Catch me if you can.......~A
real love ?... or... fake love?...~
私たちは 探しあって 時に自分を見失って
やがて見つけあったのなら どんな結末が待っていても
運命と呼ぶ以外 他にない
Extra
Story...Remembers beginning...
あのアツアツの結婚式から数時間後…ホテルの広間を貸切り、簡単なパーティが行われた。
結婚式に出席した人は全員、参加で大盛り上がりだ。
「いやぁ、あなたに会えるなんて光栄ですよ!ミスタースピルバーグ!」
「いえいえ。二人の結婚式には是非、来たくてね?仕事を放り出してきてしまったよ。アッハッハ!」
「ところで次回作は、どんなものを?」
「それがね、これがまた凄いんだよ!」
「ねぇ…トム」
「ん?何だ?レオ」
「あの二人、何だか意気投合してるようで怖いんだけど…」
「ああ、お前の義父と監督か?何だか通ずるものがあるんじゃないのか?」
「そうかな…。ま、いっか」
そう言って俺はシャンパンをぐいっと飲み干した。
「それよりお前…さっきは神父もビックリの熱烈キッスを見せ付けてくれやがって!」
「ん?ああ…あんなの普段と同じだよ?」
「何ぃ?ヌケヌケと!普通、誓いのキスは一回なんだぞ?」
「ああ、だって俺、あれだよ。と一度キスすると離れがたくなるんだよね?仕方ないよ」
「うわーっ。何だよ、そりゃ!先が思いやられるよっ」
トムは呆れたのか、横目で俺を見ながら一人騒いでいる。
そこへ、「レオはちゃん中毒だからねぇ~!」とトビーが歩いて来た。
「うるさいな、お前。まだいたのか?早く帰れよ」
「何だよ!お祝いしてやってんのに!」
「お前の祝福が一番いらないよ」
笑いながらトビーの額をこづくと、「かーっ相変わらずムカつくっ!親友に向かって何て言い草だいっ」とプリプリ怒っている。
俺は苦笑しながらキャシーやマークに囲まれているの方を見た。
ウエディングドレスから着替えて奇麗な淡いラベンダー色のカクテルドレスを着ている。
白い肌にその色が映えて、ウエディングドレスとまた違った奇麗さが滲み出ていて俺は暫く見惚れていた。
その時、後頭部を思い切りこずかれた。
「なぁに見惚れてんだ~?」
「…ってぇ…。殴るなよ、ジョニー!」
振り向けばフラフラとしながらジョニーが立っている。
「自分の花嫁にボケーっと見惚れてるなんて、ほんとアホだな?」
「うるさいなぁ。奇麗なんだからいいだろ?それよりジョニー、飲みすぎ!」
「いいだろう?めでたい席なんだ。飲まなくちゃもったいないっ」
ジョニーは、そんな事を言いながらグビグビとワインを飲んでいる。
(あ~あ…こりゃ、そのうち正体バレそうだ…)
俺はコッソリとジョニーから離れての方に歩いて行った。
すると何やら騒いでいる。
マークやキャシーは大笑いしているしは何だか困ったような、でも笑いたいような複雑な顔だ。
俺は気になって足を速めるとその輪の中にいる人物に目を見張った。
「ジョー?」
「あ、レオ…」
が俺の方に困ったような顔を向けた。
「どうした?ジョー何してんだよ」
「あ、あ…レオ…そ、それがな…?」
ジョーは顔が真っ赤でアタフタしつつ手を後ろに回している。
するとマークがゲラゲラ笑い出した。
「お兄ちゃん、聞いてよ!肉のおじさんさぁ~!ズボンのお尻が裂けちゃってるんだよ?!」
「は…?」
俺はその言葉に唖然としてジョーに視線を戻した。
するとジョーが真っ赤な顔のままマークのオデコをツンと押している。
「うるさいぞ。マーク!仕方ないだろう?!」
「何だよ、ジョー。ズボン避けたって…」
俺はそう言いかけて思い出した。
(そうだ…控え室で俺は確かに、ビリ…っというかすかに布が裂けたような音を聞いたような…(軽く無視したけど…)(!)
