Very quiet night Sweethearts
The voice about which it whispers is heard.
Loneliness is felt. Why is the night which cannot meet?
There is much rain. So that a dream does not appear, either It
sleeps calmly....
―とても静かな夜は 恋人達が
囁く声を聞いて 孤独を感じて
逢えない夜はなぜか 雨が多くて
夢も浮かばないほど 静かに眠るよ…
2000年10月…と会えなくなってから、半年以上、二度目の冬が来る…
「お疲れさん!今回はハードだったな?」
マネージャーのロイが、そう言いながら僕の肩をポンっと叩いた。
「あの爆撃のシーンはキツイよ…。ベンなんて吹っ飛んでたぞ?」
「まあスタッフ皆、擦り傷だらけだったな?」
「に電話口で泣かれちゃって大変だったよ…。怪我したってニュースで見たとかで…」
僕は苦笑しながらソファーに座り、煙草に火をつけた。
「そりゃ心配するだろうなぁ…。一応、病院に運ばれたって出たんだから」
ロイは呑気に笑いながらスケジュール表を見ている。
「ま、でも今度の撮影はニューヨークでも行われるし会えるからいいじゃないか」
そう言ってロイは向かいのソファーに座るとニヤリと笑った。
―彼にはとの事は報告済みだからだろう。
ロイの言葉に、僕もつい笑顔が零れる。
「まぁね…。やっと会えるよ…。この半年、電話とメールだけだったからさ」
僕はそう言って煙草の煙を吐き出すとコーヒーを一口飲んだ。
窓の外を見れば、夜だというのに、ほんのりと明るい空が見える。
今は映画のロケでハワイ島に来ていた。
と言っても、すでにクランクアップしていて、後は帰るだけだ。
「ちゃんには連絡したのか?」
「ああ、夕べ…。撮影が終わったって報告と…無事に怪我もないって事と…今度はニューヨークで仕事って事もね」
「喜んでただろう?」
「まぁね」
「何が、"まぁね"だ。そのニヤケた顔をファンに見せてやりたいよ」
ロイはそう言って肩を竦めると大げさに溜息をついた。
そんな彼を見て、つい噴出してしまう。
「でも…今度の映画の内容、ちゃんは知ってるのか?」
「ああ…そのこと。まだ…言ってないけど…?」
"その"話をされて一瞬、僕も気が重くなる。
「まぁ…仕事なんだから割り切れ。お前だって新しいことしたいからOKしたんだろ?」
「そうだけどさ…。よく考えてみると…は俺の作品は全て見たがるから…後からヤバイかも…ってさ」
僕は苦笑しながら煙草を灰皿に押しつぶすとソファーに凭れて息をついた。
「ま、ちょっとちゃんには過激かもなぁ?20歳とはいえ、お前の妹ぎみは純情少女だからな?」
「もうすぐ21になるよ?ま、それでも…そうだな。には、ちょっと過激か…」
ちょっと笑いながらソファーに寝転がると、ロイがニヤニヤしながら、僕の方を見た。
「それに…」
「え?」
「まだ、お前は手を出してないんだろ?彼女に」
「な…っ何が?!」
ロイの言葉にドキっとして体を起こすと、彼は何だか楽しそうに笑っている。
「やっぱりなぁ〜。どうせ、お前の事だから両親に話して了解をとってからとか何とか思ってんだろ?」
「う、うるさいな…っ。別にいいだろ?!そんな互いに気持ちが同じでも気付くまでは、ずっと妹として接してきてたんだ。
急に、そんな手なんて出せるかよ…っ」
僕は顔が赤くなりつつ、ロイを睨む。
「アハハ!お前はほんと、クソ真面目だな?俺だったら我慢出来ないけど」
「バカなこと言ってんなよ…」
僕は呆れつつ、またソファーに寝転がった。
するとロイは身を乗り出して、「じゃあ、今度の作品、お前、地でやれそうだな?禁欲生活っての」なんて言ってケラケラと笑っている。
そんなロイを見て、僕は殴ろうかなと思った(!)
「うるさいよ!別に俺は禁欲してるわけじゃないっ。時期を待ってるだけだろ?」
「はいはい。そういう事にしておいてやるよ」
ロイは、そんな事を言ってソファーから立ち上がると「じゃ、明日の飛行機は朝の10時発だからな?寝坊するなよ?」と言って部屋を出て行った。
「はぁ…ったく、ろくでもない…」
僕は、そう呟くと体を起こしてコーヒーを飲んだ。
何が禁欲生活だよ…
人事だと思って楽しんでるな?ロイの奴…
僕はイライラしつつ、目を瞑った。
やっと10月になり、また一つが卒業する年が近づいた気がする。
あと一年半…それまでに僕は二人で住む準備をしようと思っていた。
ミネソタに家を買い、すぐに住めるようにしておきたい。
必ず…両親を説得してみせる。
僕はそう思いながらも、まだ心のどこかで不安な気持ちが残っていた…
From that time to having been audible
It was crying without becoming voice. love etc.
language very much being uncertain
The degree figure which is not found and to look for is not shown...
