「これでよし、と」
僕は罠を仕掛け終えるとニヤっとして立ち上がった。
「ふふふ・・・★これでがキッチンを怖がる事はない・・・。ザマァミロ、ゴッキーども!お前等全て一網打尽だっ」
僕はゴキブリポイポイ(?)(微妙に違)の前に仁王立ちしながら不敵な笑みを浮かべ腰に手を当てた。
この前立てた今年の目標、五箇条のうち、まずは一番大事な"害虫駆除"を実行する事にしたのだ。
僕の可愛い可愛いを守る為なら手段を選ばない。
今までは目の前をカサササーっと通り過ぎて行っても甘い顔で野放しにしておいてやったが、(するな)
が怖がるなら仕方がない・・・・半分は家族のようなものだったが(!)この際、僕は鬼になるぞ。
そう、それもこれも全てはこの薔薇色の(新婚)生活を守る為―――!! (ヲイ)
可愛いとの同棲生活。
(あくまで僕にとったら"同居"ではなく"同棲"なのだ!こだわりの男と呼んでくれ。ふふふ♪)
だが僕の心配は尽きない。
夜な夜なキッチンを徘徊するゴッキーを筆頭に、のあまりの可愛さゆえ、悪友、かつ、
ユースシアター内で「獣」の名を欲しいがままにしているマットまでもが目をつけ、
僕の心臓は一センチ縮まった。(嘘つけっ)
そしてと一緒に新入団員として入ったトボケた少年ショーティことショートラウンド・・・・
こいつも何気に少年っぽさを売りにしてるが危険度、大。
僕の事をわざと「お兄さん」「お兄さん」との身内扱いして懐いてくる極度に外面がいい奴だ。
いや、それだけではない。
まだこれからが知り合う男どもも僕の"駆除リスト"の中に載るだろう。
そう・・・僕にとったら毎日が戦い。
シアターはまさに戦場!(え)
そうさ!危険はまさに身近にあるのだ。
朝、僕はコソーリ、罠の中を覗いた。
すると中でうごめく黒い物体の数々・・・・・・
「うあ・・・結構、集まってるなあ・・・。こうして見ると、結構、えぐいね、君たち・・・」
10匹ほどはいそうな罠の中を見て顔を顰めつつ、ゴッキーファミリー(?)に声をかける。
ゴッキー達はネバっとした罠に体がくっつき、モゾモゾと互いに足を絡めあってもがいている(ぅえっ)
が来る前にこれを処分しなくてはいけない。
僕は急いでソレをビニール袋に何十にも包んで更に最後に大きな袋に入れると、ダストシューターへと投げ入れたのだった。
「ふぅ・・・・・・恨むなよ・・・。素直に成仏してくれ・・・」
僕は小さく呟くと"アーメン"と十字を切り、簡単にお祈りを捧げた。
別にゴッキーに祈りを捧げなくても良さそうなものだが、小さい頃から"無駄な殺生はするな"と教わってる僕としては、
こうでもしないと何だか彼らに化けて出られそうで嫌なのだ。(んなバカな)
ゴッキーファミリーから恨みをかい、夜、寝てる時に鼻から入られたんじゃ、たまったものじゃないっ(つか入らねーぞ)
「オーリー、用意出来ました」
「はいはーい♪今行くよぉ〜v (MyBaby!とは心の声)」
そこへ可愛いの声が聞こえて僕はすぐにリビングへと駆け出した。
僕に天使が舞い降りた...03
今日はロンドンにしたら、いい天気で僕の心も晴れ晴れ気分♪(まあ気温は低いけど)
そして、いつもの様に手をつなぎながら二人で劇団までの道のりをノンビリと歩く。
こんなささやかな時間が今の僕にとったら最高に癒される時間。
「ポカポカで気持ちがいいね」
「はい。気持ちいいです」
「はー。こんなに、いい天気ならと遊園地にでも行きたい気分だよ」
「ダ、ダメです。オーリーは次の舞台のリハーサルがあるんですから」
「ん〜でも今日はそんな大事なシーンはないし・・・サボって遊びに・・・って、そんな膨らませなくても・・・」
可愛いほっペをプクっと膨らませ、は僕を見上げてきた。
でも、そーんな顔されても怒られてる気がしないんだよね、あまりに可愛すぎてさ♪
(朝から鼻の下3センチは伸びてる僕)
僕はそこでニッコリ微笑むとの被っているニットの帽子・・・の上にチョコンとついてるボンボリにチュっとキスをした。
「・・・っ?」
「今日もは可愛いねーv」
「・・・・・・っ」
驚いたように顔を上げたにヌケヌケとそんな事を言うとプクっとしていた彼女の頬はすぐにポっと赤く染まってしまう。
「わ・・・私は怒ってるんですよ・・・?」
「うんうん♪そうだねー」
「・・・・オーリィ、バカにしてます・・・」
「えっ?! しししてないよっ?」
突然、悲しそうに俯いてしまったに僕はギョギョっとした。
「ー?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
名前を呼んで顔を覗き込んでもは返事をせず、更に僕がいるのとは反対方向に顔を背け、ますます頬を・・・
いや唇を尖らせている。
(か・・・・かぁいいv チューしたいかも・・・・♪)(オイ)
い、いや、そーじゃなくてさ!