「アッハッハ!ジョーケツ破れたの?!」
「笑うな!!」
俺が爆笑するとジョーは更に顔を赤くして怒鳴りだした。
「あ、あのジョーさん、私が縫ってあげるわ?」
「え?」
「、いいって!そんな事しなくたって。ジョーはそのままでいろよ!」
「な、何だよ、レオ!ちゃんは優しいのにこの新郎と来たら!俺にこのままずっと尻を抑えてろって言うのか?!」
「当たり前だろ?サイズ合わないのにそんな無理して着るからだよ。な?マーク」
「そうだよ、おじさん!まずは痩せなくちゃ」
「く…っ。この二人は…ほんと似た者同士だよ!!」
ジョーはプリプリ怒ってるいるがマークはニコニコしながら俺を見上げた。
「あのね、僕がおじさんのズボン裂けてるの見つけたんだ!おじさんたら、コソコソと隠してたんだよ?笑っちゃうだろ?」
「ああ、そっか!全くなぁ?大人のクセに困ったおじさんだよな?」
俺が笑いながらマークの頭を撫でているとが怖い顔でこっちを睨んだ。
「もう!二人とも?笑いすぎよ? ―ジョーさん、ホテルの人に裁縫セット借りて縫って上げられますよ?」
「あ、い、いや…いいよ。このまま帰るから…。どっちにしろもう行かないと…」
「でも…」
「いいから、いいから!大丈夫!」
「、そんな心配しなくてもジョーなら大丈夫だって」
「また、レオったらそんなこと言って…」
は俺を少し睨んで頬を脹らませている。
その顔が可愛くて俺は素早くキスをするとすぐに顔が赤くなり俯いてしまう。
「あ~お兄ちゃん、またキスしてる!」
「いいだろ?俺の奥さんになったんだから。って何だかいい響きだな?奥さん…奥さんかぁ~」
「…アホか、お前…」
「…ズボンが裂けた男にだけは言われたくないね!」
俺は少し顔が赤くなりつつ、ジョーを睨んだ。
「全く何を騒いでるの?」
「あ、母さん…とトビー…」
「ハ~イ!皆、飲んでるぅ?」
「飲み会じゃないよ!」
俺は頭に来てトビーの後頭部に一撃軽く食らわせておいた。
「…ったぃなぁ…。ほーんとバカ息子は、すぐ手が出るよね?レオママ!」
「そうねぇ?トビーと同じね?」
「わ、酷いよ、レオママ!俺とレオ、どっちを愛してるの?!」
「もちろん両方よ?」
母さんはニッコリ微笑んでそう言った。
それには俺も軽く眩暈を起こしそうになる。
「ちょ、ちょっと待ってよ。母さん…何で実の息子の俺とこのバカトビーが同じレベルなんだ?」
「あら。どっちも手がかかるって事で言えば同じでしょ?」
母さんはヌケヌケとそう言って笑いながらの方に、「こんな息子だけど…宜しくね?ちゃん」と手を握った。
「はい…。あの…ちゃんといい奥さんになれよう頑張ります」
「あら、可愛い~~!!」
母さんはそう言って突然、に抱きつき頬を摺り寄せている。
はと言えば驚いた顔で俺を見た。
「お、おい母さん!がビックリするだろ?離せって!」
「だぁってぇ…。私、こんな娘が欲しかったんだもの!ほんとお人形みたいだわーっ」
はぁ…ったく…。
こんな姑は嫌だって逃げられたらどうしよう.…(!)
俺は未だにに抱きついている母を見て大きな溜息が洩れた…。
「じゃあ、今日は皆さん、最後まで、どうもありがとう!」
ショーンが最後の挨拶をしてパーティはお開きとなった。
俺はちょっと息をついてを抱き寄せると、「疲れてない?」と顔を覗き込んだ。
するとはニコっと微笑んでくれる。
「うん。大丈夫。レオは?疲れてない?」
「俺はとの初夜を迎えるだけの元気は残ってるよ?」
「……っっ」