―あの頃から聞こえていたの
声にならずに泣いていたのね
愛なんて言葉はとてもあやふやだね
見つけられない…探すほど姿をみせない…
2000年11月末…NY。
私は学校の帰り、ソーホーに来て一人カフェで紅茶を飲んでいた。
アリーは提出するはずだったレポートを忘れて居残りで書いている。
なので約束していたショッピングに行けなくなったのだ。
かと言って真っ直ぐ寮に帰る気もせず、一人で出かけてきた。
「はあ…店内も寒いなぁ…」
そんな事を呟きながら冷たくなった指先を頬に当てた。
すっかり風が冷たくなって、また冬が来るのだと思わせる。
この前、冬が終ったと思ったら、またすぐに寒くなって…
何だか、この半年とちょっと、随分と早かった気がする。
その間、ジョシュは映画の撮影の為、軍に入り役作りをして、その後すぐにハワイへと行った。
それを電話やメールで連絡をとりながら聞いていたけど、いつも心配だった。
撮影中に怪我をしたなんて聞いた時は心臓が止まりそうになった。
でも…その生活も、もう直ぐ終る。
今度の撮影はニューヨークでやると聞いて私は飛び上がって喜んだ。
ニューヨークでやってくれるなら、しょっちゅうとは言わないまでも、今までよりは会えるし、同じ場所にいるということで安心もする。
それに、その後、卒業までの間、頑張れる気がした。
「ジョシュ…早く会いたい…」
どんよりとした空を見上げつつ、私は通りを急ぎ足で歩いて行く人の流れに視線を戻した。
「はぁ…サッサと買い物済ませて帰ろう…暗くなっちゃう…」
そう呟いて席を立ち、会計を済ませて外へと出た。
途端に冷たい風が頬にあたり、思わず首をすぼめる。
「寒い…」
私は顔を顰めつつ、ワシントンスクエアの方へと歩き出した。
すると仲の良さげな恋人同士達が何組も擦れ違っていく。
それを見ていると凄く羨ましい気分になった。
いいなぁ…一緒にいれて。
あんなに寄り添えるなら寒くもないわね…
私もジョシュに温めてもらいたいな…。
なんて考えながら、それでも、まだちゃんとした恋人同士じゃない事を寂しく思う。
アリーにも、"え?まだなの?そんな風に見えなかったのにっ"なんて驚かれた。
だって…ジョシュは両親に話して認めてもらってからなんて言うし、それに会えないし…。
でも私は…怖いのもあるけど最近では確かなものが欲しいと思うようになった。
会えないから余計に不安に思うのもある。
前なら傍にいれるだけで幸せ…なんて思ってたのに、今は普通の恋人同士がするように、ジョシュに愛されたいと思うようになった。
これって欲張りになったってことかな…。
そんな事を考えながら歩いていると前からアレクが歩いて来るのが見えた。
「あ、アレク!」
「あれ??」
アレクは驚いた顔で私の方に走って来た。
「何してんの?一人?」
「うん。ちょっと買い物に。アレクは?」
「俺はバイトの帰り。今日は早く終ったからブラブラしてた」
そう言って私の隣を歩き出した。
アレクは寒そうに首をすぼめて吹いて来た風に顔を顰めると、「あ〜ほんと寒いな…。雪でも降りそう…」と呟いている。
私も空を見上げて、「ほんとねぇ…すぐ冬だわ、きっと」と言って息を吐いた、
その息も白く煙って風に流されてしまう。
「そう言えば…アリーは卒業してもニューヨークに残るって言ってたけど…はどうするの?」
「私…?私は…ミネソタに帰るわ?やりたい事とか見付からないし…」
「そうなんだ。じゃあ…結婚…とか?」
「え?!」
突然、アレクに、そんな事を言われてドキっとして顔をあげた。
「け、結婚って…」
「あれ?違うの?アリーが、そんなような事を言ってたから、俺はてっきり地元に戻って結婚するのかと思ってさ?」
ア、アリーったら…!