「ね、ねぇ、」
「・・・・・・・・・・・・」
(う・・・・返事をしてくれない・・・・)
「怒らないで・・・・・・ねぇ、ボンボリちゃん♪」
「・・・・・・・・・・・・・」
今度はちょっとおどけての帽子のボンボリを指で突付いてみるも一向に効果はなし。
それには寂しくなって僕はショボーーンと項垂れ、トボトボ無言で歩いていた。
まあ、その間もシッカリ手は繋いでたんだけど、は僕が急に黙ったからか、そぉっと顔をこっちに向けている様子。
それに気づかないフリをして、ガックリと頭を垂れていた。
するとはだんだん心配になったのか、オロオロしたように僕の顔を覗き込んでくる。
「あ、あのオーリィ・・・・?」
「・・・・・・・・・・」
僕が返事をしないでいるとは本気で落ち込んだと思ったのか繋いでいた手をギュっと握りグイグイっと引っ張って来た。
「オ、オーリィ・・・? 元気出して下さい・・・」
そんなが可愛くて僕はもう我慢できずパっと顔を上げた。
すると目の前にあるのはへニャーっと眉を下げたの可愛い顔。
「大丈夫だよ? こうしてが傍にいればね!」
「あ・・・あーーっ!オーリィ、騙しましたねっ」
困った顔のにそう言ってペロっと舌を出せば、もやっと気づいたのか、
真っ赤な顔をして、またしてもほっペがぷぅっと膨らんだ。
でもさっきのようにスネたのではなく、心なしか笑顔を見せている。
僕もそんなに笑顔を見せて繋いでいる手を少しだけ自分の方に引き寄せた。
僕よりも全然、小さな体をギュっと抱きしめたくなってしまうのを堪えるのが大変だ。
すると前方にユースシアターの建物が見えてくる。
(あーとの楽しい時間も終わりを告げるのか・・・また数時間、離れないといけないなぁー・・・)
「あ、もうすぐつきますよ」
「ああーうん。そうだね」
ちょっと憂鬱になりながらも僕の手をグイグイと嬉しそうに引っ張って行くに自然と笑顔になった。
「よぉ、オーランド!」
「ぃでっ」
ホールに入った途端、バシっと後頭部を殴られ、ムっとしつつ振り向けばそこにはニヤケ顔のマットの姿。
「いちいち叩くなよっ!」
「まあまあ・・・。あれ? 今日は可愛い可愛い彼女はいないのかぁ?」
マットは獲物を狙うような目つきで僕の後ろをキョロキョロと見渡している。
それには僕も慌ててマットの胸倉を掴んだ。
「おい、マット!にだけは!手を出すな!いいなっ」
「な、何だよ、いきなり・・・っ」
「うるさいっ。お前を見てたらを狙ってるのは一目瞭然なんだよっ」
鼻息荒く、そう怒鳴った時、マットの視線が左右に泳いだのを僕は見逃さなかった。
「ほぅーーーら!その顔!!」
「な、何が・・・・・・?」
「お前が視線泳ぐ時は何か後ろめたーーーーーい事を考えてる時だろ? バレバレなんだよっ」
「そ、そんな事は―――」
「嘘つけ!パーティで俺が目をつけた子に先に手を出した時はいっつもその顔だったぞっ?!」
「う!」
「なぁ〜にが『う・・・っ』だ!とにかく他の女なら笑って許してやる!けどにだけは手を出すなよ?分かったな?」
ハァハァと息まで荒くなりながら怒鳴ると、マットはホールドアップの如く両手を上げた。
「ちょ、ちょっと待て・・・。別にあの子はお前の恋人でも何でもないんだろ?何でそんな手を出す前から怒って・・・」
「ほら見ろ!やっぱり手を出そうって思ってたなぁ?」
「そ、そんな事は言ってないって・・・」
