Up to when This thought
Do not continue not changing. It must always be here
It is too far. Answer which is not visible
With however, two persons I continue wanting to search.
I continue wanting to search...
いつまでも この想いは
変わらぬまま 必ずここにあるはず
遠すぎる 見えない答え
だけど2人で 探しつづけたい
探しつづけたい…
「ジョシュ…?」
バスルームから出てきたのか、の僕を呼ぶ声が聞こえた。
「ここだよ?」
僕はベランダから顔を出した。
すると途端には笑顔で僕のところに走って来る。
僕は抱きついてきたを優しく抱きしめると、彼女の濡れた髪に触れ、が手に持っていたバスタオルを取ると髪を拭いてあげた。
「風邪引くだろ?」
「あ、ありがとう…」
は少し恥ずかしそうに僕を見上げると、そのまま、また僕のお腹の辺りに抱きついてきた。
僕は、そのままの髪をある程度拭くと、「さ、乾かそう?」との体を離そうとした。
「ん…。もう少しこのまま…」
は僕のお腹にしがみついたまま離れようとしない。
僕は思わず笑ってしまった。
「どうした?また甘えん坊に戻った?」
「だって…凄く久し振りに会ったんだから…いいでしょ?」
「いいけど…風邪引いちゃうよ?」
「…私が風邪引いたら…ジョシュ、帰らないで看病してくれる?」
「え?」
「…なんでもない!」
はそう言うと僕から、パっと離れて、「自分で乾かせるから!」 と言ってバスルームへと走って行った。
僕は、ちょっとドキっとしながら、の言った事を考えた。
"……帰らないで…看病してくれる?"
どういうつもりで言ったのかな…
やっぱり…寂しいんだろうか?
無理してるのかもしれない…。
僕はそう思うと少し心配になってきた。
「はぁ…」
ちょっと溜息をつくと、僕はソファーに腰をかけて煙草に火をつけた。
本当なら、今でもを連れて帰りたいくらいだ。
僕の知らないところで他の男と親しそうにしてると思っただけで…凄く苦しくなって胸に何か鈍い痛みが走る。
さっきの…アレク…とかいう友達だって…今は友達でも、いつかは恋愛対象になるかもしれない。
そう思うと、ほんとに胸が痛くなって、僕はちょっと息を吐き出した。
「ジョシュ…どうしたの?」
ふいにの声が聞こえて僕はドキっとして振り向いた。
「あ、ああ…何でもないよ? ―髪…乾かした?」
「うん」
は笑顔で僕の膝に座ると首に腕を回してきた。
の背中に腕を回して彼女を抱くと髪がまだ少し冷たい。
「…まだ少し濡れてるよ?」
「…いいの!」
「いいのって…」
僕は少し戸惑ってしまった。
…どうしたんだろう…?少し様子が変な気がする。
「…どうしたの?何か変だよ?」
「………」
「?」
僕は黙ってしまったの顔を覗き込んだ。
はちょっと俯いていたが僕の方を見るとちょっと微笑む。
「…ちょっと…寂しくなっちゃって…ごめんなさい…」
「え?あ、いや…別に謝らなくていいよ?俺も…心配になっただけだから…」
僕はそう言ってを、もう一度抱き寄せた。
寂しい…か。
それを言うなら…僕も同じだよ。
久し振りに会ったから、も弱音吐きたくなったんだろうな…。
僕はの頭を撫でながらそっと唇で触れた。
「明日は…昼間、どこ行く?」
僕は気を取り直し、そう訊いてみた。
だがは軽く首を振ると、「…どこにも…ジョシュと、こうして一緒にいれればいい…」 と呟いて僕は胸が痛くなった。
「…」
「ダメ…?」
「ううん…。 ―そうだ、映画行こうか?前は、よく一緒に行っただろ?」
「…ほんと?」
やっとが顔を上げた。
僕はホっとしての頬にキスをすると、「ああ、は何が見たい?」 と訊いた。
「えっとね…。"パラサイト"!」
「…え?!」
「アリーと一度行ったんだけど…もう一回見たい」
「あ、いや…あれ…はなぁ…」
僕は困って頭をかいた。
「ダメ…?」
う…そ、そんな切ないって目で見ないでよ…
にそんな顔されると僕はほんと困ってしまう。
「わ、分かったよ…。OK、"パラサイト"ね…」
僕が渋々頷くとは嬉しそうに、笑顔を見せた。
そんなが可愛くて、彼女の額にそっとキスをすると、も僕の首に回した腕を強めて、しがみ付いてくる。
「…?苦しいよ?」
僕はちょっと苦笑しながら、そう言うとは、ちょっと離れて僕の顔を黙って見つめてきて、ドキっとした。
「な、何?」
「ジョシュの…優しい…瞳が好きなの」
は、そう言うと僕の頬に、チュっとキスをしてきて、僕は顔が一気に赤くなった気がした。
「俺も…の黒い瞳が凄く好きだよ?」
「ほんと?」
「ああ、凄く奇麗だ」
「じゃ、良かった、黒くて…。ほんとは、リジーみたいに奇麗なブルーアイに憧れてたの」
「え?そうなの?」
「うん」
それにはちょっと驚いたがに微笑むと、「は…そのままでいいよ?」 と言った。
はその言葉に嬉しそうに微笑むと、「ジョシュも…今のままがいい…」 と言ってくれた。
それが嬉しくての唇に軽くキスをしてを思い切り抱きしめた。
こんなに近くにいるのに…どんなに強く抱きしめても寂しいのは何故なんだろう…
僕は自分の想いが溢れ出そうで怖くなった―
I want to meet much more
It jumps over the time when it cannot meet
Also where It goes to meet always
It stops. The figure Although searched
To your voice long distance It separates and is audible
It is dear. I want to touch immediately now
It does not stop....I shout and it is A wish...