何で、そんな話をアレクにするのよ〜〜…
私は顔が赤くなりつつ、俯いていると、アレクがクスクス笑い出した。
「さ、凄い好きな人がいるんだって?」
「え…?!ど、どうして…?」
「アリーがさ、は結婚するかも…なんて言ってた時に、そんな事を話してたから…。
"には昔から凄く好きな人がいて、その人と上手く行ったみたいなの"ってね」
「あ、あの…そう…ね…」
私は曖昧に答えながら、相手はジョシュだとまでは話してないんだと、ホっとした。
例え血が繋がっていなくても世間一般から見れば、兄妹で愛し合ってるなんて言えば、好奇の目で見られるだろう。
「、そんなに好きな人がいたなんて知らなかったよ。地元の人?」
アレクは不思議そうな顔をしながら私を見ている。
「う、うん…。そう…かな?」
私は何となく視線を外してしまった。
だがアレクは別に気にも止めなかったようで、「そっかぁ、だからミックの誘いにも乗らなかったんだ」なんて言って笑っている。
私はミックの名前を聞いて顔を顰めた。
「ち、違うわ?別に好きな人がいなくたって、あの人は…ちょっと無理…」
「あ、やっぱり?!」
私の言葉にアレクは楽しげに笑うと、「あ、俺、こっちだからさ。また明日ね?」と言って立ち止まった。
「あ。うん。明日はレポート提出よ?忘れないでね?」
「OK!これから帰ってやっちゃうよ。じゃ、気をつけて帰れよ?」
「うん。じゃね」
そう言って手を振るとアレクも軽く手を上げて走って行ってしまった。
私もちょっと息をつくと、また、ゆっくりと歩き出す。
「はぁ…結婚…か…」
そんな…結婚なんて出来るんだろうか…
まだ両親に話してもいないと言うのに、結婚の事など考えられるはずもない。
只でさえ、驚かせてしまうだろうし、その上、結婚なんて話になれば、きっと母なんかは倒れてしまいそうだ。
「これって…親不孝なのかな…」
私はちょっと心配になって気持ちが沈んでいくのを感じていた。
「どうして…?どうして行っちゃダメなの…?」
が悲しげな顔で僕を見上げてくる。
彼女の、その目に弱い僕としては、つい"じゃあ、来ていいよ…"なんて言ってしまいそうになった。
ダメ、ダメ…。今回だけはどうしても…。
「それは…さ…」
僕は困って少し身を乗り出すとテーブルの上に置いたままの煙草を手にとり、火をつけた。
ニューヨークに仕事に来て約二ヶ月…撮影は順調で何の問題もなく終盤を迎えようとしている。
も学校が休みの日には、こうして僕の泊るホテルへとやってくる。
今夜も撮影が早く終り、僕は速攻で帰って来た。
今夜は、と、ゆっくり二人だけで過ごせると思って楽しみに戻って来たんだけど…
…問題が一つ…。
僕はに今度の映画で自分が、どんな役という事はおろか、内容すらも教えていなかった。
だから、もちろん撮影現場にさえ、呼んではいない。
最初は短い期間での撮影だから忙しくて、見学にきてもかまってやれないから…と言い訳して逃れてきたが、やはり、それも、そろそろ限界…。
はだんだん不安になってきたのか、今度の映画の事を色々と聞いてくるようになった。
そして、かまってくれなくてもいいから見学に行きたいと言い出したのだ。
まあ、が不安に思うのも仕方のない事だ。
だいたい僕は今まで自分の出演する作品の事を、こうまでに隠した事はなかった。
いつも出演が決まると、彼女には、こんな内容で自分の役はこういう役だと教えてきた。
それに遊びに来れるくらいの距離で撮影をしていれば、必ず一度はを撮影現場に連れて行っていたのだ。
それなのに今回は、全く内容も役どころも教えず、こうしての住むニューヨークで撮影しているにも関わらず、
連れて行かないというのだから、が心配するのも無理はないだろう。
だけど僕は今回の映画は自分で決めたとは言え、には見せたくない映画だし、もちろん内容すら知られたくないなんて思ってしまった。
困ったな…
、本気で何だか怪しんでるし…不安そうだ…。
を不安になんてしたくないんだけど…
隣で僕の腕を掴み、答えを待っているを見て胸が痛んだ。
煙草を吸ってるフリをして頭の中で、あれこれ言い訳を考えたが焦っているからか何も思い浮かばない。
その時、が掴んでいた僕の腕を、そっと離した。
「…ジョシュ…?」
「…ん?」
「この前…今回の映画には沢山、女優さんが出るって言ってたよね…?」
「あ、ああ…。まあ…そう…だね…?」
僕は何とか笑顔を作ってを見た。
だが彼女は眉尻を、フニャっと下げたまま、「もしかして…誰か好きな人でも…出来たの…?」と、とんでもない事を言い出し、ギョっとした。
「え?!な、何言って…っ。そんなハズないだろ?!」
僕は慌てて煙草を消して、を抱き寄せた。
すると、かすかに体が震えているのが伝わってくる。
「…?泣いてるの…?」
僕が心配になっての顔を覗き込むと、彼女は小さく首を振る。
それを感じて、僕はちょっと息をついた。
「…どうして、そんなこと言うんだ…?俺が好きなのはだけだよ…?」