「それになー!は恋人とかそんなの関係ないんだよっ。とにかく俺の大事な子なんだからお前は近づくな!」
そう言ってマットの胸倉から手を離すと、いつの間にか周りに集まって来ていた劇団の仲間が
ヒュゥ〜〜♪と冷やかすように口笛を吹き始める。
「何だよ、オーランド〜!マットと女の取り合いか〜?」
「またかよ〜。ほんっとお前等、野獣だよなぁー? 今度はどこの子だぁ?」
「ち、違うよ!」
皆からからかわれ僕は顔が赤くなりつつ、舞台の方に走って逃げたのだった。
午前中のリハを終えると僕はすぐに新入団員が指導されている教室へと向った。
もちろん僕の(ここ大事)可愛いをランチに誘う為さ♪
「たらりらりーん♪とうちゃーっく!」
教室の前に立った僕は中の様子を伺う為にコッソリとドアを開けてみた。
すると、まだ発声練習をしているのか、様々な声が聞こえてくる。
ふんふん・・・懐かしいなーこれ。
僕も入った当時は毎日、これやらされたっけ。
舞台に立つには、まず声を伸ばさなくちゃだしね。
も頑張ってるんだろうなー。
そう思いながら沢山いる新人の中からを探す。
彼女は小さいから探すのには苦労したが何とか一番右端の列の方にいるのを確認する事が出来た。
あ♪いたいた!やっぱダントツで可愛いよなぁー!!(ニヤン)
おぉう!一生懸命、声を出してる姿なんて小鳥がピヨピヨ鳴いてるみたいだな☆(どんな例えだ)
あーカメラでも持ってきたら良かったよ!あの姿を写真に撮りたいなあ〜。
そうだ!明日はカメラ持ってこよっと!
が新人から一人前になる姿を写真に残してあげなくちゃねー♪ムフフフ・・・(怖)
そんな事を考えながらニヤニヤと覗いているとが何度か隣を見て誰かと話しているような感じに見えて眉を寄せる。
「ん・・・? は誰と話してるんだ? あ、友達でも出来たかな!」
ブツブツ言いながら必死にの隣にいる人物が見えないかと目を凝らしてみた。
すると・・・・・・
「げっ!!!」
思わず大きな声を出してしまい、慌てて口を閉じた。
まあ中では沢山の人が発声練習をしているので気づかれなかったが、僕はそんな事より今がニコニコしながら、
話をしている相手の顔をカメラのズームのように鮮明に捕らえ、自分の額に血管が浮いて来たのを感じた。
「あ、あんのヤロウ〜〜っっっ!!俺のに馴れ馴れしく話し掛けやがって・・・っっ」
僕はあの小僧、ショーティがと楽しそうに話している姿にムカっとした。
途端に心配になり、もっと二人が見えないかと、さっきより扉を開け、必死に角度を変えるも、
二人の周りの奴等が動くたびにとショーティの姿が人の影に隠れてしまい、見えなくなる。
「くそぅ・・・あいつ邪魔なんだよっ。もっと左に避けろ、バカ・・・っ」
誰もいない廊下で僕はと言えばドアの隙間から中を覗きながらブツブツ言っているかなり怪しい奴になっていた事だろう。
少し屈んでお尻を後ろに突き出し、長い足をブラブラさせつつ、僕はかなりヤキモキしながら中を覗いていた。
だから気づかなかったんだ。
新人指導員の別の先生が廊下から歩いて来てるのを。
「ああっ。他の男までに話し掛けてる・・・っ。誰だ、あのヤロウ!駆除リストに載せるぞぉう?」
「コホン・・・・あ〜君・・・」
「ぐぁ、ショーティの奴、から離れろ・・・っ」
「・・・君・・・っ。ここで何をしてるんだね?」
「・・・ちょ・・・うるさいな。ああっ!ダ、ダメだよ、!そんな男に笑顔なんて見せちゃ・・・!!」
