「おはよ」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 誰かの温もりを感じ、目が覚めたら目の前には奇麗な青い瞳のアップ。 それには一気に脳が覚醒して私はすぐに飛び起きた。 「ど、どうしたの?」 「どうしたって・・・コッソリ会いに来た」 「あ、会いに来たって・・・」 私はダンの言葉に驚いて部屋の中を見渡した。 ここはエキストラの控室。 だから私以外にも人がいるはず・・・そう思って慌てたのだが部屋の中はガランとしていて誰もいなかった。 「どうしたの? 誰もいないよ?」 キョロキョロしている私を見て、ダンはクスクス笑いながら、そっと隣に座る。 それさえドキっとして少しだけ離れながら腕時計を見た。 「も、もうこんな時間・・・」 「そういうこと。メインキャスト以外、皆とっくに帰ったよ」 「で、でもどうして私が一人でいるって・・・?」 「だって帰ってく人の中にがいなかったから」 「・・・・・・」 そんなとこまで見てるなんて・・・と少しだけ嬉しくなった。 「だから、おかしいなーと思って自分のシーン撮り終えてから見に来たらがソファでスヤスヤ寝てたってわけ」 「ちょ、ちょっと今日、早起きして眠かったから・・・」 もう・・・誰か起こしてくれてもいいのに! そう思いながらチラっと隣のダンを見る。 彼は楽しそうにニコニコしながら私を見ていて一気に鼓動が早くなってしまう。 「あ、あの・・・私も帰らなくちゃ・・・」 「その前に僕に言う事ない?」 「え・・・?」 「この前の返事・・・。まだ聞いてない」 「あ、あれは・・・・・・」 その事に触れられ、ドキっとした。 どうしても信じられなくて、ずっと迷ったまま誤魔化してたこと・・・。 「? 」 「えっと・・・あの・・・・・・」 「もしかして・・・・信じてない、とか?」 「えっ?」 「あーその顔はそうなんだ」 ダンはクスクス笑いながらソファに凭れて軽く息をついた。 そして私の方に視線を戻すと、少しだけ悲しげな顔をする。 「僕は嘘で、あんなこと言わないよ。信じてくれない?」 「し、信じてって言われても・・・・・・」 そんなの信じられる訳ないじゃない・・・ 彼は有名な俳優で私は彼の映画に出てる、ただのエキストラ・・・ そんな彼に"付き合って欲しい"なんて言われても、誰が信じるっていうの? そりゃ・・・他の子に比べたら、いつも私に話し掛けてくるなぁとか、思ってたけど、でもだって・・・ 私だってダンのこと少なからず憧れてたわけで、だから、このエキストラのオーディションだって受けたんだし。 「、返事は――」 「ま、待って、私は・・・・・」 「・・・・・・知ってるよ」 「え?」 「の心の奥くらい」 「な・・・」 ダンはニヤっと笑って私の頬に素早くキスをした。 「だから返事はOK・・・ってことでいい?」 「・・・・・・・・・・・・っ」 突然のキスと全て見透かされてたことで、私の顔は真っ赤に染まった。 そんな私をダンは嬉しそうに微笑んで見ている。 そして、そっと唇を寄せて来たものだから私は思わず後ろに下がると、彼はちょっとだけ笑った。 「・・・・・・実はさっきもしちゃったんだよね」 「え? ん・・・っ」 その言葉を理解する前に、私の唇は彼の唇に塞がれていた。 ――この瞬間、私はエキストラからダニエル・ラドクリフの恋人になった。 私の心の浅瀬は 誰もが知っているけれど 心の奥の波立ちは あなた以外に知る人はいない ※ブラウザバックでお戻りください。
いつも、ご愛読ありがとう御座います。
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