Celebrity......Love only of ten days












『じゃあ行って来ます』

『おう!次は玉の輿に乗って帰って来い!』

『お、お父さん!!』




11月7日、日本に帰国して8日目。


私はこの日、レオ達と一緒に再び東京へと戻る事にした。




でもその後の事に関して言えば・・・・まだ答えは出ていない―



















The eighth day... Dream...






「で・・・何でここ?」

車を下りて目が半目になった。
レオに連れて来られた場所。
そこは都内多摩市内の山林の中だった。

「今日はパァっと遊ぼうって言ったろ?」

レオはそう言ってう~んと腕を伸ばし景色を眺めている。
だが私は思い切り溜息をついた。

「ええ、そうね・・・。"楽しみにしてて"、ともね。でも・・・こんなとこで何をしろと?」

ジロっと睨めばレオは人差し指を私に向けて、「BAN!」と言うとニヤリと笑った。

「サバイバルゲームだよ」
「は?」
「ほら、ちょっと体、動かすのもいいと思ってさ」

レオは楽しそうに笑うと唖然としている私の手を引いて衣装レンタル屋へと向かったのだった。







数時間後・・・・・・・・







「ぎゃあああぁぁ!」

私はお尻にエアソフトガンなるものを当てられ、あまりの痛さに絶叫した!

「い、痛い・・・!」

涙目になりつつ木々の間を走り抜け、大きな大木へと隠れて座る。
向こうでは沢山の人達がパンパンっと撃ちあいをしていて銃の発射される音が時折聞こえて来ていた。

「はあー!あんな場慣れしてる人だとキツイわよっ」」

お尻を擦りながらブツブツ文句を言って思い切り溜息をついた。
レオがやろうと言ったサバイバルゲームとは、ぶっちゃけて言えば"戦争ごっこ"。
武装してソフトエアガンなるもので敵を撃っていき、相手のフラッグを取れば勝ち。
という、まあ男の子とかが大好きなゲームだ。
女の私からしてみるとはっきり言って何が楽しいのか分からない、なんて思っていた。
でもまあ私もゲームセンターでやるシューティングゲームは好きだったし
このサバイバルゲームなるものもやってみると以外に面白かったのだが・・・

「つ、疲れた・・・」

夕べはあのまま悶々として眠れなかった。
何で今頃コリーが電話してきたんだろう、とか考えつつイライラして結局、朝方に寝付いたもののすぐに起こされ長い移動。
で、ついた先がこんな山林地帯で、あげく自衛隊みたいな衣装を着せられ走らされ・・・数時間。
(一体何ゲームやれば気が済むの!)
こうして痛い思いをしているわけだ。
おかげでコリーの事とかウダウダ考えてる暇がない。

(それはそれで助かるんだけど・・・)

『はぁ・・・レオの奴ぅ・・・。あんたは子供かーッ!』

日本語でそう叫んで大木から顔を出す。
レオはきっと近くで撃ちあいなんてものをしてるんだろう。

"一度やってみたかったんだ"

なんて笑ってたレオはさっきから連勝している。
彼曰く"バスケをしてたのでこんな風に体を動かすのが好き"なんだそうで、まあ楽しそうに参加してるようだ。

(でも、これがスポーツなんて私は認めないわっ)

で、私はというと迷彩服に身を包んだ"昼は普通にサラリーマン"なオッサンに撃たれては逃げ回るだけで精一杯。
フラッグを奪うなんて到底無理な話だ。
それにそろそろ体力にも限界が来ていた。

