また、だ。 予想はついていたのに実際に口に出されると、かなりへこむ。 なのに、そんな私に気づかず、オーリィは更に言葉を続けた。 「・・・・・・今度は・・・・・・ちょっと長くなりそうなんだ」 「・・・・・・そう」 「・・・・・・・・・・・・」 ちょっと・・・素っ気無かったのバレたかな・・・? でも、だって・・・少しくらいスネたくもなるのよ。 久し振りに会えたのに、また彼は遠い異国の地へと旅立ってしまう。 分かってる。 分かってるんだけど・・・。 そんなの仕方のない事だって。 彼の仕事はACTORで・・・ しかも、いわゆる"売れっ子"で"ハリウッド期待のスター"さまさまなんだから。 そんな有名人な男を恋人に選んだのは私。 先に好きになったのも私。 だから仕事の事で文句は言えない。 「・・・怒ってる?」 「・・・怒ってなんか・・・」 ああ、もうそんな目で見ないで・・・ 何も言えなくなるじゃない。 「でも後、一週間は二人でいられるよ」 「うん・・・そうだね」 束の間のオフ。 それを彼は私の為にとってくれた。 そして、ここケイマンに旅行に連れて来てくれたのだ。 前のロケで来て以来、オーリィは、この島が気に入ったようで、絶対と一緒に来たいと言ってくれた。 こんな優しい恋人に、これ以上の我がままを言ったらバチが当たる。 「ありがとう・・・オーリィ・・・」 「んー? 今日はやけに素直だね」 失礼な。 これでも感謝してるんだから。 忙しくても、こうして大切にしてくれるオーリィに。 そんな事を思いながらオーリィの胸に顔を埋めた。 「あれれー? それに甘えん坊だ」 クスクス笑いながらオーリィは私の頭を優しく撫でてくれる。 オーリィに頭を撫でられるのは凄く好き。 髪をいじられるのも、額や頬にキスされるのも、もちろん唇にキスされるのだって。 全部、全部大好き。 オーリィは恋人になったら、こういう事をしてくれるって思ってた。 見事、正解。 こうして別に何をするでもなく・・・彼と触れ合ってみたかった。 開け放した窓から温い風が吹いてきて私の髪を攫っていく。 私とオーリィは大きなベッドの真ん中に座りながら揺れているレースのカーテンを眺めた。 その風と一緒に海の香りも入ってくる。 遠くに見える夕日がやけに奇麗で、何かの映画のワンシーンのようだ。 私を後ろから抱きしめるオーリィは本当にカッコ良くて、さすがにACTOR。 この嘘のような奇麗な"絵"に自然に納まってしまっていて、どこかでカメラが回っていたら、 きっといいシーンが撮れるだろうな、なんて変な事を考えた。 「・・・・・・夕日が奇麗だね」 「の方が奇麗だよ」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 すっごくキザ・・・ でも、好き――。 「オーリィの方が奇麗だよ?」 「えー? 男なのに奇麗って言われてもなぁ・・・」 オーリィはクスクス笑いながら、私の前髪をそっと指で避けると、そこにチュっとキスをしてくれた。 こういうの、凄く幸せ―― たった、それだけで全身が心臓になったみたいにドキドキしてくる。 「あはは。、顔赤いよ?」 「・・・・・・・・・・・・」 ・・・嫌なとこ気づくんだから。 「のそういうシャイなとこ、俺、凄く好き」 「・・・・・・・・・からかってる?」 「まさか。本心だよ? 最初に会った時から・・・可愛いなって思ってた」 「え――?」 オーリィの言葉に思わず顔を上げた。 そこには少しだけ得意げな彼の顔。 「だから・・・・・・が俺のこと、好きだって言ってくれた時、すっごい嬉しかった。飛び上がりそうなくらいね」 「嘘・・・だって、そんなこと一言も―――」 「んー。ほんとはさ。あの日、が誘ってくれなくても俺から食事に誘うつもりだったんだよね」 「・・・な・・・何で・・・?」 「何でって・・・・・・と同じ事をしようと思って、さ」 「・・・・・・・・・・・・ぇ」 「でも先を越されて、から好きだって言われて・・・何となく・・・言い出すキッカケを失ったというか・・・」 「な、何よ、それ」 「だからー・・・。今さら、俺も・・・って言いにくかったんだって」 い、言いにくかったって! 私はすっごい勇気を出して告白したのに・・・! 「あーあ。そんな膨れないの」 「だって・・・・・・」 「だって、何?」 「いーっつもオーリィの方が優位に立ってた」 「そう?」 「そうよ・・・何となく・・・惚れた方が負けかなぁって感じ」 「じゃあ、俺の方が負けてるね?」 「え・・・?」 「俺はきっとより先に好きになってるからさ」 オーリィはそう言ってスクリーンで見せるような魅力的な笑顔を見せた。 それだけで、"オーランド・ブルーム"に弱い私は見惚れてしまって言葉が出てこない。 ああ、もう。 私の恋人は何て素適な人なんだろう・・・(何ちゃって) 「ねぇ、オーリィ・・・」 「んー?」 「ロケに行っても・・・・・・・・私のこと、忘れないでね・・・?」 「当たり前です。忘れません、絶対に」 「・・・・・・ありがとう」 おどけて答えてくれたオーリィに素直にお礼を言うと、優しい瞳で見つめながら、そっとキスをしてくれた。 ああ、もうダメ。 オーリィにかかったら・・・私なんて蛇に睨まれた蛙の気分。(え) 彼にされるがままに・・・抵抗なんて出来るはず、ない――― 「俺は・・・いつでものこと想ってるよ・・・。世界中のどこにいても――の存在を感じてる」 すっごい殺し文句。 反則だよ、オーリィ・・・・ でも・・・死ぬほど嬉しい。 また・・・暫く逢えなくなるけれど。 いつも私を感じていて。 もしも旅先の―― 海辺のホテルの窓から 霧が立つのが見えたなら 気づいてね それは あなたを想う私のため息だと―― ...END... ※ブラウザバックでお戻りください。
いつも、ご愛読ありがとう御座います。
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