― もっともっともっと会いたい
会えない時を飛び越えて
どこにだって いつでも会いに行くよ
立ち止まり その姿 探すけど
あなたの声遠くに 離れて聞こえる
恋しくて いますぐに触れたくて
止まらないの 私の叫んでる 願いが…
私はジョシュと手を繋いでセントラルパークを歩いていた。
昼から出かけて一緒に映画を見た。
ジョシュは自分が出ている映画を映画館で見るのは相当、恥ずかしいみたいだった。
だって何度も俯いていたし、(特に自分のキスシーンのとこ)全然、映画に集中してなかったもの。
それでも私は、あの頃撮っていた映画をジョシュと一緒に見れて嬉しかったんだ…
あのロケは…思い出深いものだったから…
「、ちょっと動物園でも見ていかない?」
ジョシュが立ち止まって公園内にある動物園を指差して言った。
「うん、行く」
私は笑顔でそう答えると、ジョシュは私の手を引いて動物園内へと入って行った。
もう夕方だからか、人もそんなにいなくて歩きやすかった。
「小さい頃…父さん達と一緒に来たよな?、覚えてる?」
「う〜ん、何となく?」
「、動物園、大好きでさ。よく休みの日は父さんにせがんでたよな?」
「そう…なの?」
「ああ。それで普通の女の子が好きそうな可愛い動物よりも、何でかライオンとか、トラとか見たがってさ」
「ああ…それは何となく覚えてる!私には大きな猫にしか見えなくて、凄く好きだったわ?」
「大きな猫ね…」
ジョシュは、ちょっと吹き出しながら、私の頭を優しく撫でてくれた。
「あの頃もさぁ、は俺の手を繋いで離さなかったよ?こんな風に」
ジョシュは繋いでいる手を少し持ち上げて笑った。
「そうなの?」
「ああ。俺もはぐれないようにって、ずっと繋いでた」
「大人になっても変わらないなんてね?」
私はちょっと笑いながら、そんな子供の頃から私とジョシュは一緒にいたんだなぁと実感していた。
小さな頃から、ずっと…ジョシュの事が大切で、今はもっと大切で、こんなに気持ちが大きくなってしまうなんて…
私はきっと一生…ジョシュを想っていくんだろうな…と思った。
一番奥まで歩いて来て、そこにいた色とりどりの奇麗な鳥を見てると、
「?寒くない?また鼻が赤いよ?」と、ジョシュは私の鼻を指でツンとつついて微笑んだ。
「うん…少し…」
そんなに寒いというわけではなかったが、私はジョシュに体を摺り寄せると繋いでいた手を離し腕を絡ませた。
少しでもジョシュの体温を感じていたかったから―
知らず組んでいる自分の腕にギュっと力を入れてしまった。
その時ジョシュは急に立ち止まって強く抱きしめてきたから私は驚いてジョシュを見上げると、
ジョシュの腕が私の背中と腰を抱き寄せて力が入るのが分かる。
「ジョシュ…?」
「とずっと…こうして一緒にいたいな…」
「…え…?」
私はジョシュの言葉にドキっとして顔を上げた。
そしてジョシュの優しいけれど少し寂しげな瞳と目が合う。
ジョシュは、そのまま屈んで私の唇に、押し付けるようにキスをして、そっと離すと、もう一度私を見つめてから
いつもの触れるだけのキスじゃなく少し深いキスをしてきて、私は胸がドキドキして壊れるんじゃないかと思った。
いつもより少し違うキスに戸惑い私はジョシュの背中に回してる手で服をギュっと掴んだ。
するとジョシュがやっと唇を離して、私の顔を覗き込むと、
「…、顔が真っ赤だよ?」 と言って、「ごめん。ちょっと濃厚すぎた?」 と苦笑した。
「な…何言って…」
私はジョシュの言葉に、ますます顔が熱くなって俯いてしまった。
ドキドキしすぎて息苦しい。
ジョシュは少し微笑んで、また私を今度は優しく抱きしめた。
今のキスは、どういう意味なの?
