Vol.15...The miracle which was able to meet you...








If it is fine I will connect you and a hand


If a wind blows The shoulder is brought near quietly


If it rains I will put you and an umbrella


It pours. Small flowers are found...


Empty without a name is looked up at...


Up to you and where I want to walk


When it wavers by the end of tomorrow I want to call your name.


....Yes, I always call your name


your beautiful name...






 もしも晴れたら 君と手をつなごう


風が吹いたら そっと肩を寄せて


もしも雨が降ったら 君と傘を差そう


降り注いでくる 小さな花たちを見つけて…


名前のない空を見上げて…


君と何処までも  歩いていきたい


もしも明日に迷った時は  君の名を呼びたい


…いつも君の名を呼ぶよ…


君の美しい名前を…










僕は仕事が終って部屋へ戻ると軽い荷造りをした。
明日はオフ。やっとニューヨークへいける日だ。
マネージャーのロイは、「せっかくのオフなのに、妹に会いに行くなんて、ジョシュらしいな」 と言って笑ってた。
大きなお世話だっつーの。
だいたい意外に会いたい女なんていないんだからさ。


「これで、よし、と」


二日分の着替えをつめて僕はベッドに寝転がった。
今は…夜の9時を少し過ぎた所だ。
今日の仕事、テレビ番組の収録とインタビューが終わりホテルへ戻って、すぐにには電話をしておいた。
明日、昼頃には着くと言うと、は嬉しそうに、「ほんと?!待ってるね!」 と言ってくれた。
週末になるのでは一日だけ学校だけど次の日は夜まで一緒にいれると言っていた。
学校か…ちょっと見に行こうかな…
どうせニューヨークに到着した時間はも学校だろうし…迎えに行くか。
僕は起き上がるとベッドサイドにある煙草を取って隣の部屋に移動した。
冷蔵庫からビールを出して飲むと煙草に火をつける。


「はぁ〜」


溜息と共に煙を吐き出す。

やっと…会えるんだよな…
何だか久し振りすぎて緊張してきたよ…
ミネアポリスの空港で分かれたきりだ。当然だよな。
ニューヨークは今時期、寒いんだろうな…


pipipipipipipi....


電話の音で一瞬、ビクっとなった。
慌ててテーブルに放り出したままの携帯をとり、ディスプレイを確認する。
"ELIJAH WOOD" と出ていた。
僕はすぐに通話ボタンを押した。


「Hello?」
『あ、ジョシュ?僕、リジー』
「ああ、久し振りだな!元気か?」
『うん、何とかね!撮影で忙しいけどさ』
「そっか。で、どうした?」
『うん、さっきさ、に電話したら明日、ジョシュがニューヨークに来るって聞いてね。ちょっとかけてみたんだ』
「ああ、うん。やっとオフ二日だけ貰えてさ…」
『忙しそうだもんね?ジョシュも。もう次回作も決まってるんだろ?』
「ああ…何だか来年もだけど…再来年のまで、この前決まったよ…」 
『ウソ?凄いね?僕もさぁ、来年の今頃くらいからニュージーランドで一年近くもロケなんだよ…長いだろ?』
「はあ?そんな長い映画って…何の作品だ?」
『何だか昔の小説を映画化するらしくてさ』
「へぇ、そうか…。面白そうだな?」
『まだ原作は読んでないんだけどね!』
「何だか少し長い休みが欲しいよな…」
『…ジョシュ、疲れてるんじゃない?』
「…ああ、少しな」
『明日には、に会えるんでしょ?じゃ、元気になるよ、きっと』
「そうだな…。ほんと久し振りだし・…リジーは、この前会ったんだろ?」
『うん。ニューヨーク行ってすぐ撮影が始まる前にね』
、どうだった?学校まで行ったんだろ?学校での様子とかさ」
『前よりも凄く明るくなってたよ?アリー以外にも友だちも出来たみたいだし』
「ああ、そうらしいな?どんな子?」
『…ジョシュ、聞いてないの?』
「…何が?」
『何だか凄く奇麗な・・…』
「奇麗な…?」
『……男の子…だったけど…』


イライジャは少し言いづらそうに言葉を切る。
僕は一瞬、聞き間違いかと思った。


「男…?」
『…うん。何だか…柔道と空手をやってるとか何とか…確か黒帯で、あとモデルもやってるみたいで…』
「何だよ、それ?柔道と空手が黒帯で?モデルやってるって?」
『うん、変わった奴だよね?でも、かなり仲がイイみたいだったよ…』


僕は何だか凄く不安になってきた。


『…ジョシュ?』
「あ、ああ、そっか…。でも、そうだよな…もボーイフレンドの一人くらい出来る年頃だよな…」
『…心配?』 イライジャは少し苦笑している。
「そりゃ・…心配だよ…。でも仕方…ないのかもな」
『でも、そんな恋愛感情とかはないみたいだったからさ。心配ないって!』
「そう?ま…明日、学校まで迎えに行くし…一度、学校での様子も見てくるよ」
『ああ、そうしたらいいよ。きっと安心するからさ』
「ああ」
『じゃ、また電話する。もし時間取れたら携帯に電話するよ』
「そうだな?一緒に食事でもしよう」
『うん、じゃあね!気をつけて来て』
「それは航空会社に言ってくれない?」
『アハハ、そうだね!』
「じゃな!」
『バイ!』


僕は電話を切ると、ちょっと溜息をついてビールを飲み干した。


「ボーイフレンドか…」


何だか、そんな話を聞いたら凄く心配になってきた。
柔道とかきくと、何やら、ごついイメージだけど…モデルなんてやってるくらいだし、
イライジャが言うには、"凄く奇麗な男の子" だったとか…。
いったい、どんな奴なんだろう?
僕は早く寝ないといけないのに、その事が頭から離れず、結局、ベッドに入って眠りについたのは
午前も過ぎた1時半だった。
朝、4時に目覚ましがなるも、なかなか目が開かなかったのは当然だろう…。









 

 

 


It was trembling in the morning which cannot sleep


It was leaning on the cold wall.