「はぁ・・・もう夕方だし終りそうね。先に戻ってよ・・・」

時計を見て溜息をつくと私はオモチャの銃を肩に担ぎフラフラと大木の陰から立ち上がった。


――と、その瞬間。


パン!という音がしたと思ったら私の後頭部に衝撃が走り―私はそのままその場にひっくり返ってしまった。















「あはは・・・最高!」
「笑い事じゃない!」
「あはは・・・!だってさぁ~!撃たれたからって相手をふんづかまえて蹴り入れるって、、ほんとに女か?!」
「むっ!」

ゲラゲラ笑い転げているレオをジロっと睨みつける。
そんな私達を見ながらジェームズ、そしてザンとマーカスも苦笑いを浮かべていた。

「まあまあ・・・レオも悪いぞ?女の子をそんなゲームに引っ張り出すなんて」
「そう?だって楽しいと思ったんだよ。あんな風に体動かすのもいいだろ?」

レオはやっと笑うのをやめると済ました顔でワインを口に運んだ。
今はすでに東京のホテル。
こっちに着いた時には夜の7時になっており、すぐに前と同じホテルにチェックインしたのだ。
そしてお腹が空いたので皆でホテル内にあるイタリアンレストランへとやってきて今は食事の最中だった。

「もうレオなんて信じないわ!」
「まあまあ、いいだろ?だって途中から結構、楽しんでたじゃん」
「そ、そりゃまあ・・・。だけど!最後のあのオジサンの一撃でぜーんぜん楽しくなかった!タンコブ出来たんだから!」
「でもも蹴りいれたんだからおあいこだろ?」
「むぅ・・・」

再び笑いながらそんな事を言ってくるレオに私は頬を膨らませた。
彼が大笑いしているのは、さっき帰ろうとした私の頭にあのソフトエアガンが当たりあまりの痛さに私が激怒したからだ。
最初から頭を狙ったわけじゃないみたいだったけど疲れてる上に痛いと来ては私もついついカーーっとなって、
その撃ってきたオジサンを追いかけ、ふんづかまえてお尻を蹴飛ばしてやった。
それにはオジサンも、「ぎゃぁぁ!」なんて声をあげるものだから近くにいたレオや、
他の参加者の人達が集まってきちゃって困ってしまったのだが・・・。
まあ、でもオジサンも特に怒った様子もなく、「ごめんね」なんて言ってきたからいいけど、
レオは私がオジサンに蹴りを入れたと知ると大爆笑しだして、未だそれを引きずってるようだ。

(時折、私と目が合うと、「ぷっ」なんて噴出してるんだから最悪だわ、ほんとに!)


「ジェームズ達もやれば良かったのにさ~」
「いやいや・・・私はごめんだよ・・・」

ジェームズはレオの言葉に苦笑を洩らし軽く首を振っている。
彼は私達が山林を駆け回っている間、ザン達と近くの映画館で映画鑑賞をしていたようだ。

「あんなの子供がやるのかと思ったら大人もいたから驚いたのよ?」

私がジェームズにそう言うと彼は静かに笑った。

「まあ、大人になってもそういう遊びが好きな人もいるさ」
「そうそう。ま、あれは男の遊びだね」
「じゃあ私を誘わないでよねっ」
「いやはさ、ああいうの好きかなーって思ってね」
「何よ、それ!私が男みたいだって言いたいわけっ?」 (オジサン蹴っておいて言うのも何だけど)

私が怒るとレオは楽しげな笑顔を見せてパスタを口に放り込んだ。
全くどこまでつかめない男なんだ、この男は。

私は一人で怒っているのもアホくさくなり、後は料理に集中したのだった。












「はぁ・・・サッパリ」

髪を拭きながらバスルームから出てソファに座るとホっと息をついた。
フカフカのソファが心地よくてこのまま眠ってしまいそうだ。
今回、泊まる時にも普通の部屋で十分だ、と言ったのに、ジェームズはまたしても豪華な部屋を借りてくれた。
なので再び、この広い部屋で私は一人泊まる事になる。