トントン
「・・・?」
何か僕のお尻・・・というか後ろに突き出したままの腰の辺りを突付かれた気がしてハっとした。
そして視線を教室の中からバっと後ろに切り替える。
「うゎっ!」
「・・・君は何をしてるんだね・・・・」
そこには怖い顔の指導員が腕組をして呆れ顔のまま立っていて僕はと言えば顔から血の気が引いていった。
「ああ・・・何だ、うちの団員か・・・。一体、ここで何を?」
「い、いえ・・・あの・・・・ちょっと・・・」
「覗きが趣味なのかね?」
「ち!違いますよ・・・!俺・・・ぼ、僕は・・・いえ、その・・・そうい、妹が心配で・・・・」
「妹・・・? ああ・・・新入団員の中に妹さんがいるのかね?」
「は、はい。そうなんです!変な虫がつかないかと心配で・・・」
「はぁ?何を言ってるんだ?君は・・・・」
その指導員は思い切り溜息をついて僕を眺めた。(何て失礼な奴だ)
「まあ・・・とにかく・・・覗きはやめなさい。私はてっきり外部から変質者が入って来たのかと思ったんだから」
「な・・・ぼ、僕は変質者なんかじゃ・・・!れっきとしたユースシアターの団員ですよ?」
「わ、分かったよ・・・。それに・・・君は見覚えがある・・・。君は・・・オーランドだろう? 2シーズンめの・・・」
「え? そ、そうですけど・・・・・・」
いきなり名前を言われて僕は驚いた。
この人に指導された覚えはないんだけど。
そう思いながらその指導員をジっと見つめると、彼は苦笑いを浮かべ肩を竦めた。
「ああ、いや。去年の舞台、見させてもらってね。なかなか筋があると思ってたんだ。顔を見て思い出したよ」
「え・・・? あ、ど、どうも・・・」
「まあ、今回の舞台は主役を逃がしたようだが・・・あまりハメを外さず頑張ればきっと主役になれるから頑張りなさい」
「は、はい。頑張ります!」
「宜しい。では・・・もう誤解されるような行動は慎むように」
「・・・はぁ」
「ああ、もう終るようだよ?」
「え?」
その指導員はそう言って微笑むと廊下を歩いて行ってしまった。
見れば中では練習も終わり、新人が次々に廊下に出て来る。
ピチピチの新入団員を見て僕はささっと横に避け、を探した。
すると可愛い女の子、二人が目の前を通り、僕に頭を下げていく。
何となく悪い気がしなくて、僕も必殺☆女殺しオーランドスマイルで微笑み返してあげた。(ヲイ)
するとその子達は「キャ〜♪」と言いながら廊下を走って行ってしまう。
ふふん♪僕もまだまだイケてるんだな!なんて思いながら自然と顔が緩んでいく。(ダメ人間)
「あ、オーリー!」
「ー!」
不意に後ろから小鳥の囀るような声が聞こえ、(その表現はもういいから)僕はバっと笑顔で振り向いた。
するとがニコニコしながらとっとこと僕の方に走ってくる。
その姿が可愛くて僕はすぐにの目線まで屈み、頭をナデナデしてあげた。
「お疲れ様!」
「どうしたんですか?」
「とランチでも、と思って迎えに来たんだ」
「え? ランチですか?」
「うん。お腹空いたろ?」
「はい。あ、でも・・・」
はそう言うと困ったように目を伏せてしまい、その表情に不安を覚える。
「な、何? どうしたの?」
「そ、それが・・・ショーティにもランチ誘われてて・・・」
「んな・・・っ」
(あんのクソガキャァ〜〜〜っっ!!さっそくナンパか? ああん?)