俺の言葉にの頬が一気に赤くなるのが解り、俺は苦笑しながらその頬に口付けた。
「も、もう…レオのバカ…」
「あれれ…怒っちゃった?だって結婚した日の夜は初夜って…」
バチンっ
「って…っ」
「何バカなこと言ってちゃんを困らせてるの?!」
「母さん…いちいち殴るなよ…っ」
俺は後ろを振り向いて文句を言ったが母さんは澄ました顔で俺を見上げた。
「全く我が息子ながら呆れるわ?それより…今夜は自分の家に戻るんでしょ?」
「ああ、そうだけど…」
「いつ引越すの?マリブの方には」
「まあ、近いうちかな?まずは簡単な荷造りして…それからかな」
「そう。その時は連絡してね?掃除とか手伝いに行くから。トビーと一緒に。ね?トビー」
「うん。行く行く!」
「げ…。来なくていいよ…。専門業者に頼むから…」
俺はうるさいのが新居に押しかけてくるかと思うとウンザリした。
「あら、ダメよ!いいじゃない。手伝いにいくくらい。ね?」
「じゃあ、お願いします」
「ちょ…!ダメだよ、OK出したらほんとに来るよ?この人達!」
「いいじゃない。二人より助かるわ?」
「ほぉら、見なさい!じゃ、ちゃん、引越しの時は美味しいもの作ってあげるわね~?ちゃんは何が好き?」
母さんは急に張り切り出し、の事はすっかり自分の娘扱いだ…。
ったく、ほんと勘弁して欲しい…。
ガックリ項垂れていると来てくれた皆が挨拶に来てそれぞれ帰って行く。
俺は監督やスタッフのメアリー達にも、お礼を行って皆を見送った。
「じゃ、レオ。今度はプレミアでだな?」
「そうだね?それまでトムも仕事頑張って!」
「ああ、お前もな?まだ、すぐには撮影入らないんだって?」
「そうなんだ。来年の初夏辺りから撮影かな?それまでは、ノンビリ簡単な仕事とかやってくよ」
「へぇ。ま、今回はお前も連続で映画撮ったからな?少しは休め」
「うん。そうする」
「じゃ、プレミア前にもまた一緒に飲もう」
「ああ、またジョニーの店でも集まろうか」
俺が笑いながらトムに手を振ろうとすると、突然、肩越しにジョニーの顔がヌっと現れた。
「そういう事なら貸切りにしてやってもいいぞ?」
「うわっ。ビ、ビックリした…っ。もっと普通に現れろよ、この酔っ払い!」
俺は胸を抑えつつジョニーを睨むと、彼は何だかフラフラしつつトムの後を追いかけて行く。
「じゃあ、レオ~またな~?!初夜、頑張れよーー!」
「バ…っ両親の前で…っ!」
俺が焦ってやショーン、ジーンの方を見ると皆やはり赤い顔で視線を反らしている。
に至っては俯いたままだ。
「す、すみません…。あの人、いつまで経っても常識通じなくて…」
「あら、そんなお前の友達なんだから当たり前よ?」
「母さんは余計な事を言わなくていいよ!」
「あら、ごめんなさい?じゃ、そろそろ私達も帰りましょうか?トビー」
「そうだね?レオママ。じゃ、俺達も帰るよ。また新居にお邪魔しに行くからな!」
「…来るな…っ」
「むっ」
暫く二人で睨みあうも、すぐに母さんのパンチが俺とトビーの後頭部を襲う。
だいたい母さんは俺達より身長が低いクセにわざわざジャンプして殴ってくるから余計に痛い…
届かないなら殴るなと言いたい。
「じゃ…今日は、本当にお世話様でした」
「いいえ、此方こそ!この愚息を宜しくお願いしますね?」
「いやいや。イルも時々、遊びに来て下さい。また一杯、やりましょうっ」
「いいですわね?オホホホホっ」
「俺も俺も~!」
この会話を聞いて俺はすでにグッタリしてきた。
こんなんでとの初夜を無事に迎えられるのだろうかと心配になる…(!)