「あと二日か・・・」

ふと時計を見てそんな言葉が洩れる。
今日もすでに夜中で、あと一時間くらいすれば日付も変わる。
レオが帰国する9日まで残り二日となってしまうのだ。

「何だか・・・アっと言う間だったな、今日も・・・」

ソファにゴロンと横になり息を吐き出した。
今日のレオはあの話は一切しなかった。
本当に私が決めるまで待ってくれているのかもしれない。

「あ・・・そうだ・・・」

ふと思い出し携帯をバッグから出す。
レストランに入る際にマナーモードにしておいたのだ。
だがディスプレイを見てもコリーからの着信はなかった。

「ったく・・・。一度かけてきたんなら後からもかけて来なさいよねっ」

文句を呟き携帯を閉じると私は仰向けに寝転がり目を瞑った。
お腹もいっぱいの上に寝不足の体で昼間あんなに走り回ったからか、目を閉じると一気に睡魔が襲ってくる。

(ああ・・・ダメダメ、こんなとこで寝ちゃ・・・風邪引いちゃうよ・・・)

そう思いつつも体が動かない。
私はあと数秒で深い眠りに落ちるところだった。
が、その時、いきなり電話の音が部屋中に響き渡った。




RRRRRRR・・・・・・RRRRRR・・・・・・RRRRRR・・・・・・




「ん・・・ぅるさい・・・」

意識が遠のきそうだったところへ突然やかましい音が聞こえ、私は一瞬で現実に引き戻された。
だが電話の音だと分かり、慌ててテーブルに置いた携帯へと手を伸ばす。

「Hello?!」




RRRRRRR・・・・・・RRRRRR・・・・・・RRRRRR・・・・・・




「ぁれ・・・?」

電話に出たのにまだ鳴ってる・・・と思った。
が、鳴っているのは携帯じゃなく部屋の電話だ、と気づき私はすぐにソファから立ち上がる。

「もう・・・何なのよ・・・」

ブツブツ言いながら部屋の受話器を上げる。

「Hello?」
『あ、?』
「・・・やっぱりレオ・・・何の用?」

思った通りの人から電話で私は大欠伸をしつつ目を擦った。
そんな私にレオは受話器の向こうで苦笑している。

『今日はパァっと遊ぼうって言っただろ?まだ寝るには早いよ、
「は・・・?!もう十分に遊んだでしょ?」

レオの言葉に驚いて一気に目が冷めた私は呆れてそう言い返した。

『あれは単なる寄り道であってメインじゃないよ』
「な・・・メインじゃないって・・・だって、もう夜中の11時になるよ?今から遊ぶとこなんてクラブくらいしか・・・」

時計を見ながらそう言うとレオは楽しげに、『そんなとこは行かないよ』と笑って、

と一緒に行きたい場所があるんだ』

と言葉を続けた。
だが私は昼間のことで懲りたので軽く溜息をついて、

「嫌よ、行かない」
『え?何で?』
「どうせレオの事だからまた変な場所に連れていく気でしょ」
『Hey~!そんな事ないって!楽しいって保証する!』

私の言葉にレオは困ったような声を上げた。
それには私もちょっとだけ笑ってしまった。

「楽しいとこって?こんな夜中なのに、どこに連れて行きたいの?」
『それは行ってからのお楽しみ!先に言っちゃ感動も薄れるだろ?』
「感動って・・・」
『とにかく!時間ないから今から用意して!10分後に部屋に行くから!』
「え?ちょ、ちょっとレオ―!」


