「ジョシュ、久し振り!」




そう言って笑顔で走って来た彼女――は俺の友人であり、長き日に渡って続いている俺の片想いの相手。




今日は久々に会える事になり、しかも二人きりという事で浮かれていた俺は笑顔で手を振り返した。






























隠し損ねた欲望・ジョシュ編









「ではでは久々の再会に・・・乾杯!」
「乾杯」


チンと当て、互いにグラスを持ち、ワインを飲み干した。


「はぁ~美味し!お酒も久し振りなんだぁ、飲むの」


は笑顔でそう言いながらワイングラスを揺らした。
そんな彼女に俺も自然と笑顔になる。


「この前までやってた仕事も、撮影忙しそうだったもんな?」
「そうなの。ここんとこ徹夜が続いてて・・・やっと昨日クランクアップしたけど。ね、私、酷い顔してない?」


は顔を顰めて両手で頬を包み、俺の方を見た。
くるくると変わる彼女の表情。
そういう猫のようなところも俺は好きだった。


「いや。今日も奇麗だよ?」
「うわージョシュってば、いつからお世辞が上手になったわけ?」


はクスクス笑いながら運ばれて来た料理の皿を並べている。


"お世辞じゃないよ"


軽くそう言えればいいのに、彼女を前にすると意識をしてるからか、そんな台詞すら言えない。
彼女と出会ってから、どうも俺は純情だった頃の昔の自分に戻ったような気分になる。


とは前にイライジャと共演をした映画で知り合った。
彼女は衣装や小道具担当で、唯一の日本人スタッフ。
他のスタッフの中でも一際、目立つ存在だった。
と言うのも、彼女自身がACTRESSでもおかしくないほどの容姿を持ち、まさに"アジアンビューティ"。
腰まで伸ばした奇麗で長い黒髪に、それと同じく黒くて大きな瞳。
スタイルも身長はそれほど高くないにしろ、華奢だからか、スラリとした印象。
仕事中はノーメイクで黒髪をアップにしながらも、その辺のACTRESSよりも奇麗な彼女。
そして、どんな時でも元気に明るく笑う彼女は、いつの間にか現場のマスコット的存在になっていた。
とにかく彼女は、よく笑う。
お上品とは言えないくらい大きな口を開けて俺や共演者、スタッフの軽いジョークにも、いつも楽しそうに笑っていた。
仕事も丁寧で辛い時も元気に頑張る彼女の姿に惹かれるのに時間はかからなかった。
それは他の男達も例外ではなく、その共演以来、友人になったイライジャでさえ、の魅力に惹かれていた一人だ。
でも俺達は抜け駆けなどせず、撮影後に必ずと言っていいほどあった飲み会でも、を囲んで皆で騒ぐというのが通例になっていたりした。
そんな事もあり、ある程度、ACTORとスタッフという枠を越え、俺達は"友人"という形で繋がりを持ったのだった。
だから、こうして撮影の終わった後でも連絡を取り合ったりして、互いに時間があれば一緒に食事をしたり、飲みに行ったりしていた。
気持ちも言えないまま、友人という関係が続いたが、それはイライジャも同様で俺は安心していたのだが、
そのうち心配な事が次々に起こった。


初めて一緒に仕事をした、その映画の撮影も終わり、暫くに会えない日が続いた、ある日。
イライジャからの連絡で、彼女とイライジャが再び、一緒に仕事をする事を聞いて少なからずショックを受けた。
に想いを寄せてるイライジャと、長い間、ロケに出るという事を聞き、俺は毎日、心配だったが、
そこでも彼女とイライジャの仲が進展する事はなかったようだ。
まあ、それは、ある男に邪魔をされたらしいと風の噂で聞いたんだけど・・・
とにかくは、そこでも人気者だったようだ。