「だって…今まで、そんな風に自分の作品について、隠した事ないじゃない…。私にも自分から撮影見においでって言ってくれてたもん…
でも今回に限ってダメなんて言うから…他に好きな人が出来て私と会わせたくないのかなって思って…
私みたいな子供の相手は疲れたんじゃない…?やっぱりジョシュには大人の女性が…」
「ちょ、ちょっと…っ。何言ってんだよ…?そんな事あるわけないだろ?」
僕が慌てての顔を見つめて、そう言った。
は瞳を潤ませながらも泣くのを我慢しているといった表情で僕を見上げる。
そんな顔を見てしまったら愛しさでいっぱいになってしまう。
「は…俺にとって子供でも妹でもない…。たった一人しかいない…大切な女の子だよ…?」
「…ほんと…?」
「ほんと!俺が、どんなにの事を愛してると思ってるの?俺のこと…信じられない…?」
僕がの頬にキスをしながら、そう言うとは慌てて首を振った。
「じゃあ、そんな事は言わないで…。他の子なんて目に入らないんだから…」
「だって…不安なんだもん…」
「え…?」
「…今、撮ってる映画の話をしてくれないのも…撮影現場に連れて行ってくれないのも……全部、不安になっちゃって…」
「…どうして、そんな心配するんだ…?俺は別に…」
「だって…私とジョシュは、まだ本当の恋人同士じゃないし…」
「…へ?」
の突然のその言葉に僕は一瞬、意味が解からず、変な声を上げてしまった。
「本当の…恋人同士じゃないって…どういう意味…?まだ父さん達に話してないからってこと?」
僕がの顔を覗きこんでそう聞いても彼女は俯いたまま首を振るだけだ。
「じゃあ…どういう…」
「私とジョシュ…まだ…その…」
「え?何?」
は何だか口篭もってハッキリ言おうとしない。
僕は何だろう?と気になり、の顔を両手で優しく包むと、そっと上に向かせた。
は何だか顔がほんのりと赤くて、僕の方すら見ようとはしない。
そんな彼女に微笑んで、そっと額にキスをした。
「…何か…あるなら言って欲しいんだ…。を不安にさせておきたくない。どうしたの?何が不安?」
僕はそう言いながらの頭を優しく撫でた。
すると、はやっと僕の顔を見て、そしてまた少しだけ目を伏せる。
「あ、あの…ね…?」
「うん」
「私と…ジョシュは…まだ…」
「まだ…何?」
「……キ…」
「?…キ…?」
「…キス…だけしか…してないから…」
「……えっ?」
の消え入りそうな小さな声が僕の耳に届いた時、一瞬で言っている意味が解かり僕は顔が赤くなった。
彼女もまた言った事が恥ずかしかったのだろう。
耳まで真っ赤になって、更に下を向いてしまっている。
ど、どうすれば…
こんな話だと思わなかったよ…っ
こういう時…なんて答えればいいんだ…?!
僕は一人焦って変な汗が出て来るのを感じた。
だがをその事で不安にさせているなら、ちゃんと答えないといけないと思った。
僕はそっとを抱き寄せ、頭にキスしながら、「…顔…あげて?」と言った。
だがは首を振るばかりで僕を見ようとはしない。
その彼女の恥じらいに少しだけ笑顔になる。
僕はゆっくりと彼女の方に顔を近づけ、俯き加減の頬にチュっとキスをした。
するとその不意打ちに驚いたのか、が顔をあげる。
その瞬間、僕はの唇を塞いで強く抱きしめた。
「ん…ジョ…シュ……?」
僅かに離れる隙間からが驚いたような声を出すが、僕はその言葉さえも埋め尽くすように更に口付けを深くしていく。
「…ん…っ」
声が跳ね上がり、僕の胸元をぎゅぅっと掴んでくるが可愛くて、そのままソファーへと押し倒した。
いつも以上に深く甘いキスをしながら求めるようにそっと舌を絡ませると、の体がかすかに震えるのが解かる。
「…んぅ…」
やはり少し怖いのか、掴んでいた胸元をちょっとだけ押してきた。
そこで、ゆっくり唇を解放して、少しだけ赤く染まったの頬へも唇をつけた。
そのまま彼女の細い首筋へと下降して紅い跡を残すと、の体がビクっとなり僕が顔をあげると不安げな瞳と目が合う。
僕はちょっと微笑んで、「…愛してるよ…」と呟いた。
は恥ずかしそうに視線を伏せて困った顔をした。
「ジョシュ…私…」
「いいよ。解かってるから…。まだ…ちょっと怖いんだろ?」
僕がそう言っての額にそっと口付けると、「…ご、ごめんね…?自分から言ったクセに…」と泣きそうな声を出す。
そんな彼女が愛しくて、僕はもう一度、今度は頬に軽くキスをした。
「いいよ、そんなの。俺だって今、本気でを抱こうなんて思ってないから…」
「え…?」
「前にも言っただろ…?ちゃんと認めてもらえるまで…俺はに何もする気はないって…」
「う、うん…」
「それがを不安にさせてた…?」
「そ、そういうわけじゃ…。ただ…普通の恋人同士なら…当たり前のことなのに…私とジョシュはそうじゃなくて…
その事がちょっと…悲しくなっちゃっただけなの…」
「…」
「ずっと…会えなかったのもあるし…。それに…今回の映画の事は…あまり話してくれないからどんどん不安になっていっちゃって…
