二男、オーランドの事情〜






僕は朝、目が覚めた時、一瞬自分がどこにいるのかさえ分からなかった。
まず暑くて目が覚めた。
その直後に襲ってきた頭痛と吐き気…

「ぅえ…気持ちわるぅ…」

ゴロリと横になって、その気持ち悪さと頭の痛さで顔をしかめた。
そして暑くて堪らない体を、ゆっくりと起す。

(うわ…汗かいてるし…って、俺は何で暖炉の前で寝てるんだ?)

オーランドはしばしリビングの中を見渡した。
そこには誰もいなくて窓からは薄っすらと太陽の光が差し込んでいる。

朝の7時半過ぎか…夕べ…僕はドムとビリーの3人で飲んでたんだ…
その後にリジーも呼んで…大いに盛り上がったっけ…
そのうちドムと酒の飲み比べとか始めて…やべ…その後の記憶が定かじゃない。

「俺…どうやって帰って来たんだ?」

まあ、リジーが一緒だったんだし連れて帰って来てくれたんだろうけど。
ヤバイなぁ…。また暫くは嫌味言われるよ…末っ子の弟に、嫌味を言われる兄貴も情けない。

そっと立ち上がると、まだ酔っていると思われる体を何とか動かし二階の自室へと戻って行った。
まだ皆は寝てるんだろう…二階の廊下もシーンと静まり返っている。
自分の部屋のドアを静かに開け素早く中へと入ると、ホっと息を吐き出した。

ああ〜皆が起きてくる前に目が覚めて良かった!
あんな所で寝てるのを見付かったら…何て言われるか…
特にレオなんて、イジワルだからな。

――オーランドも、まさか、そのレオに暖炉の前まで引きずられたとは思っていない――

部屋にある冷蔵庫の中からミネラルウォーターを取り出し一気に飲み干した。

「うぅ〜喉が渇く…暫く酒はいらないなぁ…」

二日酔いの日の朝は、いつも思うことだ。
だけど次の日になると、すぐに忘れて、また飲んでしまうのだが。

「はぁ〜…」

ベッドの上へと寝転がり思い切り溜息をついた。
しかし寝転がった拍子に何故か後頭部に激痛が走る。

「ぃったぁ…何だ?」

体を起すと、そっと後ろの痛い場所を手で触ってみる。
すると、そこにぷっくらとタンコブが出来ていた。

「何だ、これ?俺、夕べどこかで転んだのかなぁ…」

それすら覚えてない…
こんなに大きなタンコブがあるんだから、相当の衝撃でぶつけたはずなのに。

「もう〜…最悪…」

今日は、どこにも出かけないで、ゆっくり休もう…今度の映画の台本も全部読みたいし…
明日からはリジーと共演した映画のインタビューや、プロモーションで忙しくなるし…それが終わったら今度の映画の撮影に入る。
僕はまたベッドに横になると、布団の中にもぐりこんだが、昨日の服を着たままだと言う事に気づき、それを脱ぎ捨てて裸になった。
そして、そのまま布団の中へと潜り込む。

…夕べに会ったのかな?家に戻って来た後…酔っ払いの姿なんて見られてたら、どうしよう…!
ふと、そんな事を考えて、ますます頭が痛くなってきた。

夕べは確か…レオと深夜の映画を見る約束をしてたよな…
レオは、どっかのモデルと食事に行くと言ってたし、それをにチクっておいたんだけど…(!)
はレオと映画見てたのかな?
レオはデートであったとしても、とした約束は、きちんと守ってるからな…

外泊はしてないだろう…と思った。

はぁ…僕もと映画観たかったよ…ジョニーのだけど。

昨日はちょっと緊張してしまった。
憧れのジョニーデップが目の前にいるんだから当然だ。
でも彼は凄く気さくで撮影も楽しみになったし!早く一緒にやってみたいよ…!
とりあえず…今日はもう少し寝る!

オーランドは目をギュっと瞑ると、すぐにまた深い眠りにつく。
アルコールが残ってるせいか、暫くすると、ぐぉ〜っとイビキの音が部屋の中に響き出した…。








「おはよう。オーリー」

が笑顔で僕を見て言った。
僕も、まだ寝起きでボォ〜っとしてはいたが、の笑顔に次第に目が冷めてゆく。

「おはよう、!」

僕は笑顔でリビングへと入ると、お約束の寝起きのキスをの頬にして軽く抱きしめた。

「オーリー頭…大丈夫?痛くない?」

に突然そう言われて僕は驚いた。

「え…?!な、何で、知ってるの?」
「え?だって夕べ、私達の目の前で頭を打ったのよ?凄い音がして…でもオーリーそのまま寝ちゃったんだけど」

はクスクス笑いながら僕を見上げた。

Shit!やっぱり!酔っ払い姿を見られてたんだ…!!!しかも…"私達"?…"達"って事は…

「ね、ねえ、?夕べ…そこには誰がいた?」 と僕は恐る恐る聞いてみた。
「ああ、レオとリジーと私よ?レオと映画見てたら、オーリーとリジーが酔って帰って来て…」

それを聞いて僕は眩暈を覚える。

(や、やっぱり…!!よりによってレオがいたとは…)