ブツ・・・ッツーツーツー


「き、切れちゃった・・・」

言いたい事だけ言って切ったレオに唖然とし、私は受話器を置いた。
そして時計を見て眉を寄せる。

「今すぐ用意しろ?もぉー・・・いったい何なのよ・・・!」

そう文句を言いつつ、私はクローゼットを開けると素早く着替えて濡れたままの髪も簡単に乾かした。
そして薄くだが軽くメイクをしていると―



キンコーン



「はぁ・・・相変わらず早いんだから・・・」



チャイムの音が聞こえて来て、私は急いでコートを羽織ったのだった。




















「ここ・・・」

来た事ないだろ?」


車を下りてレオは笑顔でそう言った。
私は目の前の建物を見て唖然としたまま彼を見る。

「ないわ・・・?で、でもこんな夜中に―」

そう言いかけたその時、急に辺りが明るくなって音楽が流れてきた。

「ほら、行こう」
「ちょ、ちょっとレオ!勝手に入っていいの・・・?」
「もちろん。だって、ここは俺が貸しきったんだからね」
「・・・はあ?!」

彼の言葉に私はすっかり眠気も吹き飛んでしまった。


先ほどホテルから連れ出され、映画会社の人が運転するワゴンに乗せられた。
こんな夜にどこに行くのかと何度もレオに尋ねたが、彼は「行ってからのお楽しみ!」としか言ってくれなかった。
そして車はだんだん都心から離れて行き、更にあの有名なレインボーブリッジを通過。
窓の外を見て私はかなり驚いたのだった。


ついた先は某テレビ局がある事でも有名な港区お台場。
そして今まさに私とレオが足を踏み入れたのが―






「東京ジョイポリスへようこそ!」






中へ入るとにこやかな顔で館内のスタッフが私達を出迎えてくれた。
私は何が何だかサッパリ分からなくて唖然としたまま彼らを眺める。
するとレオが私の顔を覗き込んで得意げにニヤっと笑った。

「どう?ビックリした?」
「な・・・何よ、これ!そ、それと、ここを貸し切ったって―」
「だからと遊ぼうと思ってさ。ほんとは普通に来ても良かったんだけど他の客が混乱するからって貸し切りになったんだ」
「えぇ?」

レオの言葉に心底、驚いた。
いや彼はハリウッドスターで間違いなくセレブなんだし、どんな場所でも貸し切りに出来ちゃうのかもしれない。
でも遊園地を貸しきったんだ、なんて目の前で見せられちゃ誰だって驚くわ!

未だ状況がつかめていない私をよそにレオはどんなアトラクションがあるのかを館内マップを呑気に眺め出した。
そして気に入ったのがあったのか指をパチンっと鳴らし、「まずはこれだな」なんて呟いている。


「ほら、行こうよ」
「あ、う、うん・・・」


レオは自然に私の手を繋いだ。
それには一瞬ドキっとしてしまう。

こんな日本人がいる中で手なんて繋いでいいのかな・・・
ほら、あのスタッフの人だって興味津々な顔で私を見ている。
でも・・・そりゃそうよね・・・
こんな夜中にレオナルド・ディカプリオが貸し切りにしたってだけできっと騒いでたんだろうし、それが女連れで来たとなれば・・・
誰だって興味が湧くだろう。
しかも相手が日本人の女となれば・・・もっと驚くだろうし。
こんなに堂々としてて大丈夫なのかな・・・

その事が気になり私はふと足を止めた。
するとレオが驚いたように私を見る。

「何?どうした?」
「えっと・・・だから・・・」

何て言おうかと考えているとレオは心配そうな顔で私の顔を覗き込んできた。

「もしかして・・・、こういうの嫌いだった?」
「え?ち、違うの、そうじゃなくて―」

レオの悲しげな顔に私は慌てて首を振った。

「えっとだから・・・こんな人前で手なんか繋いでたら・・・まずいんじゃないの?」
「え?どうして?」
「どうしてって・・・だってレオは有名人じゃない」
「そんなの関係ないよ。それに誰に見られたっていいからこうしてるんだ。ほら、それより早く乗ろう」

レオはちょっと微笑むと私の手を引っ張り"ワイルドリバースプラッシュ"というアトラクションの前まで歩いて行った。
そこはゴムボートのような乗り物に乗って目の前のスクリーンに映し出される景色を楽しむといったものらしい。
それに二人で乗り込むとスタッフの人がすぐにそれを動かしてくれた。

「わ・・・凄いリアル!ほんとに川の中にいるみたい・・・」
「Wow!凄いな、これ!」
「キャ・・・ッ」
「わ・・・!結構、揺れるな・・・、ちゃんと掴まって」
「う、うん・・・」