先ほどの怒りの熱が再燃した時、その諸悪の根源とも言えるショーティが笑顔で廊下に出てきた。
「あ、お兄さん!どうしたんですか?」
「ぬ・・・!お前に"どうした"と言われる筋合いはないっ」
「え?」
「あ、あのショーティ。オーリーがランチ行こうって・・・だから私・・・」
「ああ、そうなの? じゃあ一緒に行こうよ、お兄さんも」
「はぁ?」
「ね?いいですよね。お兄さん!」
「ぐ・・・っっ」
「オーリー、それでもいいですか? 」
(ああ・・・に言われると子供みたいにイヤなんて言えないよなぁ・・・)
「う、うん・・・いい・・・よ?」 (ほんとはすっげー嫌だけどっ)
「ほんとですか? わぁ嬉しいっ。皆でランチなんて楽しいですね」
「う・・・そ、そう・・・だね?」
ニコォと微笑むに僕も引きつりつつ、笑顔を向ければショーティのバカまでニコニコと頷いている。
「僕も嬉しいなあ!お兄さんと一緒にランチなんて!一度ゆっくりお話したかったんです」
(ふん!こっちは話したくもないよっ!)(大人気ない)
「じゃ、じゃあ・・・行こうか。」
「はいっ」
僕はショーティを軽く無視しての手を繋ぐとそのまま歩き出した。
ショーティもついてこなくていいのにすぐに後を追ってくる。
僕は一瞬、このまま捲いてやろうかとさえ思ってしまった。
(ああ、くそ!こうなるんだったら、あのスプレーを持ってくるんだったよ!)(何する気だ)
内心、どう料理してやろうかと僕は必死に考えていた。
「、美味しい?」
「はい、このドリア凄く美味しいです」
「そう。良かった」
僕はそう言っての頭を撫でると自分もパスタを頬張った。
嬉しそうに食べてるの姿にニヤケつつ、目の前のショーティを威嚇しながらなのでちょっと変な図だけど。
ここはシアター近くのカフェ・グーリーズ。
モダン・ヨーロピアン風の店内がお洒落で、団員はここでランチをとることが多い。
今もシアターの団員が多く来ていてだんだん賑やかになてきっている。
ここは値段も安く、かつ美味しいからと人気のある店なのだ。
「さすが、お兄さん。素適な店を知ってるんですねー」
「・・・・まぁね。俺はこう見えても一年長く、シアターにいるわけだからね」
「そうかー!じゃあ僕も一年いれば、お兄さんのようになりますかね?」
「・・・・さあ? 努力次第じゃない・・・(無理に決まってるだろ、バカ者)」
「そうですよね!人間努力すれば何でも夢は叶いますよね!」
「・・・・そうなんじゃない? (そんな甘いものじゃないっつーの)」
との楽しい時間になるはずだったのにあれこれ話し掛けてくる邪魔者に僕は一層、機嫌が悪くなっていく。
だけどそんな空気を読めないショーティはニコニコしながらチキンをバクバク食べている。
「でも、お兄さんって凄く人気あるんですねー僕驚いちゃいましたよっ」
「・・・・・・は?」
「今日、新人仲間の子達と話してたんだけどちゃん、質問攻めにされてましたよ。ね?」
「はい!皆、去年の舞台を観てオーリーのことカッコいいって言ってました。私とどういう関係なの?って」
「そ、そうなの?」
「はい。私、オーリーが誉められるの嬉しいです」
(く・・・くぁーーー可愛い♪)
口元にドリアのご飯粒をつけて微笑むに僕の心臓はドキュン!っと撃ちぬかれ、
眉間に皺が寄っていた顔もすぐにホコホコと緩んでいく。
「、ここについてるよ」
「あ・・・・・・」
微笑み返しながら指でそのご飯粒を取ってパクっと食べてあげるとは顔を赤くして俯いた。
「あ、ありがとぅ・・・・」
「いいよ。ほら、もっと食べて。午後も発声練習だろ? 力つけなくちゃ」
「は、はい。ちゃんと食べます」
ニコっと笑顔を見せ、頷くがあまりに可愛くて僕はニヤニヤしながらずーっと頭を撫でていた。(ある意味怖い)
だが、前から視線を感じ、ジロっと睨むとショーティは何故かニコニコしながら僕らを眺めている。
「・・・・何だよ?」
「いえ。仲がいいなぁと思って」
「・・・そりゃね。は俺の大切な子だから」
「そっかぁー。いいなぁー僕なんて妹と仲が悪いんで羨ましいです」
「・・・・・・・・・・・(そういう意味じゃねーっ)」
と突っ込みたかったが、この際、無視することに決めた。
そこへ新たに客が入って来た。