「じゃ、レオ。あなたの方が4歳も年上なんだから、あまりちゃんに我侭言わないのよ?」
「解ってるよ!子供じゃあるまいし!」
「お兄ちゃんは僕と同じだろ?」
「マ、マーク…っ」
俺が驚いて振り向けばマークがニコニコと父親と立っている。
「おいおいマーク…。誰がお前と同じだって?」
「お兄ちゃんがだろ?すぐに甘えるしさぁ~。ね?」
「そうねぇ…。ちょっと手がかかるとこは似てるかな?」
「ちょ…まで、そんなこと言って…っ」
俺は慌ててを抱き寄せると、「ほら、すぐくっつくとこなんて子供みたいだよ?」とマークが笑っている。
それには俺も顔が赤くなってしまった。
「こ、こら、マーク!どうもすみません…」
マークの父、アランはしきりに謝っている。
きっとこの父親も苦労が絶えないんだろう…
「じゃ、この辺で失礼します」
「あ、今日は本当にありがとう御座いました。マークも来てくれてありがとう」
がしゃがんでマークの頬を手で包むとマークは嬉しそうに微笑んだ。
「僕が将来、みたいな看護婦さんと結婚した時はもお兄ちゃんと式に出てね?」
「もちろんよ?ね?レオ」
「え?あ、ああ…。 ―気が早いな…」
「え?何か言った?お兄ちゃん」
「あ、いや、何でも!それよりマーク、学校頑張れよ?」
「うん。勉強もスポーツも頑張るよ!」
マークは嬉しそうに言っているがは慌てて、
「で、でも、あまり無理しないのよ?急激な運動は控えてね?」
と看護婦らしい事を言っている。
「うん。解った。気をつける」
「ん。あと定期検診は来てね?私も少ししたら病院に戻るから」
「OK!じゃ、旦那様に内緒で密会出きるね?」
「え?」
「おい、マーク…」
「こ、こら、マーク!お前はどこでそんな言葉を覚えて…!」
は驚き、俺は苦笑していると父アランは慌ててマークの口を手で塞いだ。
だが…父の問いかけにマークが俺を指さした。
…何だか皆の視線が痛かった。
「はぁ~!久し振り!」
俺はベッドに疲れた体を投げ出し、溜息をついた。
「ほんと…レオの家、あのパパラッチが来て裏から抜け出して以来だなあ…」
がテラスの方に出てそう呟くのが聞こえる。
俺は寝返りを打っての方を見た。
やっと皆から解放され、家に戻って来たところだ。
「、疲れてない?」
「ん~ちょっと…」
「そっか。朝から色々な人にあったしね?こんな遅くまで騒いじゃったから…」
俺は体を起こしてそう言えばも部屋の中に戻って来た。
目の前に歩いて来たの手を軽く引き寄せギュっと抱きしめる。
「やっと…夫婦になれたんだなぁ…って思うと幸せだよ…?」
「うん…。私も…」
「俺も暫くはノンビリできるし、その間に引越しの準備しようね?」
「うん…」
俺はそっとの額に口付けそのまま唇を重ねた。
「じゃ…明日は、とりあえず荷物を簡単にまとめちゃおうか?」
「そうね…。じゃ早起きしてやっちゃおっと」
「今月中に引越せればいいね?そしたら新婚旅行にも行けるしさ?」
「え?」
俺の言葉には驚いたように顔を上げた。
「あれ?行きたくないの?新婚旅行」
「で、でも…仕事が…」
「仕事は少しは入るけどさ。旅行に行く間は空けてもらったよ?もちろん有能なマネージャーにね?」
俺が澄ました顔でそう言えばもプっと噴出した。
「ジョーさん、本当に大変ね?レオのマネージャーするのも」
「あれ…そういうこと言っちゃう?ぜーんぶの為なんだけどな?」
俺がそう言って頬にチュっとキスをするとが嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう…。でも…無理しないでね?私は…こうしてレオと一緒にいれるだけで幸せだから…」
「…。俺もだよ…?」
俺はを抱きしめて頭に口付け、そのままをベッドの上に押し倒した。
「レ、レオ…?」
「今日から…ずっと一緒だよ…?もう…離さない。神の前で言った言葉の通り…覚悟しててね?」
俺がそう言うとは涙を浮かべて頷いた。
そっとの瞼に口付けそのまま唇にも口付けるとちょっと顔を上げての顔を見つめた。
「…」
「…ん?」
「引越したら…犬でも飼おうか…?」
「え?いいの…?」
「俺が仕事でいない時とか…一人だと寂しいだろ?だから…大きいの飼おう」
俺がそう言ってニッコリ微笑むと、も嬉しそうに微笑んだ。
「明日…ペットショップめぐりもしよう…」
俺はそう言うとの唇を、もう一度塞いだ―
