From me Dear you....Catch me if you canSequel...~



Extra Story...ジョーの憂鬱                                 




彼女…シェリーからの電話を待つ事、一週間…
俺は毎日、ソワソワしていた。
仕事中はもちろん、睡眠中だって電源を切らないで、ひたすら待っていた。
そして今日、その待ち人からの電話が鳴った。


『今日、夕方、ユニオン駅近くでロケがあるんです。少し時間あるので会えますか?』


電話が来ただけでも嬉しいのに会えますか?なんて聞かれた日には俺だって小躍りくらいするさ!
もちろん返事は一発OK!
まあ、もったいつけても良かったんだがそんな事をして二度と誘ってもらえなかったら俺は泣いちゃうのだ。
もったいつける…なんて芸当はレオにしか出来ない反則技だ(!)


「よし…時間だな…」


俺は約束の時間30分前からユニオン駅近くに車を止め、待機していた。
すでに自分の仕事は空けてある。
時計を確認して俺は待ち合わせ場所のエル・プエブロ公園へと向かった。
信号を待つだけでイライラする。
せわしなく靴をコツコツ鳴らしつつ、青になった瞬間、歩き出した。
途中、サラリーマンとぶつかり、相手をふっ飛ばしてしまったが、そんなものは軽く無視だ(!)
自然に早歩きになり、道路を渡りきった後、公園に入ると何故か俺は走り出していた。
俺が走るなんて一年に一回あるかないかくらいなのだ。
彼女を待たせちゃいけないという気持ちで、プラザ教会の裏手まで来ると足を止める。


(まだ彼女は来ていないか…?)


そう思ってキョロキョロしていると前方から可愛い制服を来た女の子が歩いて来て手を振っているのが見えてドキっとする。


「ジョーさん!」
「あ…」


それがシェリーだと気付くのに少し時間がかかった。
何せ彼女は衣装のOL風スーツに身を包んでいるからだ。


「こんにちは!」


シェリーがあの日と変わらぬ可愛い笑顔で俺の前に歩いて来る。
俺は緊張のあまり変な汗が出てきたが、それを隠して笑顔を作った。


「やあ。元気そうだね?」
「はい。ジョーさんも」
「俺はいつでも元気さ!アハハハハ!」


意味なくバカ笑いをして俺は近くのベンチが空いてるのを素早く確認した。


「あ、あの、そんな時間ないんだよね?」
「はい。15分くらいなんですけど…。最近まで海外でロケしてたもので今日からやっと、この辺で撮影が始まったんです」


シェリーは笑顔を絶やさないままそう言って、「あ、ベンチに座りません?」と俺を見た。
俺も、それには、すぐに頷く。


「ああ、じゃあ…そこに座ろう」
「はい」


(はい…なんて、やっぱ可愛いなぁ~)


俺はすでに鼻の下が二センチは伸びてた事だろう(怖いって)
二人してベンチに座り、さあ、何を話そうと考えたが、一向に気の利いた面白い話が思い浮かばない。


う~何で俺は普段、ベラベラと余計な事まで話せるのに肝心な時に何も話せないんだ…!
頭の中が真っ白だよ…っ


俺はハンカチで何気なく汗を拭きつつ、「きょ、今日もいい天気だったねぇ~」とジジ臭い事を言ってしまった。
それにはシェリーもクスクス笑いながら、「そうですね?」と言って笑顔を見せてくれる。


何て、いい子なんだ!
可愛いだけじゃなく、中身もいい子だ!


俺は感動して心臓がバクバクしてくる。


はぁ~俺は本当に、こんな年下の女の子に恋をしてるんだ…!これって犯罪なのかな…?
そんな事を考えつつも、いやいや、たかが15歳ほどの差なんてたいした事はない(!)


なんて一人頷いていると、シェリーが不思議そうな顔で俺を見ている。


「ジョーさん…?どうしたんですか?何か仕事のことでも…」
「え?あ、い、いや…!仕事なんてちゃちゃっとしてきちゃったよっ。アッハッハ!」
「そうですか?なら良かった」
「………っ」


う、嬉しいが…まあ、待て…。
彼女が、どういう気持ちで俺を誘ってくれたかまだ解らないんだ…。


もしかしたら俺に会いたいとかじゃなく、レオを紹介して?とか何か仕事を回して?とか頼みごとがあるのかもしれない…(!)
今まで俺がいい思いをしてきた事はないんだ…っ