見れば先ほど僕に頭を下げていった女の子達で、こっちに気づくと何かヒソヒソ話した後、僕らの方に歩いて来た。
「こんにちは、ショーティ、。一緒にランチ?」
「あ、キャリーとジェン。二人もここでランチ?」
「ええ。あ、さっきはどうも」
「やあ」
ジェンという子が僕に笑顔でそう言ってきたのでそこは笑顔で返しておく。
は顔を上げて二人を見ると、「オーリーです。さっき紹介してねって言われてたんです」と僕にそう言ってきた。
「そう。ああ、のこと宜しくね?」
「はい。二人、仲いいんですってね? 今朝、ショーティから色々と聞かせてもらってたんです」
「へ、へぇ・・・・(何を言ったんだ、こいつ!)」
僕は顔が引きつりつつの友達になってくれる子達だから、と笑顔を見せつづけた。
するとキャリーという子がの方に顔を寄せ、「ね、今度、お兄さん貸してくれない?」なんて言っている。
それにはも戸惑ったような顔をしながら僕を見た。
「あ、あの・・・オーリーは・・・」
「あ、じゃ、じゃあ・・・今度、皆でうちに遊びにおいでよ。ね?」
「えぇーいいんですか? じゃあ是非、行きます〜♪」
「絶対ですよ〜?」
ジェンとキャリーはそう言いながら近くのテーブルに歩いて行ってしまった。
はそれを聞いて驚いたような顔をしたがすぐに笑顔になる。
「遊びに来てくれるの嬉しいです」
「良かったね? 早速お友達が出来て」
「はい!オーリーのおかげですね」
「そ、そんな事ないよぉ〜っ」
にそんな事を言われて思わず顔が緩みながらも、残りのパスタをグリグリとフォークに捲きつけた。
だがショーティはジェン達の方に視線を向けながら、「いいなぁー。僕も遊びに行きたいな」なんて呟いている。
それを聞いて僕はギョっとしたがは笑顔で僕を見た。
「ショーティもいいですよね? お友達だから」
「えっ?!」
「ほんとですか? いいですか? お兄さん!」
「ぅ・・・・っ」
じょ、冗談じゃない!!
何故に"駆除リスト"ナンバー2(1はマット)のこいつを家に招かねばならんのだぁーー!!
「オーリィ・・・?」
「う・・・・。も、もちろん、いいさ!来たまえよ、はは・・・ははは・・・」
「うわーありがとう、オーリー!良かったですね、ショーティ」
「うん!じゃあ是非、今度遊びに行きますねっ。お兄さん!」
「そ、そうだね・・・(どうしてこうなる、俺・・・)」
思い切り泣きたくなったがの嬉しそうな顔を見てると仕方ないか・・・と息をつく。
こうなれば何十にも家にトラップをしかけて・・・・そうだ!
(いっそ、"ポイポイ"の人間版でも買っておいとくか?)(売ってないから)
真剣にそんな事を考えていると今度は駆除リストナンバー1で危険度MAXのマットが店に飛び込んで来た。
「あぁ〜!やっぱここにいたか、オーランド!」
「う・・・な、何でマットまで・・・!!何しに来た?!」
慌てて椅子から立ち上がりそう怒鳴れば、マットは悪びれもなく向い、というかショーティの隣にドサっと腰をかけた。
「何しにってランチ食いにだよ。俺を置いてくなよな〜?!すっげー探したぞ?あ、ちゃんコンニチワー♪」
「こんにちは。マットさん」
「くぅ〜!ほんと可愛いねぇ〜?」(野獣の微笑み!)
「え・・・あ、あの・・・」
マットのヨダレを垂らすほどの(!)狼な微笑みには頬を赤くして僕を見上げてきた。
それには僕の頭に危険信号がプァンプァンと鳴り響き、テーブルに身を乗り出しマットを睨みつける。
「・・・マ、マット!あまりに話し掛けるな・・・っ」
「いいだろ? 話すくらい。ほんとうるさいなぁ、お前・・・って、あれ? 君は?」
今頃、隣にいるショーティに気づいたマットは横目でショーティを見ている。(男には厳しい奴なんだ、こいつは)
「どうも!僕、ちゃんと一緒に新人で入ったショート・ラウンドっていいます。お兄さんにもお世話になってて・・・」
「"ちゃん"? (一瞬、眉が吊り上がった) へぇー・・・そうなのか?オーランド」
「へ? あ、ああ・・・いや・・・まあ・・・(世話した覚えわ、なぁいっとは心の声)」
「ふぅーん。新人ね。まあ、真面目に練習するんだな?女の尻ばっか追いかけてちゃ主役なんて取れないからさ」
「は、はい!心得ておきます!」
おいおいおいおい・・・・マット・・・お前がそれを言うのか・・・?