「大丈夫?オーリィ…。お水でも飲む?」

僕がしばし目頭を指で抑えてたからか、が心配そうに聞いて来た。

「あ、いや…。大丈夫だよ?頭も…タンコブ出来たくらいだしさ!」
「そう?なら、いいけど…」

まだ心配そうなに僕は優しく微笑むと、「それより…は、昨日からオフだろ?出かけたりしないの?」 と話題を変えた。

「う〜ん…。何だか疲れちゃって…家でノンビリしたいかなって…」
「そっか…この前まで本当に忙しかったしなぁ…映画とドラマ、同時進行なんてハード過ぎるよ!もう、あんな仕事、引き受けちゃダメ、ダメ!」

僕はそう言いながらを抱きしめて頭を撫でる。
はクスクス笑いながら、「ほんと、オーリーは心配性ね?と言うかうちの兄さん達、皆だけど!」
はそう言うとキッチンの方へと歩いて行く。

僕はの後をくっついて歩いて、「当たり前だろ?我が家の大事な、大事なお姫様なんだから!」 
はポットから紅茶を注ぐと、「はい、オーリー。二日酔いでしょ?朝食は?いらない?」 と俺にカップを渡す。

「ありがとう…。朝食は…食べられないかな…?――あれ…エマは?」
「買い物よ?もうお昼過ぎだし…」 

と言いながら、も自分のティーカップに紅茶を注いで、ふぅ〜っと吹きながらも美味しそうに飲んでいる。

「そっか…って他の皆は…?」
「レオは、まだ寝てるわ。ジョシュは朝方に帰ったみたいだし熟睡中。リジーは次の仕事の打ち合わせ?」
「そっか。ん?父さんは?」
「お父さんは外泊!」

 は、そう言うとクスっと笑った。

「…ああ。また彼女のとこに泊まったかな…?」
「そうじゃないかな?まだ続いてるみたいだし…彼女、撮影現場にも、たまに顔出してるようよ?」
「へえ!父さんも恋多き人だからな…いつまで続くかな…?」

そう言って僕は苦笑すると紅茶を飲んだ。
するとが思い出したように、「あ、ねえ!昨日、オーリー酔ってたし聞くの忘れたけど、ジョニーはどうだった?会ったんでしょ?」と興味津々な顔で聞いて来た。

「うん、凄く気さくで良い人だったよ?撮影も楽しみになったな」 
「いいなぁ…私も会いたいわ!ね、撮影現場に行ってもいいでしょ?前みたいに!"ブラックホーク…"の時は我慢したんだから」

僕はその言葉にちょっと顔をしかめた。

前に撮影現場となったニュージーランドに、は遊びに来て何日か滞在して見学したんだけど…
その時に、ドムが、を気に入っちゃって大変だった…!
それからは何かと理由をつけては、うちに遊びに来るようにまでなってしまった。
そうだ!夕べもドムは、「泊めて〜!に会いたいんだ!」 とか何とか言うもんだから誤魔化す為に酒を飲ませようとして、一気勝負なんてしたもんだから、こんな二日酔いになるハメに!!
だってと一つ屋根の下に泊めるわけにはいかないし…!あぁ…もう心配はつきないよ…!

僕はガックリ頭を垂れた。それを見て、「…オーリー?どうしたの?気持ち悪い?」 と心配そうに顔を覗き込んでくる。
それでも僕はに心配かけまいと、「大丈夫!二日酔いなんて、そのうち治るからさ!」 との頬にキスをした。

「でも…何か軽く食べた方がいいんじゃない?」

まだ心配してくるが本当に可愛くて、俺はギュっと抱きしめた。

「大丈夫だって!ちょっとシャワーにでも入ればスッキリするから」 と言って、また頬にキスをすると、を放して微笑んだ。

「なら、いいけど…。もう飲みすぎちゃダメだよ?」

可愛く怒るに、僕もついデレっとなるも一応、兄として、

「大丈夫だよ?たまにしか深酒しないしさ!それよりも外で飲む時は気を付けろよ?変な男には気を許さないように!」 

と言うと、はぷっと吹きだし、「そんな知りもしない人に気なんて許さないわ?」 と笑っている。

それでも僕は心配なんだよ…が、その気じゃなくてもドムみたいに勝手に寄って来る男共がいるかもしれない!!
だから…撮影現場にも連れてくのは、どうかなって思ってたとこなんだ。
でもなぁ…はジョニーに前から会いたがってたし…ダメって行っても来るだろうなぁ…それにダメっていう理由が思いつかない。
去年の"ブラックホーク…"撮影の時は僕とジョシュで、"モロッコに女の子が滞在するのはキツイ"とか、"今回の共演者は皆が男ばかりで危ない"と言い聞かせて何とか諦めさせる事が出来たけど…
今回のパイレーツ…は、カリブだし…若手のACTRESSもいるし、ダメという理由が思いつかない。はぁ…可愛い妹を持つと兄貴は大変だよ…。

