映画のような嘘のような出会いと再会を果たし、僕達は恋人同志になった。
「いらっしゃい、オーランドにシディ」
「お邪魔します」
そして初めて彼女の家に遊びにやって来た。
・・・緩くまわされた腕
「へぇー凄い広いんだねー。庭まである」
「古い家だから凄く安かったの」
僕が部屋の中をキョロキョロしていると、がアイスティーを出してくれた。
「あ、ありがと。って、この家買ったの?」
「うん。仕事が軌道に乗った時にね」
「そっかぁー凄いなぁ。 ―ああ、もうすっかり二匹、仲良しだね」
「ほーんと」
二人で並んで座りながら庭先で楽しそうに遊んでいる二匹を眺める。
奇麗に手入れをされた庭には色とりどりの花が咲いていて、その中に彼女がいるところを想像すると凄く似合う気がした。
ここに彼女が住んでるんだなぁ・・・もっと彼女のことが知りたい・・・なんて俺ってかなり入れ込んでるかも。
そして何気なくの方を見ると、彼女はアイスティーのグラスを持ってストローで氷をまわしている。
その仕草が妙にセクシーでドキっとした。
と言うのも、暑いせいか、いつもは下ろしている長い髪を緩くまとめてアップにしているから。
細く白い首筋が露わになってて、つい目がいってしまう。
「どうしたの?」
「えっ? あ、いや何でも・・・あははっ」
がこっちを見て僕は慌てて視線を反らすとドキドキしてるのを隠すようにグラスを口に運んだ。
そう言えば・・・この前、一度キスして以来、何だか手も繋いでいない気がする。(僕としては非常に珍しい)
あれから会うといえば、あのカフェだし、僕も仕事だから長い時間なんて取れなかった。
こうして二人きりの時間をもてたのは、あの日以来・・・
今日は久々のオフになったから彼女の家に招待されたんだけど・・・何となく意識をしてしまう僕っていやらしいんだろうか・・・。
チラっとを見ればテラスから入る風が気持ちいいのか、目をつぶってソファにもたれかかっている。
となれば、ついつい自然と目が行くのは彼女の柔らかそうな唇・・・
僕はそぉっと彼女の方に顔を寄せ、キスしちゃおうかなぁ・・・なんて思った瞬間、彼女の瞳がパチっと開かれた。
「わっ。何?」
「え?! あ、い、いや・・・あの・・・寝ちゃったのかと思って・・・っ (あぁ~かっこ悪い俺・・・)」
そう言って慌てて体を元に戻せばがクスクス笑って、
「やだ。オーランドが来てるのに寝ないわ? それより、お腹空かない?」
「え? あ、そ、そうだね、うん」
「じゃあ用意してくるから、ちょっと待っててね?」
はそう言うとソファから立ち上がってリビングを出て行ってしまった。
「はぁ・・・焦ったぁ・・・」
って何で、こんなに純情少年まっしぐらになってるんだ?
この前の勢いでキスくらい普通にしちゃえばいいのに。
だって・・・一応、彼女とは付き合ってるって言うか・・・両思いだって分かったんだから・・・
まあ・・・まだ体の関係・・・になるのは早いとは思うけど・・・でもお互いに大人なんだし!つか彼女だって年上だし!
早いとか遅いなんて関係ないだろ?
お互いに同じ想いなら・・・!
何だか一人で良からぬ(?)事を考え、自分に言い聞かせる。
ただ・・・年上の女性ってのが学生以来で・・・もう、あの頃のように軽々しく接する事も出来ない。
若い時は特に深く考えてなかったけど、この歳になって年上の女性となると、絶対向こうの方が僕より数倍は大人だ。
どう接すればいいのか、今さらながらに考えてしまう。
だけど今より少しだけ進展したい・・・なんて思いながら一人悶々とするハメになった・・・
「はぁ・・・ご馳走様!凄い美味しかった」
「ありがと。でもパンはマスターのとこで買ってきたのよ?」
はそう言ってお皿を下げにキッチンへ向う。
そして戻って来た時には食後用に、今度は暖かい紅茶を淹れて持って来てくれた。
「はぁ・・・何だかこのまま昼寝しちゃいそう」
そう言って隣に座ると、ちょっとだけソファに凭れて足まで上げている。
「だいたいランチから戻ると眠くなって昼寝しちゃうの」
「そ、そうなんだ・・・。まあ・・・食事の後は俺も眠くなるかも」
そう答えながら何だかドキドキして紅茶を一口飲んだ。
と言うのもは少しだけ僕の肩に寄りかかるようにして座っているから何となく肩を抱けそうな体勢。
いつもの僕なら、このままさり気なく肩を抱いてキス・・・ってところだけど・・・
何となく彼女だと緊張してしまう。
「ねぇ、オーランド。まだ時間ある?」
「え? あ、あるよ? 今日はオフだしさ。(何なら泊まって行っても)」 (オイ)
「そう。じゃあ今から一緒に映画見ない?」
「え・・・映画って・・・」
「もちろんオーランドのよ」
彼女はそう言ってクスクス笑っている。
それには僕も苦笑するしかなかった。
この前、彼女にやっと自分の仕事の事を話した。
