He likes you. When I live
There may not be a meaning beyond this up.
Deep pool of night It is waiting about you
It is having nowhere to go. A thought floats in a night sky again...
君が好き 僕が生きる上で
これ以上の意味はなくたっていい
夜の淵 君を待ち
行き場のない 思いがまた夜空に浮かんで…
98年、秋・ロスアンジェルス――
「ジョシュ!」
僕は急に肩を叩かれて、ハっとした。
「ああ、ロイ…何?」
「何をボケーっとしてるんだ?顔合わせ疲れたか?」
「いや…別に疲れたわけじゃないよ」
「そうか?あ、飯ちゃんと食っておけよ?この後も他の作品の打ち合わせ入ってるからさ」
「分かってる。あ、オムレツとバターブレッド頼んでいいかな?」
「OK!すぐルームサービス頼んでやるよ。コーヒーは?」
「ああ、頼むよ」
「ラジャ!」
ロイはそう言うと一度部屋を出て行った。
僕はソファーから立ち上がると、ベランダへと出て煙草に火をつけ、溜息と共に思い切り煙を吐き出す。
今は次の作品の共演者と顔合わせでハリウッド&ハイランドにある、ハリウッド最大,四星ホテル、ルネッサンスへと来ていた。
カリフォルニアの空が少し夕焼けで赤く染まってきた。
夕日を見ながら、は今、何をしているのかなと考えて、また溜息が出る。
がニューヨークへ行ってから半年近く、仕事が忙しくて会いにも行けない。
電話だって時差があるから毎日のようにはかけられなかった。
でもメールだけは時間が出来れば送っている。
も向こうでパソコンを覚えたらしい。
だから、この前は自分のと同じ最新のパソコンを買って送ってあげた。
はアリーに使い方を教えて貰って、すぐにお礼のメールをくれたっけ。
ほんと…世の中、便利になったもんだよなぁ…。
メールなんてリアルタイムで、すぐに相手に届いてしまう。
こんなに離れているのに…。
メールなら一分もかからないで、の元へつくんだから。
ふと思い出し、部屋に戻ると、パソコンを立ち上げてすぐにメールチェックをしてみた。
すると10件ほどのメールが届き、その中にの名前を見つけて僕は思わず笑顔になる。
すぐにのメールを開くと、タイトルには、【今はどこ?】と書かれていた。
―― Dear.ジョシュ
元気ですか?私は元気に毎日頑張っています。
最近は電話も出来ないし、寂しいけど!
この前、話してた映画の撮影は、まだ始まらないのかな?
撮影場所はミネソタなんて皮肉だなぁと思っています。
私がいる時には、いつも海外だったのにね!
私の方はと言うと、学校では今、ハロウィンパーティーの話で盛り上がっています。
私はそういうの苦手なんだけど、複数のパーティーに誘われて困ってるの。
アリーは行こうって言ってくれるんだけど、まだ知らない男の人が沢山いると少し怖いから…。
あ、この前、リジーから電話があって、今度ニューヨークの郊外で撮影が始まるみたいです。
なので、たまには会えるねって話してたの。
ジョシュは、これからもっと忙しいんだよね?
今はどこで、このメールを読んでいるのかな?
私も冬休みに入ったら、すぐにミネアポリスに帰りますね。
それでは、またメールします!