そこへ寝起きって顔をしたジョシュがキッチンへと入って来た。

「おはよ…」
「あ、ジョシュ!おはよう」

は笑顔でジョシュに抱きついている。
ジョシュもそれには笑顔になり、の額へとキスをして、「おはよ!」 と優しく言った。

全く・・・ジョシュは不機嫌な時でもの前じゃ、それを出さないんだから!
するとジョシュの冷たい視線が俺に向けられた。

「な、何だよ?ジョシュ…」

ちょっと怖くて僕は何かしたっけ?と必死に考えていると、ジョシュがボソっと一言言ってきた。

「オーリー、暖炉の前で寝るなよ?疲れて帰って来て、あんな姿見たら更に疲れ倍増するからさ」 
「え?!ど、どんな姿?」

僕は汗がタラリと背中をつたっていくのを感じた。

「大口開けてイビキはかいてるわ、腹は出してるわで、あんなのファンには見せられないな?」

ジョシュは少し苦笑しながら、に微笑みかけている。
俺は顔が真っ赤になった。

(う〜…まさかジョシュに見られてたなんて不覚!!朝、誰にも見付かってないと思ってたのに〜)

「ジョシュは?二日酔いじゃないの?夕べ遅かったでしょ?」

は今度はジョシュを心配している。

「ああ、僕は深酒はしてないから。ちょっとマネージャーと大事な話してたんだ」
「そう…今日は?お仕事?」
「いや…来週から今、公開中のブラックホーク…のプロモーションと、その後から去年撮影した映画のプロモーションに参加するくらいかな?」
「そうなの?ブラックホーク…の撮影が終ってオーリーは次の映画決まったのにジョシュはやらないの?」

は不思議そうな顔でジョシュを見た。
ジョシュも何だか僕の方を、チラっと見て、ここでは言いにくいみたいな顔をする。

(どうせ、僕は邪魔者だよ…!)

「ま、今度ゆっくり話すよ」

ジョシュは笑顔での頭を撫でると、「ちょっとシャワー入ってくる」 と言ってキッチンから出て行った。
は心配そうな顔でジョシュの後姿を見ていたが、軽く溜息をつくと、
黙ったままキッチン横にあるカウンターの椅子へと腰をかけて紅茶を飲んでいる。
何だかが寂しそうな顔をしてるから、僕まで悲しくなってきた。

「ね、ねぇ、
「え?」
「今からさ…ちょっとドライブ行かない?」
「ドライブ?」
「うん、俺も明日から忙しくなるしさ…今日くらいと出かけたいなって思ってさ」
「でも…それなら私じゃなくて、あの彼女を誘えばいいのに…私は一緒に住んでるし、いつでも会えるんだから…」

そこで僕はグっと言葉が詰まるも、

「い、いいんだよ!彼女も今、撮影に参加中だしさ!はオフなんだから」 と言って微笑んだ。
するとも嬉しそうに、「そう?じゃ…行こうかな…」 と言った。
僕は心の中で、ガッツポーズをすると、レオが起きてくる前に出かけようと思っていた。今ならジョシュもシャワー中だ。
「じゃ、ちょ、ちょっと待ってて?軽くシャワー入って目を覚ましてくるから!」 と言うと急いで自分の部屋へ戻り、
数分でシャワーに入ると服を部屋着から外出用にと素早く着替えた。
さあ、行くぞ!と思った瞬間、部屋の電話がけたたましく鳴り出して俺はビクっとなった。
部屋の電話は僕に直通なので急いで出る。

「Hello?」
『Hello?オーリー?』


(え?アニス?!)

今、交際中の彼女からだった――!


「や、やあ、アニス!元気かい?」 

僕は何とか平静を装ってみた。

『ええ、でもオーリーに会えなくて…寂しいわ?』
「僕もだよ?今日は?どこかで撮影中?」
『それが…この雨でロケが中止になったのよ。それでオーリー今日までは時間あるって言ってたの思い出して…』

(ええ?ロケ中止?!…と言う事は…これはデートの誘いの電話か?ど、どうしよう?!が待ってるのに…)

『オーリー?どうしたの?』
「あ、ああ…うん!何でもないよ?」
『もしかして…今日は予定入れちゃった?』

鋭い一言にドキっとしたけど、何とか深呼吸をすると、「うん…それが…そうなんだ」 と言ってみる。
するとアニスもガッカリしたような声で、『そう…残念だわ…』 と呟く。
僕は何だか罪悪感を感じ、「あ、で、でも夜は開いてるよ?あまり遅くはなれないんだけど…」 と言った。
『ほんと?なら夜でもいいわ?私、家で待ってるから』 とアニスも嬉しそうに答える。