そんな中、彼女が、そのロケから帰って来た頃、俺とは再び一緒に仕事をする事になった。
それは"ブラック・ホーク・ダウン"という男だらけの映画で、現場も、もちろん男だらけ。
彼女がその映画に参加する事になり嬉しい反面、俺はかなり心配だった。
あれだけACTRESSがいた撮影現場でも、は人気が出るほどモテていたのに、
男だらけの場所に来て、他の男が目を着けないわけがない。
案の定、は色々なACTORから誘われたりしていた。
まあ、すでに既婚者もいたし、もっぱら若手のACTORから誘われていた様だったけど。
なるべく俺が傍にいれる時は、他の男を近寄らせないようにしていたし、また俺が傍にいると皆も遠慮して近寄っては来なかった。
だけど、それでも気にせず声をかけてくる男がいた。
そいつは新人で、この時俺とも初共演となった、オーランド・ブルームという男だ。
オーランドは俺がいようが全く気にせず、を誘っていた。
それはとオーランドが、その前に一緒に仕事をしていて、知ってるのがしかいないからと言うのもあったんだろうけど・・・
そう。イライジャとが再び一緒に仕事をする事になった、その現場で二人の仲を邪魔しまくっていたのは、このオーランドだった。
オーランドはイライジャが主演の大作に見事オーディションで受かり参加をしたようで、とも、そのロケ現場で知り合った。
イライジャ曰く、オーリィは初めて会った日本人のに興味を示し、毎日追い掛け回してたという。
それを聞いて嫌な印象をもっていたが実際にオーランドに会ってみれば、かなりのいい奴で俺も友達になってしまったほど。
にちょっかいを出したりして心配はあったが、オーランドは女の子が大好きと言ってるのも知ってたし、数人のガールフレンドもいる。
だから彼は本気じゃないんだろうと安心したものある。
そんなこんなで気付けば俺とイライジャ、そしてオーランド、も含めて今は飲み友達となっている。
まあ俺としては微妙な四角関係(三角関係?)が出来上がってる気がするんだけど・・・・・・




「ジョシュは最近、どう?暫くオフもとって充電できた?」
「まぁね。一人で旅して気分もリフレッシュ出来たかな?その後、かなり撮影詰まってて忙しいけどね」
「いいなぁ・・・。私も行きたかった」
「ほんと一緒に来れば良かったのにさ」


何気なく本音を言いながらも笑って誤魔化す。
いつもの事だ。
もジョークと受け取り、クスクス笑っている。


「だって仕事が重なっててオフなんて取れなかったんだもん」
「へぇ、じゃあオフが取れてたら俺と一緒に旅行してくれたわけ?」


ある程度アルコールが入れば、このくらいは言える。
だけどは本気にしていないのか、楽しそうに笑いながら、


「もちろん!ジョシュの驕りで観光旅行なんて最高じゃない?」


なんて言っている。
これには苦笑するしかない。


「うわ、誰がの分も出すって言った?自腹で来いよ、自腹で」
「あーそんなこと言っちゃうの?ケチ!」


ぶぅっと頬を膨らませて、その後、また楽しそうに笑う彼女に、俺もつられて笑顔になる。
こんな些細な会話でもと二人なら楽しくて仕方がない。


「でも旅行なんてシェビィがいるから行けないわ?今、ちょっと体調悪くて元気ないし・・・」
「そうなの?まだ二歳だろ?風邪かな?」
「分からないけど食欲がないの。明日、病院に連れて行かないと・・・」


シェビィとはの最愛の息子・・・・・・と言っても人間ではなく猫。
彼女は去年、撮影現場で親とはぐれた真っ黒な子猫を拾った。
そして、その猫をそのまま飼っている。
何度か猫を見せてもらいに彼女の家に行ったが、シェビィはオスで俺やイライジャには異様に焼きもちを妬く。
俺達が行くと彼女からベッタリと離れないくらいで、かなりライバル視されている。
猫からライバル視されてるって如何なもんだろうと時々、悲しくなるんだけど・・・・・・


「ね、そう言えば最近、リジーやオーリーと会ってる?」


はサラダを口に運びつつ、顔を上げた。
俺はワインを飲みながら軽く首を振り、


「いや、ロスにいる間に一度は会おうって話してるんだけどね。リジーは今、オフだって?」
「そうみたい。一昨日、電話来たわ?今は色々なイベントに顔出したりしてるって」
「そっか。オーリーは撮影から帰って来て今はロンドンに一時帰国してるってさ」
「そう。行ったり来たりで大変ね」


は苦笑しながらチキンをナイフで切り分けた。


は?次の仕事は決まってるの?」
「ううん、まだよ?今週中には事務所が連絡してくると思う」
「今週中?!おい、・・・・・・少しはオフ取れよ・・・。体、壊すぞ?」
「でも・・・今は仕事してる方が楽しいから・・・」
「そんなこと言って・・・。だから恋人の一人も出来ないんじゃないか?」


俺はさり気なく、そう言って彼女の反応を伺った。
だがはいつも通り、


「今は恋人なんていらないもの」


と肩を竦める。
それを聞いて、"まだ恋人はいないんだ"とホっとするのも、もう何度目だろうか。


「そんなこと言ってたら、すぐに、おばさんになっちゃうぞ?」
「うわ、酷いっ。いいもん、そうなったらジョシュにもらってもらおうっと」
「・・・・・・な、何言ってんだよ・・・」