もしかしたら…ジョシュの気持ちが他にいっちゃったのかな?とか…そんなはずないのに一人で悪い方にばかり考えちゃって…ごめんなさい…」
はそう言いながら浮かんできた涙を小さな手で擦っている。
そんな彼女の仕草も可愛くて、僕は胸が温かくなるのが解かった。
そっと擦っている手を掴んで目から離すと、かすかに濡れている目尻に口付け、最後に唇にもチュっとキスをする。
「…ごめん。俺が…不安にさせてたんだよな…?別に、変な意味で今回の映画の事を隠してたわけじゃないんだ…」
「じゃあ…どうして…?」
その言葉に、僕は軽く息をつくと体を起こし、の腕を引っ張った。
そのまま優しく抱きしめ頭を撫でる。
「今度の…映画ってさ…」
「…ぅん…」
「ちょっと…には過激っていうか…」
「……?」
そこまで言うとの顔を覗き込んだ。
大きな瞳をクリクリさせて僕を見つめるの表情が凄く可愛い。
僕はちょっと笑顔になって鼻先にもチュっとキスをすると、がくすぐったいような顔をした。
そんな彼女を見つめると、僕は覚悟を決めて、「今度の映画…ジャンルで言うと…ラブコメ…って言うのかな…」と口を開いた。
「え?ジョシュが…ラブコメ…?」
も少し驚いたような顔で僕を見上げた。
「う〜ん…。それも…ちょっとさ…いやらしいって言うか…」
「…え?」
「だから…俺の役が…40日間…禁欲するって男の役なんだ…よ…」
の純粋で真っ直ぐな瞳を見ながら、こんな話をするのが妙に照れくさくて言葉も詰まってしまう。
チラっとを見れば、案の定、も少し頬を赤くした。
それでも、ここまで話したのだから、ちゃんと説明しなくちゃいけないと、僕は言葉を続ける。
「それで…エッチなシーンもあるし…。ちょっと…には過激すぎる…シーンや台詞があってさ…。だから見られたくないって言うか…。
それがあるから…もちろん撮影現場だって呼びたくないし…。内容すら…ほんとは知られたくなかったって言うか…」
「ど、どうして…?私、子供じゃ…」
「わ、解かってるよ?子ども扱いしたわけじゃない」
は顔が赤いながらも悲しげに、そう言うので僕も慌てて首を振った。
「その…は…さ…。純粋だし…あまり…俺がそんなシーンをしてるとこを見せたくないってのもあって…。でも…一番の理由はさ…」
「……な、何…?」
僕が言葉を切ると、は心配そうな顔をした。
そんな彼女をそっと抱き寄せると、
「には…俺が他の女とラブシーンやベッドシーンを撮ってる姿は…見られたくない…って思って…」
と言った。
すると腕の中でがモゾ…っと動いたので少しだけ体を離し、顔を見れば何だか悲しそうな表情をしながら僕を見ている。
「そんな…シーンがあるの…?」
「え?」
「ジョシュ…ベッドシーンなんて撮ったの…?」
「う、うん…ごめん…」
何で謝ってるのか解からないけど、の真っ直ぐな瞳を見つめていると、変な罪悪感が沸いてきて、つい口から出ていた。
別に本気で浮気して他の女を抱いたわけでもないのに…と自分でおかしくなったが、にしてみれば例え演技だろうと嫌なのかもしれない。
「あ、あの……?これは…仕事で…別にその…本当にベッドシーンを演じたと言うか…したわけじゃない…からさ…?」
が黙ってしまったので、僕はちょっと不安になり、何でか言い訳をしてしまった。
(こんな事を言ってると本当に僕が浮気して言い訳してるみたいじゃないか…っ)
「…?怒った…?」
もう一度、声をかけて、俯いてしまったの顔を覗き込む。
彼女の肩がかすかに震えていて泣いてるのか…?と心配になった時、不意にが顔をあげた。
「お、怒ってないよ…?」
「え?」
は、そう言ってクスクス笑っていて僕は一瞬、呆気にとられた。
「お仕事だもの…怒る訳ないでしょ?」
は、まだ少し笑いながら僕を見上げている。
「な、何で笑ってるの…?」
「だって…ジョシュ、悪い事してないのに本気で謝るから…。ちょっとおかしくなっちゃって…」
「…な…何だよ…っ。俺はが…」
の言葉に僕は顔が赤くなってしまった。
「ひどいな…本気で心配したのに…っ」
僕は恥ずかしくなってきて、ちょっと顔を反らすと、が抱きついて来た。
「ごめんね?そんな怒らないで…?」
「怒ってないけど…さ…」
赤い顔を見られたくなくて顔を反らしたままそう言うと、の手が僕の頬にそっと触れてドキっとした。
「…?」
「ほんとは…嫌だよ…?」
「え?」
その言葉に僕がの方を見ると不意にキスをされて驚いた。
はそのまま僕の首に腕を回して抱きついてくる。
「あ、あの…?どうした―」
「私は…ジョシュが演技でも…他の人とキスするのだって見たくないもの…。それ以上のシーンなんて嫌に決まってるでしょ…?」
「………」
の言葉に僕は胸が痛くなった。
「でも…お仕事だし…我慢しなくちゃ…」
はそう言うと、そっと体を離し、僕を見つめた。
僕はの頬に手を添えると、そっと唇に触れる程度のキスをした。
「ごめん…。今回の役はさ…。今までやった事がなかったから…一度やってみたかったって言うか…」
「うん、解かってる…」