兄から妹へのキスなの…?
それに…
"ずっと一緒にいたい…"
それは…どういう意味?
兄として妹が心配だから?
それとも…
そう聞きたいのに…喉から出かかってるのに声が出ない。
私はジョシュの言葉の雰囲気から何故か男としてのニュアンスが感じ取れて更にドキドキしてくるのを感じた。
まさか…そんな事あるはずが…
ジョシュが私の事を女として見てくれてるなんて…思った事もなかったし。
なのに今、こうして優しく抱きしめてくる腕も、摺り寄せてくる頬の温もりも何だか…男の人の"それ"だった。
ダメだよ…
こんな事されたら…
私は自分の想いをぶちまけちゃいそうになる…
私はジョシュのこと、お兄さんとは思ってない。
男の人として好きなの…って言ってしまいたくなる。
ジョシュの体温を感じながら私は胸が痛くて、兄と妹という関係に限界を感じていた―
「ここだよ?昨日、話してたお店」
ジョシュは私の手を引いてタクシーを降りると店の中へと入って行った。
「わぁ…ほんと…スペインに来てるみたい…」
私は店内に入ると、店の飾りや流れてる音楽で思わず笑顔になった。
奥に広いスペースがあって、ステージもあり、今まさにバンドが演奏しているのは陽気なサンバだった。
その前では楽しそうにビールの瓶を持ちながら踊る人々で盛り上がっている。
私とジョシュはステージ横の少し奥まった席へと案内されて椅子に座ると先にビールを注文した。
席はステージの方を見れる様に二人が並んで座るようになっている。
「はコロナビール好きだよなぁ」
ジョシュがそう言って笑った。
「だって…ライム入れるとサッパリして美味しいでしょ?メキシコ料理とかにはかかせないじゃない」
「まあね。軽いし酔わないからいいけどさ」
「あ…私が酔ったらダメなの?」
「そういうわけじゃないけど…、酔ったらフラフラするからなぁ」
「あ…そういうこと言っちゃう?じゃ、いいわ。今夜はいーっぱい酔ってジョシュに解放してもらう!」
「ええ?そんな酔っ払い解放するのやだよ」
ジョシュが笑いながら私の額を指でつんと押した。
それだけでドキっとする。
ジョシュは、もう普段どおりのジョシュに戻ったように見えた。
でも時折、凄く愛しそうな瞳で私を見る。
さっき、もしかして…と意識をしてしまったから、そう見えるだけだろうか…。
そこにビールと少し注文した料理が運ばれてきて、私とジョシュは乾杯してから料理を食べ始めた。
この店は中米料理が多いようだ。
「美味しい!このチキン、スパイシーで好きかも…」
「、辛いの好きだよな?スープにも唐辛子とか入れるだろ?」
「だってピリっとして美味しいじゃない」
「まあね。あれ、また飲みたいな、今度作ってよ」
「うん、じゃ年末に戻ったときに作るね?」
私がそう言うとジョシュは嬉しそうに微笑んで私の肩に腕を回して額にキスをした。
うぁ…ダメだ…
いつものスキンシップでも今は額にキスされるだけで心臓が飛び上がるくらいドキっとしちゃう…
店の中が暗くてよかった。
顔が真っ赤になるのが見えなくてすむから。
「?どうした?俯いて…演奏見ないの?」
「え?あ、うん…」
顔を上げると、なるべくジョシュの方を見ないようにしてステージへと視線を向けた。
何だか意識をすると変に緊張してきて、ビールを飲むと次にレゲエ・ラムを頼んだ。
「これ、美味しいんだよな?俺、ラムベースのカクテルとか好きなんだ」
「あ、私も…」
「ちょっと飲ませて?」
「え?あ…」
私が口づけたグラスをジョシュがとり、それを飲んでるのを見て、またドキっとして視線を反らした。
もう…どうして普段は当たり前のようにしてる事なのに、こんなにドキドキしちゃうの?