ボートが大きく揺れたりするので私は必死に手すりのようなものに掴まった。
ガタガタ、グラグラと揺れるボートは本当に激流に飲まれたかのようで少しだけ怖くなってきた。

「ちょ、ちょっと怖いね、これ・・・」
「そう?楽しいだろ?ぅわっ」
「キャっ」

ボートはどんどん流されて行き、大きな岩石にぶつかった。(実際にではなくスクリーンにそう映っている)
その瞬間、ボートが激しく傾き、再び川に流され始め、実際に体験してるかのように手に汗が浮かぶ。
隣のレオを見れば彼は何だか楽しそうにしていて時々意味もなく笑ったりしている。

「うあ、凄いよ、!前に滝がある!」
「え・・・わ・・・お、落ちるんじゃない?!」
「本当に落ちるわけじゃないって!」

一人慌ててる私にレオは笑いながらそう言うと、そっと手すりに掴まってる私の手に自分の手を重ねてきた。
ドキっとして顔を上げるとレオが優しく微笑んでくれる。

「ぶつからないように気をつけて」
「う、うん・・・」

ギュっと強く握られた手の温もりに照れくさくなり、私はレオから視線を反らし、目の前のスクリーンを見た。
と、その時、スクリーンには滝へとまっ逆さまに落ちていく映像が映っていた。


「キャ・・・キャァァァァ!」


「Wow!」


本当に落ちているワケじゃないが実際には乗り物も動いているのだ。
スクリーンの映像に合わせてボートは前に傾き、私はギュっと目を瞑った。
スクリーンには滝ツボが映っていて本当に落ちていく感じがするのだ。
その時、ガクンっと音がしてボートが平らな状態へと戻った感じがした。

「お、終った?」
「ああ、もう最高!すっごい面白いよ、これ!」
「の、呑気ね、レオは!怖くないわけ?」

パっと目を開けてレオを見れば彼は楽しそうに笑いながら、不意に私の肩を抱き寄せた。

と一緒だし何でも楽しいよ」
「な・・・何言ってんのよ・・・っ」
は楽しくない?」
「・・・そ、そりゃ・・・楽しいけど・・・」
「なら良かった」

レオは嬉しそうに笑ってそう言うといきなり私の頬にチュっとキスをした。
それにはギョっとして彼から離れる。

「何して・・・っ」
「だって好きな子が隣にいたら誰だってキスくらいしたくなるよ」
「―――ッ」

サラリとそんな事を言うレオに私は一瞬で顔が赤くなってしまった。
彼と会ってから私はずっとこんな調子だ。
いつもレオに振り回されてばかり・・・

「あー終っちゃった」

やっとアトラクションが終わり、ボートの揺れが収まった。
私はすでにグッタリしてベルトを外すと頭を項垂れ息を吐き出す。
だがレオはすぐに腕を引っ張り、「ほら次、行こう、次!」なんて言っている。


私は少し休みたいなんて思ったが、レオの楽しそうな顔を見てると自然と笑顔になった。















、これ撮ろう」

俺は"プリクラ"というものを見つけ、を呼んだ。
だが彼女は疲れたのかベンチに座りグッタリとジュースを飲んでいる。

「ちょっと休もうよ、レオ・・・」
「何だよ、もう疲れたの?」

俺はちょっと笑っての隣に座ると彼女の手からひょいっとジュースを奪って一口飲んだ。

「あ・・・っ」
「はあ~俺、ここ気に入ったな。また日本に来たら来よう」
「・・・レオってほんと子供みたい」
「え~?子供って・・・。普通大人だって好きだろ?こういうの」
「好きだけど・・・立て続けに怖いの乗ったらグッタリもするわよ・・・」