The same thing It had murmured repeatedly


Nothing is attached to a hand. It is passing.


Something that is not understood It expects


One needed Only your love...

 







― 眠れない朝に震えてた


冷たい壁にもたれてた


同じこと 繰り返しつぶやいてた


何も手につかず 過ごしてる


 わからない何か 期待して


欲しいのは あなたの愛だけ…










私は大学近くのカフェでお茶を飲んでいた。
窓際に座り、忙しく歩いて行く人並みを見る。
(何だか、すっかり冬支度だわ…。早いなぁ…こっちにきて半年以上…)
だいぶ大学にも、こっちの生活にも慣れてきた。
それでも毎日、寝る前に思うのは… ―"ジョシュに会いたい…"
自分で決めた事なのに来たばかりの頃は後悔ばかりしていた。
一人じゃ眠れなかった。
でもアリーもいたし、少しづつ…少しづつ寂しいのを我慢できるようになって何とか頑張って来れている。
明日は…その我慢もしなくていいんだ。
やっとジョシュに会える…。
そう思うだけで胸が熱くなった。
私はちょっと息をつくと紅茶をゆっくり飲んだ。
その時、目の前の窓をコンコンと叩かれ、驚いて顔をあげるとそこにはニコニコと微笑みながら手を振っているアレクが立っている。


「アレク…」


私も笑顔で手を振ると、彼はそのままカフェの中へと入ってきた。


「よっ」
「アレク…バイトの帰り?」
「うん。 ―あ、ここ座っても?」
「ええ、どうぞ?」


私が笑顔でそう言うと、アレクはキャップを脱いで目の前の椅子に座り息をついた。


「今日は…どのバイト?」
「今日はメッセンジャー。何件もあって色々と行かされたよ…」


アレクはそう言うと肩をすくめた。


「…あ、コーヒー下さい」 注文を取りに来たウエイトレスに言ってから私の方を見た。
は?何してたの?」
「あ、私はアリーを待ってて…。アリー、今買い物中なの」
は買い物行かなかったんだ」
「私は、CDが欲しくてCD屋に行ってたのよ。で、ここで待ち合わせしたの」
「そっか。俺もバイト終って今から空手の稽古に行こうと思って通りかかったら、が見えたからさ」


アレクは運ばれてきたコーヒーを飲むと、
「明日、マグディの親父の講義受けるんだけどさ。もだろ?」 と顔を上げる。
「あ、うん」
「じゃさ、ランチした後に一緒に行かない?」
「ええ、そうね」


私は笑顔で答えつつ、明日…大学が終る頃にはジョシュがこっちに来てるんだ…と考えていた。


「そうだ、その後はどう?」
「え?」
「ミックの奴…。まだ、しつこく誘ってくるの?」
「あ…。うん…、明後日、映画に行かないかって誘われたけど…」
「ほんと?懲りないなぁ…。で?まさか行くの…?」
「え?ああ、行かないわ…。それに明日は私の兄がこっちに来るの」
「え?あの…俳優だっていう…お兄さん?」
「ええ…やっとオフがとれたからって」
「でも…わざわざニューヨークまで会いに来るなんて、ほんと仲がいいんだね?」
「そ、そうかな…?」
「うん。まあ、アリーからも色々と聞いてたけどさ。凄く仲のいい兄と妹だって」


私はそう言われて顔が赤くなった。


「そ、そっかな…。血が繋がっていない分だけ…余計かな…?」
「え?!そうなの?」
「あ…うん。そこは聞いてなかった?」
「うん…アリーは何も…。 ―そうなんだ。何?親が再婚したとか?」
「ええ、私の母とジョシュ…兄の父が…」
「そうなんだ…。あ、俺のとこも似たようなもんだけどさ」
「え?そうなの?」 私は驚いて顔を上げた。
「うん、まあ、今の父さんは、ほんとの父さんじゃないし…」
「そう…なんだ…」


そこへアリーがやってきた。


「あれぇ?アレク?」
「オッス!」
「どうしたの〜?今日はバイトじゃなかったっけ?」
「終った後に通りかかったら、見つけたからさ」
「そうなんだ」


アリーは買い物袋を開いた席に置くと、私の隣に座った。
「何、買ったの?」 私は、その大きな袋を見て聞いてみた。


「冬物のコートとか…セーターとか?もう寒くて…」
「そうねぇ…。ミネアポリスの方が寒いけど…」


笑いながら言うと、アレクは、「へぇ、ミネアポリスって寒いんだ?」 とコーヒーを飲みながら私を見た。


「うん。今くらいから…ほんとニューヨークより寒いわよ?」
「俺、寒いの苦手…」


アレクの言葉に思わず笑ってしまった。


「そうなの?」
「うん、何だか体が固まってくる気がしない?は?寒いの大丈夫なの?」
「うん。寒い方が好きかなぁ?」
「へぇ、そうなんだ」
ったら雨の日も好きなんだって!変わってるよねぇ?」 アリーが注文したカフェオレを美味しそうに飲みながら笑った。
「雨の日?普通、女の子って髪型が崩れるって言って嫌がらない?」
「ああ…そうなのかなあ?私は好きなんだけど…雨音、聞いてると落ち着くのよ」