こんなんじゃ変に思われる…
今夜だってジョシュのホテルに泊まるのに―
「?どうした?」
「え?!」
ジョシュが私の顔を覗き込んできて私は驚いて思わず大きな声を出してしまった。
「どうしたの?何だか変だよ…?」
ジョシュが首を傾げて不思議そうな顔をしている。
私はなるべく普段どおりに微笑むと、
「そんな事ないよ?ラテン聞いて、ちょっと気分がいいかな〜って…」
「そんな風には見えないけど…」
(う…わ、私ったら変な言い訳しちゃった…。ますます変に思われちゃう)
「あ、あの…私、ト、トイレ行ってくるね?」
「え? ああ、何だ…我慢してたの?じゃ、早く行っておいで?」
ジョシュがクスクス笑いながら私の頭を撫でた。
私はそれだけで心臓がギューっとなって慌ててソファーから立ち上がると、「、場所分かる?」 とジョシュが私を見上げた。
「あ、あの…店員さんに聞くから…」
と言って急いで入り口の方へと歩いて行った。
トイレの場所はすぐ分かるとこにあり、私はそこに飛び込むと誰もいないのを確認して思い切り息を吐き出す。
「はぁぁ…!もうダメだ…心臓が壊れちゃうわ…」
私はそう呟くと鏡で自分の顔を見て思わず苦笑した。
「やだ…。ほんと暗くて良かった…。真っ赤っ赤だもん…。何だか酔ってるようにしか見えないけど…」
私は頬に手を置いて溜息をついた。
持って来たバッグからメイクポーチを出すと軽くメイク直しをして口紅も塗りなおす。
前はそんなに化粧とかしていなかったけど今は大学生だ。
大学でもノーメイクの子の方が少ない。
「はぁ…どうしよう…こんなんで今夜いっぱい持つのかな…」
ふと不安を口に出してみる。
久し振りに会ったので少なからず意識はしていたし、前以上にジョシュを男の人として好きなんだと実感もした。
でもトドメは…さっきジョシュにされたキスだろう…
私はそっと指で唇に触れてみた。
今塗った口紅で艶やかに光っている。
あんなキス…された事がなかった…
私はジョシュ以外にキスされたことはないから、妹にするキスと恋人へするキスの違いが分からない。
でも…さっきのキスは何だか兄から妹へのキスじゃなかった気がする。
さっきのキスを思い出して、また胸がドキドキしてきて軽く息を吐き出した。
そして思い切り深呼吸をするとトイレから出る。
普通にしなくちゃ…
せっかく久々に会えて一緒にいるのに、ぎこちなくなるのは嫌だもの…
そう決心して席へと戻ろうとした時、いきなり腕を掴まれて驚いた。
「じゃないか!」
「え?」
ギョっとして振り向くと、そこには大学で一緒のミックが笑顔で立っていた。
「あ…っ」
「どうしたの?今日は…用事があるとか言ってたけど…ここに来てたんだ」
「あ、あの…」
そうだ…今日はミックに映画に行こうと誘われて、用事があるからと断ったんだった。
「そ、そうなの…えっと…」
「もしかして…アレクと?」
「え?!」
「だって、ここアレクもよく来てる店だろ?」
「そ、そうなの…?し、知らないわ・…?それに私は今日は…」
私はミックに掴まれた手が嫌で何とか離そうとしながらも、ジョシュの事を言おうとした、その時―
「?何して…」
とジョシュの声が聞こえて私は慌てて振り向いた――
俺はの様子が少しおかしいのが気になっていた。
何だか、ぎこちない感じがする。
さっき…キスしたのを気にしてるのだろうか…
自分で思わず苦笑する。
があまりに寂しそうに体を寄せてくるから思わず抱きしめてしまった。
抱きしめた途端、愛しさで、いっぱいになって、つい、"ずっと一緒にいたい"と言ってしまった。
そして、いつものように軽いキスをしようとしたのに…体が勝手に…と言うとこだろうか。
あのまま深く口づけて自分の想いを言いたくなった。
の手に力が入ったのを感じて慌てて離してしまったんだけど…
その後は、もう何を言ったらいいのか分からなくて誤魔化す為に変な事を言ってしまった。
だって、あまりにの顔が真っ赤だったから・…
何だか恥ずかしそうな顔をして俯くのが可愛くて、また抱きしめてしまったけど、
は嫌がる風でもなく体を僕に任せてきた。
あの時…もしかしては僕の事を男として見てるのかと感じたんだ。
それからも僕がの体に触れるたびにドキっとした顔をして目を反らす仕草が、何だか嫌がってるのではなく照れているように見えたから…
そんな事を考えると胸がドキドキしてくる。
まさか…と思ったが、さっきだって慌ててトイレに行くとか言い出したし、薄暗いからよく分からなかったけど顔が赤くなってたんじゃないかと思った。