案の定、彼女は僕の事は知らなかったみたいで、(あまり映画とかテレビとか見ないそうだ)凄く驚いてたけど、
昨日、カフェで会った時に、彼女はどこで探してきたのか、僕が出ている映画のDVDを買って来た。
それを一緒に見ようと言っているのだ。
「でもちょっと一緒に見るのは照れくさいよね」
「そう?」
「うん。だって・・・ねぇ・・・」
「いいから見よ? ね?」
は僕が困っているのを楽しげに見ながら立ち上がると、すぐにDVDをセットして再生を押した。
「こっちで見ようよ」
彼女は大型テレビの前の、これまた大きなクッションに凭れながら僕を手招きしている。
それを見て僕は苦笑いしながら彼女の隣へと移動した。
「はぁー・・・。笑わないでね?」
「あーそれは約束出来ないなー。オーランドが演じてる姿なんて想像できないし」
「うわー何だか凄く逃げ出したい気分だよ」
「あらら。プロなんだから誰に見られても平然としてなくちゃ、でしょ?」
「はいはい。覚悟決めます」
ちょっと肩を竦めてそう言うとは笑いながら画面に視線を移した。
僕は本気で緊張しながら何だか画面を見れない。
あーまあ、この映画なら、まあいっか・・・(某海賊の話で特にロマンティックな部分も少ないし)
そう思いながら隣の彼女を見ると、ワクワクしたようにずっと画面を見ている。
そして僕が映った時、「わ、オーランドだ!髪、長いっ」なんて可愛い目を丸くしている。
それにはちょっと僕も笑顔になった。
そして数時間・・・そろそろ映画も終盤・・・というところで、僕はソワソワと落ち着かなくなってきた。
だって、この後、彼女と見るにはちょっと恥ずかしい僕のキスシーンなんかあるからだ。
はぁ・・・どんな反応示すんだろう・・・
チラチラとの様子を伺いながら、そう思っていると、とうとう、そのシーンになってしまった。
するとも少し落ち着かないように体制を変えたりし始めて、
「この女優さん、ほんと奇麗ね」
「え? そう? まあキーラは確かに可愛いけどね。凄く男っぽい性格だよ?」
「そうなんだ。しかも若そう・・・」
「あーこの時は・・・19歳くらいかな?」
「え? 嘘!そんなに若いの・・・? はぁ・・・」
何だかは少し溜息なんてついて首を振っている。
その間にキスシーンが終わり、僕は僕で少しホっとしたんだけど。
「ほら終ったよ?」
「あ、うん」
「どうしたの? 何だか元気なくなったけど」
「ん~。と言うか、私も19歳くらいに戻りたいなぁなんて思っちゃった」
はそう言って苦笑を浮かべている。
それには僕もちょっと驚いた。
「何で? は今でも若いよ?」
「えー? いいわよ、そんな慰めなんて」
「な、慰めじゃないって。ほんと!凄く奇麗だなぁって思ってたんだから」
何故か必死になって、そう言うとは少し嬉しそうに微笑んでクッションに凭れた。
「ありがと・・・」
「え、いや・・・お礼なんて・・・」
そう言いつつ、僕はその照れたような笑顔にドキっとして、すっかり頭は別の方向・・・つまりは・・・キスしたい、なんて思っちゃったんだけど。
少しだけ手を伸ばせば彼女を抱き寄せられる。
なんて思えば思うほど緊張・・・というか体が固まって動けない。
いや・・・手は次第に彼女の後ろ・・・肩に回そうと少しづつ動いてはいるんだけど(何だか手がピクピクするよっ)、
なかなかグイっと出来なかった。
でも、この雰囲気を逃がせば、また後悔することになるかな・・・?
って何してんだ? 俺は・・・!
十代のガキじゃあるまいし!
あれこれ考えずに、ここは一つ男らしく―!
「オーランド・・・?」
男らしくグイっと引き寄せるはずが、僕の腕は彼女の肩にそっと乗せられた。
は少しドキっとしたように顔をこっちに向ける。
至近距離で見つめあえば、ここはもうすることは一つ・・・
僕はゆっくり顔を近づけ、ほんとに触れる程度のキスを彼女の唇に落とした。
その感触に体中が熱くなって、我慢に我慢を重ねてきたからか(!)凄く感じるキスだった。
少しだけ離し、また触れながら、そっと彼女の背中に腕を回し抱きしめる。
後はもう何度も何度もキスを交わしながら、その場に彼女を押し倒した。
「ん・・・オーランド・・・?」
「・・・が相手だと・・・何だか凄くドキドキする」
「え?」
「こうしてキスするだけでも・・・ね・・・?」
そう言って微笑むと、もう一度彼女の唇を塞いだ。
すると僕の背中に緩く回された彼女の細い腕。
僕の僅かに残った理性ははるか彼方へ吹っ飛んで行ってしまった。
※ブラウザバックでお戻りください。
年上の恋人第三弾? またしてもモジモジ+エロオーリィなんぞ・・・(笑)
皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて…
【C-MOON...管理人:HANAZO】
|