「ワン!!」
「な、何だよ、この犬!」
目の前の子犬を見てトビーが驚いている。
「あらまあ…可愛いじゃないの!」
「だろ?こいつ見てが一目惚れしちゃってさ。血統はあまり良くないけど間抜けな顔が可愛いからつい買って来ちゃったんだ」
俺は引越しの手伝いに来た母さんに紅茶を出しながら説明した。
母さんも大の動物好きで子犬を抱っこして頬ずりしている。
「ほんと間抜けな顔が可愛いわ~!この子、ラブラドールね?」
「そうだよ。黒いのこいつ一匹しかいなくてさ?」
「ん~!可愛い。私も犬がほしくなっちゃったわ?」
母さんは子犬を抱きしめてキスをしまくっている。
そこにが顔を出した。
「あ、お義母さん、トビーいらっしゃいませ」
「あ、ハニ~~!!久し振り!会いたかったよ~!」
「ストープッ!!!トビー、それ以上、に近づくな!」
「ぶぅ。何でだよっ」
に走り寄ろうとしたトビーを制止するとトビーは口を尖らせた。
「何でっては俺の!奥さんだからだよ!お前のハニーじゃないだろ?!」
「何だよ。そのうち俺のハニーになるかもしれないだろ!」
「ならないよ!!!!」
「む…っ」
「ちょ、ちょっと二人とも…大きな声出さないで…。ジャックが驚いてるわ?」
「へ?ジャック?」
の言葉にトビーが目を丸くした。
俺は苦笑しながら、
「その子犬の名前だよ。が、どうしてもジャックってつけたいって言うからさ?」
と肩を竦めれば、母さんも苦笑している。
「そう~。お前はジャックなの~。じゃあ、お嫁さんを貰えばローズになるのかな~?」
「おい、母さん…。まだ、そいつにお嫁さんは早いだろ?3ヶ月だぞ?」
「あら、いいじゃない。今のうちから、お見合いさせるのもいいわよ~」
「いいよ!それより手伝いに来たんだろ?」
俺はソファーを立ち上がると、二人を見た。
「あ、そうだった!すっかり忘れてたわ?」
「ほーんと。新居見に来たついでに手伝いに来たんだよね?レオママ」
「おい…手伝いは、ついでかよ…っ」
俺は目を細めてトビーを睨んだ。
「だって、もう片付いてるじゃん!どこを手伝うのさ?」
「別にいいよ!逆にトビーにやられたら散らかりそうだ…」
「何ぉう?」
「こら、トビー。大人しく座って。じゃあ、掃除とかは?」
母さんが子犬を下ろし立ち上がる。
「あ、でも殆ど終ってますから…。業者の人が全てやってくれてて…」
「あら、そう…。残念。 ―ま、どうせレオが勝手に手配したんでしょうけど?」
母さんはそう言って俺の方をチラっと見た。
「まぁね。一人でこんな広い家掃除させるの可愛そうだろ?それに母さんたちだって来るかどうかも解らなかったのにさ」
「あら、随分ね!ちゃんと来たでしょ?こうしてトビーと二人で!」
「だってもう夕方の3時だよ…?」
俺が半目でそう言えば母さんも咳払いなんかして視線を泳がせている。
「ま、まあ、でも本当に素敵な家じゃない!海も近くて静かだし…環境もいいわ?」
「ほーんと!俺も、この辺に住みたいなぁ…。買っちゃおうかな~」
「バ…やめろよ?俺はお前とご近所なんかになりたくないからな?!」
俺は慌ててそう言うとトビーがニヤリと笑った。
「そう言われると来たくなっちゃうんだよなぁ~。レオがロケでいない間は、俺、代わりに旦那の役やってあげても…ぐぇっ!」
「そういうこと言うのはこの口かぁ?あぁん?!」
「いででっ。い、痛ひよぅ。レホ…っっ」
俺はトビーの口の横を思い切り真横に(!)引っ張ってやった。
「の旦那は俺だけで充分だっ」
「わ、わきゃったから…っ離ひて…っ」
あまりにトビーが暴れるので俺は手を離してやった。
「ひ、酷いよ!俳優の顔を!オファー来なくなったらどうしてくれんだ?!」
「そんなの知るか!ずっとスパイダーマンマスクでも被ってろ!」
「う~わ、やな感じだよねぇ?ちゃんの旦那って!どう?俺と愛人契約、結ばない?」
「えっ?!」
「トビーーっっ!!!」
「ギャ.…ッ!」
俺はトビーのアホな発言を聞いて飛び蹴りを食らわせてやった.…
「ジャック~おいで~!」
がビーチを走りながら子犬を呼んでいる。
俺はノンビリ歩きながらと子犬が遊んでいる姿を眺めていた。
今は夕方でビーチには人もいない。
暗くなる前に犬の散歩でも…とと二人で家を出てきた。
母さんは今日は手伝えなかったお詫びにと夕飯を作ってくれている。
それにトビーは強制的に家に置いてきていた(!)