も…意識してると言う事なのかな…
それなら…嬉しいんだけど。
兄として見られてるより、男として意識してくれた方が、ずっといい。
それにしても、遅いな…
どうしたんだろう…
そんなに、まだ飲んではいないから酔っ払ったという事はないだろうけど…
僕は心配になって様子を見に行こうと入り口の方へと歩いて行った。
そこにの後姿が見えてきて、僕はホっとして声をかけた。
「?何して…」
そこで言葉が途切れた。
は一人じゃなく誰か知らない男と話していた。
しかも手を掴まれて……
「あ…ジョシュ…」
「何…してんだ?」
僕は少し動揺しながらも、の方へと歩いて行った。
「あ、あの…大学の…」
「え?ああ、大学の知り合い?」
そう言っての手を掴んだまま驚いた顔で僕の方を見てる、その男を少し睨みつけた。
すると、その男はの方を見て、「…彼は…誰?」 と問い掛けている。
「え?あ、あの…」
「まさか…恋人…とか…?」
「え?!」
僕はそいつの、その態度で、この男、に気があるんだと悟った。
そしては、それを嫌がっている。
その男は何だか嫉妬の目で僕を見ている気がした。
「あ、えっと…あの…そう…なの…。私の恋人なの…っ」
「え…っ?」
僕はの返事に少し驚いてしまった。
するとが僕を見上げて何やら目で合図をしている。
そこで僕はの考えが分かって心の中で苦笑した。
(恋人のふりをして…って言ってるんだ…)
僕は少し照れくさかったが、の肩を抱き寄せて、「どうも…がお世話になってるようで」 と、その男から引き離した。
その男は少し、ムっとした顔で僕を見て、
「え…いえ…。 ―でも…確か恋人はいないって言ってただろ?ついこの前の事だよ?」
「そ、それは…」
も嘘は苦手な子だ。
そう突っ込まれると困った顔で僕を見上げてくる。
「もしかして…お兄さんじゃないの?誰かから聞いたけど…仲のいい兄貴がいるって聞いたよ?」
「え?!」
その男は疑うような目でを問い詰めた。
「そ、それは…違うわ?彼は恋人なの。前はいないって嘘を言っただけよ…っ」
その男が、あまりに疑うので、もムキになっている。
「何で、そんな嘘つくのさ…?」
「だから…」
はそう言われて本当に困ってる様子だ。
僕は仕方なくの肩を抱いて彼女の唇に、チュっとキスをした。
その男は、「ああ…っ!」 と言って驚いた声を出したので、僕は唇をすぐ離そうとした。
その時―
の方から僕に唇をつけてきて、今度は僕が驚いた。
あまりにびっくりして目を開けると、はギュっと目を瞑って唇を押し付けている。
顔が真っ赤なのが分かって、僕は、どうしようかと思ったが、
ここで驚いて離したら、そこでバカみたいに口を開けている男に疑われてしまう。
僕はまた目を瞑るとの腰を抱き寄せた。
そして可愛く押し付けてくるの唇を少し離すと今度は僕の方から優しく口づける。
胸にしがみ付いていたの手がピクっと動いたのが分かったが、それでも唇を離す事はなく、少しづつキスを深くしていった。
「…ん…っ」
の手が僕の服をギュっと掴んだのが分かる。
このままだとお芝居だと言う事を忘れそうになるな、と、僕はそこでゆっくりの唇を解放した。
「…大丈夫?」
は何だかぽわんとした顔で僕を見つめていてドキっとしたが体を離して頭を撫でた。
そして、目の前で唖然とした顔のまま突っ立ている男を見ると、そいつは何だか凄い怖い顔で僕を睨んでいる。
そんなのはお構いなしに、「これで分かったろ?俺とが恋人同士だって。分かったら二度とに近づくな」 と言った。
その男は少しだけひるんだ顔で後ずさると、「わ、分かったよ…。 何だよ…恋人いないって言ったのに…」 と
ぶつくさ言いながら席の方へと戻った様子だ。
それを確認してから軽く息をつくと、俯いたままのの顔を覗き込む。
「、変な奴に付きまとわれてるなら何で俺に言わな―」
と言いかけた時、が僕の腕に、しがみ付いてきた。
「?どうしたの?」
「……な、何でもない…あの…ありがとう、合わせてくれて…」
「そ…れはいいけど…。、大丈夫?さっきの…気にしてるのか?」
「え…?!」
「あ、いや…だから…さ…。いくら、お芝居とはいえ…その…」
ほんとにお芝居のつもりだったのだが、何だか僕まで照れくさくなってきた。
するとが真っ赤な顔で僕を見上げて来て、
「ううん…だって…私からしちゃったから…私こそ、ごめんなさい…」
