれるか?」
「ん…起きる…」

は、そう言うと静かに目を開けた。
そして僕の腕に掴まると、ゆっくりと車を降りる。

「うーーん…頭が重いわ…」

は外に出ると、少し伸びをしている。

「時差もあるし、疲れもあるんだよ。今夜は自分のベッドで、ゆっくり寝れるしさ」
「…そうね」

は、そう微笑むと我が家を見上げて、「はぁ〜やっと帰って来た…」 と言った。

レオも微笑みながらの頭を撫でている。
オーランドは車を降りるなり、軽い屈伸運動なんてしながら、「はぁーーロスの空気だ!最高〜!」 と叫んで、リジーにどつかれている。

「うっさいよ!時差ぼけの頭に、オーリーの声が響くだろ?」
「だってさぁ〜…。我が家が一番だなって思ったんだよ〜」
「はいはい…。じゃあ、その我が家に入ろうか…」

リジーはそう言うと、スタスタと玄関の方へと歩いて行った。
僕は車を運転してくれたアランに、「お疲れ!じゃ、また明後日ね」  と声をかけた。

「ああ、今夜と明日は、ゆっくり休んで明後日から、また頑張ろう。じゃ…おやすみ」
「うん、おやすみ。運転、気をつけて」
「ああ、じゃな」

アランはそう言うと車を発進させ、門の外へと出て行った。

皆はすでに家の中に入って行ったが、が手前で僕に向って手招きをしている。
どうやら待っていてくれたようだ。ほんと優しいよ、は…。

僕は急いで、のところまで行くと、の頬にキスをして手を繋いだ。

「父さんも帰ってるってさ。久々に会う気がするよな?」
「え?ほんと?父さん帰って来てるんだ。ほんと凄い久し振りな感じ!」

は嬉しそうに微笑むと、玄関のドアを開けた。











「お父さん!ただいま!」

私は元気良く、そう言うとリビングの中へと入って行った。

!お帰り!」

父さんはソファーから立ち上がると、すぐに私の方へと歩いて来て思い切り抱きしめて頬に何度もキスをしてくれる。

「どうだった?日本は楽しかったか?」
「ええ、凄く楽しかったわ?ちょっと行けない場所もあったけど…でもカブキは見てきたの。もう凄く奇麗で面白かった」
「そうか、良かったな!」

父さんは、そう言って私を解放すると、頭を撫でてくれた。
そして私は、先にリビングへと来ていたオーリーが抱きついてる人の姿を見て驚いた。

「…ヴィゴ?!」
「あ、…お帰り」

優しく微笑んで、そう言って抱きついてるオーリーを何とか引き剥がそうとしている。 ――すっぽんのようで、なかなか離れない――

「お久しぶりです!元気でしたか?」

私はヴィゴの方へと歩いて行った。

「ああ、何とかね?まあ、私も昨日まで皆と一緒でプロモーションで各国を回って来たんだ」

何とかオーリーをひっぺがしたヴィゴが、私の前に来て、そう言った。

も…皆と日本へ行ったと聞いて驚いたよ?」
「ええ、どうしても一度行ってみたくて…半分は雨降りでしたけど凄く楽しかったです」
「そうか…。でも…何だか顔が疲れてるね?今夜は、もう休んだ方がいいんじゃないか?」
「あ…そうですね…。ちょっと向こうでハメを外しちゃって…」