私がちょっと笑いながら、そう言うと、アレクは、まだ首を傾げていたが、時計を見て慌てて立ち上がった。


「俺、稽古に行かなくちゃ!」
「あ、そうか。ここから近いの?」 アリーが顔を上げて聞いている。
「ああ、すぐそこの角を曲ったらあるよ」
「へえ。あ、後で覗きに行ってもいいかなぁ?」 
「ああ、いいよ。良かったら、も来てよ」
「え?あ、うん…。空手の道場なんて初めて…」
「男ばっかで、むさ苦しいけどさ!じゃ、後で!」
「See ya !」


私はアレクの走って行く後姿を見て、「ほんと忙しい人ねぇ…」 と呟いた。
「ほんとね」 とアリーもクスクス笑っている。
「空手って…どんな感じなのかしら?」
「何、見た事ないの?」
「うん…スポーツは好きで、よくジョシュと観に行ったけど…空手はさすがに見た事ないわ?」
「私も前にテレビか何かで見たくらいだけど…カッコイイわよ?何だか足技とかが決まると、凄く」
「そう…格闘技って、怖くて・・・血が出たりするでしょ?」
「ああ…そうねぇ…。ボクシングとか、今、流行のK−1とか?凄いわよね」
「私、ああいうのダメで…ジョシュも見ちゃダメって言うし…」
私は苦笑しながら肩をすくめると、アリーも笑った。
「ああ・・・お兄さんなら、に、ああいうものは見せないでしょうね!あ、明日、来るんだった?」
「うん。明日は…お昼くらいに着くって。大学終ったらホテルまで行くの」
「そう。でもお兄さん、大学まで様子見に来るんじゃない?一度くらい見ておきたいだろうし。どんな学生生活送ってるのかって」
「あ、そうかな?じゃ、迎えに来てくれるかも…」


私は、そう思うとちょっと照れくさくなった。


「あ、そろそろ行ってみる?」
「そうね。もう暗くなってきちゃったし…」


私とアリーは席を立つと支払いを済ませて、アレクが説明してた通りの道を曲ると、その道場はすぐ見付かった。




「…ここだ。何だか…入りづらいわね?」
アリーが中をそっと覗きながら言った。
「うわー男ばっか!って当たり前か…」


私もそっとドアの窓から中を覗いてみた。
すると知らない男の人と目が合って、驚いた私はバっとしゃがんでしまった。


「どうしたの?…」
「目…あっちゃった…」


そう言った瞬間、ドアが開いて、ぞろぞろと男の人が出てきて一気に囲まれてしまった。


「女の子が何の用?入りたいのかなぁ?」


何だか皆、ニヤニヤしていて、私は思わず怖くなった…。
いくら最近は慣れてきていたとは言え、知らない男の…しかもガタイのいい男の集団に囲まれると足が震えてくる。


「こーら!俺の友だちを怖がらせるなって!」


そこに空手着を着たアレクが歩いて来て私は、ホっとした。


「え?アレクの友だちなの?!お前の通ってる大学って、こんな可愛い子がいるのか?」
「うるさいよ、ゲリーはあっち行ってろって!」

そのゲリーと呼ばれた男の人は、アレクに蹴られて、「ぃてて!わ、分かったよ!じゃ、またね?かわい子ちゃん達!」 と
笑顔で手を振りつつ道場の中へと戻って行った。
それに続いて、他の皆もアレクに蹴られちゃ堪らんと言わんばかりに慌てて中へと戻った。


「はぁービックリした!ね?・…だ、大丈夫?」


アリーは震えている私を見て驚いて顔を覗き込んできた。


?どうしたの?」 とアレクも慌てて私の方へと歩いて来た。
「…も、もう、大丈夫…」


私は何とか体の震えを抑えようと両手で体を包むようにして息を吐き出した。


「ああ…、知らない男の人、怖いのよね…」 とアリーが頭を撫でてくれる。
「え?!そうなの?」 
「ああ、アレク知らなかったっけ…。 今はだいぶ慣れて来てるみたいだけど…前はお兄さん以外の男性には近づけなかったのよ」
「そうなんだ…。じゃ、怖かったろ?ごめんね?あいつらに後で、よく言っておくからさ…」


アレクはそう言うと、私の顔を覗き込んできた。


「え?あ、いいよ、そんな!私が勝手に驚いただけで、あの人達はそんなの知らなかったんだし…何も言わないで?」


私はちょっと笑顔を見せて、そう言った。


「…そう?でも…」


アレクは申しわけなさそうに私を見る。


「いいから!もう大丈夫だし!ね?」 私は思い切り微笑んだ。
そう言うとアレクはやっと笑顔を見せて、「じゃ、見学する?それとも…やめとく?中入るの怖いだろ?」 と道場の方を親指でさす。
「いえ、もう大丈夫だから…。じゃ、せっかくだし見学して行こうかな?」
「そう?怖くなったら言ってね?」 まだアレクは心配そうに言ってくる。


そこは私も素直に頷いた。


「じゃ、この辺で座って見てて?」 とアレクが椅子を二つ持ってきてくれた。
「ありがとう」
「サンキュ!」


アレクはちょっと微笑むと、また皆のとこへ走って行って稽古に参加している。
私とアリーは椅子に座って、皆が稽古をしてるのを見ていた。
時々、大きな掛け声が聞こえて、ビクっとなるも初めて見た空手の稽古は私には新鮮でそれなりに楽しいものだった。


「はぁ…凄い…。あんなに体が動いたら、怖いものないわね?」 と、私が苦笑しながら言うと、アリーも笑って頷いた。
「ほんと!それに…あの中でもアレク、相当強いのね?さっきのゲリーって人だってアレクより、かなり大きいのに、
簡単に倒されてるもの…。そりゃ皆、怖がって言うこと聞くわけだ…」