はそう言うと、本当に恥ずかしそうに俯いてしまって僕の方が恥ずかしくなった。
「あ…いや別に謝らなくても…それより席に戻ろう?周りの人も見てるしさ…」
「え?あ…やだ…ほんとだ」
気付くと回りで陽気に踊っていたスペイン人数人が、こっちを見てニヤニヤしながらも口笛を吹いてくる。
「ピュ〜!お熱いね!お二人さん!」
「二人に愛の女神がおりますように!幸せにな!」
ラテン語でそんな事を言いながら僕の肩をポンポンと叩いてくる。
僕は苦笑しながら軽く手をあげるも、本当に恥ずかしくなってしまった。
にいたっては茹蛸のように真っ赤でずっと俯いたままだ。
そう言えば、も少しはラテン語が分かるんだったっけ…
そりゃ恥ずかしいだろうな、まさか兄貴の僕と、"幸せにな"とか言われても…
僕とが席へ戻っても暫くは、そのスペイン人達に、からかわれた。
ほんとにスペインの人は陽気だわ…とも苦笑している。
僕はそれでも彼らが言ってくれた、"二人に愛の女神が降りますように…"という言葉が本当に、そうなればいいのに…と思っていた―
「、シャワー入る?」
「うん」
私はベランダから部屋の中に戻って、すぐにバスルームに行った。
中からジョシュが髪を拭きながら出てきて私の頭にポンと手を置く。
「酔いは冷めた?」
「まだ…少しふわふわするけど…」
「大丈夫?バスルームで倒れるなよ?」
「そうなったらジョシュが助けてくれるでしょ?」
「え?!」
「助けてくれないの?」
私は明らかに驚いているジョシュの顔を覗き込んだ。
さっきは照れくさいのを隠すのに、かなりカクテルを飲んでしまって、
まだ、だいぶ酔ってるので少しよろけたが、それをジョシュが抱きとめてくれて私を見た。
「ほら、危ない…。―助けるって…そりゃ助けるけどさ…。中で倒れられたら俺に裸見られちゃうよ?それでもいいわけ?」
ジョシュがちょっとイジワルな顔で笑っている。
私はそう言われて、ボっと顔から火が出たんじゃないかと思うくらい熱くなった。
(そ、それを忘れてた…)
私は少し俯いて、「それは…困る…」 と呟いた。
ジョシュはその言葉に噴き出すと、「だろ?だったら、お湯を少し温くして逆上せないようにして入ること!」と私の頬に軽くキスをした。
「は〜い…」
私はそう返事をして中へと入ると思い切り息を吐き出した。
「はぁぁ…バカなこと言っちゃった…」
すぐに服を脱ぐと、お湯を出して温度を調節した。
「これくらい温ければ大丈夫かな…」
普段よりだいぶ温くして私はシャワーを浴びながら、まだふわふわする体を何とか支えた。
ほんと、飲みすぎてしまった。
ただでさえ意識をしてしまって、ぎこちないのに、あんな風に人前でキスまでしちゃったから…
しかも恋人のふりでのキスだから、いつもの軽いキスとは全く違う…
キスされてる時は頭の中が真っ白になって何も考えられなかったけど、
後から、ジョシュって、恋人には、あんな風にキスするんだ…なんて思っちゃって更に胸がドキドキしてきた。
少しだけ強引な求めるように熱いキス…
ディープでこそなかったけど(当たり前だ!)本当に恋人にされてる気がしてクラっときちゃった…
それで言ったら本当にファーストキスのような感覚だ。
ただ…公園でされたキスと少し似ていたような気がしてまたドキっとしたんだけど…。
ジョシュは…私のこと、どう思ってるんだろう…
そんな事を、こうやって改めて考えた事はなかった気がする…
確かに大事にされてるし可愛がられてもいる。
それは分かってるのよ…?
でも…その優しさや愛情が、どんな形なのかが今日、凄く気になった。
本気で知りたいって思った。
今夜…聞いてみようか…?
酔いに任せて少しくらい大胆な事を聞いても…後で忘れたふりだって出来るし…
私はそんな事を思いながらシャワーを止めた。
もう出よう…いくら温くても、そろそろ頭がぐるんぐるんしてきた。
こんなんじゃ本当に倒れちゃうわ…
私はバスタオルで簡単に体を拭くとバスローブに着替えた。
濡れた髪をバスタオルで勢いよく拭いていると、頭が揺れて一瞬くらりとする。
いけない…と思った時は、すでに天井が回って見えていて私は、その場に倒れてしまった。
ガタガタンっと音がして、洗面台の横にあったドライヤーが私の手に辺り、下に落ちた。
すぐに右ひじや腰に痛みが走り私は顔をしかめた。
「あいたぁ…」
私は肘をさすりながら、その場に座り込んでいると、いきなりドアをノックする音が聞こえてビクっとなる。
ドンドンドン!