は呆れたように俺を見ると苦笑を浮かべて肩を竦めた。
それでも俺は彼女とこんな風に時間を忘れて楽しい時間を過ごしたかったんだ。

そう、俺は今、かなり浮かれてるはずだ。

もう残り一日しかない。
明日、いや・・・もう今日か。
今日と・・・明日も昼間はいるけど夜にはもう帰らなければいけない。
それまでの時間はと二人で過ごしたいと思ったんだ。
もったいなくて寝たくもなかった。

「なあ、。あれ一緒に撮ろう」
「え?ああ、プリクラ?レオ、あんなの撮りたいの?」
「だって凄いじゃん。写真かと思えばシールになって出て来るんだろ?」
「まあ、そうだけど・・・じゃあ記念に一枚撮ろうか」

そう言ってはちょっと笑うとベンチから立ち上がった。
だが俺は軽く首を振って、

「いや一枚じゃなくて全部の種類で撮ろう。さっき見たら色々あったしさ」
「えぇ?全部?そんな女子高生じゃあるまいし・・・」
「いちいちうるさい!ほら早く!」

俺はの手を取りそのプリクラなる機械の中に入って行った。
そこで二人で好きなデザインを選び、カメラの前で位置を合わせる。

「OK?じゃあ撮るわよ?」
「OK」

二人でカメラを見てが大きなボタンに指を置いた。
その瞬間を見計らい俺は顔を横に向けての頬に軽くキスをする。

「ちょ、ちょっと・・・!」
「あはは!油断大敵!ってほら、よく撮れてる」

画面に今撮った写真が映し出された。
ちゃんと奇麗に撮れていて、こうしてみても仲のいい恋人同志って感じに見える。
だがは怖い顔で俺を睨んでいた。

「全く・・・そのセクハラは直らないんだから」
「セクハラって何だよ。愛情表現だろ?」
「――っ」

俺が本心を言うとはまたしても顔を赤くしてプイっと横を向いてしまった。
そんな彼女が可愛くて俺も笑いを堪えつつ、出てきたシールを手にする。

「へえ、こんな沢山出来るんだ」
「はぁ・・・そんなのどうするの?」
「何だよ、その呆れ顔は。貼るよ?ちゃんと」

俺はそう言うと自分の携帯を出して裏にシールを一枚、貼り付けた。

「ちょ、ちょっと、そんなとこに貼るの?!」
「まぁね。これでいつでもの顔を見れる」
「・・・・・・・・・」

ちょっと笑ってそう言うとはまた恥ずかしそうに視線を反らした。
こんな事くらいで照れる彼女はやっぱり可愛い。
その後は館内を二人でブラブラ歩いて見て回った。
スタッフも気を使ってくれてるのか、乗り物に乗らない時はどこかへ行っててくれる。
俺はさり気なくの手を繋いでシーンとした廊下を歩きながら次は何を乗ろうかと考えていた。
するとがふと俺を見上げてくる。

「レオ・・・」
「ん?」
「今日は・・・ありがとう」
「え?」
「色々言ったけど・・・凄く楽しかった。ここだって来たのは初めてだったし、しかも何でも乗り放題でちょっと贅沢な気分」

はそう言って可愛く微笑むとペロっと舌を出した。
その言葉と笑顔に胸の奥が熱くなる。
そして、つい彼女をギュっと抱きしめてしまった。

「ちょ、ちょっとレオ・・・?」
「このまま・・・をアメリカまで攫って行きたい・・・」
「え・・・?」
「あと二日もないって考えると・・・凄く怖いんだ・・・」
「レオ・・・」

さっきの不安を口にした。
こんなこと言ったってを困らせるだけだって分かってる。
だけど・・・やっぱり俺の気持ちは変わらなくて・・・彼女とずっと一緒にいたくてどうしようもなくなる。
もしが恋人の元へ帰ると言えば二度とこんな風には会えないのだ。
考えれば考えるほど怖いと感じた。