私もそれには驚いた。
―ほんと…アレクって長い間、やってたみたいね…
素人の私でも彼の型が他の人より奇麗だと分かるし何より動きも早い。


「ちょっと何気にアレク、カッコイイわよね?あれなら今の人気も頷けるわ…」
「え?」
「ほら、大学の女の子達にも最近凄い誘われてたじゃない」
「ああ…アレク困ってたわね?」 


アレクが女の子達に囲まれていた所を私とアリーが通りかかり、助けを求めてきた彼の困った顔を思い出して吹き出した。


「でも、おかげで私達が彼女達に睨まれたじゃないの…」
「まあねぇ…。あれも困ったもんだけど…そう言えば、ミックも昨日、アレクの事を文句言ってたらしいわよ?」
「え?!」
「ほんと懲りない人よね?いっその事、アレクに蹴り飛ばされたら少しは大人しくなるかもしれないわ!」


と、アリーは酷い事を言っている。
私は苦笑しながら、「そんな事してもらったら、また勘違いさせるわよ…」 と溜息をついた…。










「じゃ、ありがとう。送ってもらっちゃって」 


私はアレクの方に振り返った。
稽古の後、3人で食事をした後、送ってもらったのだ。


「いや、女の子二人じゃ危ないからね。じゃ、また明日、講義の時に…」
「バイバイ、アレク!」 アリーも笑顔で手を振っている。
「また明日ね!」 


そう言ってアレクは元来た道を走って行った。


「はぁ…何だか道場の人達も楽しい人達だったわね?」


アリーは、そう言いながら寮の中へと入って行った。


「そうね?あんな面白い人達とは思わなかったわ?最初に見た時は…」 私もちょっと笑いながら言った。
さっき稽古が終わり、アレクが、「送るよ」 と言ってくれて一緒に帰ろうとした時に、ゲリーも、「また遊びに来てね?」 と、
ニコニコ言って来て、アレクに、また蹴られていたっけ…。


「じゃ、お休み、
「お休み!」


私とアリーは、それぞれ自分の部屋へと入って行った。
私はシャワーに入った後、軽く明日の講義の予習をして、寝る前にジョシュのホテルに泊まる為、軽く荷物をつめた。
明日の講義の為の資料とノートも鞄に入れると、私はベッドに潜りこむ。


はぁ…明日は…やっとジョシュに会える…
そう思っただけでドキドキしてくるなぁ…
何だか久し振りだし凄く照れくさいんだけど…
でも二日間ずっと一緒にいれる。
ジョシュ…少しは変わったかなぁ…


私は痩せたから、また怒られそうだ。
そんな事を考えつつ、目をギュっと瞑って布団を顔のとこまで引っ張った。
(早く…早く会いたい…)


私はジョシュの優しい笑顔を思い出しながら明日は大学に迎えに来てくれるかなぁ…と考えていた――














ジョン・F・ケネディ国際空港は、かなり混雑していた。


凄い人だな…週末だからだろうか?
僕は人込みの間を擦り抜けるようにしてタクシー乗り場へ向って歩いていた。
キャップを深めにかぶりサングラスをしたまま、タクシー乗り場にたどり着いた。
空車が目の前に止まり、まずは、こっちで泊まるホテルの名前を告げると運転手はすぐに車を走らせる。
僕はちょっと息をつくと窓の外を見た。
ロスと違った景色…ビルばかりが目につく。
やっとと同じ空の下に来た。
もう少しで会える…そう思うと何だか緊張してくる。
久し振りだからな…
、少しは変わったんだろうか…
早く会いたい…


タクシーは暫く走ると、目的のホテルの前で泊まった。
僕は支払いを済ませて、すぐにホテルにチェックインすると、時間を確認してみた。
まだ2時になるところだった。
大学が終るのに…少し時間があるけど…
今日は道も混みそうだし少し早めに出るか・・・。
―僕はそう決めて、またすぐにホテル前でタクシーを拾った。
今は…午後の授業やってる頃かな…?
僕は煙草に火をつけると、少し窓を開けて外を眺めた。











、一緒に教室行こうよ」
「あ、アレク」


廊下の向こうからアレクが走って来た。


「レポートやった?」
「うん。バッチリ」
は偉いなぁ・…。俺、間に合わなくてさぁ…今、慌てて仕上げたよ…」


アレクは頭をかきながら苦笑している。


「アレクも忙しいもんね。今日も何だかクラスの子達が雑誌広げて見てたし」
「え?あ、ああ…そっか。今日、発売日なんだ、この前やった雑誌の…」
「そうなんだ。じゃ、私も後で見てみようっと!」


私がそう言うとアレクは顔を赤くした。


「え?!…べ、別に見なくていいよ…」
「どうして?」
「いや…何か恥ずかしいしさ…」
「そんな…モデルやってるのに見られるのは恥ずかしいの?」


私はおかしくて笑いながらアレクを見上げた。


「知ってる人に見られるのは恥ずかしいだろ?」 アレクは肩をすくめて笑っている。
「そういうものなんだぁ…。あ、でもジョシュも自分の映画、一緒に見るの渋ってたっけ…」
「ああ、お兄さん?やっぱりそういうもんなんだって」
「そうかぁ…」
「そう言えば、今日お兄さん来るんだよね?」
「うん、もう…もしかしたら、ついてるかも…」
私は時計を見ながら呟いた。
「そっか〜一度会ってみたいな、のお兄さん」
「え…?!」 私はドキっとして顔を上げた。
「いや、ほら、凄く仲がいいって言うし、どんな感じのお兄さんかなぁって…」
「…どんな…感じって…どうかな?」 