ジョシュも体に気をつけてお仕事頑張って下さい。
From. ――
のメールを読み終わって、すぐに部屋のチャイムが鳴り、さっきロイに頼んでおいたルームサービスが運ばれてきた。
それを受け取りテーブルへと運んで、またすぐパソコンへ向う。
バターブレッドを咥えながら僕はすぐに返事を書いてメールを送信した。
「これで、よし…と」
コーヒーを一口飲みながら、への送信を確認すると、他に来ていたメールをチェックしていった。
プライベートのアドレスなので殆どが地元の友だちか、共演で知り合った人達、その中の1〜2件が広告のメールだったりする。
僕は煙草へ火をつけると、簡単に返事を書いて、また送信しておいた。
出来る時にしないと、以外のメールは面倒になってしまう。
がニューヨークに行ってから、僕も忙しくなり慌ただしい日々を送っていた。
最近は、殆どロスに泊り込んでいて実家にも顔を出していない。
(年明け早々に始まる今度の映画はミネアポリスでの撮影だからな…)
たまには弟の顔でも見に帰るか。
も、その頃には休みに入って帰って来ると書いてあったし半年もの顔を見ていないなんて初めてかもしれないな…。
前はロケに出たといっても、長くて3ヶ月、4ヶ月だった。
それでも、は寂しがっていたっけ…。
今、は、そんな弱い自分を変えようと必死に頑張ってる。
心配だけど見守ってあげる事くらいしか出来ない…。
軽く溜息をつくと煙草の煙をふかし、ソファーへ寝転がった。
そっか…リジーの今度の映画はニューヨークで撮るんだ。
じゃ、も寂しさが紛れるだろう。
あの二人も、頻繁に電話しているようだしな…。
実のところ…イライジャは、の事が好きなのか?と思った事がある。
でも、話を聞いていると友だちのようにも思えてしまう。
あの二人、歳はの方が二つほど上だけど同級生みたいなノリだしな…。
僕はちょっと苦笑すると体を起し煙草を灰皿に押しつぶした。
はぁ…もう少しで次のもう一つの作品の交渉やらが始まる。
まだ僕は出るとは決めていない作品だ。
オファーがあったので向こうの関係者から色々と話を聞く事になっていた。
そこにチャイムが鳴り、僕はゆっくり立ち上がってドアを開けに行った。
「おぉ、ジョシュ。あと20分くらいで、あちらさんも到着するってさ」
ロイが笑顔で入って来た。
「そっか。脚本見せて貰ってから決めたいな」
「まあ、そうだけどさ。まずは契約内容だろ?」
「そんなの…俺はどうだっていいさ。自分がやりたいと興味を持った役ならやりたいし」
「ジョシュ〜そんな事を言うなよ〜。社長からも任されてるんだし…今度のは大きい映画みたいだからな」
「へぇ…そうなんだ。でも、もしやるとしても撮影は2000年だろ?気が早いな、向こうも」
「それだけジョシュを気に入ったんだよ。早めにオファー入れておかないと先に他の映画を決められても困るってね」
「ほんとかよ…」
僕は少し苦笑しながらコーヒーを飲んで、オムレツにナイフを入れた。
「笑い事じゃないぞ?今度のはお前を主演にって話だからな?」
「どんな役なのか・・・楽しみだよ」
「まったく…ジョシュは呑気だよなぁ?少しは飛び跳ねて喜ぶとかしろよ〜」
ロイは少し寂しそうな顔で僕を見ている。
それを見ないように、サッサとオムレツを食べ終えると、洗面所へ行って顔を洗った。
そして歯を磨き終ると、ロイが僕を呼びに来た。
「今、連絡が入って、下のカフェに入ったそうだ。すぐ下りるぞ?」
「OK!」
僕は髪型を少し整えると、ロイと一緒に部屋を出てエレベーターへと乗り込んだ。
「パールハーバー?」
映画の内容を聞いて僕はつい聞き返していた。
相手のエージェントと、脚本を書いたランダル・ウォレス、製作を手がけるジェリー・ブラッカイマー、
そして監督のマイケル・ベイが今、僕の目の前に座って真剣な顔で僕を見ている。
「まあ、まずは脚本を読んで欲しい」
マイケルがランダルから脚本を受け取り、僕の目の前のテーブルへと置いた。
「ジョシュ。君も…知っているね?1941年12月7日…ハワイ・オワフ島で起きた事件の事は」
「はい…。もちろんです」
「それを…映画化しようと思ってね」
「はあ…」
(何だ?あの日本との戦争を描いた映画なのか?)