「?!大丈夫か?おい!」
「ジョシュ?大丈夫よ?」
「どうした?開けてもいい?!」
「う、うん…」
私は肘と一緒に打った右の腰をさすりながら何とか立とうとした時、勢いよくドアが開いてジョシュが飛び込んで来た。
「!どうした?」
「あ、あの…ちょっと転んだだけよ?」
ジョシュのあまりの勢いで私は少し驚きながら、そう言うも急に抱き上げられて、また驚いた。
「キャ…ジョ、ジョシュ?!」
「まだ酔ってふらついたんだろ?全く…」
ジョシュが少し怖い顔で、でも心配そうに私の顔を見た。
「ご、ごめんなさい…」
「もう…今夜は、このまま寝ること!分かった?」
ジョシュはそう言って私をベッドルームへと運んで行った。
「え?!や、やだ…私、まだ眠くないし…」
「ダ〜メ。アルコールもそうだけど…逆上せたんだろ?少し横にならないと」
ジョシュはそう言いながら私をベッドへと寝かせる。
「やだ…まだ10時よ?もう少し起きてる…」
私が体を起こそうとすると頭がクラっときた。
「ほら、まだふらふらしてる…横になってないとダメだよ…」
ジョシュは私の肩を掴んで、そっと横たわらせる。
私は少し悲しくなって、ジョシュの腕をグイっと引っ張った。
「やだって言ってるのに…っ」
「うわ…っ」
私が引っ張ったせいで、ジョシュが私の上に倒れこんできてその重みで潰されてしまった。
「ぃたた…っ」
「大丈夫か?全く…危ないだろ?」
ジョシュは少し呆れた顔で私の顔の横に手をつくと私を上から見下ろして苦笑している。
私は何だか凄く悲しくなって顔を反らした。
「だって…ジョシュが寝ろ寝ろって言うから…」
「…それは具合が悪そうだから…」
「大丈夫って言ったじゃない…っ」
私が少しきつく言うと、ジョシュは困惑したような顔で私を見つめている。
「どう…した?何だか今日はおかしいよ?そんな事で怒った事なんかないだろ?」
ジョシュは優しい顔に戻りベッドの端へ腰をかけると私の頬を撫でてくる。
私は何だか涙が浮かんできてギュっと目を瞑った。
「…泣いてる…の…?」
ジョシュは少し驚いたように頬を撫でる手を止めた。
私は涙がどんどん溢れてきて手で目をこすりながら横を向くと、
「だっ…て…。明日…には…また…ジョシュと…会えなくなるから…今夜はまだ一緒に起きていたいんだもん…」
「え…?」
「なのに…ジョシュ…は…」
私はそこまで言うと言葉が詰まってしまった。
するとジョシュが私の腕を引っ張って起き上がらせると思い切り抱きしめてきた。
「ジョ…シュ…?」
「……ごめん」
「え?」
「ちょっと心配なだけだったんだ…俺だって今夜はとずっと起きていたいよ?なのに、ったら酔っ払うからさ…」
ジョシュに、そう言われて私は顔が赤くなってしまった。
(だ、だって…酔わないと、さっきは本当に恥ずかしくて、まともにジョシュの顔さえ見れなかったんだもの…)
そう言いたいけど言えるわけがない。
するとジョシュがそっと体を離して、私の顔を覗き込んだ。
その時、また私の瞳から涙がポロっと零れた。
「…泣かないで・…?」
そう言うとジョシュは私の瞳から零れる涙を唇で掬ってくれた。
そして額と頬にも軽くキスをしてくれる。
「あ、あのジョシュ…私―」
そう言いかけると、ジョシュはそっと唇にキスをしてきて私の言葉が途切れる。
私はドキっとしてジョシュの腕をギュっと掴むと、ジョシュは一瞬、唇を離して私を見た。
凄く優しい瞳で愛しいとでも言うように…
そのジョシュの瞳を見ていると吸い込まれそうになってアルコールのせいでもあるのか気が遠くなるくらいに体がふわふわとするのを感じた。
ジョシュは、もう一度優しく唇を合わせてきて私は思わず目を閉じてしまった。
するとジョシュが私の体を少し抱き寄せて私の首の後ろに手を回すと私の顎が上に少しだけ向いてドキっとする。
私の顔に覆い被さるようにしてジョシュはキスを深めてきた。
「……んっ…ジョ…シュ」
いつもしてくれる触れるだけのキスじゃなく、さっき恋人のふりでしてくれた求めるような熱いキス…
胸がドキドキしてきて何とか声を出そうとするも、ジョシュは、そのまま私の体をベッドへと静かに横たわらせる。
私の頬に手を添えながら、片方の手で優しく頭を撫でてくれているのが分かった。
ふと唇が離れたかと思うと、またすぐに熱い唇で塞がれて声が出せない。
私は体の力が抜けていくのを感じて、このままジョシュの腕の中で熔けてしまいそうになった――
僕はにキスをしながら、もうこの辺でやめないとヤバイな…と思っていた。
ただでさえ、さっき恋人のふりでしてしまったキスから気持ちが溢れそうになって今夜は自分の気持ちを抑えられるか不安だった。
それに…の"今夜は一緒に…"という言葉が嬉しくてドキっとした。