ちょっと笑って視線を前の方に向けると、前方からミックが歩いてくるのが見えて思わず下を向いた。
ミックは気付いたようで、そのまま私達の方へ歩いて来た。


「Hi!
「...Hi」


ミックは笑顔で声をかけてくるも、アレクをチラっと横目で見ている。


「二人で何?これから講義?」
「え、ええ…」


私は何だか気まずくなって俯いたまま答えた。
するとアレクが、「、もう時間ないし行こう」 と私の手をとって歩き出した。


「おい、レヴァイン!人が話してるのに何だよ?」


ミックがアレクの肩を掴んで文句を言った。


「ほんと時間ないんだよ。この手離してくれない?」 とアレクも怖い顔で振り向いて言っている。
「…ふん。恋人きどりみたいなマネするなよな」
「は?そんなんじゃないだろ?行こう、


アレクは、そのまま私の手を引っ張って歩き出した。
私は驚きながらも振り返ってみると、ミックは顔をしかめていたものの、私には笑顔で、「またね、」 と言って歩いて行ってしまった。
私は怖い顔で歩いているアレクを見上げた。


「あ、あの…ごめんね?ありがとう…」
「何でが謝るの?」 アレクはやっと笑顔を見せる。
「だって…気を使って言ってくれたのに…何だか嫌な思いさせちゃって…」
「別にが嫌な思いさせたわけじゃないだろ?それに、元々ミックとは何だか合わないんだ」
「そうなの?」
「ああ、何かさ、最初からケンカごしで物を言ってくるとことか…好きじゃないって言うか…
ま、あれは妬いてるんだろうけど。 ほんと、はモテるね?」


アレクは笑いながら私を見た。


「モ、モテないわよ…」 私は苦笑しながらも少し顔が赤くなってしまった。
「いや〜ジェイクも可愛いね〜って言ってたしさ。ハットリも誉めてたよ?真面目でいい子だなぁ〜ってさ」
「……」
「あれ…照れちゃった?顔が赤いよ?」


アレクは私の顔を覗き込みながら笑っている。


「べ、別に!早く行かないと遅刻するよ?」 私は手を放して、さっさと教室の中へと入って行った。


アレクはクスクス笑いながらついてくる。


「もう…笑わないでよ…」 私は口を尖らせて空いてる席へと座った。


「ごめん!怒らないでよ」


アレクは両手を合わせて謝ってきた。


「そんな怒ってなんて…」


そこでマグディ教授が入って来て私は言葉を切ってノートを開く。
アレクもちょっと微笑むと、ノートを広げた。
腕時計に目をやると、午後2時になるところだった――










「ここか…」


僕は大学の門を見上げて呟いた。
学生が色々な所で寛いでいるのが見える。
(入っても…大丈夫そうだな…)
僕だって中退さえしなければ、まだ大学生だったんだし。
門の中へ入ると、僕はブラブラと歩き出した。
ここで毎日が勉強してると思うと少しドキドキしてくる。
同じ空間に今いるんだよな…前なら、こんな事は当たり前で考えた事もなかったけど…
今…が歩いて来たら…僕はどうするんだろうか。
思い切り…抱きしめてしまうかもしれない。
そのまま校内を歩いて行くと大学内のカフェが見えた。
あそこで少し時間でも潰そうかな…
時計を見た。
3時40分―
は…この時間、授業とってるのかどうか…
昨日、聞いておけば良かったな…
僕は溜息をついて、そのカフェを覗いてみた。
その時後ろから…


「…お兄さん…?」


僕は振り向いて驚いた。


「あ…アリー?」
「ああ、やっぱり…!」


アリーが笑顔で僕の方に歩いて来た。


「久し振りだね」
「ほんとに…!やっぱり大学まで迎えに来たんですね?」
「え?やっぱりって…?」
「昨日、と話してたんですけど、もしかしたら大学まで迎えに来てくれるかもって言ってたし…」
「そうなの?」 と僕はちょっと笑いながらアリーを見た。
「ええ…あ、は今、講義受けてて…」
「あ、そうなんだ」
「ええ…もう少しで終ると思うんですけど…教室まで行ってみますか?」
「いや…いいよ。どこかで時間でも潰してるし」
僕はちょっと周りを見渡した。
「あの…私でよかったら一緒に時間潰してあげますけど…」
「え?」


アリーは何だかいたずらッ子のような笑顔で僕を見上げていた。
僕は苦笑すると、「じゃあ…お願いしようかな?」 と言うと、アリーは嬉しそうに微笑んだ。


「じゃ、ここのカフェで、お茶でもどうですか?今、私もここに来て…ケーキが美味しいの」
「ああ、いいよ。僕は…ケーキはいらないけどね」


僕が肩をすくめて笑うと、アリーもクスクス笑いながら店の中へ入って行った。


カウンターで飲み物を頼んで、それを受け取り空いてる席へと座る。


は…どう?楽しそうにやってるかな?」


僕は紅茶を飲むと顔を上げた。


「あ、あの…かなり慣れて来たみたいです」
「そうか…良かった」
「でも…」
「え?」
「たまに凄く寂しそうにしてます…」 とアリーは僕を見ながら軽く息を吐く。
「そう…」 
「あ、でも元気ですから・…ほんと頑張ってますし」


僕はアリーの言葉に微笑むと、アリーは顔を赤くして俯いてしまった。
アリーは紅茶の中に砂糖を足すとスプーンでぐりぐりとかき回している。


「そ、そろそろ終ると思うんですけど…、終ったら、ここに来ると思うし…」
「あ、そうなの?」
「ええ、だいたい講義の終った後は、ここで一緒にお茶飲んでから帰るんです」
「そうなんだ。へぇ…が友だちとお茶ね…。前には一度もなかったな…」