僕はちょっと興味を持った。
やはりノンフィクションというのは、見る側に伝えるのも難しい。
ヘタなものを作ると見る側に真実が色褪せて捻じ曲がって伝わってしまうからだ。
どう表現し、見る側に真実の物語を伝えるか…それは演じるものにとったら、やりがいのある仕事だろう。
「それで…僕は、どういう役で抜擢されたんですか?」
「ジョシュ、君のエージェントには主演…と言ったんだが…
主役のレイフよりもその親友のダニーという役の方が、私はピッタリとくると思ってるんだ」
ジェリーが静かに僕を見ながら説明した。
「このダニーという役は、最初、ベン・アフレックに頼もうと思ってたんだが…彼とも会って話をしていると、彼の方がレイフに、
ピッタリ来るんじゃないかと思ってね?どうだい?脚本を読んでみて興味が湧いたら…ダニーの役をやってくれないか?」
脚本を手にとり、パラパラ…とめくってみた。
その"ダニー"という役が、どんな役かは、まだ分からないが…興味はある。
「ちょ、ちょっと待って下さい。最初のお話ではジョシュは主演という事でしたが…それを今なって変えるというのは―」
ロイは焦って口を出している。
僕はロイを手で静止すると、「いいんだ。ちょっと興味が湧いたし、まずは脚本を読んでみるよ」 と言った。
「え?だってお前…」
ロイは困ったような顔をしたが、僕は構わず目の前にいる大物達に、「脚本を読んでから…お返事してもいいですか?」 と尋ねた。
その僕の言葉に、ランダルは嬉しそうに微笑むと、「ああ、構わないよ。いいだろう?」 と隣にいるジェリーとマイケルにも声をかける。
二人とも笑顔で頷いた。
ロイだけが何やら不満そうな顔をしている。
「じゃ、また読み終わったら連絡をくれ。いい返事を待っているよ?」 ジェリーは、そう言うとソファーから立ち上がった。
他の3人も立ち上がると、僕は、そこで一つ質問をしてみた。
「あの…」
「ん?何だい?」
「ベン・アフレックは…レイフという役を引き受けたんですか?」
その質問に、ジェリーは、ニッコリ微笑むと、「ああ、引き受けてくれたよ。もちろん…彼も脚本を見て決めてくれたんだけどね」 と言った。
それを聞いてますます脚本に興味が湧き、皆が帰った後、すぐに部屋へと戻ると、真剣に脚本を読み始めた。
ロイだけは最後までブツブツ言っていたけど、僕は気にしなかった。
「とにかく…大作なんだし別に構わないだろ?」
と、言うと、ロイも少しは納得していたようだが…。
僕は大作だからとか、そんな事よりも、あのジェリーや、マイケルと仕事が出来ると言うのも興味があった。
それにベン・アフレックという俳優も共演する事になる。
暫く夢中で脚本を読んでいたが、目が疲れて来て一旦、読むのを中断した。
「はぁ〜…」
思い切り溜息をつくと時計を見た。 午後10時23分。
(ああ…もう、こんな時間か…。時間が経つのを感じなかったよ…)
僕は部屋の電話を取ってルームサービスを頼んだ。
暫くするとボーイが運んできてくれる。
夕方、ちょっと食べただけだった。
お腹も減るはずだ。
僕は運ばれて来たばかりの大好きなハンバーガーを頬張りながら、また脚本を手にした。
確かに…これを現実に映像にするなら凄い作品になるな…。
まだ前編あたりしか読めてないが僕には、そう思えた。
真実の話の中に恋愛が絡んでくるのは、数年前に空前の大ヒットを飛ばした、"タイタニック"と似ているが…
僕は、このダニーという役にも興味が湧いた。
主役のレイフの幼なじみで親友…。
お互いに何かしらコンプレックスを持っている。
やってみたい…と思った。
どうせやるなら…自分も軍に参加して役作りもしたい。
そんな事を言ったら…は何て言うだろう…
また心配をかけてしまうだろうか。
(今…は何をしてるのかな…会いたい…)
―そう思った。
僕は軽く溜息をついてコーヒーを一口飲むと、また脚本へと目を通していった―
Oh when you're cold
I'll be there
Hold you tight to me
Oh when you're low
I'll be there
By your side baby...