その言葉が嬉しくて、僕はちょっと微笑んだ。
「ありがと…」
そう言って、もう一度キスをすると、も照れくさそうに微笑んだ。
「…もう撮影現場に行きたいなんて我がまま言わないから…」
「え?」
「だって…ジョシュが他の女の人と…そんなシーン撮ってるの…見たくない…」
は、そう言ってちょっと口を尖らせた。
その顔が凄く可愛くて、僕は顔が緩むのを感じた。
「俺も見られたくない…って気持ち解かった?」
「うん…。凄く解かった。ごめんね?」
「謝る事ないよ?俺が…もっと早く説明しておけば良かったんだから…。ちょっと…内容が内容で言いにくかったんだけど」
苦笑しながら、そう言うともクスクス笑っている。
「良かった!浮気じゃなくて」
「え〜?俺が浮気なんてすると思ってたの?」
そう言って、ちょっとスネて見せるとは首を振って僕の胸に顔を埋めた。
「思ってない…。ちょっと…不安だっただけ…」
「キスしかした事ないから?」
「……っっ」
僕が意地悪して言った言葉には真っ赤な顔で僕を見上げた。
「さ…さっき言った事は…忘れて…?」
「え〜?どうしようかな?」
笑いながら、そう言えばの頬がますます赤くなる。
「も、もう…っ。意地悪っ」
「アハハっ。ほんと可愛いんだからさ」
真っ赤になってしまったを抱きしめてまた押し倒すと、素早く唇を塞いで最初から深く口付ける。
最後に軽く唇を噛んでからそっと離すと、
「俺だって…かなり我慢してるんだから…あまり刺激するようなことは言わないように…っ」
と言って微笑んだ。
それにはは茹蛸みたいになってしまって、また僕の理性を崩れさせる。
「そんな顔すると、今ここで襲っちゃうよ?」
「…ジョ…っ」
は口をパクパクさせていたが、すぐにその唇を塞ぐとの言葉は僕の口の中へと消えて行った。
そのまま甘い響きに変わり、僕の耳を刺激してくる。
それを感じながら…早くを自分だけのものにしたいと…今の僕はそれだけを望んでいた。
2002年2月…日本
「ジョシュ、休養するってほんと?」
突然、オーランドが僕の隣に座って、そんな事を聞いて来た。
「ああ、ほんとだよ?ちょっと疲れちゃってさ…」
僕は苦笑交じりでバーボンを一口飲んだ。
「え〜もったいない!"ブラックホーク"も公開なったばっかりだってのにさ」
その"ブラックホーク"で共演したオーランドは、そう言いながら向かいに座ってビールを飲んでいるイライジャに声をかけた。
「ああ、ジョシュは、これから他のことで忙しくなるからね」
「えぇ〜何?何?何なの?」
オーランドは落ち着きなくイライジャの腕を引っ張っている。
それには僕も笑ってしまった。
今は映画のプロモーションの為に日本へ来ている。
そこで再会したのが、他の映画のプロモーションで来ていたイライジャと、オーランドだった。
同じ時期に日本へ来ていたため、約束をして夜に体が空いたとき六本木のクラブへと飲みに来た。
オーランドもブラックホークで共演してみて、かなり気のいい奴で人懐っこい性格だからか、すぐに仲良くなった。
前に共演したイライジャも、共演してからの仲だそうだ。
「でもさー。疲れたって何で?」
まだ気になるのかオーランドが僕の方を向いて聞いて来た。
僕はちょっと笑いながら煙草に火をつけると、
「ん〜。去年はさ…凄く慌ただしくて…年の初めには"ブラックホーク"の撮影でモロッコに行っただろ?」
「うん。そうだね」
「その後に、"パールハーバー"と"O"が公開されて…すっごい世界中を飛び回ったし…その前に撮影が終ってた作品もあって一気に4作品くらい公開になったから殺人的な忙しさでさ…。
だから…今年は"ブラックホーク"のプロモーションが終ったら長い休みをくれってマネージャーに言っておいたんだ」
「あ〜そう言えば…ジョシュは多忙だったよね〜。そっかそっか。それで休むんだ」
オーランドは納得したのか、一人うんうんと頷いてウイスキーを飲んだ。
そして、ちょっと笑うと僕の方を見て、
「俺はさ〜。長期休暇って聞いたから、てっきり結婚とかするのかと思ったよ〜!アハハ!」
なんて言っている。
だが僕とイライジャは、ちょっと顔を見合わせた。
イライジャは僕が、これからの事を両親に話して仲を認めてもらうと言う事を知っている。
「もうすぐ卒業だね。とは最近、会ってる?」
イライジャは煙草に火をつけて僕を見た。
「ああ。去年は、ほんと会いに行く時間も少なくて凄く寂しい思いをさせたんだけどさ…。も大学の方が忙しかったみたいだし…」
「ああ、卒業するのに色々あるからね」
「うん。だから…ちょっと大人になったかな?あまり甘えてくれなくなって寂しいよ」
僕がそう言って苦笑すると目の前に、ヌっとオーランドの顔が現れ、ギョっとした。
「うあっ。な、何だよ、オーリー!顔、近づけんなって」
「って…ジョシュの可愛い可愛い自慢の妹だ!」
「あ、ああ…そうだけど…?」
「そっかぁ〜。とうとうちゃんも卒業するんだ」
「まぁね…」
僕は苦笑しながら、ちょっとオーランドから離れた(!)