僕はちょっと苦笑して紅茶を飲んだ。
そして顔を上げるとアリーが僕を見ていて、「ん?何?」 と言うと、「い、いえ…」 と慌てて俯いてしまった。


「…?」


その時―


「…あ…!ですよ?」 アリーが外を見て言った。
僕はその言葉にドキっとして窓の方を見る。
するとらしき女の子が見えて、見知らぬ男と二人で仲良さげに歩いてくる。


「あ、彼…クラスメートで…アレクって言うんです。、同じ講義とってるから…」


アリーは何だか慌てて説明してくれた。


「あ、そうなんだ…」と、僕は笑顔で、そう頷くも心中、穏やかじゃなかった―






「アリーと待ち合わせしてるの。アレクも一緒にどう?」
「あ、うん」
「今日はバイトはないの?」
「ああ、あるけど、まだ時間あるし…。一杯だけお茶でも飲んでから行くよ」


アレクはそう言って、私の頭にポンと手を乗せた。
私はいつものカフェが見えてきて、店内にアリーの姿を探した。
その時――
店の入り口からアリーと身長の高い男の人が出て来るのが見えた。


「あれ…アリーと一緒にいる人…誰だろ?」


アレクも気付いて首をかしげている。


「…ジョシュ…」
「え?」


私は頭で考えるよりも先に走り出していた。


「え、おい、?」




「ジョシュ!!」
!」


私は少しも変わらない優しい笑顔のジョシュに思い切り抱きついた。


「ジョシュ…迎えに来てくれたの?!」
「ああ…ちょっと、どんな所で勉強してるのか見たくなってさ」


ジョシュはそう言うときつく抱きしめてくれる。
そしてちょっと私の顔を覗き込むと、額にキスをしてくれた。


「…会いたかった….」
「…私も」


私は懐かしいジョシュの優しい声に胸がキュっと締め付けられた。
そこで体を離すと、アリーが、ニコニコと微笑みながら立っていた。


「さっき、ここに来たら、お兄さん見つけて一緒に待ってたの」
「そうなんだ」
?」


そこにアレクがちょっと驚いた顔で歩いて来た。


「あ、アレク…。 あの兄のジョシュよ?」
「え?!」


アレクが驚いた顔でジョシュを見た。
ジョシュは、「どうも。…いつもがお世話になって…」 と手を出している。


「あ、い、いえ…!どうも初めまして。アレックスです」
二人は握手をすると私はジョシュに、「アレクはクラスメートなの」 と言った。


「ああ、アリーから聞いたよ?」
「そうなの?…いつも助けて貰ってるのよ」


私の言葉に、ジョシュはちょっと眉を上げた。


「あ、あの…俺、バイトがあるんで…。 、俺もう行くよ」
「え?でも…」
「またな? ―じゃ、どうも…」


アレクはジョシュにも笑顔で頭を下げると走って行ってしまった。
私はちょっと息をつくと、ジョシュの腕に自分の腕を絡めた。


「ジョシュ、もうチェックインしたの?」
「ああ、さっきしてきたよ」
「そう。じゃ、これから食事でも行く?アリーも一緒に」
「え?あ、私は…いいわよ。二人で行って来て?久し振りなんだし」
「でも…」
「いいから、いいから!」 アリーはそう言うと私の肩にポンと手を乗せて、
「じゃ、楽しい週末をね! お兄さん、それじゃ、また」
「ああ、気をつけて。また」


ジョシュも笑顔で手を上げている。


「来週の月曜に戻るわ?」


私はアリーに手を振りながら、そう言うとアリーはニッコリ笑って、「OK!Have a good time!」 と言って歩いて行った。




…来週戻るって…?」


僕はニコニコと見あげて来るの頭を撫でながら聞いた。


「え?あ、今日からジョシュの泊まってるホテルに一緒に泊まろうと思って…。ダメ?」
「え?!ダ、ダメじゃないよ。そっか、何も考えてなかったよ」


と僕はちょっと頭をかきながら笑った。


「久し振りなんだし、ずっと一緒にいたいから…」
は笑顔で、そう言うと、「で?何を食べに行く?」 と僕の腕を引っ張りながら振り向いた。
僕は、その嬉しそうな顔に思わずニヤケそうになって、コホンっと咳払いをすると、
「何でもいいよ?が食べたいもので」 と言った。


「う〜ん…そうだなぁ…」

は一生懸命に考えているようだ。
僕はの腕を引き寄せて肩を抱くとの頬にキスをした。
それにはも微笑みながら頭を寄せてくる。


ああ…本物のだ…
やっと会えた…
僕はの温もりを感じて胸が熱くなった。
さっきは…アレクと一緒に楽しそうに歩いてくるのを見て思わず嫉妬をしてしまったけど…
何だか見た感じも、アリーの言う通り友達っぽかったしな。
あれなら大丈夫かな…?
あのアレクも、そんな悪いやつでもなさそうだったし何より、リジーが言ってた通り、本当に"凄く奇麗"だった(!)
僕は、どこに行こうかと一生懸命考えているの横顔を見ながら、そっと微笑んだ…。








「すごーい…何これ?」


はキョロキョロと店内を見渡して目を丸くしている。


「面白いだろ?ここ、前にスタッフに連れて来てもらってさ」


なかなか決められないに、僕が前に行った事のあるレストランに連れて来てあげた。
ここは、セントラルパーク近くにある"Jekylle&HydeClub"というレストランで、
店内が一風変わった感じのお店だった。
高い天井、不気味で広い店内には、ガイコツ、スフィンクスなどの強烈な装飾があちこちに飾られている。


「ここ若い子達の間で人気あるらしいよ?通称お化け屋敷とか言ってさ」


僕が注文したビールを飲みながら言った。 
―ちなみにビールのピッチャーも巨大試験管で、そこからグラスに注ぐという形だ(!)―
僕はがクスクス笑っているのを見て、「どうしたの?」 と頭にポンと手を置いた。