シアター入った頃からほぼ毎日パーティ三昧の日々で女ばっか追い掛けてたお前が・・・(いや僕もか)(ヲイ)
「まずはだなぁ。日々これ練習!その繰り返しなんだ!だからお前も――」
マットは何だか偉そうにショーティに俳優になる"心得"なんかを熱弁している。(すっごい説得力がない)
それを呆れつつ眺めているとは食べ終ったのか、「ご馳走様でした」とナプキンで口元を拭いた。
僕はそれを見て、ふと思いつきの方に体を寄せる。
「もう食べた?」
「はい。美味しかったです」
「そっか♪じゃあ・・・・食後のデザート食べに行かない?」
「え? でも・・・」
「いいから。ショーティはマットの指導を受けたいんだって。だから俺とは一緒にケーキでも食べに行こ?」
「ケーキですか? はい、行きたいですっ」
ケーキと聞いて嬉しそうな笑顔を見せたに僕は内心ニヤリとした。(姑息)
いつまでも、こんな害虫達にとの時間を邪魔されたくないからね(酷)
「じゃあ・・・二人の邪魔しちゃ悪いしそっと出よう?」
「あ、そうですね」
は慌ててバッグを掴むと僕も一緒に立ち上がった。
二人が向かい合いながら、熱く語っているのを尻目に僕とはこっそーりとカフェを抜け出し、
そのまま手を繋いで、近くの美味しいケーキを出してくれる別のカフェへと歩いて行く。
あ・・・・ランチのお金置いてくるの忘れた!
・・・まあマットに払わせておけばいいっか♪(コラ)
そんな事を思いながらやっとと二人きりになれた喜びを満喫する。
「さっきのドリア、凄く美味しかったです」
「そう? 良かった!じゃあ、また来ようね? (今度は二人きりで)」
「はい。また来ましょうねっ」
「んー♪ほーんとは可愛いねー?」
「ひゃ・・・・っ」
あまりの可愛さに僕はの手を自分の方に引き寄せ、額にチュっとした。
するとの顔が見る間に真っ赤になっていく。
「オ、オーリィ・・・恥ずかしいです・・・」
「だってが可愛いからさ。 愛情表現だよ」
「あ、愛情・・・表現ですか・・・・?」
「そうだよ? 愛しいなぁーとか可愛いなぁーって思ったら、態度で示すってのが俺の信条だからねっ」
「そ、そう・・・・なんですか・・・・」
「そうだよ?人間、感情に素直にならないと!だからも遠慮せず俺に甘えたいなーって思ったら甘えていいからね?」(何か違)
「あ、甘えて・・・・いいんですか・・・・?」
「もちろんだよ!」
「・・・・・・・・・・・・」
僕が笑顔で頷けばは嬉しそうに微笑んで繋いでいる手をキュっと握ってくるもんだから、ついつい顔が緩んでしまう。
まあ僕はにただ甘えて欲しいだけなんだけどね♪
出来ればそりゃもうベタベタにさ。
「・・・・私・・・お兄ちゃん以外にこうして手を繋いでもらったの初めてでそれだけで嬉しいです」
「そうなんだ・・・」
少し目を伏せてそう呟いたを凄く抱きしめたくなった。
きっとは普段は甘えん坊なんだろうな・・・・
だけど兄がいなくなって人に甘える事が出来なくなったんだと思う。
そう思うと僕はを思い切り甘やかしてあげたい、と本気で思ったんだ。
「、何のケーキが食べたい?」
「えっと・・・・・・苺の乗ったのがいいです」
「じゃあ俺も同じのにしよっかなっ」
そう言っての頬にチュっとキスをすればすぐに真っ赤になったけど、それでも嬉しそうに微笑んでくれた。
今日も僕の天使は可愛らしい。
この笑顔は今の僕の元気の元。
そう・・・・・・.が笑顔でいてくれれば僕はそれだけで幸せなんだ。
ある日の日常。
オーリィ、相変わらず壊れてますね・・・・・・^^;
次々に現れる害虫に、どう対処するのでしょうかー(笑)
※「投票処」でこの作品に投票して下さった皆様、ありがとう御座いますv
「ヒロインの可愛さと、オーリーの溺愛っぷりにめろめろです!」なんて言って頂けて凄く嬉しいです!
なので今回、アップさせて頂きました〜♪
楽しんで頂けたら嬉しいです^^
日ごろの感謝を込めて…
C-MOON管理人HANAZO
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