「そ、そうしてくれる?じゃ、行く前に電話いれるよ!」
『OK!じゃ、後で…』
「ああ、バイ!」

僕は電話を切ると思い切り息を吐き出した。

はぁぁ…別に慌てなくてもいいんだけど…
アニスは今までの恋人の中では比較的、優しい方だし…物分りもいい。
だからと約束したと言ってもいいんだけどさ…。何となく言い出しにくい。

「っと!ヤバ!待ってるんだった!」

僕は慌ててジャケットを掴むと急いで下へと降りて行った。









、どこ行きたい?」

僕は愛車、ポルシェのエンジンをかけながらの方を見た。
アニスが言ったように外では霧雨が降ってきている。
まだ年も明けて間もないくらいだが、ロスは比較的、我慢できないほど寒いという事もない。
は嬉しそうに、

「うーんとね!やっぱり…久々に海が見たいなぁ…」
「海?いつもドライブ行く海?今日はまだ午後だし時間あるから少し遠出しない?」
「え?いいの?」
「もちろん!」

僕はに微笑むと、ブォン!っと一度エンジンをふかした。

「じゃあ…サンタ・バーバラまで行きたいな…!」
「OK!」

サンタ・バーバラまでなら車で、2時間半〜3時間くらいだった。
僕は思い切りアクセルを踏むと、勢いよくポルシェを発進させた。

は、いつまでオフ?」
「来週末までよ?」
「そっか…。次は何か決まってるの?」
「マネージャーがラブストーリー物のお話を持ってきたんだけど…迷ってるの」
「ラブストーリー?!」
「うん…オーリーは、どう思う?」
「う、うん…」

そ、それは…あまりやって欲しくないよなぁ…。
だってラブストーリーと言えばラブシーンなんてあって当たり前…
ああ!ダメダメ!!僕のお姫様が他の男とラ、ラブシーンなんて・…!!

でも、そんな事は言えず、「はどうしたいの?」 と聞いてみた。

「私は…ラブストーリーは初めてだし…ちょっと不安で」
「そっか…今まではホラーから始まって…サスペンス…ファミリー物…って感じだもんなぁ…」
「そうなの。だからマネージャーも新しい事を始めなくちゃって言って、このお話持ってきたんだと思う」

チッ!あのオババめ!!(@マネージャー(42歳ベテラン)) 余計な各策を!!

「そ、それで他のキャストは誰とか決まってるの?」

僕は心の中で怒りつつもには満面の笑みで問い掛けた。

「それがハッキリしなくて、まだみたいなの」

は肩をすくめて言った。

「そうか…」

まだ決まってない…ああ…いったい誰になるんだ?!
まさかドムとかビリーなんて事は…ないよね…?
いや二人はそれぞれ違う仕事が入ってるって言ってた。それはないな…。

僕はの相手役が誰になるのか、それだけで頭が一杯になって運転しながら、一人頭を悩ませていた。

今向っているサンタ・バーバラはロスから北西へ約150キロのところにある。
一年中、温暖な気候に恵まれた海沿いのハーバーシティだ。
南には太平洋が広がり、北には広大な山々。リゾート地としても親しまれている。
街の中心はステート・ストリート沿いのパセオ・ヌエボ・ショッピングセンター辺りで、ここから海沿いに高級ブティックや、
ショップテラスなどがあり、スペイン領域の面影が残っているので、どことなくヨーロッパの街並みを思わせる街だった。


「わぁ〜海が見えてきたよ!」


が嬉しそうに窓にくっついて外を見て叫んでいる。
僕は、そんなをニコニコしながら見ると、「雨降ってるけど…外に出て散歩でもする?」 と聞いた。

「うん!ちょっと歩こうよ、オーリー」
「でも俺とだと、かなり怪しいカップルに見られるよな?」
「あ、ほんとだ!」

も苦笑いしつつ顔を隠す用の帽子を深くかぶりなおしている。
そう僕たちは一応、顔が知られている。
ACTORって事もあるけど、そんなに映画を見ない人にまで知られているんだ。
ゴシップ誌や、テレビ番組などで、うちの家族のコーナーなんてものがあるからね。
おかげで家の周りはパパラッチだらけ。
隣人や近所にだって、有名人は沢山いるのにさ…!
それに家の門を出る時は車じゃなくちゃ、すぐにフラッシュの嵐だ。今日だって10人ほどが家の周りに張り込みしてた。
そのせいで特に映画通じゃない人にまで道で声をかけられてしまう。
だから今日は二人して帽子を深くかぶって雨だと言うのに、―レンズは薄いやつだが―サングラスまでしていた。
どう考えても二人で、この格好は怪しく見えるはず…。
僕は車を止めて外へ出るとのドアを開けてあげた。

「どうぞ?お姫様!」
「アハハ…ありがと、オーリー」

 は僕の手を取って車から降りると目の前に広がる海を見て笑顔になった。
は僕の腕に自分の腕を絡めて、くっついてくる。
それが僕には凄く嬉しい一時。
二人でスターンズワーフまで、ゆっくり海を見ながら歩いて行った。
スターンズワーフは1872年にカリフォルニアで初めて開港した場所で現在は土産物店やレストランが並ぶ観光スポットとなっている。