(絶好の散歩コースだな…)
そんな風に思いながら真っ黒な塊が尾を振っての方に走って行くのを見ていた。
だが子犬は砂に足をとられたのか、前のめりにつんのめって顔面をぶつけている。
それを見て俺はプっと噴出した。
「どんくさい奴…。さすが安かっただけあるな…」
俺は苦笑しながらゆっくり歩いて近くに腰を下ろした。
見れば子犬は顔が砂だらけになり、ブルルルと顔を振って砂を払っている。
それを見ても大笑いしていた。
のあんな笑顔は久し振りだ。
前はよく大口開けてああやって笑っていたっけ…
まあ、俺の前では怒ってばかりだったけど…時折、見せてくれたあの笑顔に俺は何度も嬉しくなったのを覚えてる。
出会いは最悪…
でも俺は…いつしか彼女に恋をした。
今まで出会った事のない気の強いに俺は何度も怒られ殴られた。
でも彼女はそんな中でも俺の本当の姿を見抜いてくれていた。
それが凄く嬉しかったっけ…
そのと…今は無事に結婚して…二人でいる。
運命…なんてくさい事は言いたくないけど…
もし、あの夜、怪我をしてあの病院に行かなければに会う事はなかったんだろう。
いや…別の出会い方をしてたかもしれないな…
本当に、俺達の出会いが運命だったなら。
俺はそんな事を考えながらボーっとしていた。
それがいけなかった。
あの子犬がの手を離れ、俺の方に真っ直ぐ突進してきている事を俺は気付かなかった。
物凄く近くで、「ワン!」 と吠える声が聞こえ、ギョっとして顔を向けた時…
「う…っっ」
視界に真っ黒な物体が飛び掛ってきたのだけがしっかりと映り、気付けば俺は倒れていてベロベロと顔を舐められていた…
「うえ…口にまで砂が入ったよ…」
「大丈夫?」
「うん、まあ…多少、ジャリジャリするくらい…かな?」
俺は苦笑しながら髪の毛についた砂を払って微笑んだ。
「ワン!」
「ワンじゃないよ、お前は~!」
俺は苦笑しながらの腕の中に抱かれている子犬の頭をツンと突付いた。
それが嬉しかったのか子犬は身を乗り出し舌をヘッヘっと出してまた舐めようとする。
「うぁ、もう、それはいいから!」
「アハハっ。レオ、子犬に弱かったのね?」
「い、いや…犬は大好きだけどさ。こいつ予測つかない動きするだろ?不意打ちくらうとほんと驚くって」
俺は笑いながら家のドアを開けた。
そのままリビングに行くと…
「ただいま~」
「おぉ、お帰り!」
「ジョー?!な、何して…」
俺はリビングのソファーにジョーが座っているのを見て驚いた。
「ああ、いや。明後日、雑誌のインタビューが入ってな?それを知らせに…」
「電話でいいよ!いちいち来るなって!」
俺は思い切り顔を顰めるとキッチンからトビーが顔を出した。
「あれ?レオ、お帰り~!」
「お前、何してんの…?」
「何って、ジョーに紅茶を出してさしてあげ…さしあげてんだろ?解んないの?」
「噛むなら使うな、そんな変な丁寧語.…。それよりお前、それ…」
「あ…私のエプロン…」
「あ、これ?ちょっとレオママの手伝いしたから借りちゃったんだっ。可愛い?」
「可愛いわけねーだろ!早く外せ!それ俺が選んであげたエプロンだぞ?お前に着せる為に買ったわけじゃ…」
「まぁまぁ!いいじゃない!ね?ハニー」
「う、うん.…」
は困った顔で俺を見上げた。
俺は思い切り溜息をついての腕の中から子犬を受け取るとそのまま子犬をトビーの顔の前に差し出した。
「な、何だよ、レオ…俺にこいつの頭撫でろって…ぅわっぷ…っっ」
お約束通り、獲物(!)が目の前に見えた子犬は尻尾をブンブン振りながら舌でトビーの顔面をベロベロと舐め出した…
「うあぁ、く、くさ…!ちょ、やめろって、お前~~!!」
トビーは堪らず逃げ出し、洗面所まで走って行った。
俺は子犬を下ろすと、
「こいつ案外、使い道あるな…。俺もちょっと顔洗ってくるよ」
と呆気に取られた顔をしているの頬にチュっとキスをしてリビングを出て行った―
「いーただきまーす!」
「いただきます」
それぞれ席につき、母さんが張り切って作った料理を食べ始めた。
「どうでもいいけど…何でジョーまでいるわけ…?」
「まあまあ、いいじゃない!食卓は沢山いて楽しい方が…」
「トビー、お前は黙れ…」
「はい…っ」
俺が軽く睨むとトビーは素直に返事をして黙って食べ始めた。