「だ、だって…ジョシュだって若いのに、"若い子達…"とか言うんだもん…」
「え?ああ…。そうだけどさ…」
僕もそれには苦笑した。
少しすると料理も運ばれてきて僕とは、お互いの近況を話しながら食事を楽しんだ。


「え…ジョシュ…軍に入るの…?」
「ああ、入るっていうか…体験しておきたいからさ…。少しの間、入ろうかと考えてる。役作りのためにもね」


私はちょっと驚いて、その話を聞いていた。


「そう…。でも…危ない事はないの?」
「さあ…。でも心配ないって!そんな戦闘機とかには乗らないと思うしさ」


ジョシュはちょっと笑いながら言った。
今は食事も終えて食後のコーヒーを飲んでいるところ。
私は心配だったが久し振りに一緒にいるのに暗い顔はしたくなくて、ちょっと微笑むと、
「なら、安心した」 と言って紅茶を飲んだ。
ジョシュも、私の方を見て微笑むと、「じゃ、そろそろ出ようか?」 と言って時計を見る。
まだ夜の8時になるところ。
ジョシュは何か思いついたように、「なあ、。ちょっと一杯飲んでかない?」 と私を見る。


「え?うん…いいけど…。ジョシュ、疲れてるんじゃない?今朝、あまり寝てないんでしょ?」
「ああ、だから寝酒の代わり?」


ジョシュは笑いながら席を立つと、私の手を取った。
支払いをして店を出るとタクシーを拾う。
ジョシュが運転手に言った住所はマディソン・スクエア・ガ-デンの方角だった。


「俺がとったホテルも、そこから近いんだ」


ジョシュはそう言うと私の手を握って微笑んだ。
私も微笑むと、前のようにジョシュの肩に頭を乗せてよりかかる。
何だか・・・こんなに寄り添っているのに、まだ傍に居る実感が湧いてこない…
私は繋いでる手をギュっと握った。


「ん?どうした?」
「ううん…何でもない。ただ…本当に今、ジョシュと一緒にいるのかなって思っただけ…」


そう言うと、ジョシュは私の頬に、チュっと軽くキスをしてくれた。


「俺は…ここにいるよ?」
「…うん…今、実感した」


私はちょっと笑うとジョシュを見上げる。
するとジョシュは優しい瞳で私を見つめて、素早く私の唇にキスをした。


「俺も…今、実感した」

ジョシュのキスと言葉に、私は顔が赤くなってしまった。
久し振りにキスされると…すごーく恥ずかしい…
ジョシュも照れくさいのか顔を窓の方へと向けたまま。
私はちょっと微笑むと、そっと手を離し、今度は腕を組んで、ジョシュに寄り添った。
車は暫く走ると、"B.B.king"と書かれた映画館のような店の前に止まった。


「ここは、もともと映画館を改装してオープンしたライブハウスなんだ」


ジョシュはタクシーを降りると言った。
確かに映画館の雰囲気が残っている。
ジョシュは私の手を繋ぐと店内へと入って行った。
中に入ると、うるさい音楽ではなく、ゴスペルが聞こえて来て、私は思わず笑顔になる。


「わぁ…凄い…。奇麗な歌声・…」
「ここ、毎週、土曜日はゴスペル・ナイトデーなんだ。、結構ゴスペル好きだろ?」
「うん!耳に心地いいから…大好き」


私とジョシュは案内された席へと座ると、カクテルを注文した。
目の前のステージでは男性6人ほどで大きな声で気持ち良さそうに歌っている。


「ほんとはさ。の好きなラテン系の店にしようかとも思ったんだけど…
そこはダイニングもあって食事も出来るとこだから明日にしようと思って」


ジョシュは、かぶっていた黒のキャップを脱ぐと私を見て言った。


「え?ほんと?!そんな店があるの?」


私は飲んでいたカクテルのグラスを置くとジョシュを見た。


「ああ、その店も、この近くだよ?」


ジョシュは私の頬にキスをして微笑んだ。


「わぁ、楽しみ!じゃ、明日、絶対ね?」
「OK!」




私は笑顔で頷くジョシュの横顔を見て、ドキドキしてくるのを感じていた。
こんなに会わなかったのは初めてだし、久し振りに会うと、ほんとに一人の男性なんだ…と実感する。
そして…私はジョシュの事を、凄く好きなんだということも…
ジョシュの煙草を吸う仕草…優しくて低い声…私を抱き寄せる腕…そして優しく触れてくる唇…
全て私には、好きな人の、"それ"だった…。
こんなに意識してしまうなんて…ずっと一緒にいる時でも、こういう気持ちになった事はあったけど、今ほどじゃなかった。
かなりの時間、離れていたからか、兄と妹という現実を忘れ、一人の男と女として会ったみたいだ。
私は知らず、ジョシュに見惚れていた。
そこへジョシュに気付いたファンの女の子らしい数人が恥ずかしそうに声をかけてきた。
ジョシュは、チラっと私の方を見るも、優しく握手なんてしてあげている。
嬉しそうに、お礼を言いながら、帰って行く女の子達を見ると、私まで嬉しくなった。


「ジョシュ、すぐバレちゃうね?」 私はクスクス笑いながら言った。
「ああ…帽子かぶってた方が良かったかな…」
「それでも分るよ?だって一人、大きいんだもん」
「…身長のせいか?」 ジョシュは苦笑しながら私を見る。
「だって大きい人が居ると、まず自然に目がいっちゃうでしょ?それで顔見たら、すぐ分かるわ?」
「まあ、そうかもな…」