私は苦笑しながら、そう言うとヴィゴは優しく頭を撫でてくれた。

「私も…。一緒に行きたかったよ」
「え…?」

私が顔をあげると、急に後ろから腕を引っ張られて驚いた。

「キャ…っ ――レオ?!」
、ほんと顔色良くないし…今夜は、もう寝ろ」
「え?で、でも…」
「俺も、そう思うよ?早く寝た方がいい」

ジョシュまで何だか少し怖い顔だ。
オーリーも、リジーも困ったような顔で私を見ている。

「だって…せっかくヴィゴも来てるし、お父さんとも話したいわ?少し眠いけど大丈夫よ?」

私が口を尖らせて、そう言うと、レオが急に私を抱き上げた。

「ひゃ…!な、何?」
「言うこと聞かないから、このまま部屋に連れてくよ?」
「え…?い、いいわよ…。分かったから…あとで自分で戻るわ?」

私は渋々、そう言うも、レオは下ろしてくれない。

…今日はレオの言う事を聞きなさい。ほんとに疲れた顔をしてるし…お前も、次の映画が決まるかもしれないんだろ?少し体を休めておけ」
「お父さん…」

父さんにまで、そう言われて私は仕方なく、頷いた。
そしてレオの首に腕を回すと、レオが優しく頬にキスをしてくれる。

「じゃ、おやすみなさい」

私が皆に、そう言うとジョシュも、「おやすみ」 と言って頬にキスをしてくれた。
続いてオーリーも両頬に、リジーは額にキスをして、「お休み、」  と言った。

「じゃ、俺も、そのまま寝るよ…機内で寝れなかったんだ」

レオがそう言うと、父さんがレオの頭にポンと手を置いて、「ああ、おやすみ」 と言って微笑んだ。
レオは軽く頷くと私を抱いたまま、リビングを後にした。



レオは私の部屋へ行くと寝室まで私を運んでベッドに寝かせてくれた。

「レオ…私、シャワーも入ってないし、パジャマにも着替えてないわ?」

ちょっと苦笑しながらレオを見ると、レオは、「ああ…そっか…」 と気付いたようで吹きだしている。

「ごめん、ごめん。じゃ、早くシャワー入って寝ろよ?」
「うん。 ――でも…レオ、どうしたの?何だかさっき怖かったよ?」

私がレオを見上げて、そう言うとレオは苦笑しながら私の目線までしゃがんだ。

「ああ…ちょっと…。 ヴィゴに焼きもち妬いたかな?」
「え…?!」

私は思いがけない言葉に驚いた。

「レオ…そんな妬く事じゃないわ?あ,そうか…私がヴィゴと…って心配になったんでしょ?ほんと過保護ね?レオは!」

私はちょっと笑いながらジョークのつもりで言った。
だがレオは私の頬にキスをすると、「そうかもね?」 と言って笑った。

「え?そうなの?」

私は驚いて聞き返すも、レオは、「ああ」 としか答えない。

「そんな…ヴィゴが私みたいな子供を相手にするはずないじゃない。それにヴィゴとは21も離れてるのよ?恋人って感じじゃないわ?」

私の言葉に、レオは少し目を見開いたが、ちょっと苦笑すると私の頭を撫でた。

「そっか…。じゃ、俺の取り越し苦労かな?」
「…? そうよ? ――それに…私…今は恋人を作る気もないもの」
「え?」

私がそう言うと、レオは少し驚いた顔で私を見た。
だが、ちょっと微笑むと、

「そっか。それなら…安心かな?俺も、皆も」 

と言って私の額にキスをすると、静かに立ち上がった。

「じゃ、ゆっくり休んで。も、あと何日かで仕事再開だろ?」
「うん。明後日には一度事務所に行かないと」
「そっか。俺もだ。じゃ、おやすみ、
「おやすみなさい、レオ」

レオは最後に、また頬にキスをしてくれて笑顔で手を振りながら部屋を出て行った。
私は、そのままバスルームへ行くと軽く熱いシャワーを浴びて、すぐパジャマに着替えてベッドにもぐりこむ。

(はぁ…やっぱり自分のベッドが一番落ち着くなぁ…)

横になった瞬間に、どっと疲れが出てきたのか頭が朦朧としてくる。
やっぱり皆が言うように、相当疲れてたらしい。

(ほんと…皆には何でも分かっちゃうのよね…)

私はどんどん頭が重くなる中、さっきレオに言った自分の言葉を思い出していた。

"恋人を作る気はない…"

ほんとに、そのつもりだった。
と言うよりは、好きな人さえ出来ないという感じだろうか。
もう、あんな胸が裂かれるような痛みは感じたくないと思った。

私は意識が遠くなる中で、懐かしいライアンの笑顔を思い出していた…。












オーランド




「はぁ…もう…ドキドキしたよ、何を言い出すかと思ってさ!」

僕はリビングのソファーに寝転がりながら、テレビを見ているリジーに話し掛けた。
ヴィゴは結局、あの後、少々へこんだのか、ガックリとしちゃったもんだから父さんが気を使ってバーへ誘い、二人で出かけて行った。

「ほんとだよね?ヒヤヒヤしたよ…告白するんじゃないかってさ!」

リジーも苦笑しながら振り向いた。
ジョシュは何だか怖い顔で僕の目の前のソファーでワインを飲んでいる。
機内で寝たので眠くないらしい。
僕も思い切り寝たからか、今は全然眠くなかった。
リジーだけは機内でも、ずっと起きてコミックを読んでたようで今もリモコンでチャンネルを変えつつ欠伸を連発している。