こいつは予測のつかない動きをするから、何度驚かされたことか…
「何、オーリー、のこと知ってるの?」
「まっね!前にモロッコで一緒だった時、撮影の合い間にコソコソと電話してるから、彼女かと思って聞いたら妹だよって教えてくれてさ。
写真も見せてもらったんだけど、すっげー可愛いから招介しろって言ったんだ!」
「はあ?!そんなこと言ったの?オーリー…」
イライジャは呆れ顔でオーランドを見てから、僕の方をチラっと見た。
それには僕もちょっと苦笑して肩を竦めて見せた。
だがオーランドは、そんな空気に気付かぬまま一人盛り上がっている。
「Of
Course!だって、ほんと可愛くてさ!俺、美人顔より可愛い子が、もろタイプなんだ」
「よく言うよ。オーリーはブロンドが好きなんだろ?は日本人だよ?」
イライジャが軽く息をついてビールを飲んでいる。
だがオーランドは人差し指を立てて、チッチッチと左右に振りつつ、
「ノンノン!僕は確かにブロンドちゃんは好きだけど可愛い子は皆、好きなんだ!」
なんて言って得意げだ。
これには僕とイライジャも笑うしかなかった。
「そんな軽い理由で、ジョシュがを紹介するはずないだろ?僕だって反対するよ。ね?ジョシュ」
「ん?ああ…。まぁな」
「えー何でさ!別に俺、弄ぼうとか思ってないよ?大事に大事に愛を育むつもりだし(!)」
「あのねぇ、オーリィ…」
「いいよ、リジー。オーリーには何を言っても無駄」
僕が笑いながら、そう言うとオーランドは口を尖らせた。
「何だよ〜。その言い方、何だか感じ悪いなぁ。それに何でリジーがそんなムキになるのさ。あ…まさか…!リジーもちゃんを狙ってるとか?!」
「ぶ…っ」
「うわ、リジー!」
オーランドの言葉に、イライジャが飲んでたビールを噴出してしまい、僕は慌てて目の前にあったオシボリなるものをイライジャに渡した。
「サ、サンキュ…」
「大丈夫か?」
「う、うん」
イライジャは少し顔を赤くしながら濡れた顔を拭いている。
それを見ながらオーランドは呑気に笑っていた。
「動揺しちゃって〜〜!図星だったか〜!」
「ち、違うよ!変なこと言うな!僕とは友達だからな?!」
オーランドの言葉に、イライジャもムキになって言い返した。
「ふぅーん。に、しては随分と慌ててるようだけど?」
オーランドは目を細めつつ口を尖らせた。
「別に慌てたわけじゃ…オーリーが変なこと言うからだろ?とにかくオーリーにはは紹介しない」
イライジャは、そう言ってプイっと顔を反らした。
「何だよ〜。ジョシュに言われるなら解かるけどさ〜」
「ジョシュだって同じだよ。ね?」
「え?あ、ああ…。そうだな…。紹介しない」
僕も笑いながら、そう言うとオーランドは、ぶぅーっと頬を脹らませてスネてしまった。
「いいよ、いいよ…。皆して俺の恋路を邪魔しやがって…っ」
「恋路って…会った事もないのに何言ってるんだよ」
イライジャは呆れ顔でオーランドの頭を小突いた。
「痛いなぁ。会った事なくてもジョシュから散々聞かされたからね〜。どんな子か知ってるもん」
「はいはい。オーリーには他にピッタリな子が、どこかにいるよ」
僕はそう言って笑いながら、今頃、は何をしてるのかな…と、ふと思った。
こんな何気ない会話での話が出ると、無性に会いたくなる。
でも…もう、こんな風に離れるのは最後だ。
今年、が卒業したら…二人でミネソタに帰り、両親にちゃんと話す。
結婚までは…すぐにとはいかないけど…いつか…がもっと大人になったら…
そんな事を思うと、ちょっとだけ幸せな気持ちになれた。
「う〜ん…難しい〜!」
私はテキストと睨めっこしながら口を尖らせた。
「もうちょっとだよ?ここの文法を理解できてるんだから」
アレクの友達、ジェイクが、そう言って私の頭にポンと手を置いた。
卒業も近いということで今日はアリーとアレクの3人でジェイクの家で、お勉強会だ。
「う〜ん…こんなんで無事に卒業できるかな…」
私は心配になり、そう呟いた。
それにはアレクも苦笑している。
「それ言うなら俺の方がヤバイって。ここんとこ、ずっとバイトに明け暮れてたしさ」
「そっかあ〜。アレクも危ないのね。でもアリーは凄いわ?もう単位が取れて就職先まで決めちゃって」
「そんなことないよ?これでもギリギリだったんだから。それに就職先が決まったのはだって同じじゃない。後は卒業するだけよ?」
アリーはそう言って笑っている。
私はちょっと息をつくとペンを置いた。
「その卒業が難しいんじゃない…。それに就職先って言ってもジョシュの事務所だし…」
「あら、いいじゃない?大好きなお兄さんと一緒にいれるんだから!」
