私の恋人は凄く有名人で、富も名声も手に入れてる人。
いつだって優しいし、私の事を可愛がってくれる。
パパとママが私を愛するように、彼も私の事を愛してくれるし、何でも言う事を聞いてくれる。
そんな彼の事を、私は、どうしようもないほど愛してるの。
「…これ、何?」
長いロケから帰って来た途端、呆れたように溜息をつきながら、オーランドは数枚の領収書をちらつかせる。
せっかく久しぶりに会えたって言うのに、そんな困ったような顔なんかされたら、ちょっと悲しい。
「…何って…今日、買い物行ったから、その時にもらってきた領収書よ?」
「それは分かってる。でも、この金額…何買ったら、こんな金額になるんだ?」
オーランドは、またしても深い溜息なんかついちゃって、ソファに膝を抱えて座っている私を怖い顔で見下ろした。
だってオーランドの為に一生懸命、お料理もして、お花も買って、ついでに久しぶりに会うからって、ドレスも買った。
ドレスを買うと、靴も欲しくなって、そしたら一ヶ月も切ってない髪が気になったから、いつも行ってる美容院にも行かなくちゃって思ったんだもの。
そしたら美容師さんが、ネイルもいかがですかって言うから、じゃあお願いってなって、手だけじゃなんだし、足もお揃いにしたくなったんだもの。
ただちょっと、ドレスと靴が高かっただけ。
あ、ネイルも小さなダイヤを散りばめてもらったから、いつもよりは、ちょっと高かったかもしれないわ。
「でもほら、綺麗でしょう?手も足もお揃いなの。このドレスとミュールに合うでしょう?」
ニッコリ微笑んで、オーランドに見えるように手を差し出す。
その手をそっと握って私を立たせると、オーランドは、また困ったような笑みを浮かべた。
何だかその顔、パパに似てきたみたい。
「綺麗だね。でも…ちょっと無駄遣いしすぎじゃない?」
「…だってオーリーに久しぶりに会うから綺麗にしなきゃって思ったんだもの」
「それは嬉しいけど…」
「ホント?オーリーが嬉しいなら、私も嬉しい」
そう言って抱きつくと、オーランドは苦笑いをしながらも抱きしめてくれた。
いつもそう。
私のやる事に、オーランドは困った顔をするけど、でも最後にはこうして抱きしめてくれる。
「困ったお姫様だね、は」
「パパと同じ事、言うのね、オーリー」
そう言って顔を上げると、僅かに唇を尖らせる。
その唇に、オーランドはクスクス笑いながらも、ちゅっとキスをしてくれた。
「のパパに同情するよ」
「…何で?パパは私といると、いつも幸せだって言ってるのに」
「そうだね。僕も幸せだよ?といると」
「ホント?」
「うん、ホント。これで無駄遣いがなくなれば、お嫁さんにしたいくらい」
「え、私、無駄遣いなんかしてないよ?だって、全てオーリーの為にした事だもの。無駄なんかじゃないわ?」
真剣にそう言ってるのに、オーランドはクスクス笑いながら、額や頬にキスをしてくる。
私の気持ちが伝わってないようで、何だか悔しい。
だって好きな人の前なら、いつだって綺麗でいたいし、それが女の子ってものでしょう?
それなのに無駄だなんて、オーリーったら、全然、女心が分かってないんだから。
そう思いながらむくれていると、オーランドは、もう一度唇にキスを落としながら、耳元で囁いた。
「今、ちょっと大事な事、言ったつもりなんだけどな」
「…大事な事?」
「そう。何気にプロポーズ」
「プロポーズ…?」
そう言われて首をかしげる。
ああ、そう言えば、今オーリーは私をお嫁さんにしたいって言ってた気がする。
「…分かってくれた?」
赤くなった私の頬に押し付けるようにキスをしながら、オーリーは優しい笑みを浮かべた。
ロケから帰ったら言おうと思ってたのに、帰ったら大量の食料と、部屋が埋め尽くされるほどの薔薇の花。
そして愛しい彼女は綺麗なドレスと、キラキラ輝くダイヤで着飾っていて、テーブルの上には目が飛び出るような金額の領収書。
さすがの僕も、驚いて、プロポーズの言葉を忘れたよ。
オーランドはそんな事を言いながら、私の手をそっと持ち上げた。
「でも良かった。婚約指輪よりは安くついたから」
の無駄遣いが、この指輪より高かったら、ジョークにもならないよ、なんて言って、オーランドはキラキラ光る石を、私の指にそっとはめた。
私はただ驚いて、照れ臭そうに微笑んでいるオーランドを見上げる事しか出来なかったけど、でも私の指に飾られた指輪に、思わず涙が溢れたみたい。
だってオーランドの顔がどんどん曇っていってしまう。
「オーリーが王子様に見える」
「そりゃ、がお姫様だからね」
抱きついて泣きじゃくる私を、よしよしとあやしながら、オーランドは優しく頭を撫でてくれる。
「明日から、私、節約上手なお嫁さんになるわ」
いっぱい腫らした瞼をこすりながら、そう言うと、彼は小さく吹き出して、は今のままでいいよ、なんて、甘いキスをくれる。
ほら、やっぱり、そういうところ、パパに似てるわ。
トリッキー、エキセントリック、
だけどどこまでもピュア
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ちょー甘やかされて育ったヒロインに困りつつも、本気で怒れないへタレなオーリー(笑)
こういうヒロイン、書いた事がなかったので新鮮でした。
たまにはダメ子ちゃんもいいかもしれないなあ。可愛いなら(;^_^A
皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて…
【C-MOON...管理人:HANAZO】
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