暫くの体温を感じながら俺は彼女の髪に顔を埋めていた。
だがかすかにが動いたのを感じ、ゆっくり体を離す。
その時、顔を上げたと至近距離で目が合い、ドキっとした。

辺りは少し薄暗くて何の音もせず静かだ。
俺はの黒い瞳を見つめながら自然に顔を近づけていった。
一瞬、の体に力が入るのを感じたが、そのまま彼女の顎を持ち少しだけ上に向ける。
そして唇が触れそうになった、その時―





RRR・・・RRR・・・




「「―――っ!!」」





静かな廊下に携帯の着信音が響き、二人でドキっとして体を離した。

「あ・・・ご、ごめん・・・。私の携帯・・・」
「ああ・・・うん・・・」

は恥ずかしそうに視線を反らすと慌てたようにバッグから携帯を取り出した。
俺も何となく照れくさくて(こんなに照れたのってファーストキスをしようとした時以来かもしれない)彼女に背を向ける。
は相手も確めず、すぐに電話に出たようだった。




「Hello? ――ッ!」

「・・・・・・?」




一瞬、彼女が息を呑むのが分かり、俺はゆっくり振り向いた。
は驚いたような顔で、俺に視線を向けると気まずそうに相手の名前を口にした。







「コリー・・・?」



「―――ッ?」







ロスにいる恋人だ、とすぐに分かった。
は困ったような顔で俺から少し離れると小さな声で話している。

「・・・うん・・・えっと・・・今はまずいの・・・。うん・・・え?ど、どうして・・・?」

少し動揺したような声で話すの声が俺の耳にも届く。
その度に走る胸の痛みに俺は顔を顰めた。
今までは想像するだけだったの恋人が急に身近に感じたからかもしれない。


「え・・・?嘘でしょ・・・?そんなの誰が信じるのっ?」

「・・・っ」


不意にが声を荒げ、俺はドキっとして振り向いた。
だがはハっとしたようにこっちを見てから再び声を小さくする。


「と、とにかく、その事は後で―え・・・?うん・・・分かった・・・うん・・・じゃあ・・・」


はそこで電話を切った。
そして軽く息をつくと、ゆっくりと俺の方に歩いて来る。
俺は何とか笑顔を作ると聞きたくない事を口にした。


「もしかして・・・恋人から?」
「え・・・あ・・・うん・・・」
「そっか・・・。良かったな、連絡きて」
「・・・レオ・・・」


は少し悲しげな顔で俺を見上げて来る。
でも俺はやっぱり微笑むしかなくてそのままの頭にポンっと手を置いた。


「次は何乗ろっか」

「え?」

が・・・どんな答えをくれるのか分からないけどさ・・・。今は・・・二人の思い出を作りたいんだ」

「・・・・・・・・・っ」


俺がそう言うとの瞳がかすかに揺れた気がした。


「ほら。行こう?」

「う、うん・・・」


俺が笑顔で手を差し出すともやっと笑顔を見せてくれる。






その寂しげな笑顔はいつまでも俺の心に残ったままだった―



















The eighth day...


久々更新!
レオ様はこの日、実際に多摩区でサバイバルゲームに参加し、真夜中には
「東京ジョイポリス」を貸しきって遊んだそうです(゜∀゜)!!
そしてプリクラをいたく気に入り、全ての機種で撮影(笑)
その一台にサインを残し、また3Fと4Fの間の踊り場にもサインが♪
これで(97年11月7日)気に入ったのか、その後00年4月9日、
そして02年11月22日にもジョイポリスに遊びに来ました(笑)
で!02年4月4日にはレオの親友、トビーまでもが来日した際にジョイポリスを訪れています( ̄∀ ̄*)
きっとレオに勧められたに違いない!と管理人は思っております・・・ふふふ・・・レオ、ハマりすぎだっ(笑)
レオがジョイポリスに来た時の写真は此方でご覧になれます♪
さあ、二人の時間も残り二日・・・うーぬ、どうなるレオたん!(オイコラ)


日ごろの感謝を込めて…


C-MOON管理人HANAZO