ジョシュは笑いながらカクテルを飲んだ。
私はちょっと微笑むと、ジョシュの頬に軽くキスをした。
ジョシュは少し顔を赤くして私の頭をクシャっと撫でる。
私はジョシュの照れた顔を見て胸がギュっとなった。
どうしよう…こんなに好きになっちゃって…
もう…とめられない…。


私は前以上に、大きくなった想いを感じて胸が痛くなった―










僕はと手を繋ぎながら夜空を見上げた。
今夜は少し冷えて、ニューヨークにしては珍しく雲ひとつない。
丸い月だけが光っている。
周りにあるイルミネーションと重なって見えて凄く奇麗だった。
息を吐くと真っ白になって空へと登っては消える。
ライブハウスでカクテルを二杯ほど飲んで今はホテルへ帰るところだ。


…寒くない?」
「うん。まだ大丈夫。ミネアポリスよりは…」


笑いながら答えるを軽く抱き寄せる。
今は夜中の12時になろうとしているところ。
それなのに周りは色々な人達が行きかっていて賑やかだった。
さすがニューヨークといった感じだな…
僕は道端でサックスを吹いている黒人の男性を見ながら、ホテルの方向へと歩いて行った。
その男性のサックスの腕前はたいしたもので、プロでもおかしくないくらいだ。
ニューヨークには、こういった人達が多く存在する。
皆、プロのミュージシャンを目指しているんだろう。
だが実力があっても、そうそうにプロになれる訳でもない。
やはり実力もだが運も必要なんだ…。


僕は運のいい事に幼い頃、舞台から始めて、こうしてACTORになれた。
それはが僕の演じている姿が好きだと言ったから…
そんな昔から、僕はの言葉に動かされてたんだと改めて思うと、ちょっと笑ってしまう。
まさか…あの頃は、を一人の女性として愛するなんて思ってはいなかった。
いや・…ひょっとしたら、もうあの頃から僕は彼女を愛していたのかもしれない。
大切だと思う気持ちは、あの頃も今も強く、この胸にある。
それだけは揺るぎないものだった。
僕は無邪気に笑うを見て、胸の鼓動が早くなるのを感じた。


も、もうすぐ19歳…
すぐ20歳になるだろう。
その頃には…僕と、こうして一緒に腕を組んで歩いてくれるんだろうか…。
大人になって…好きな人でも出来てしまったら…
僕はそう思うだけで胸が痛くなる。
軽く頭を振ると、が不思議そうな顔で僕を見上げてきた。




「どうしたの?ジョシュ・…酔っちゃった?」
「いや…」


僕は寒さで鼻の頭が少し赤くなっているの顔を見て、ちょっと顔が綻んだ。
立ち止まって道端で思い切り、を抱きしめると、その赤くなった鼻に、チュっとキスをする。


「わ…な、なに?」


は顔を赤くして僕を見上げる。


「鼻がトナカイさんみたいだよ?」
「え…あ、寒いから…」


は恥ずかしそうに俯いた。
僕はそんなが可愛くて、また軽く抱きしめると、そっと体を離して手を繋いだ。
また歩き出すと、もやっと顔をあげて、それでも、まだ恥ずかしいのだろう。
手で鼻を抑えている。
そんな彼女を愛しい…と思った。
さっき抱きしめたの体は前よりも少し痩せたのか力を入れると折れてしまいそうなくらいに華奢だった。
ほんとに、一人の女性なんだ…と実感する。
そして…僕は、そんな彼女を凄く愛しているとも…
の奇麗な瞳も…可愛く微笑んでくる顔も…繋いでくる小さな手も…僕の名を呼ぶ声も…
全てが愛しい…と思った。
この想いを…いつか君に打ち明けられたら…
そして、それを受け入れてもらえたなら…誰に反対されても僕はを離さないだろう。
初めて僕の目の前に現れた時から…彼女だけを想ってきたんだと、今なら言えるから…


"Miracle which was able to meet you....."


ある映画の中で、こんなセリフがあった。
僕は誰よりも早く運命の人と出逢えたんだ・・・と思った。
こんな長い人生の中で、たった一人の人をずっと思っていくなんて普通は考えられないだろう。
だから今、そのセリフが胸に響く。


…本当に…奇跡だよ…
に出逢えた事が…


「ジョシュ?どうしたの?ボーっとして…やっぱり眠いんじゃない?」

僕が黙ったまま歩いていたからか、が心配そうに見上げてくる。
そんな彼女に、優しく微笑むと、の唇へキスを一つ落とした。


「今夜は…久し振りに一緒に寝ようか」


僕がそう言うと、も笑顔で頷く。
そんなの長い髪を指に絡めると、唇をつけて頭を抱き寄せた。
人生の贈りもの…は僕にとって、そんな存在なんだ。
僕は言葉にならない想いを伝えるように何度もにキスをした。
瞼、額、頬、唇…
はキョトンとした顔で僕を見て、その後に少しづつ真っ赤になっていったんだけど。


僕は誰が見ようと気にしないで、を抱きしめた。




「大好きだよ…」
「?…私もよ?ジョシュ」


嬉しそうに、そう言うに…僕は優しく微笑むと、また彼女の唇に一つキスを落とした。


この…奇跡を神さまに感謝しながら…




彼女の唇は少し冷たかった―








 

Postscript

ワォ。すっごい久々にジョシュ夢を書いた気がします^^;
やっと二人も久し振りに会えましたv
何だか書いてる私まで新鮮な気分でドキドキしちゃったり(笑)
でも、ずーっと離れ離れでお話を書いてるわけにもいきませんので、
そのうち少し飛ぶかもです。
その前にアレクとミックを対決でもさせましょうかね(笑)


本日も皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて...

【C-MOON...管理人:HANAZO】