そんなネガティブな思考のまま彼女をチラっと見ると可愛らしい瞳と目が合う。


「あ、あの…さ…?」
「はい」
「今日は…何か俺に用事…だった…?」
「どうしてですか?」
「あ、いや…急に、会えますか…って電話をくれたから…」
「あ、あの…迷惑でしたか?」
「そ、そんなわけないじゃないか!!」
「………っ」


彼女の言葉につい大きな声を出してしまい、シェリーは目を見開いている。


「あ、ああ…ご、ごめんね?大きな声を出して…」
「い、いえ…。やっぱりジョーさんって面白いですね?」
「え?」


見ればシェリーはクスクスと笑い転げていて俺は呆気に取られた。


「お、面白いって…そうかな?まあ、よく言われるんだけど…」
「えぇ?」
「お前は存在が面白いって…うちの社長にも言われるよ?俺から見れば社長の方が天然で面白いんだけどね?」
「あ、そうですね?社長さんも面白い方でした。何だかカーネルサンダースに、そっくりじゃないですか?」
「え…っ?!」
「あ…ごめんなさい。私、失礼な事を…」


シェリーは慌てて手で口を押えたが、俺は彼女の言った言葉に思わず思い切り吹き出してしまった。


「そ、そっか…!社長はカーネルサンダースに似てるか!アハハハハハ!そりゃ、いいや!確かに似てるな?
ケンタッキー握らせたら最高だ!アハハハ…っ」
「プ…っ。アハハハ!そんな…ケンタッキー握らせちゃうんですか?」


俺が爆笑しているとシェリーもお腹を抱えて笑い出した。
何だか俺にはその空気が最高に癒された時間だった。


「アーッハッハッハ!いや~シェリーが、こんなに面白い子だとは思わなかったよっ」
「そうですか?」


シェリーも笑いながら俺の方を見た。


「ジョーさんの方が面白いわ?私、こんなに笑ったのなんて初めてよ?」
「またまた~!そんな事ないだろ?君みたいな子は男が放っておかないと思うよ?」
「そんな事ないです。私、そんなに積極的でも明るくもないし…人見知りしちゃうから…」
「そうなんだ。でもほんとモテると思うんだけどね?きっと俺が担当してやってる(!)レオなんかすーぐ口説いてくると思うよ?
あいつは可愛い子に目がないからなぁ~困った奴だ!アッハッハ!」
「そうなんですか?でも彼、最近、結婚したんじゃ…。凄い求愛して口説き落としたって雑誌にも書いてましたけど…」
「ああ、まあ、凄かったんだよ!必死で彼女を追いかけてさ~。でも無理、無理!そんな長くは続かないだろうなぁ?
レオの女好きは天性のものだからね?
きっと、そのうち浮気でもして、それがバレて奥さんがバカ犬連れて実家に帰ると思うよ?アハハっ」


俺はもしレオが聞いてたら飛び蹴り5~6発は食らうだろうというような事を言いながらシェリーを見た。
彼女は、笑いながら、「バカ犬って…。彼、犬を飼ってるんですか?」と聞いてきた。


「ああ、とてつもないバカ犬でね?ほらよくいるだろう?窓が開いてると思って思い切り走ってきたら、
実は窓は閉まってて激突しちゃうようなコメディ映画に出てくるような犬」
「ええ。お約束って感じの」
「そうそう。その犬が、まさにそのお約束犬なんだよ!ほんと頭が悪いというかドジというか…。
この前はソファの肘掛に昇って足が滑って股間を打ったらしいよ?」
「えぇ?ほんとに?可愛い!」


(え?可愛い?!ここは笑うとこなんだけどな…)(!)


俺は何となく納得がいかず、あのバカ犬に少し嫉妬をしてしまった。
するとシェリーが腕時計を見て、「じゃ、そろそろ仕事に戻ります」と言って微笑んだ。


「あ、そ、そう?じゃあ撮影、頑張って!」
「はい。でも、ほんの、ちょい役ですから」
「そんな事ないよ!君なら、すぐに主演の話だって来るさ!」
「そんな…まだまだです」


彼女がそう言ってベンチから立ち上がったので俺も一緒に立ち上がった。


「じゃ、また…電話します」


シェリーは俺の方に向き直り、笑顔を見せる。
俺はすでに嬉しさのあまり踊りたくなったが、そこはグっと堪えて紳士のスマイルだ。


「う、うん。待ってるよ!」
「はい、じゃあ…」
「ああ、またね!」


俺は張り切ってそう言うと歩いて行く彼女に手を振った。
シェリーも笑顔で手を振ってくれて、マイハートがドッキンドッキンと鳴り出す。


「はぁ…。やっぱり、可愛いなあ…」


思わず、思っていた事が口に出てしまった。


(さ、俺も一旦、事務所に戻るとするか!)