「ふぁああ…。ねむ…っ。 ――もう寝ようかなぁ…まだ11時だけど…」
「ああ、そうすれば?凄く眠そうだよ?」

僕はクッションを抱きしめつつリジーの方へ声をかけた。

「うん…やっぱ寝る…。眠くてたまんない…。じゃ、おやすみ。オーリー、ジョシュ」
「ああ、おやすみ、リジー」
「おやすみ」

そこでジョシュも少し笑顔を見せる。
リジーは重たそうな足を引きずりリビングを出て行った。

僕はジョシュの方を見て、「ジョシュ、まだ怒ってんの?」 と聞いてみた。

「え?何…って、ああ…さっきの?別に」
「ほんと〜?顔が怖かったよぉ〜?まあ、レオもだけどさ!」
「ああ…でも、そりゃそうだろ?マジで告白するかと思ったしな?まあ、よく考えりゃ皆の前で言う筈もないんだろうけど…」

ジョシュが苦笑しながら肩をすくめた。

「まぁねぇーー。でもヴィゴも何で、21も年下のに惚れるんだろ?ヴィゴにはさ〜、もっと大人の女性の方が合うと思うけどね?」
「まあな…。しっかし…何も"LOTR"のメンバー二人が同時に惚れなくてもいいのにな?」

ジョシュは少し笑いながらワインを飲んでいる。
僕もそこは笑ってしまった。

「まあね、ほんとだよ!って俺がを連れて行ったからか…」
「そうだぞ?よくも、まあ…男だらけのとこにを呼んだよな?」
「うえ…怖いよ、ジョシュの顔…!」
「あ?俺は、もともと、こういう顔なんだよ!もうオーリーの撮影現場に、を呼ぶなよな?ろくな事ないからさ」
「ええ〜?それじゃ俺が寂しいだろぉ〜?が仕事入ってない時は来たいって言えば呼びたいに決まってるじゃないか!」
「やめろよ、まったく…。それに今度の映画は、の憧れのジョニーと共演だろ?まずいよ、絶対…」
「あ…そうだった…!で、でも…ジョニーだってより、15以上も年上だよ?大丈夫だろ?」
「ヴィゴの例があるだろ?分かんないって」
「ああ…そうか!あ、いやでも…俺、に頼まれたら、嫌って言えないよ…?」

僕が上目遣いでジョシュを見ると、思い切り溜息をつかれた。

ちぇ…そんな呆れた顔しなくたってさ…自分だって、そうなクセに…
まったく我が弟ながら、つれなくて嫌になっちゃうよ…!
あ〜あ…明後日から、またプロモーションの旅かぁ…
アニスにも電話するって言って一度しかかけられなかったしなぁ…。――と言うか色々あって忘れてただけ――

明日、電話して彼女に時間があれば会いに行こうかな?
よし、そうしよう!僕だって、たまにはデートしないとね…むっふっふ…。


「オーリィ…何をニヤケてるんだ?…気持ち悪いぞ?」


そう言われて僕が慌てて顔を上げると、ジョシュが目を細めて怯えた(!)顔で僕を見ていた。

「気持ち悪いってひどいなぁ!」
「だって、ほんとの事だし」

ジョシュはクールに、そう言うと、ソファーから立ち上がった。

「じゃ、俺も寝るわ。オーリーは一人で存分にニヤニヤしててくれよ。じゃな!」
「え?…え?!ま、待ってよ、俺も寝るよーーー!一人でリビングにいても寂しいだろ?!」

僕は慌てて起き上がると、逃げ出そうとするジョシュに後ろから抱きついた。

「うーわ!お前やめろよな!」
「何だよ〜、可愛い兄貴だろぉう?一緒に部屋に戻ろうよ〜〜」
「やだって。離せよ…!」

ジョシュは無駄な抵抗で、僕の腕を離そうとするも、僕も、そこは兄貴としてのパワーを発揮して、
噛み付き亀の如くジョシュから離れなかった(!)

するとジョシュは諦めて僕ごと、引きずりながら階段を上がっていく。

「ジョシュ、力あるなぁ〜〜このまま俺の部屋まで行ってよ!」

「うるさい、背後霊!!貧乏神!おんぶお化け!」

「ひ、ひどいや。ジョシュー!大事な、お兄ちゃんを妖怪扱いするのか?!」

僕が嘆き悲しむと(!)ジョシュは、あの低〜い声でボソっと、「妖怪の方が…まだマシだろ?」 と言った。


僕はハッキリ言って少し傷ついた………ちょっぴり悲しい夜だった…。














久々に家族夢Uを書きました。
なもので、ちょっとヌルイ内容になっちまいました(汗)
つか、つなぎっぽいし(笑)
皆さん帰国です。
そろそろヒロインも仕事させないとぉーv
他にも登場人物が控えてますしね!