「やっぱり…雨だと遠くが曇って、よく見えないね」

が少しサングラスを外して寂しげに呟く。
その瞳は目の前の海ではなく、もっと遠くを見るような瞳に僕には見えた。

何だかは三年くらい前から少し変わった気がするんだよなぁ…
こう…何というか…大人の表情を見せるようになったというか。
まあ、もう21歳なんだから当たり前かもしれないけど…僕は心配だよ…
そのうちボーイフレンドなんて連れて来たらどうすればいいんだ?!
兄ちゃん、泣いちゃうよ…


「オーリー?どうしたの?急に静かになって…。やっぱり、まだ二日酔い治ってない?」
「え?いや…そんな事はないよ?」
「じゃあ、寒いんだ!こうすれば寒くない?」

そう言うとは僕にピッタリと寄り添って来て、顔がニヤケてきてしまった。

「ありがと、!暖かいよ」

と言っての額にキスをすると僕も彼女の肩を抱き寄せた。

「はあ〜久々に仕事以外で遠出したかなぁ」
「……ちょっと疲れてたしね。最近、元気なかったもんなぁ…」
「そんな事はないけど…仕事が詰まってて少しストレス感じてたのかも…」
「そっか。俺、明日からリジーとプロモーションの旅だし暫く家空けなくちゃならないから気分転換にも付き合ってあげられないよ…」
「あ、そうなの?ジョシュもそんな事言ってたね、さっき」
「ああ、ジョシュとは日本で落ち合うことになってるんだ」
「ええ?日本って…何で?!」

が目をまん丸にして驚いて、そんな顔も可愛いなと思いつつ僕はに説明した。

「それがさ、"ブラックホーク…"のプロモーションはジョシュが行くんだけど・・俺は"ロード…"の方で行く事になってね。
スケジュール話してたら何とジョシュとは日本に同じ日に行く事になっててさ!別々のプロモーションで落ち合うなんて今までなかったし楽しそうだよなぁ」
「えーーいいなあ!私も行きたい!」

突然が僕の腕を引っ張って、そう言ったもんだから、ちょっと驚いてしまった。

「え…!行きたいって…日本へかい?」
「うん!日本もだけど…オーリーや、ジョシュやリジーが行って私が行けないのって何だか寂しいもの…!」
「まあ…そうだけどさ」
「レオも誘って行こうかな?」

今度はいきなりレオの名前が出て驚いた。

「ええ?レオって言ったって…。仕事あるだろ?」
「まだ撮影始まらないって言ってたもの!撮影始まる前に三日四日くらいは大丈夫でしょ?」

のキラキラした瞳で、そう言われると僕も弱い。

「ああ…まあ、たぶん…」
「よし!帰ったら早速レオに話してみようっと!」

はすっかり日本へ行く気満々のようだった。

(ああ…が来てくれるのは嬉しいけど…日本で、うちの兄弟全員が揃ったら…どうなるんだ?!)

僕は映画のプロモーションが家族旅行みたいになっていくのが、ちょっとだけ想像できてしまった…。










「どこ行ってたんだ?!」

帰った早々、レオとジョシュが怖い顔で僕を出迎えた。

「え、いや…あの…ちょっとが海が見たいって言うから、サンタ・バーバラまでドライブにさ…」

僕は少し後ずさりながらもソファーへポスンと座った。
は少し雨に濡れたので、ジョシュに、「お風呂に入って暖まっておいで」 と言われて今は自室のバスルームへ直行させられた。
僕も濡れたしシャワー入ってすぐアニスの家へ行かなくちゃならないのに、ここで二人に掴まり、何故か尋問を受けているってわけ。

「いくらが海が見たいって言ったって、こんな雨の中に連れて行くことはないだろ?が風邪引いたらどうするんだ?」

レオが目を吊り上げて文句を言ってくる。

「…ごめん」

僕は素直に謝るしかない雰囲気。
きっと二人は内緒で出かけたから怒ってるんだな…

「せめて一言くらい声かけていけばいいのに」 

とジョシュが僕を怖い顔で見下ろしてくる。
ほら、見ろ!やっぱり内緒で言ったのが気に入らないんだ…!
だって二人に言ったら絶対に一緒に行くって言うに決まってるんだから…。
僕だって、たまには My Little Girl と二人で出かけたいよ…。

