「僕は絶対に銃は持たない」















Gun and the America!















前、ジョシュは私にそう言っていた。
あまりに真剣な顔をするからドキっとしたのを覚えてる。


あれは確か友達と飲みに行って少し酔って帰ってきた日だ。
行く前は久々に友達に会えると言って楽しそうだった彼が帰宅した時は少しだけ元気がなかった。


どうしたの?と聞けばジョシュは憮然とした顔でミネラルウォーターを飲みながらソファに座った。
そして不安げに隣に座った私を見て、一言・・・



「・・・僕は絶対に銃は持たない」



と、そう言ったのだ。



何事かと話を聞けば、飲みに行った友達が、「皆が買っているから私も銃を買おうと思ってる」と言い出したそうだ。
そこでジョシュが、「撃たれる人の80%は銃を持っているから狙われるんだよ」と言ったら、
「何故、あなたは銃を持たないの?もし頭のおかしい人に狙われたらどうするのよ?」と反論されたそうだ。
だがジョシュは頑なに、銃を持つことを拒んだと言う。


「もし自分が誰かを撃ってしまうような状況になった場合、僕は残りの人生を後悔して過ごす事になる。だから銃は絶対に持たないんだ」


真剣な顔でそう言っていたジョシュを、私は素適な人だな、と思った。
銃を持つことの怖さをちゃんと知ってる人だ。


確かに今のアメリカは銃を所持してる人の方が圧倒的に多い。
私は日本で生まれ育っているので、それすら驚かされるのだけど。





「銃なんて本物は見た事ないわ。怖いし触りたくもない」


少し顔を顰めて、そう言った私をジョシュは笑顔で抱きしめてくれた。


「それでいいんだよ。それが正常なんだから」



そう言って優しく額にキスすると、


「まあ、僕は今までに銃を持つような映画に3本も出てるんだけどね?」



と少しだけ、おどけて笑っていた。





私はジョシュの腕の中で彼を失いたくないと、この時、本気で思った。
日本とは違い、こっちでは毎日、銃を使った事件が起きている。
先日も、このミネソタで6年前の事件を思い出させるような銃、乱射事件があった。
ジョシュは、このニュースを見た時、とても辛そうにしていて何故か私まで胸が痛くなった。


いつもの朝、いつもの学校や職場が一瞬で惨劇の舞台となる。
ほんの数分前には笑顔で別れた友人が銃弾に倒れる。
何もかもが一瞬だ。
一瞬で人の命は奪われてしまう。


人はどうして武器を持つんだろう?
どうして人は戦おうとするんだろう?


誰かを殺した人にも、大切な人はいるはずなのに。
殺された人と同じように、いるはずなのに。




誰だって、この愛しい温もりを手放したくはないはずなのに――



争いのない国なんてないけど―――


今はただ、こうしてジョシュの傍で、彼の体温を感じているだけで、世界の誰もが同じくらい幸せだといいのにと思う。
ジョシュがいてくれるだけで、笑ってくれるだけで、ただ、それだけで私はこんなにも幸せだから。


私はこれからもずっと銃なんて持たないと思う。
この銃社会のアメリカで、私とジョシュは平和に暮らしたいだけだから。







――ただ、それだけだから。















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ほんとアメリカって当たり前のように銃を所持してる一般人が多いですよね。
危険だから身を守る為に、ってのも分かりますけど。
先日、フロリダでも法律が変わってしまいましたね。
今までは最後の最後で本当に身の危険を感じた時だけ銃を撃ってもいいというものだったのに、
今度からは自分が危険だと感じた範囲ですぐに撃ってもいいという法律に変わったそうです。
銃も前よりは楽に買えるようになったとか・・・・・・。
この法律にライフル協会は喜び、市民は更に不安になり抗議してるようですね。
まあ犯罪履歴を調べてから銃を売ると行っても、どこまでなら許されるのか・・・
小説の中でジョシュが話している事は実際のネタでインタビューで答えていました。
ミネソタも前に法律が変わってるので、その事についても皮肉ってたりして^^;
先日、ミネソタで起きた事件も、ニュースを見てドキっとしました。
やはりミネソタはジョシュの大好きな故郷ですし、あんな事件が起きて辛いだろうなと思いながら、
6年前の事件を真似たような事件に私も気分が落ちました。
子供でも簡単に銃が買えるっていうのは、どういう事なんでしょうね。
事件の被害者の方々には心からお悔やみ申し上げます。合掌。