― あなたが寒くて震えていたら
わたしはすぐに飛んで行くわよ
そしてあなたを強く抱き寄せてあげる
あなたが落ち込んでいたら
わたしがすぐに駆けつけてあげる
あなたのもとへと…
私とアリーはレイト・レジストレーションの為、校内の廊下に並んでいた。
レイト・レジストレーションとは―
一言で言えば希望するクラスの最履修登録のこと。
割り当てられたクラスに納得いかない人や転校生が半年間の明暗を賭けて一斉に最後の挑戦をする。
私達の前や後ろには色々な人が、それぞれの方法で時間を潰していた。
「もうすぐ開くね。そろそろ疲れてきちゃったわ…」
アリーが溜息をついて、しゃがみ込む。
「ほんとね…。でも…今のクラスよりはいいわよ。あんなクラスに半年もいるなんて耐えられないもの…」
「全くだわ…あの教授ったら女子生徒にセクハラするのに命かけてるって感じよね?何が東洋学よ」
「私、マグディ教授の人類学部がいいなぁ…」
「え?…何で、あんな変わった教授がいいわけ?」
「え?面白いじゃない?毎日、変わった服装で…」
私はクスクス笑うと、アリーは呆れた顔で私を見る。
「確かに…仮装パーティーの時、凄かったわねぇ…インディアンの衣装だもの。、爆笑してたもんね」
「うん!あんな風に陽気な人って好きよ?」
「私は…社会心理学のジョーンズ教授がいいわ〜。何だか暖かくて素敵よね?」
「あ、分かる、分かる。ジョーンス教授は一度、抗議受けてみたいわね」
そんな事を話していると、いきなり肩を叩かれた。
「Hi!、アリー」
「アレク?」
そこには私達と同じくフレッシュマン(新入生)で入学した今のクラスメートのアレクが、ニコニコと立っていた。
「何?二人して、レイト・レジストレーションしてんの?」
「うん、もう耐えられないのよ!今のクラス…アレクは男だから分からないでしょうけど!」
「ああ!チャールズ教授のセクハラの事?あれはでも酷いよな。前、女の生徒のお尻を触ってたから思わず腕を掴んでねじり揚げちゃったよ」
と、言いながらアレクは悪びれもせずケラケラ笑っている。
「ええ?アレク…凄いのね…!見直したわ…」
「お!に、そう言ってもらえて嬉しいよ。ってかさ、俺はああいう奴大嫌いだからさ」
「あ、そっか、それにアレクって空手と柔道やってるって聞いたけど…ほんとなの?」
「うん、一応、黒帯だけどね」
「え?それって?凄い事?」 とアリーは驚いて聞いている。
「ええ、黒帯って言ったら上級者よね?」
「うん、ま、そうだね」
アレクはクラスの中でも、かなり目立っている男の子だった。
何せ髪がロンゲのドレッドヘアー。
でも黒人さんではなく…何系の血が入ってるのか分からない完璧な混血のような顔立ちだ。
肌の色も白に近いし瞳が切れ長の割に大きく涼しげで奇麗な顔立ちで、オリエンタルな雰囲気が魅力だった。
確か…父親はギリシャ人で、その親の家族でもアフリカ系、とアメリカ・インディアン…様々な血が入ってると話してたっけ。
彼は何より頭で考えるよりも行動に移してしまうキップの良さが、私は好感を持っていた。
何となく彼は怖くないのだ。(顔もカッコいいというよりは美人で女性のようだし…と言うと怒るんだけど)
「じゃ、二人とも頑張って希望のクラスとってよ。俺は寂しくなるけどさ」
「え?アレクも変えればいいじゃない?」
とアリーが不思議そうな顔で言うと、アレクも苦笑しながら、
「俺、これからバイトでさぁ…ホントは俺もクラス変えたいんだけど…腕掴んだ件で俺、チャールズ教授に睨まれてるしさ」
「そうなんだ!でも、それなら尚更…変えたらいいのに。バイト、遅れたらダメなの?」
と、私も聞いてみた。
「いや…あと30分以内に開いてくれれば・…間に合うんだけどさ。まだ受け付け始まらないんだろ?」
「でも、もうすぐ開始するって、さっき事務室の人が言いに来たわよ?」
と言ってた矢先、受け付け会場の教室のドアが開けられ、座りこんで待ってた人達が一斉に立ち上がり始めた。
「あ!開いた!今なら大丈夫じゃない?」
私は前の人に習って列に並ぶと、アレクの方へと振り返った。
「ラッキィ〜!時間聞いたら、バイトの時間とかぶってたから諦めてたんだよね。こんなに大勢いるから時間早めたんだな、きっと!」
アレクも嬉しそうにしている。
「あ、じゃアレク、ここに入って?また後ろから並びなおしたら、いいクラス取られちゃうわ」
「え…でも…」