「あ、あのさ…僕…これから出かけなくちゃならないんだ…だから…」

時間が気になり、恐る恐る言ってみた。

「どこに?」

レオの冷た〜い視線が突き刺さる…。 ――ああ、何で、そんなに氷のような瞳で僕を見るんだ?レオ…

「あ、あのアニスの家に行く約束しててさ…」

そう言うと、レオもジョシュも何だか顔の表情が一瞬和らいだように見えた。

「ああ、あの彼女か?何?デート?」 

と、レオがカウンターテーブルの上のウイスキーをグラスに注ぎながら言った。

「…うん。彼女、時間空いたって言うしさ。久々に会おうって言われて…」
「ふぅ〜ん。そっか、なら早く行ってあげれば?」 

いきなりジョシュにそう言われて僕は驚いたが、今しかこの状況を抜け出せる方法はなく素直に、
「そうだね!じゃ、僕は出かけてくるよ!」 と言ってソファーから立ちあがった。
僕は足早にリビングを出て行こうとすると、「あ、オーリー!」 と急にジョシュに呼び止められ、ドキっとする。

「な、なに?」
「オーリーも濡れたんだろ?出かける前にシャワーでも入って暖まって行けよ?風邪引くし。来週はプロモーションなんだからさ」

僕はそのジョシュの優しい言葉に感動した。

「ありがと〜ジョシュ〜!お前は優しいよなぁ〜!」 
「うわ、離れろよ?うっとしいなぁ!」 

と、抱きついた僕の腕を必死に外そうとしている。

「嬉しくてさ〜…どっかの鬼兄ちゃんとは雲泥の差だな?」

と、つい口から出てしまって慌てて口を抑えるも、すぐにレオの蹴りが僕を襲った…。

「ぃだ…!」
「悪かったな?"雲泥"の"泥"の方で!」
「痛いなぁ…!弟のちょっとした可愛いジョークだろ?」
「誰が可愛いんだ?誰が!我が家で可愛いのはだけだよ」

レオが済ました顔で言うと、ジョシュも大きく頷き、

「確かに!」 
「何だよ…二人して…血も涙もないな…鬼!悪魔!」
「「あぁん?!」」

凄い形相の二人が僕の方に振り向いた。
僕はそう言い捨てると逃げるようにして自分の部屋へと走って行く。

(まったく…どんな兄と弟なんだ?)

僕は怒りながらもアニスを待たせちゃ悪いと急いでシャワーに入り素早く着替えて、
「今から出るね」とアニスに電話を入れると、また部屋を飛び出した。
リビングの前だけは、そぉ〜っと足音を忍ばせて歩いて行く。
すると中からは楽しそうなの声が聞こえてきた。

「ね?いいでしょ?皆で日本に行きたいの!」
「でもなぁ…あまりに急だし…泊まるとこ取れるか?ジョシュ」
「ああ…何とかなるとは思うけどさ」

僕はそれを聞いて苦笑した。

ああ…あの二人の基準は泊まるとこか!普通は、もっと違う事じゃないのかい?
"え?いきなりは無理だよ、。仕事がもうすぐ始まるし"とか、"これは遊びじゃないんだから…"とかさ!
まあ…来るのはいいとして…父さんを一人置いていっても大丈夫なんだろうか…あの人、何気に寂しがり屋だからなぁ…

僕はそんな事を考えつつ車へと急ぐと、すぐにアニスの家へと向った。
アニスの家はサンタモニカにあるので、車だとすぐ行ける。案の定、道がすいていて、15分もかからないうちに到着。
僕はすぐに彼女の家のインターホンを押した。少しすると、アニスの笑顔に出迎えられた。

「久し振り!オーリー!」
「やあ」

アニスはいきなり僕に抱きついてきてキスをした。

「ごめんね?さっきは…」

僕は彼女の家に入りながら、そう言うと、「ううん、いいの。私も急にかけちゃったし」 と微笑んで僕に紅茶を入れてくれる。

「ありがとう」
「オーリーは明日は早いのよね?」 

アニスは、そう言いながら僕の隣へと座った。

「あ、うん。明日はインタビューがぎっしりでさ…来週はプロモーションに出発だしね」
「そう…じゃ、また暫くロスを離れるのね」
「そうなるかな?」
「寂しいな…」

ふとアニスが寂しげな顔で呟いた。
僕は彼女の肩を抱き寄せると、「電話するよ…」 と言って彼女へキスをする。

「ねぇ…今日は朝まで一緒にいてくれる?」

唇を離した瞬間に、いきなり言われて僕はちょっと考え込んでしまった。

(明日…仕事早いんだけど…でも久々に会ったんだしいいか…は…レオとジョシュが一緒にいるから大丈夫か…)