こんな事を言われただけでドキっとして動揺してしまうなんて情けないと思いつつ何とか言葉を返す。
だがは、そんな俺の気持ちなんて気付きもしないようにクスクス笑いながら美味しそうに食事を続けていた。



はぁ・・・ここで、どうして"いいよ"って言えないかな・・・
もし言ったら・・・は何て言うんだろう。



そんな事を思いながら、黙ってワインを口に運んだ。









「そろそろ帰る?シェビィが心配なんだろ?」
「あ、うん」
「じゃ、送るよ」
「ありがと」


これも、いつもの通り。
無理には引き止めない。
これが"友人"として関係を続けて行ける秘訣とでも言うのか。
彼女が、まだ大丈夫という時は、それで遅くまで飲んだりするけど、今日みたいに何か心配事がある時や、仕事が忙しい時は早めに切り上げる。
本当は、まだ一緒にいたい、だけど引き止めればはきっと早く帰りたいと思ってもOKって言うに決まってる。
彼女には無理をさせたくない。
その方が互いに楽しく付き合えるのだ。


そのままタクシーを拾い、の家まで送っていく。
彼女の家はメルローズのオークウッドアベニューにあって車だとすぐだ。




「ね、今度4人で時間見つけて飲もうよ」
「そうだなぁ。リジーがオフの間にオーリーもロスに来るって言うし・・・その時、会って食事でもしようか」


彼女の提案に俺も笑顔で頷いた。
俺とすればライバルと一緒に会うのは・・・と思う所だが、でもリジーやオーリーだと、そこまで思わない。
皆で会うのも、また楽しかったりするのだ。





「あ、そこでいいです」


の家の前まできて運転手が車を止めた。



ああ、もうついちゃったか・・・。
ここでバイバイしたら次に会えるのはいつ頃になるんだう?
さっき今週中には次の仕事の依頼が来るって言ってたし・・・


そんな事を思いながら支払いを済ませたを見た。


「じゃ・・・また電話するよ」


そう言って彼女の頭にポンっと手を乗せる。
だがはチラっと腕時計を見ると、顔を上げ、


「ね、まだ時間早いし、うちで一杯飲んでいかない?」


と言い出し、ギョっとした。
確かに今日は早めに切り上げたのだから時間は序の口だけど、それはがシェビィの事が心配だと思ったからだ。
それにの家に来たことは何度もあるけど、俺一人でという事は一度もない。
いつもリジーやオーリーのどっちかと一緒だったから・・・・・・


「どうしたの?ジョシュ・・・。あ、もしかして用事があるなら・・・」
「え?い、いやないよ?」
「そう?あ、疲れてる?最近、忙しいんだったよね。じゃあ、また今度・・・」


はそう言って車を降りようとする。
俺は一瞬、慌てて、ええぃ、ここは彼女の言葉に甘えよう!とガシっとの腕を掴んだ。


「っ?」
「あ、あの大丈夫だから・・・お邪魔していい?」
「う、うん。いいけど・・・ジョシュ疲れてるんじゃ・・・」
「いや・・・ほんとは飲み足りないなって思ってたんだ」
「そう?実は私もなの。家ならシェビィの様子見ながら飲めるでしょ?」


はそう言うと俺の手を引くようにして車を降りた。
そのまま彼女についてアパートメントまで入っていく。
何だか緊張してドキドキしてくるのを感じていた。



「はい、どうぞ」
「・・・お邪魔します・・・」


そう言って入ったの部屋は前に来た時と同じ、独特の匂いがする。
彼女の好きなウォターリリーの芳香剤だ。
猫を飼ってるので部屋の匂いが気になると言ってエントランスの棚においてある。
この匂いを嗅ぐと、いつもを思い出していた。



「シェビィ~ただいま!」


ニャァ~っと声を上げたシェビィは確かに自分のベッドの中で元気のない様子。


「まだ、だるそうだけど・・・でもご飯は食べてるわ?」
「そう。良かった。食欲が少しでもあるなら」
「ええ。明日、病院に連れて行かないと」


はそう言ってシェビィの頭を軽く撫でると、


「あ、座ってて?今、ワインでも開けるから」


と言って立ち上がった。


俺は言われた通りソファに座って何とか通常の心音に戻そうと努力する。
やはり好きな子と、こんな時間に部屋で二人きりというのは、どうにも理性が持たない気がする。
いや、ここで告白とか出来ればいいんだけど長年、友達なんてやっているとタイミングもあるし、振られたら・・・という事を考えると怖くなったりしてしまう。