「ったく…。引越して早々、何で皆で食事してるんだか…」
「あら、二人きりでちゃんの手料理食べたかったとか?」
「当たり前だろ?俺達、まだ新婚だよ?結婚して二週間だよ?解るだろ?それくらい!」
「あ、あのレオ…」
俺がムキになって怒ってると隣に座っていたが俺の腕を引っ張って来た。
困った顔で俺を見上げる顔が胸がギューっとなるほどに可愛らしく、俺は思わずチュっと音を立ててキスをしてしまった。
「レ、レオ…っ」
「好きだよ、。ほんと可愛い」
「………っっっ」
俺がニコニコしながらそう言うとは一気に耳まで赤くなってしまった。
ニヤニヤ見てる俺の母親と、シラケ気味に半目状態で見ているトビー&ジョー(何かのコンビ名みたいだな)は軽く無視した。
「いいわねぇ。私も自分の新婚時代を思い出すわ?」
「どうせ父さんとはすぐ別れただろ?」
「む…っ」
母さんの言葉に俺はステーキを切り分けながらそう言えば子供みたいに口を尖らせている。
「何よ、この子ったら。顔は私に似て男前(!)だけど、その皮肉屋な性格はパパそっくりねっ」
「はいはい。父さんも母さんのマイペースぶりには泣かされてたんだろ?たまに会うと未だに愚痴ってるよ」
「まあ、ジョージが?!何て言ってるの?あの男!あの人の方が奔放すぎるのよ!ほんと陽気なイタリアンって感じよ?!」
「母さんは我が道を行くドイツ人だろ?変わんないよ…二人してさ…」
俺は呆れて肩を竦めた。
するとが目をパチクリとしながら俺を見ている。
「ん?どうしたの?そんな可愛い顔で俺を見つめて。またキスして欲しいの?」
「ち、ちが…っ」
俺の言葉に真っ赤になりつつ、あたふたと手を振るが可愛くて素早く頬に口付けた。
「も、もう…レオ…っ」
「頬にくらいいいじゃん…。これでも我慢したんだって」
俺が笑いながらそう言うとはまたしても俯いてしまった。
「ごめん、ごめん。で…どうしたの?」
「え?あ…あ、あのね…。私…レオがハーフって知らなかったの」
「ああ、そうなの?まあ、俺はハリウッド育ちだからね。でも、そうだなぁ…ハーフなんだよな、俺って」
「感謝しなさい?この私の美貌があってそんなに男前に育ったんだから」
「へいへい…。自分で、よく言うよ、ほんと…」
俺は母さんの言葉に苦笑しながらステーキを食べ始めた。
「いや~でも、料理上手ですねっ。こりゃ美味しいですよ」
「あら、ジョーさん、ありがとう!」
母さんは誉められて嬉しそうに微笑んでいる。
「おい、ジョー…。そんなに寂しいなら早く恋人の一人や二人見つけろよ…。こんな風に新婚家庭に食べに来るな」
「おい、俺はお前と違って二人も恋人はいらんぞっ」
「バ…っ!だ、だから、そういうこと言うなって言ってるだろ?!ったく、この間から母さんと言い…勘弁してくれよ…っ
、ジョーの言う事は信じないでね?ぜーんぶ大げさに話してるだけだからっ」
俺が慌ててそう言うとは少しだけ頬を脹らませている。
「…?」
「もぉ…レオ、二股なんてかけてたの?」
「か、かけてないよ!」
「アハハっ。少しだけかぶったのいただろ?」
「トビーーーっっ!!」
「…ごめんなさい…」
俺は変な汗が出てきてトビーを睨んだ。
「…嘘だから…。ま、まあ…過去に、少しだけだぶった子もいたけど、それは…」
「もういいもん」
「えぇ?も、もういいって…」
「過去の事は、もういいの。これから浮気したらすぐジャック連れて家に帰るんだから」
はそう言ってサラダを頬張っている。
「そ、そんな事するわけないだろ?俺は浮気なんて絶対しないよっ」
「アッハッハっ。怪しいもんだな」
「ジョーは黙ってろよ.…っっ!!」
「…ラジャ」
目を吊り上げてジョーに凄むとジョーも大人しくワインを飲みだした。
「…俺が浮気するとか思ってるの?」
俺はナイフをテーブルに置いての方を見た。
するとはチラっと俺を上目遣いで見て小さく首を振った。
その仕草が可愛くて俺はギューっとを抱きしめながら、
「さえいてくれれば俺は何もいらないよ?」
と言った。
「おぉー!またプロポーズしてるぞ?!アハハハっ」
ゴンっ
「ぃたぁっ」
俺はバカ笑いしているジョーめがけてスープ用のスプーンを投げつけた。
「痛いじゃないかっ」
「ジョーがうるさいからだろ?!ったく、お邪魔虫のクセに!家の前にゴキブリホイホイしかけるぞ?!」