「いいのよ、私達も、そんなに長い時間、並んでたわけじゃないの」
「そう?じゃお言葉に甘えまして!」
とアレクはおどけて笑った。
私は申し込み用紙を手にすると、いつでも走る体勢で受付開始を待った。
「では受け付けはじめます!」
と、事務室の人の声で一斉に、教室の中へ大勢の人がなだれ込んだ。
私は何とか人込みを擦り抜けると、人類学部と書いてあるプレートを探した。
どこだろう?あ〜人が目の前を行き来するから見えないわ…
そう思った瞬間、チラっとプレートが見えた気がした。
私は、その方向へとダッシュして、机にバンっと手を置いた。
「希望の方?」
事務のおじさんが、ノンビリとした口調で言った。
「はい、あの…これ」 と申し込み用紙を出すと、おじさんは呑気な顔で、「はい、じゃ、ここにサインして」 と書類を渡してきた。
書類に自分の名前を書いていると、「あれ?も、ここ?」 と声がして私は顔をあげて驚いた。
「アレク?アレクも人類学部が希望なの?」
「うん。ほんとは、最初から入りたかったんだけどさ〜割り当てられなくて」
とアレクは苦笑しながら、と同じく書類にサインしている。
「これで、よしっと。も終った?じゃ、行こうか」
アレクと廊下まで出ると、まだ出てこないアリーを待っていた。
「ほんと良かったわ…クラス変えられて」
ホっと息をつくと、アレクも笑ってうなずいた。
「ああ、ほんとだ!これで変な宿題出されなくて済むよ…!俺だけ何だか難しいやつやらされたりしてさ」
「ほんとに?陰険ね、あの教授も…」
そこにアリーが人を掻き分け出てきた。
「あ〜凄い人ね!なかなか見付からなくて焦っちゃったわ?」
「お疲れ、アリー」
笑いながら言うと、
「あれ…アレクは結局どこのクラス希望したの?」
「ああ、俺は人類学部だよ?」
「え?と同じだったの?」
「ああ、俺、マグディ教授と仲がいいしさ、気が合うんだ」 と、アレクは笑っている。
「へぇーあんな変てこな教授と気が合うなんて…もしかしてアレクも変人?」 とアリーは笑いながらアレクを見た。
「そうだな〜。どっちかと言うと…変なほうかもね?」 アレクも嫌な顔もせず笑っている。
「あ、バイトは?大丈夫?」
「あ、いけね…。そろそろ行かないと…」
「アレク…何のバイトしてるの?」
3人で校門の方まで歩き出しながら聞いてみた。
[俺?普段はバイクのメッセンジャーとか、犬の散歩…それに今から行くのは雑誌のモデルの仕事?」
「「え?!アレクってモデルやってるの?」」
私とアリーは驚いて仲良くハモってしまった。
それを聞いてアレクも楽しそうに笑うと、
「ああ…と言っても始めたばかりだけど…友人で元俳優ってのがいてさ。そいつのエージェントからスカウトされたんだ」
「ええ〜そうなの?元俳優の友達…?」
アリーは興味津々で聞いている。
「ああ、ジェイクって言って子役からやってた奴なんだけど…今は引退してコロンビア大に通ってるよ?」
「あ、ジェイク・ラング?!あのファミリードラマで有名な…?!」
とさすがににも分かった。
「ああ、そうそう。そいつなんだけどさ」
「そうなんだ〜凄いわ。のお兄さんも俳優なのよ?」
とアリーはつい言ってしまった。
「え?そうなの?」
「アリー…」 と私はアリーの方を睨むと、アリーは口を押さえて、ゴメンと手を出している。
「の兄貴って?俺、そういう業界の事、全くうとくてさ…ジェイクにも、よく笑われるんだ…」
「あ、いいの、いいの!知らないでいてくれた方がいいし…それよりバイトの時間に遅れるわよ?」
と、私が焦って言うと、
「あ、ほんとだ。俺、バイク取ってこなくちゃ」
とアレクはマウンテンバイクが置いてある方へと走って行った。
「はぁ…もう。アリー…それは学校では内緒って言ったのに…」
「ごめんね!つい、あの流れでポロっと…ほんと、ごめん!」
私はちょっと笑うと、
「もういいよ。アレクも俳優とかに、疎いみたいだし。でも自分はモデルのバイトしてて友だちが俳優なのに変な人よね?」
「ほんとねぇ…今時、貴重なくらいよ?それに性格も何て言うか…一本木だし?」
アリーも少し笑っている。
二人で校門の所まで歩いてくると、ふと門の影からこちらを覗いている人影を見つけた。
「ね…、あれって…」
アリーも気づいたようで門の方を見ている。
そのサングラスをしてキャップを目深にかぶっている男の子が私を見つけて嬉しそうな顔で手を振ってくるのを驚きながら見ていた。