「…うん、じゃ朝に帰ることにするよ」 

と言ってニッコリ微笑むと、アニスは嬉しそうな顔で僕に抱きついてくる。

「嬉しい…いつもは妹さんが心配するって言って早めに帰るからダメかな?と思ってたの」

僕はそれにはドキっとした。

た、確かに…僕も、あまり外泊はしたくなかった。
でも…今日は昼間一緒にいれたし…なんて事を考えてたら失礼だよな…。
こんな物分りのいい子は今までの彼女の中にはいなかったし。
今までの彼女達は、"何で妹が心配するくらいで帰るの?奥さんじゃあるまいし!"とか言って僕の事を散々シスコン呼ばわりして去って行った。
だって仕方ないじゃないか…今は…大丈夫かもしれないけど…
は昔は、ほんとに外泊を嫌がったんだ。
一度、仕事でいなかった父さん以外の全員が外泊した時、は家で一人で僕らの帰りを待ってた。
ずっと寝ないで…。
僕が帰った時、はジョシュの胸で泣きじゃくってたっけ…。
凄く寂しかったんだろうな…。
僕も他の皆までが外泊したのなんて知らなかったんだけどさ。
あの日から、レオ、僕、ジョシュ、リジーの皆で、なるべく外泊は避けることって決め事を作った。
止む終えない時だけ…って事で。
それでも誰か一人は絶対に帰るならという条件つきだけど…。
仕事以外での全員一緒に外泊はダメだ。
でも…は三年前くらいから、そんなに外泊するのに、うるさくなくなったような気がする。
大人になったって事かな…?それも凄く寂しい気がするけど…。

「オーリー?」

ふいに名前を呼ばれて驚いた。

「え?!な、なに?」
「どうしたの?何だか難しい顔して…。やっぱり妹さんが心配…?」
「あ、いや…。そういうんじゃないよ?それにには今はレオもジョシュもついてるしさ!」

と僕は何とか笑顔を作って答えた。

「そう?ならいいけど…。でも本当に仲がいいわよね?レオナルドの前のガールフレンド知り合いなんだけど、
彼の妹さんへの愛情は信じられないくらいって話してたわ?彼女はそれで我慢できなくなって別れたって…」
「へ、へぇ〜。そうなんだ?」

僕は頷きながらも、レオのガールフレンドって言っても…別れるってほどの子じゃないだろうなと思っていた。
レオにとったら別に何回か会っただけの女性って感じだろうし。

「その子、"レオったら私より妹の方が大事だって言ったのよ?ひどいでしょ?"って怒ってたわ」

アニスは苦笑して言ったが僕はつい、「ああ分るよ、うん」 と言ってしまって、「え?どういうこと?」 と怖い顔で僕を見た。

(ヤバ…!つい本音を…!)

「え?いや、だから…レオって、そう言う奴なんだよ!分かるな〜!」 

と慌てて誤魔化す。
アニスは気づかなかったようで、「そうなの?」 と言ってクスクス笑っている。

「でも…彼に憧れてる子、結構いるのよ?ほら、女性の扱いも上手そうだし、何より雰囲気があるじゃない?」

それには僕も苦笑しながら、「へぇ〜。ま、レオはモテるしね」 と言ったが心の中では、

(皆は、あの鬼っぷりを知らないからだよ…)

と思っていた(!)

「ジョシュもリジーもモテるしね!ジョシュは懐が広いんだよなぁ。相手を包み込むような感じ?リジーは年上キラーだしさ」

と笑いながら言うと、「オーリーは?オーリーだってモテるでしょ?」 とアニスが微笑んだ。

「俺?俺は…どうかなぁ?俺もにベッタリで、よく振られるけどね」
「そうなの?でも…私は…妹に優しいオーリーが好きよ?」

アニスはそう言って僕に寄り添ってきた。

「ありがとう」

僕はそう言いながら、ちょっと微笑むと、でも…前の彼女も、最初はそう言ったんだよなぁ…と考えていた…(!)









僕は朝、こっそりと家のドアを開けて中を覗いた。

(よし…誰もいない…。まだ寝てるかな?)

玄関ロビーに忍び足で入り、そのまま二階へと上がろうとした、その時、いきなりリビングのドアが開いた――

「よお。朝帰り兄貴!」
「うわ…っっ?!」
「アハハハ!そんな驚かなくたってさ!」
「リ、リジー?! な、何だよ!驚かすなよ…!」
「何?レオかジョシュだと思った?」
「ああ、思ったよ!ったく…」

僕は朝から、どっと疲れてしまった。

「レオもジョシュも、夕べは遅くまでとビデオ見てたみたいだし、まだ寝てるよ?」
「あ、そうなの?…はぁ…良かった…」

僕はホっと胸をなでおろすと、「あれ?リジーはもう起きたの?」 とリビングのソファーへと腰をかけて聞いた。

「だって今日は一緒にインタビューだろ?だから起きて用意してたらオーリーの車のエンジン音が聞こえてさ。待ち構えてたってわけ!」

悪びれる風でもなくイライジャは、ケラケラ笑っている。

「待ち構えてなくたっていいよ…!朝から疲れさすな、俺を!」
「ふぅ〜ん?他にも疲れる事してきたのかな?朝帰りって事は!」
「ば…っ!うるさいな!いいだろ?別に、彼女の家に泊まるくらい…!俺にも色々と事情があるんだよ!」
「へぇ〜どんな?」

そう聞かれると、答えに困ってしまう。

「う…だ、だから…いつもは帰って来ちゃうんだけど…たまには朝まで一緒にいてって言われたら…そうするしかないだろ?」

イライジャはニヤリと笑うと、

「ああ!いつも"妹が心配だから帰るよ"って言ってたら、また振られちゃうもんねえ?」 

とからかうように僕を見る。

「う、うるさいぞ?まったくリジーはいつから、そんな生意気に…彼女もいないし気楽でいいよなあぁ?」

と僕は大人気なくフテくされた。
イライジャはクスクス笑うと、

「そんなもん、いらないよ?僕にはがいればいいんだ。気が合うし一緒にいて一番楽しいし安心するからね!
他の子だと何かと要求されたり気を使ったり疲れるだろ?」 

と、済ました顔で言いのけた(!)