そう思いながら待っていると、がグラスとワインを持ってやってきた。



「はい、ジョシュ」
「あ、サンキュ」
「あ、私、ちょっと着替えてくるね?ジーンズだと疲れちゃう」
「ああ」


俺はグラスを受け取ると、なるべく普段どおりに笑顔を見せた。
は奥のベッドルームへ行き、俺は緊張を解すのにワインを飲み干した。
そして、またワインを注いでいると、シェビィがノソっと起き上がったのが見え、何となく顔を向ける。
今日は元気がないからか、俺の事を見ても少し警戒するような顔をするだけだ。
そして、そのままご飯の置いてる場所まで行くと匂いを嗅いだだけで、ふと俺の方を見る。



「ニャァァ・・・」


「?」


何だろう?何か訴えてるのかな・・・


「ニャァァ・・・」


「どうした?シェビィ・・・お腹空いたのか?」


見ればご飯の容器は空で何も入っていない。


ああ、そう言えばが食欲がないから普段より少なめにご飯を上げてきたって言ってたっけ・・・
じゃあ足りなかったのかな・・・


ふと、そう思ってワインを一口飲むと、ソファから立ち上がった。
そしてキッチンの棚を見渡すも、シェビィのご飯が見当たらず首を傾げる。


「ニャァァ・・・」
「はいはい。分かったよ・・・。って言っても・・・猫の餌ってどこなんだろ・・・」


俺はそう思いながらシェビィの方を見た。
ご飯の容器の他に水を入れる容器も空で、とりあえず、それを持つと冷蔵庫からミネラルウォーターを出して入れてあげた。
それを元の場所に置くと、シェビィはすぐに嬉しそうに水を飲みだしてピチャピチャ音を立てている。


「何だ、喉も渇いてたの?」


俺は必死に水を飲んでるシェビィの頭を軽く撫でて微笑んだ。
こうして見ると猫も可愛いもんだなと思えてくる。


「さて、と。ご飯はどこかな・・・」


そう呟き、もう一度立ち上がるも、サッパリ分からず、仕方なくに聞こうとベッドルームのある方へと歩いて行った。
エントランス前の廊下に出て奥にあるベッドルームへ行くと少しだけドアが開いていて、中が見える。
オレンジ色のライトが洩れてきていて、そこに白い影が動き、俺は声をかけようとして、そこで息を呑んだ。


「・・・・・・・・・っ」



は、まだ着替えの途中なのか、ジーンズは脱ぎ捨て下は下着だけだった。
そして上にはシャツを羽織っているが、きっと下着はつけていない。
白い胸元がかすかに見える。
彼女は、そのまま脱いだものを片付けている様子だ。
そんな彼女を見て声がかけられず、俺はその場に立ち尽くしていた。
鼓動がどんどん早くなっていき、顔の熱も上がっていく。
ダメだ・・・このままリビングに・・・と心で思っても、足が動かず、彼女から目が離せない。
愛しい人の、白い肌を垣間見て俺の中の理性が脆くも消えていく。


俺は静かにベッドルームのドアを開けた。










「キャ・・・ジョ・・・ジョシュ・・・っ?」



ドアの開いた気配で、が驚いたように振り返る。
そして今まで着ていたセーターを、羽織っただけの、まだシャツのボタンもつけていない胸元へと押し当てた。


「な、何・・・キャ・・・」



気付けば彼女の方へ歩み寄り強く抱きしめていた。
は驚いたように体を固くし、逃れようともがいている。



「ジョシュ・・・ど、どうした・・・ん・・・っ」


そのまま開きかけたの唇を塞いだ。
その瞬間、手にしていたセーターが床に落ちる。
彼女は驚いたように目を見開き、ギュっと俺の腕を掴んでいる。


「ん・・・や・・・っ」


強引なキスに彼女は腕の中でもがくが俺は更に強く抱きしめ、の耳元に口を寄せた。



「好きだよ・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・っ?」


「ずっと・・・ずっと・・・好きで好きで・・・。でも・・・言えなかった・・・・・・」


「ジョシュ・・・・・・?」



俺の言葉に少しだけ体の力を抜き、は顔を上げた。
そっと体を離すと、彼女の驚きと戸惑いの色が浮かんだ瞳が揺れている。
その瞳を見ていると、かすかに残っていた理性も奇麗に消えた。
ふと視線を落とせばの白い胸元が露わになっていてドキっとする。