「!久し振り!」
「リ、リジー?!」
私は慌てて彼のところまで走って行った。
「!元気そうだね!会いたかったよ!」
と言ってイライジャは私をギュっと抱きしめた。
私もリジーには安心感があるので、ハグしかえしながら、
「私も!でも明日だって言ってたのに…」
イライジャは、そっと私を放すと、
「それが一日早く入ったんだ。今日は何もなかったしさ。驚かせようかと思って」
と言いながらいたずらっ子のような笑顔を見せた。
「でも…こんな場所まで来て、もし学生にバレたらどうするの?大騒ぎになるわよ?」
「アハハ。大丈夫だろ?そんな簡単にバレないって!」
「でも…"パラサイト"だって今、公開中なのに…」
「あ、アリーも久し振り!あの、お泊りの日以来だね?」
「あ、そうね?私も驚いちゃった…!」
「二人とも、もう学校終わりだろ?一緒に食事にでも行かない?」
イライジャはサングラスを外すと、笑顔で言った。
「いいわね!行きましょうか」
「あ、ごめん、!私、約束が…」
「あ、そっか…!アリーの両親、今こっちに来てるのよね?一緒に食事に行くんだった?」
「そうなの…。全く心配性なんだから…」
「そう、残念!じゃ、また今度行こうよ。僕、これから撮影で暫くはニューヨークに滞在するからさ」
「ええ、そうね!是非」
そこへバイクを取りに行ったアレクが戻って来た。
「あれ?…まだ帰ってなかったのかい?」
「あ、アレク…うん、ちょっと友だちが来て」
イライジャは、そこで素早くサングラスをしていた。
「あ、そうなんだ。―どうも…!」 とアレクがイライジャに頭を下げている。
「どうも」
「じゃ、俺、バイト行くよ。また明日ね!」
「ええ、また明日!」
「バイバイ、アレク!」
アレクは軽く手をあげると、あっという間にバイクを飛ばして走り去って行った。
「奇麗な男の人だね〜。何人なのか全然分からない感じだよ」
とイライジャがアレクを見て呟いている。
「そうなの。彼、色々と混血みたいだし」
「へぇ、クラスメート?」
「うん、そう。モデルのバイトもしてるけど、空手と柔道は黒帯なんだって。変わった人でしょ?」
と、私は少し笑いながら言った。
「え?モデルやってて空手と柔道?!しかも黒帯…ほんとに変わってる!」
イライジャも、そこで笑っている。
「あ、じゃ、、リジー。私はここで。食事、楽しんで来て?」
「あ、うん。アリーまた明日ね!」
「またね、アリー」
「ええ、それじゃ!」
アリーは急ぐように大通りの方へと歩いて行った。
私とイライジャも歩きながら、
「どこに食べに行く?」
「んーっと…じゃ、"Tao"に行く?あそこなら何でもジャンル揃ってるし」
「"Tao"?あ、前に言った事あるよ。五番街の、E・57thst..にある店だろ?」
「そうそう!アリーとよく行くのよ」
「じゃ、決定!そこにしよう。あ、車、拾う?」
「そうね、少し時間かかるし…」
そう言うとイライジャは、すぐに走って来たタクシーを止めて乗り込んだ。
それに私も続き、行き先を告げると車はゆっくり走り出した。
"Tao"は、五番街のマディソンアベニューと、パークアベニューの間にある。
若者に人気でマスコミからも注目を浴び撮影などにも使われている。
俗に言うアジアンフュージョン・レストランだ。
クラブ風で中には大きな大仏があったりとインテリアにも凝っている。
スシバーもあり和食好きな人にも評判が良かった。
「ひゃー何だか混んで来たね?」
私は店を見渡しながら呟いた。
「ほんとだ。やっぱ、ここ人気あるし、この時間は混んでくるんだね」
イライジャは軽いカクテルを飲みながら、チキンソテーを頬張っている。
「でも、も元気そうで良かったよ。電話では、たまに話したりするけどさ、やっぱ顔見て安心した」
「そう?何とか頑張ってるわ?ジョシュもいないし…寂しいけど」
「そっか…ジョシュとは、まだ会ってないんだ?」
「うん…。何だか次々にオファーが入っちゃって、一応出る出ないに関わらず、話だけは聞いたりしてるから、
毎日、忙しいみたいで・…。今もどこで仕事してるのか…週ごとに居場所が変わったりしてるし」
「そっかぁ、ジョシュも大変そうだね。ちょっと前に電話で話したけど、の事も凄い心配してたよ」
イライジャに、そう言われて私は少し嬉しくなった。
そうかぁ…ジョシュ、心配してくれてるんだ…。
最近はメールのやり取りしかしてないし…声が聞けないだけでも不安だったから…。