彼女が見えなくなったとこで俺は元来た道を少しだけスキップしつつ歩き出した。


いやーシェリーは、ほんと、いい子だし可愛いし最高だ!
もしかして…俺の事が好きなのかな!


「グフ…グフフフ…」


思わず変な笑い声が洩れてしまう。
よほど怪しかったのか擦れ違ったギャル(!)が俺の顔を見て怯えた顔で走り出し、ムっとするも仕方なく笑いが込みあげて来るのを堪えた。


ったく!人の顔を見て逃げ出すなんて失敬なギャルだ!
俺の(!)シェリーとは大違いだな!


はぁ~また電話するって言ってくれてたな~~!
どうする?!俺!
もう、このまま一気に畳み掛けちゃうか?!
このまま婚約指輪でも買いに行きたい気分だよ!(気が早い)


そっかぁ。シェリーが俺と結婚したら…シェリー・サンダーになるんだ!
何て、いい響きなんだろう!Very beautiful.......!!


女優と俳優のマネージャーの俺。
何だかいいカップルになりそうだ!
もう、あと一押しだな!うん。
こうなりゃデート用の勝負スーツでも買いに行こう!
そうだ、そうと決めたら今、行こう!
やっぱりアルマーニかな?!


ここからだと車ですぐだ。


そう決めた俺はすぐに車でアルマーニまでぶっ飛ばした。
この時、すでにシェリーが何故、俺に会いたいといってくれたのかなんて疑問は消し飛んでいた。
かなり飛ばしたせいか、すぐにアルマーニの店につく。
俺は中に入り数着見て行ったが、いい感じの黒のシックなスーツを見つけると店員を呼びつけ、


「これをくれ」


と胸を張った。
店員はその言葉に目を見開き、俺とスーツを交互交に見ると一言、呟いた。


「誰かへの…プレゼント…ですか?」
「ん?何でこんな高いものを他人にプレゼントするんだ!俺が着るんだよ!」


あまりの店員の失礼さに俺はムっとしてそう言い返した。
だが更に店員は目を丸くして、いいづらそうに俺を見つめると口を開いた。


「あのぉ…お客様のサイズと…このスーツは合わないと思うのですが…試着はされてみましたか…?」


ん、何?試着?!そ、そうか…。
こんな高いものを試着なしで買ってはダメじゃないか、俺!
もし似合ってなかったら(そこか?)最悪だ!


「よし。試着する!フィッティングルームは奥だな?」


俺は店員の手からスーツを奪い返し、ずんずんと奥に歩いて行って勝手にフィッティングルームの中に入った。
そこで張り切って自分の着ていたスーツを脱ぐと、アルマーニのダンディなスーツに着替えてみる。
ズボンを穿き、ぐぐいっと腰を上げてみるが一向に足元が出てこない。


「ん…?何で股まで食い込んでるのに(!)俺の足が出てこないんだ?!」


俺は腹を立てながら鏡を見てみた。
するとそこには…


スーツのズボンの裾を引きずった哀れな小太りの男が映っていて何だか滑稽だった。
あげくウエスト辺りがしまらない。


「ぬ…何で裾は長いのに、ウエストは、こんな小さいんだ!サイズが変だぞ?!」


俺はそう思ってサイズを確認するも、普通にMサイズと書いてる。


「………」


という事は…


(変なのは俺の体型…という事になるのか?!)


頭に来てスーツのサイズを、もう一度確認すると、それはレオと同じくらいのサイズが書いてある。


くそぅ…!!レオと同じサイズ…!
という事は、だ。
このスーツはレオならすんなり着れるということだな?!
またしても俺の前に立ちふさがるのか!レオナルド・ディカプリオめ!


怒り浸透のまま、ついでに股下の長さを見て俺は一瞬そのスーツを引き裂きたくなった。


何でレオは、こんなに足が長いんだ!キリンか?!


「はっ!いかん、いかん!引き裂いたら料金を払わねばならない…危ない、危ない…」


俺は何とかその衝動を押えると、大人しくズボンを脱いだ。


「こ、このままではスーツが買えない…!いっそダイエットしようか…」




俺は真剣にダイエットを考えたが、股下サイズの事まではすでに頭に入っていなかった…



















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ジョーのアルマーニスーツ姿・・・
ちょっと見てみたい気が・・・(笑)


本日も皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて...


C-MOON...管理人:HANAZO