...

















捨てられた僕を誰もかまわないで


誰も拾わないで―――
















あ な た の 言 葉 が 痛 い――――――












「ヒューゴ、待った?」


「いや」




彼は彼女の肩を抱き、そのまま仲良く歩いて行った。
それを後ろから見ながら私は踵を翻す。


あれも計画。
そんなの分かってる。
なのに・・・・・・胸がズキズキ音を立ててるのは何故――?














、どこ行くの?」


「―――っ」




不意に声をかけられ足を止めた。
気づけば早足になっていた。



「あ・・・・・・デジー」



振り帰れば、デジーが笑顔で立っていた。
彼の"獲物"の一人だ。




「ちょっと・・・・・・」



突然の事で何て答えていいのか分からず、私は言葉を濁した。
だがデジーは私の後ろ、ヒューゴが歩いて行った方に視線を向ける。




「彼と・・・・・・関らない方がいいわ?」


「―――――え?」




そう言った彼女の顔にはハッキリと嫌悪の色が浮かんでいる。
その顔を見て私の心は一気に冷えた。














「何のこと?」
「・・・・・・彼の事よ。ヒューゴ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「時々・・・・・・一緒にいるわよね?」
「ただの友達よ」
「そう?」


デジーは私の心を見透かしているのだろうか?
こんな女に、どうして彼のことを言われないといけないの?




「エミリーも・・・騙されてると思うの」
「何故そう思うの?」
「何となく、よ。彼の態度を見てると・・・どうしてもエミリーの事を好きだとか思えなくて・・・」


当たり前じゃない。
あんな女、ただの駒でしかないのよ。
あなたを陥れる・・・・・・



「そんな事ないんじゃない?それに・・・・・・ヒューゴは、そんな起用じゃないわ?」
「なら・・・・・・いいんだけど・・・・・・。ごめんね?変なこと言って。それじゃ―――」



デジーは、そう言って気まずいといった顔を見せると、そのまま歩いて行った。
私は小さく息をつき、後ろを振り向かずに歩いて行く。
















ズキズキズキ・・・・・・



胸が痛い。


こんなにも・・・・・・


でも・・・・・・これも今夜には終わる。



決行は――――今夜。



















「試合前にやる」



いつもの"二人だけの場所"―――ヒューゴはそう言って煙草に火をつけた。
そして私を見つめる。



「・・・・・・分かってる。私は――あなたを待ってるわ・・・・・・?」



そう言えば、あなたが安心するのは分かってるの。



・・・・・・」
「何?」
「・・・・・・怖い?」
「怖くなんかないわ?」



そう言って微笑むと、彼は吸ってた煙草を投げ捨て私を強く抱きしめた。




「後悔・・・・・・しないか?」


「どうして後悔するの?」


「・・・・・・そうだな・・・」





ヒューゴはそう呟き、腕の力を強める。

















「もし・・・・・・が止めるなら・・・俺は、この計画をやめることが出来るかもしれない・・・」





「え――?」







彼の言葉に驚き、私は顔を上げた。
すると今までとは違う、でも寂しそうな瞳と目が合う。



「ヒューゴ・・・・・・?」




何で・・・・・・そんな事を言うの―――?



何故、そんな目で私を見るの―――?














「お前がいてくれたら・・・・・・変われる気がするんだ・・・・・・」




ヒューゴは、そう言って私の額に優しくキスをしてくれた。
その温もりに心が震えた。
決心したはずなのに、それが揺らいでいく。








「ほんと・・・・・・?」


「ああ・・・・・・」


「許せるの・・・・・・?全てを・・・・・・皆を・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・」





ヒューゴは、そこで黙った。


分かってる。
分かってるんだ。


そんな事は無理だって。
彼の心は彼らがいなくならない限り、癒される筈などないって・・・・・・・







「そうだな・・・・・・・」


「そうよ・・・・・」


「じゃあ・・・・・全てが上手くいったら―――」


「――いったら?」




そこで私が顔を上げると、ヒューゴは優しい瞳のまま、そっと私の唇を指でなぞった。


















「俺の・・・・・・ものになってよ・・・・・・」



「――――っ」







喉の奥が痛くなった。


抱きしめられた体が彼の温もりに包まれる。


その時、ヒューゴの心の声が聞こえた気がした―――。




















お 前 だ け は 俺 を 捨 て な い で






















胸 が 痛 い――――――






















「ねぇ・・・・・・俺のものに・・・・・・なってよ、―――」



「とっくに・・・・・・なってるよ・・・・・・?」





私も寂しかったの。



何があるの?
其の視線の先には

たまには振り返ってよ
あたしを見て
あたしに気づいて欲しいの


此処に居るよ―――





あなたの事を想いながら、ずっと、そんな事を考えていた。


私じゃダメなのかもしれない。
ほんとは私も利用されているのかもしれない。
いつでもあった小さな恐怖。
でも・・・・・・















「好きだよ・・・・・・ヒューゴ・・・・・・。私を捨てないで―――」












「そんなの・・・・・・俺の台詞だよ・・・・・・バカ」










ヒューゴはそう呟いて微笑んだ。
そのまま私をきつく抱きしめる。







抜け殻のあたしが唯一
笑顔になれるのは







ほら君の腕の中――――










一緒に連れて行って欲しいの。































あのこうへ・・・・・・























――――そこにはきっと自由が待ってる。




























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続きって感じですかねー
ちょっとTEXTサイトで書いてた詞にヒューゴっぽいのというか、
"O"にあいそうなものがあったので、それに小説をくっつけてみました。
私の書く詞って何だか暗いぜ!ってのばかりだなぁと読み返して驚きましたね(苦笑)