そこに、あの涙…
あれで思わずキスしてしまった。
さっきのキスで気分が高まってたのもあるだろう。
が目を閉じた時に堪らなくなり深く口づけてしまった。
それでも、今こうして今までにした事もないキスをしてると妹なんだという事を忘れそうになる。
もともと妹としては見てないから尚更だ。
も少しは抵抗してくれればいいのに黙って僕のされるまま、たまに服をギュっと掴むだけ…
そうなると僕も男だし、やっぱりこうして長くキスをしてるとまずい気持ちになる…
つい恋人にするようにの唇を軽く舐めてしまった。
は驚いたように口をかすかに開けたとこに舌を入れそうになって危うく理性を働かせた。
長いキスをそこで終らせようと、そっと唇を離して最後に軽くチュっとキスをするともゆっくり目を開けた。
は何だかトロンとした顔で僕を見るもんだから、ドキっとしてまたキスしちゃいそうにいなるのを何とか堪えるのが大変だ。
「…大丈夫?眠くなっちゃった?」
あんなキスをした後に、聞くようなことじゃないんだけど…と思いつつ、そっとの頬を撫でる。
は瞳を潤ませて僕を見るもんだから、またやましい気持ちになりそうで視線を泳がせた。
「ジョシュ…?」
「……ん?」
は僕の名前を呼ぶと僕の首に腕を回して抱きついてきた。
「うわ…っ ど、どうした?」
は何も答えないまま僕をぐいっと抱き寄せるもんだから僕の上半身がの上に乗っかってしまった。
ベッドの端に腰をかけているので起き上がろうにも首にまわった腕の力で力が入らない。
「ちょ…どうしたの??」
僕の体重でが苦しくならないように腕で何とか自分の体を支えるも、は一向に離してくれる様子もない。
「…?あの…ごめん、俺が…」
さっきのキスの事を謝ろうとしたとき、が口を開いた。
「ジョシュ…?」
「…え…な、なに?」
その呼びかけにドキっとして聞き返した。
怒ってるわけじゃ…ないよな?
そんな事を考えていると、の小さな、でもはっきりとした言葉が聞こえた。
「……私のこと…どう思ってるの…?」
「え―?」
の質問に一瞬、胸がドクンっと大きくなった。
「どう…思ってるって……それは…」
「妹としてしか…見てないの?」
「……?!」
今度はさっきより心臓がドキっとして僕は頭の中が真っ白になりそうだ。
その時、がやっと首に回してた腕を放した。
僕は少し体を起こすと、涙を浮かべたと目が合う。
「…?…泣いてるの?」
「…教えて?私のこと…どう思ってる?」
僕がの涙を指で拭おうと手を伸ばしかけた時、もう一度が聞いてきた。
「…」
僕は、この時、二人の気持ちが同じだということを知った―
まさか…と一瞬、驚いたが、の口調からすると…
だけど…何て…答えたらいいんだろう?
正直に…伝えた方がいいんだろうか?
今、もし自分の気持ちを伝えてしまったら…セーブするものが何もなくなってしまう…
いや…ダメだ。
やっぱり彼女が二十歳になったら…と前から決めていたんだ…
今はまだ――
僕は少し考えるとの涙を唇で掬って、そっと額にキスをした。
「それは…が二十歳になった時に…答えるよ…」
「え…?」
が少し驚いた顔で僕を見た。
「今度の年末の休みに、ミネアポリスに帰った時…、誕生日だろ?」
「あ…」
「その時に言うよ…」
僕はそう言うと、の頬に軽くキスをした。
は、くすぐったいような顔で少し微笑むと、「…分かった…」 と呟いて僕の手を握る。
「今日は…朝まで一緒に起きてていい…?」
「ああ…いいよ?」
僕はに、そう言うと唇に軽くキスをした。
何だか僕は胸が温かくなって、そのままの隣へと寝転がると腕枕をして、
「じゃあ、朝まで話をしようか?」 と言うと、「うん」 とも笑顔で頷く。
僕はの方へと体を向けて、彼女の長い髪を指で解かしながら、そっと自分の唇につけた。
それにはも恥ずかしそうに目を伏せる。
そんな彼女を、また愛しいと思った。
それだけで胸が熱くなる。
この夜…僕とは……何も言わなくても心が通じていたように思う。
が二十歳になったら…僕は彼女に自分の気持ちを伝えて、両親にも打ち明けようと思っていた。 そして――
今はまだ…もう少し、兄と妹でいよう…?
もう…寂しくはないから。
そう思いながら、の額にそっと口づけた――
Postscript
うっきゃ!久々の更新…
ああ・・・ごめんなさ・…(土下座)
最後の告白か?というネタをあれこれ考えていてなかなか書き出せませんでした…
気分がのらないと、ほんとダメでしょうし…大事な場面だし…
なのに、この結果…ノックアウトです(汗)
本日も皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて...
【C-MOON...管理人:HANAZO】