「俺はゴキブリか!」
「そっくりだろ?油でテカってるとこなんかっ!」
「何だとぉう?!俺はあんなに黒光りしてないぞ?!ちょーーっと美形だからって威張るなよぉう!」
「威張ってないよ!」
俺とジョーが低次元な言い合いをしている間、は母さんの作ったワインのカクテルを飲んで、
「美味しい!これ何ですか?」
と呑気にレシピを聞いている。
「これはサングリアと言ってワインに色々なフルーツを漬け込むだけでいいのよ?バナナとかグレープフルーツとかリンゴとか…
あとは少しだけガムシロップを入れるだけでできるわ?今度作ってみたら?」
「はい。作ってみます!」
は嬉しそうに微笑んでそのサングリアなるカクテルを飲んでいる。
俺はジョーの相手も疲れ果て思い切り溜息をついた。
まだギャーギャーと昔の事を持ち出しては文句を言っている。
(いったい、どれだけの年数を溜め込んでいるのだろうか…)
俺は新婚生活を平和に過ごしたいだけなのに…
結婚前に感じた未来への不安は、きっとこのお邪魔虫たちのせいなんだ…と何だか納得した夜だった…。
「あ~もう疲れたよ…」
俺はリビングのソファーに寝転がってボソっと呟いた。
そこにが冷えた白ワインを持ってきてくれる。
「お疲れ様、。はい」
「あ、ありがとう」
がグラスにワインを注いでくれて、俺はそれを一口飲んで息をついた。
「はぁ~…やっと二人きりになれたっ」
そう言っての頬にチュっとキスをする。
「ワン!!」
「ああ、お前もいたな、そう言えば…」
振り向けば、尻尾をぶんぶん振りながらへっへと舌を出してニコニコ(?)しているジャックを見て俺は苦笑した。
「この子にして良かったね?性格がほんと可愛いの」
はそう言ってジャックを抱き上げると俺の隣に座った。
が隣に来てくれたのは嬉しいが腕の中にいるジャックが瞳をウルウルさせて俺を見つめているのが多少気になる…。
ほんとはくっつきたいのに俺は仕方なく、少しだけから離れると、
「こいつ、何か芸とか覚えるかな?調教師とか雇わないと…」
「そうねぇ…。犬は猫と違って、仕付けないとトイレも覚えないし…ちゃんとプロに任せた方がいいみたいね?」
「それより…つい、こいつ買っちゃったけど旅行行くときはどうする?母さんに預けようか」
「そうね…。それ考えてなかった」
がクスクス笑いながらジャックの頭を撫でている。
ジャックは嬉しいのか更に尻尾をブンブン振り回し、の顔を舐めようと顔を近づけている。
「ほんと、お前は舐めるの好きね?ちょっとは加減してよ」
はそう言いながら苦笑しているが俺はそれを聞いて、
「俺も舐めるの好きなんだけどなぁ~」
との方に顔を寄せ、彼女の耳たぶをペロっと舐めて甘噛みした。
「レ、レオ…?」
案の定、は真っ赤な顔で俺を見て口をパクパクさせている。
俺はちょっと微笑んでそっと顔を近づけるとの唇に口付けた。
「ん…」
そのまま優しく触れながら少しづつ求めるような口付けに変えていき、そっと舌を忍ばせようとしたその時…
ベロリ…
「う.…っ」
俺の頬にネットリとした感触があり慌てて唇を離し視線を向けた。
「うぁ…っ」
「八…ッハ…っハ…」
「…ジャック…っ」
俺の目の前にヌっと現れたのはどこに目があるんだか一瞬、解らない真っ黒なジャックの顔だった…
だがキラキラしてるのが瞳とわかり、それも何だか"俺も仲間に入れてくれ光線"を発揮している気がする。
「ったく…お前まで、お邪魔虫なの…?勘弁してくれよ…」
クスクスと笑っているに対し、俺は本当に力が抜けてそのままソファーに寝転がったのだった。
この先の新婚生活に少し不安を覚えたのは俺だけだろうか…
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はい~レオ夢、番外編で御座います(笑)
くだらなくて、すみません^^;
何だか、レオの不幸を描いただけのような新婚生活ですね(笑)
こんな感じで番外編を書いて行くと思います。
本日も皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて...
【C-MOON...管理人:HANAZO】
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