メールだと心配かけないように、お互いがなるべく明るい内容にしようとしてるしなぁ。
「?大丈夫?ちょっと飲みすぎたんじゃない?」
イライジャが心配そうな顔で覗き込んできた。
「あ…そうね…。お酒飲んだのも久し振りかも…。ここんとこ寮や学校の食堂でしか食事してなかったから」
「そうか〜学生も大変そうだね?僕なんて仕事が忙しくて学校に行けなかったから逆に羨ましいけどさ」
「え?そうなの?…そっか、リジーは子供の頃からACTORのお仕事してたのよね?」
「うん。だから結局は家庭教師とかに頼んで家で勉強してたんだ」
「それは寂しいわよねぇ…。学校は勉強よりも友だちと会えるのが楽しいって言うし…私は、そんな事なかったけど」
とちょっと笑った。
「ああ、はジョシュさえいれば良かったんだろ?前に聞いたよ」
とイライジャも、おどけた顔で笑った。
「僕の友だちなんて皆、年上だし、知り合いも大人ばっかりだったからさ…。"パラサイト"で歳の近いジョシュや、
ショーン達と、しかも学生の役をやれて、本当に楽しかったんだ。
だから皆、やっぱり僕よりは年上だけど、ジョシュ達はクラスメートみたいな気がしてるよ?」
「アハハ、そっかぁ。何だか嬉しいね?そういうのって」
私が笑顔で、そう言うとイライジャもニッコリ微笑んだ。
私はイライジャの今までの話を、あまり聞いた事がなかったし、ちょっと驚いたけど…
こうやって友だちになれたのも良かったな。
中学、高校と私にとっては憂鬱な場所だったけど…行きたくても、こうして行けない人もいるんだって分かった。
今の学生生活を大事にしよう…。
「さ、。もう帰ろうか?明日も学校だろ?」
「うん、そうね。リジーは?明日はすぐに撮影?」
「うん、すぐね。でも夜からだから、まだマシかな?実は時差ぼけ、まだ取れてないんだ」
「え?それは辛いね?じゃ、今夜はゆっくり寝て?」
「そうするよ」
イライジャは、そう言って笑いながら席を立った。
レジの前まで行くと、イライジャは、
「僕は社会人なんだから僕が払うよ」
と笑いながら言って私に払わせようとしなかったので、好意に甘える事にした。
「ご馳走様!リジー」
と外に出てからお礼を言った。
「どういたしまして!どっちにしろ、女性に払わせるわけにはいかないよ?男がすたる」
真面目くさった顔で言ったイライジャに、私は吹き出してしまった。
「何だよ〜。何で笑うのさ?」
「ううん、何だかリジーも男らしくなったな〜って」
「うわ、自分だって年上だけど僕と同等だったじゃん!覚えてる?撮影スタジオの子犬に、ソーセージって名前つけようとしたの」
「アハハ!あったわね!そんな事も」
「そうそう。懐かしいなぁ〜。そんな昔でもないのにさ。ほんと、あの撮影は楽しかったな」
「皆でショーンをイジメたりね?」
「アハハ!特にジョシュがだろ?あの二人、ほんといいコンビだよなぁ〜!」
私とイライジャは笑いながら夜道を歩いて行った。
途中、タクシーが走って来たので、それに乗り込むとイライジャが私の寮まで送ってくれた。
「今日は、ありがとう!凄く楽しかった!」 私は車を降りてから、そう言うと、
「僕もだよ!また近々行こうね?」
「うん。電話かメールするね」
「OK!じゃ、お休み!」
「お休み!」
そこでタクシーのドアが閉まり車が走り去って行った。
私は門を抜けて寮へと入ると、すぐに自分の部屋へ向う。
その途中、数人の友人とすれ違って挨拶をすると、「ねぇねぇ。希望のクラス、とれた?」 とか他愛もない事で話し掛けられる。
「うん、バッチリだったわ?」 と笑顔で答えながら、何とか自分の部屋へたどり着いた。
私の部屋は寮の3階奥にある。角部屋なので気に入っていた。
ドアを閉めると、私は思い切り溜息をついた。
「あぁ〜…疲れた…」
とベッドに体を投げ出すようにして倒れこむ。
あまり、よく知らない子にまで話し掛けられると、まだ少し緊張してしまう。
言葉を選びながら話すので疲れてしまうのだ。
「そうだ。メールチェックしなくちゃ!」
重たい体を起すと、すぐにジョシュからプレゼントで貰ったパソコンを立ち上げてメールチェックをしてみた。
すると6件のうち、ジョシュからのメールがあった。
「わ、もう返事が来てる…今回は早いな〜」
そう呟きながら私はすぐにメールを開いた。
タイトルは【今はロスだよ】 となっている。
―― Dear.