「ジョ・・・ひゃ・・・っ」


唇を首筋に落とし、そのまま下降させるとが驚いたように体を捩った。
そのせいでシャツがはだけ、胸の膨らみがチラリと覗く。
俺は迷わず、そこへ口付けた。


「ん・・・ぁ・・・っ」


の体がビクっとして甘い声を上げた時、俺の体も一瞬で熱くなった。
彼女を腕で拘束し、少しづつ唇で胸元をなぞり、赤い跡をつけていく。
その度に逃れようとするの体もビクっと反応し、抵抗する力が弱まるのが分かった。


「ちょ・・・ジョシュ・・・ま・・・待って・・・私・・・・・・っ」


「待てない・・・・・・」


そう言ってをベッドへ押し倒した。


「ずっと・・・待ってた。が俺を男として見てくれるのを・・・・・・」


「ジョシュ・・・・・・」


の瞳が揺れた。
それを見た時、彼女のこと以外、考えられなくなる。
今までの想いが溢れて来て体の熱が一気に上がっていった。
見下ろした先にはの潤んだ瞳と白い肌。
シャツも前がはだけて奇麗な膨らみが露わになっている。
俺は彼女の手を顔の横に固定すると、さっきよりも強引に唇を奪った。



「ん・・・っ」


掴んでいる彼女の手に力が入った。
だがそれを抑えるようにして上に覆い被さり、キスを仕掛けていく。
無理やり舌を押し込み、の甘い口内を愛撫すると、抵抗していた彼女の体も次第に力が抜けていった。



その後は、もう言葉なんていらなかった。




俺は欲望のままに、彼女を・・・・・・を抱いて自分のものにした―――























ギシ・・・っと音がして俺の腕の中からが起き上がった。
暗闇に彼女の白い背中が見える。
離れて欲しくなくて、その手を掴めば、静かにが振り返った。


・・・・・・」


「ど・・・して・・・?」


「・・・・・・・・・・・・・・・」



の瞳には涙が浮かんでいた。
それを見て胸が痛くなり、腕を引っ張ると、もう一度彼女をベッドに押し倒す。


「ごめん・・・・・・止められなかった・・・・・・。もう・・・・・・これ以上・・・」
「だから・・・って・・・。こんな事したら友達じゃ・・・いられない・・・」



さっきまで甘い声を上げていた唇が、今は悲しげに震えている。
彼女の言葉に胸が痛くなり、その唇を指でなぞった。


「俺は・・・本気での事が好きなんだ・・・・・・。強引なことして悪いと思ってる・・・でも友達じゃなくて・・・違う形で一緒にいたい・・・」


「ジョシュ・・・・・・」


は・・・俺のこと・・・・・・友達としてしか見られない・・・・・・?」



思い切って、そう聞いてみると、の瞳が揺れ、涙が浮かんでくる。
だけど、その後に小さく首を振ったのが分かった。


・・・・・・」


「私・・・・・・ジョシュが・・・好きよ・・・・・・?」


「・・・・・・ほんと・・・に・・・?」



声が掠れた。
彼女の言葉に信じられないくらいの気持ちで尋ねれば、はコクンと頷いてくれた。
その瞬間、さっきとは別の熱が今度は胸の奥に広がる。



「じゃあ・・・俺を受け入れてくれる・・・・・?」



今すぐにも抱きたい気持ちを抑え、何とかそう言えば、がまた頷いてくれた。


それを見てすぐに彼女の艶やかに濡れた唇を塞ぐ。
今度は優しく、確めるように口付けた。
少しづつ、深くしていけば、また彼女の甘い声が上がる。
それが耳に届けば、再び熱が体を襲ってきた。


先ほど白い肌につけた赤い跡を、またなぞるように口付けていく。






「ジョシュ・・・好きよ・・・? ジョシュ・・・も・・・・・・好きなの・・・・・・」








俺の愛撫に震えるように反応しながら、掠れた声でが呟いた。




でも俺は彼女の肌に夢中で、その言葉は耳に入るも意味までは考えられない。








ただの体に溺れながら、俺はやっと届いた想いに喜び、彼女の本心などに気付くはずもなかった―――
































 

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おぉっとエロティック?(笑)
これは他にオーリィ編、リジィ編とあります。
アンケート投票処で、ジョシュ、オーリィ、リジィとヒロインの三角関係(四角?)を
読んでみたいとのコメントがありましたので、小分けにしつつ書いてみます^^;

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