「はぁ?でもお前だって男だろ?その…色々と諸事情ってものがあるじゃないか!それはに求められないぞう?」

と、つい言ってしまって顔が赤くなった。

(あちゃ〜…何だか、アホ丸出しだよ!俺…!)

それにはイライジャも手で口を抑えると、

「うわ!オーリー朝から何言ってるのさ?!最低だね!うわぁ〜不潔!や〜らすぃ〜!!離れよ…エロが移るから!」
「な、何だよ、それ!兄貴に対してなんつー口の聞き方だよ!だいたい男なんて、皆そうだろう?!」

ついエキサイトして声が大きくなってしまった。そこに――


「何がそうなの?」


後ろから聞き慣れた可愛い声が聞こえてきて、僕は恐る恐る振り向いた…。

「うわ!…!!」
「おはよう、オーリー」

そこにはニコニコと微笑んでいるが立っていた。

「おはよ!

イライジャは、すぐにの頬にキスをしている。
僕も、それに続きたかったが…今の話を聞かれてたんじゃないかと気が気じゃなかった。

「どうしたの?オーリー」

は呆然と立ちすくんでいる僕を見て首をかしげている。

「あ、。今はオーリーに近寄らない方がいいよ?」 とイライジャがニヤニヤして言った。
「え…どうして?」

(げ!リジー!何を言う気だ?!)

「今、オーリーの頭の中はピンクピンクしてるらしいからさ!何されるか分からないし、こっちにおいで?

イライジャは、そう言っての手を繋ぐとソファーに座り、自分の足の間に座らせて後ろからギュっと抱きしめている。
そのイライジャの顔と言ったら、僕に対して何だか不敵な笑みすら見せている。

「え…頭の中がピンクって…?」

それでも、はまだ分からないと言った風にイライジャに聞いているが、イライジャもそこはニッコリと微笑んで、

「彼女と会ってきて一人で頭が春だって事だよ?まだ一月の終わりだって言うのにねぇ?」 
「え?そうなの?」
「うわ!こら、リジー!」

堪らず怒鳴るも、は、そのイライジャの言葉を勘違いしたのか笑顔で、「良かったね!彼女、喜んだでしょ?」 と僕を見てくる。

「え?ああ…うん。まあ…」

僕は何だか恥ずかしくなってきて顔が熱くなるのを感じた。

「女の子は、いつも我慢してたりするんだし、その辺わかってあげなきゃダメよ?オーリー」
「ダメよ?オーリー!」
「リジーまで真似するな!」

僕はの言葉に驚きながらも、まだ僕をからかってくるイライジャを睨みつけた。
が、イライジャは、どこ吹く風って顔だ。

それにしても…はやっぱり、どこか変だ…。
前は、こんな彼女の事とか聞きたがらなかったし話したりもしなかった。
それが今だと彼女の気持ち考えてあげてるように見える。
ま、まさか…、好きな奴でもいるのか?!だから彼女の気持ちが分かるとか?!

そう思った瞬間、僕は軽い眩暈を覚えた。
チラっとを見ると、イライジャの腕の中(!)で嬉しそうに何やら話している。
僕はさっきの不吉な考えを打ち消して、

「僕…出かける用意してくるよ…」 

と一言呟くとリビングを出て行こうとしてチラっと、また振り返ってみた、
するとイライジャはの頬にキスをしながら、まだ後ろから抱きしめて楽しそうに話している。
僕は"離れろ!"と言いたかったが、今はイライジャにアッサリ負ける気がするので(!)
すごすごとリビングを出て行った…

は〜あ…何で俺はレオだけじゃなく、下の弟二人からもイジメをうけなければならないんだ…!
兄の威厳とやらは、どこにいったんだ…
と言うか、僕はそれを持っているのかどうか…

はぁ…"兄の威厳"…どっかに売ってないかな…(!)

僕は本当に朝からアホな事を考えてしまって自分で自分が情けなくなった。
あ〜あ…とっとと用意しよう…

僕は重い足取りで階段を上がって行った…。














※今度は二男オーリーの小話です(笑)
何だかオーリーは、ここでは一番悲惨な扱いを受けてるかもです(笑)
このリジーはちょっと強気な感じ(笑)
やっぱりツッコミどころがいないと困ると言う事で^^;
他のもアップする予定が体調が最悪で書けなさそうなので本日はこれで終…(苦笑)
ちょっと起き上がってるのが辛いのです、くすん・…。
今週は頑張って更新したいです.色々と(笑)