バンっと背中を叩かれ、私は思わず前につんのめったが、ちょっと笑ってしまった。
私は大学卒業後、ジョシュのエージェント・オフィスで働く事になっている。
それは前にジョシュのマネージャーから頼まれていた事から、卒業したら是非に…とまた話が出たからだ。
ジョシュは喜んでくれたけど私は、そんな業界の中でやっていけるのか少し不安だった。
「まあ、でも彼のとこは評判もいいし、そんな心配することないよ。そのうちアレクのマネージャーになったりして」
ジェイクが、そう言って笑っている。
だがアレクは顔を顰めて、
「俺、俳優までは手を出すつもりないよ?それにが俺のマネージャーになったらコキ使われそうだ」
「何よ、アレク!私は、そんな鬼じゃないわよ?」
「いやいや〜。最近はシッカリしてきたってアリーも言ってたぞ?昔は、お兄さんにベッタリだったのに大人になったってさ」
「…大人になったって…アリーだって同じ歳じゃない…」
ちょっと口を尖らせ、アリーを見ると彼女はクスクス笑っている。
「私はよりは、シッカリしてたもの」
「うわ、感じ悪い」
私は苦笑しながらコーヒーを飲んで、ふと時計を見た。
「あ…いけない。もう帰らないと…」
「ああ、すっかり遅くなっちゃったね。じゃ送るよ」
そう言ってアレクが立ち上がった。
「え…いいよ。アリーもいるし…」
「いいじゃない。送ってもらいましょ?」
アリーは嬉しそうに微笑みながら、さっさと帰る用意をしている。
私はそれを見て、あれ?っと思った。
(アリーったら、ひょっとして…)
「ほら、行くよ?」
アレクは先にコートを羽織って玄関の方に歩いて行く。
私は慌ててテキストやらをバッグに入れると、「じゃ、ジェイク、今日はありがとう!またね!」と言って立ち上がった。
「ああ、またおいで?」
ジェイクは飼猫のエリーを抱っこして手を振っている。
私も手を振り返すと急いでアリーとアレクの後を追い掛けた。
「うわぁ…寒いっ」
アリーは首をすぼめて両頬に手を当てた。
それを見てアレクがさりげなく自分のマフラーをアリーの首に巻いてあげている。
「あ、ありがとう…」
「いいよ。俺、そんな寒くないし」
アレクは、そう言って微笑むと先をゆっくり歩いて行く。
アリーは少しだけ頬を赤らめて、それについていった。
私はそれを後ろから眺めながら、ちょっと微笑んだ。
やっぱり…アリーってば、アレクのことが好きなんだ…
アリー、何人かから告白されてたけど全部断っちゃってたのも…きっとアレクのことが好きだから…
私はそう思いながら、アリーが何故、ニューヨークで就職を決めたのかも理解出来た。
アレクだけが理由ではないだろうけど…でも同じ街にいたいと思ったのもあるだろう。
そっか…アリーもとうとう恋に落ちたか。
なんて…こんな風に人の気持ちが解かるようになったのも私が今、恋をしてるからかもしれない。
前なら…きっと解からなかった。
私はちょっと暗くなった空を見上げた。
ジョシュは今頃、私と母の母国でもある日本にいる。
夕べ、電話が来て色々と教えてくれた。
私は日本に行った事がない。
生まれた時からミネソタだった。
でも…いつかは行ってみたい…
母が育った国でもあり、私のルーツでもある国…
できればジョシュと一緒に…
もうすぐ私も卒業してミネソタへと帰る。
その時は…ジョシュとの事を父と母に話すことになるだろう。
結果がどうであれ…私はジョシュと生きていく決心が出来ていた。
絶対に離れない。
そう決めた瞬間から、もし反対されたら…という不安が薄れていった。
自分をしっかり持って貫き通せば何も怖い事などない気がする。
どんなに反対されても、この気持ちは消えてなくならない。
ジョシュと出逢った遠い日の事を思い出した。
あの雨の日に…私の運命は決まっていた。
そう信じてる。
「ジョシュ…どこにいても…あなたを想ってる…」
星がキラキラと光りだした夜空に向かって、そっと呟いた。
この想いが遠い国にいるジョシュに届くようにと強く、強く願った。
その時、小さな白いものがフワフワと降って来た。
「あ…雪…」
そう呟いた時…
「?早く来いよ!雪降って来た!」
「うん!」
アレクの声が聞こえて私は走り出した。
2002年、2月…ニューヨークの街を雪が真っ白に染めて行く―
Postscript
今回は短い合い間に更新です。
次回で最終話かなぁ…?
その後、来日記念の新作でも…と考えております。
本日も皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて...
【C-MOON...管理人:HANAZO】