元気そうで安心したよ。
俺もの声が聞けなくて寂しいけど何とか頑張ってるかな?
今は次の映画の共演者たちと顔合わせでロスに来てるよ。
まだ少しは滞在する予定。
学校ではハロウィンパーティーの話で盛り上がってるって?
俺としては、あまり進めたくないかな。
心配だからね!
も自分でムリだと思ったらちゃんと断れよ?
アリーなら分かってくれると思うしさ。
リジーはニューヨークで撮影なんだね。
ほんと羨ましいよ!
が帰ってくるのは冬休み?
じゃあクリスマスは一緒に過ごせそうだね?
プレゼント、楽しみにしてて!
それじゃ、またメールします。
も風邪ひかない様に気をつけて。
勉強、頑張れよ!
From.ジョシュ ――
そのメールを読んで顔がニヤケてしまった。
(やっぱり心配してくれるんだ…パーティーも…断ろうかな…?)
クリスマス!そうか、クリスマスには家に帰れるし、その頃にはジョシュはミネアポリスで撮影中だ。
(じゃ、一緒に過ごせるんだわ!)
そう思っただけで早く冬休みにならないかとワクワクしてきた。
私はパソコンを閉じると軽くシャワーを浴びた。
少しアルコールで、ボーっとしてた頭もスッキリする。
(明日の宿題だけはやっておかなくちゃ…もう少しで試験だもんね…)
眠気覚ましにコーヒーを入れると、机に向った。
机の上にはジョシュの写真が置いてある。隣の写真立てには、父さんと母さん、そしてジョーの写真。
やっぱり初めて家族と離れて暮らすと心細い。
私は写真の中で優しく微笑んでいるジョシュを見て、「よし!頑張るかな!」 と一人気合いを入れると、
レポート用紙を出して、宿題に取り掛かった。
窓にはポツポツと雨粒が当たり始めて、そのうち本降りになっていった―
Postscript
ワーイv久々にジョシュ夢書きましたが二人が離れているのでしっくり来ませんね(笑)
一応二部という形でスタートしてみました。
【パールハーバー】の役のネタはほんとですv
一番最初、ジョシュだけがキャストで決まってたとかで。
レイフ役でなんだけど、その後にベンと会ったら、変わっていったと^^;
ダニーの優しい感じがジョシュにピッタリだったので、良かったかなvv
そして新キャラ登場です(笑)この大学ネタ、書きたかったんですよね〜
とあるコミックの続編にあたる奴なんですけど、何であっちの大学はイベント盛りだくさんなんだ〜
と言う事で、その中のキャラのお名前とか設定を、お借りしました(笑)
エレンの名前を借りたのと同じコミックですv
前にオーリーそっくりの男の子が出て来るという漫画を招介すると言いましたが、ここで一発♪
【アレクサンドライト】と言うんですが、オーリーそっくりなキャラが出てる方は【サイファ】と言って
これ前から持ってたんですけど、最近、サイファってオーリーやん!と思いました(笑)
スキンシップ魔っぽくて犬っぽいとこが似てるのですvしかもサイファもACTORなのですよvv
興味がおありでしたら、お近くの書店まで…ってまた宣伝部長か?俺!(笑)
すっごい昔のコミックですけどね(苦笑)
まあ夢には関係ないので、知らない方は流して読んでやって下さい(笑)
この先、遠距離で大変ですわ…あぅ〜
本日も皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて...
【C-MOON...管理人:HANAZO】