「おはよう御座います!」
「おはよう!」
僕が挨拶をするとスタッフも笑顔で挨拶をしてくれる。
今日からクランクインする事で、皆が張り切っていた。
そう・・・僕でさえ、今回の仕事は、いつも以上に楽しみにしてきたんだ。
また・・・彼女と一緒に仕事が出来るから―――
唇が触れ合う瞬間・イライジャ編
「あ、イライジャ、衣装、合わせてきて」
「OK!」
スタジオ内に入り、控室にいるとスタッフが来て、そう声をかけていった。
僕は、衣装・・・と聞いて、つい笑顔になる。
そう、この映画の衣装担当は僕がずっと憧れていただったから。
初めて一緒に仕事をしてから今ではすっかり友達になってしまってるけど、それでも僕は満足していた。
ライバルだって多い。
ジョシュだって、かなり本気でを好きだろうし、オーランドだって彼女の事になると普段とは違った顔を見せる。
彼は隠してるつもりだろうけど、僕には何となく、それが分かるんだ。
大の男が3人、一人の女の子を好きになってしまうなんて笑われそうだけど、それだけは一緒にいて楽しいし魅力的な子だった。
ここ暫く彼女の仕事が忙しかったようで、電話だけでしか話せなかったけど、今日からは毎日会える。
そう思うと僕は浮かれていた。
ココン・・・!と軽くノックをしてドアを開けると、そこは衣装がズラリと置かれている。
「衣装、合わせに来たんですけど」
そう言って部屋の奥に入っていくと、長い黒髪をアップにしたがパっと振り向いた。
「あ、リジー!おはよう」
「やあ、。おはよう」
僕の顔を見ると、いつもと変わらない笑顔を向けてくれるに自然と顔も緩んでしまう。
「夕べはよく眠れた?」
「うん、バッチリ。は?」
「私は・・・ちょっと緊張して眠れなかったかな?」
はそう言うと笑顔で舌を出した。
その仕草が可愛くてちょっとドキっとさせられる。
「あ、衣装だよね?えっと・・・これ着てみて?サイズが合わなければ、すぐに直すから」
「OK」
僕はに渡されたシャツとジーンズを受け取り、フィッティングルームへと移動した。
そこで素早く着替えてみる。
一応、僕のサイズで探してきているのでピッタリだ。
「どうかな、サイズ」
表でが声をかけてきた。
僕はそのままフィッティングルームを出ると、「ピッタリだよ?どう?」と尋ねた。
するとは首を傾げながら服のバランスを見ていたが、真剣な顔で少しだけ手直ししていく。
それで満足すると笑顔で顔を上げた。
「これでOK。どう?」
「うん。スッキリしたね」
「後は・・・小道具なんだけど・・・・・・」
そう言っては僕の役用の小道具が置いてある棚まで行って色々と探して戻って来た。
「これがお財布で、これがカバン・・・。あと・・・」
一生懸命、説明しているをジっと見ながら、僕は彼女の様子が少し気になった。
「これが車のキーね?」
「うん、あ、あのさ」
「え?」
「、ちょっと痩せた・・・?」
「・・・ぇ・・・そ・・・っかな・・・?」
「うん・・・ちょっと前より痩せたよ?具合でも悪いの?」
ちょっと心配で、そっと彼女の頬に手を添えた。
だがは笑顔で首を振ると、
「そんな事ないよ?元気だよ?」
と明るく言った。
でも確かに彼女は前よりも痩せたし少し元気がないように見える。
そう・・・何だか無理して笑ってるような・・・そんな感じだ。
「じゃ、これ小道具ね?」
「あ、うん・・・」
小道具を渡され僕はそれを受け取ると、それでもを見ていた。
彼女は他のキャストの小道具も、それぞれに分けながら衣装を出していっている。
そして、ふと僕の方へ振り返った。
「リジー?どうしたの?行かないの?」
「え・・・?あ・・・うん。まだ撮影始まらないし・・・さ。ちょっとの仕事ぶりでも見てようかなって」
「え~?私の仕事してるとこ見て楽しい?」
僕の言葉にはクスクス笑っている。
それには僕も肩を竦めながら、
「そりゃ楽しいよ?一生懸命なを見てるのは好きだしさ」
とさりげなく自分の素直な気持ちを言ってみる。
だけどは相変わらずで言葉の奥にある深い意味には気づかない。
「そう言ってもらえると嬉しいけど、じぃっと見られてちゃ仕事がしにくいわ?」
そんな事を言ってクスクス笑っている彼女に僕もまた笑顔になる。
「ねぇ、そう言えば二人には会ってる?一昨日、オーリーから電話が来てちょっと話したんだけど少し元気がなくてさ」
「え?」
僕が話し掛けるとは驚いたように振り返った。
その表情に僕も驚いてしまう。
「ど、どうしたの?」
「う、ううん・・・何でも・・・。二人には最近、会ってないわ・・・?」
「そう・・・。でも・・・二人ともロスにいるのに。連絡とかなかった?」
「で、電話は・・・あったかな?でも元気だったように思ったけど・・・」
「そっかぁ。まあオーリーもいつも元気だって訳じゃないだろうけど・・・珍しいからさ」
「・・・・・・そうね・・・」
は小さく頷くと再び仕事をやり始めて僕に背中を向けた。
その様子が少しおかしくて気にはなったが、僕も後ろの椅子に腰をかけて言葉を続ける。
「ね、僕も暫くロスで仕事だし、オーリーとジョシュがいるうちに、また4人で会わない?」
「・・・え?で、でも・・・・・・時間あるかな・・・・・・」
はこっちを見ないまま返事をした。
それにも少し違和感を感じ、僕はゆっくり立ち上がると、の方に歩いて行った。
「・・・?どうしたの?」
「な・・・何が?」
「少し・・・様子が変だけど・・・」
「そんな事ないよ?」
「じゃあ何で僕を見ないの?」
そう言っての手を掴み自分の方に向けた。
そして彼女の悲しげな瞳を見てハっとする。
「・・・やっぱり・・・何か・・・あった?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
僕の問いには目を伏せて軽く首を振るだけ。
それには、ますます心配になってしまう。
「・・・何か悩みがあるなら言ってよ・・・。友達だろ?」
「リジィ・・・」
「の元気のない顔なんて見たくないんだ・・・・・・」
僕がそう言うと不意に彼女の奇麗な瞳からポロっと涙が零れてドキっとする。
だがそれを慌てて手で拭いながら、
「ご、ごめん・・・・・・っ」
と無理に微笑むを見て胸が苦しくなった。
だからか気づけばの腕を引き寄せ、強く抱きしめていた。
「リ、リジィ・・・っ?」
「泣かないで・・・・・・そんな顔は見たくないよ・・・・・・」
僕がの頭に頬を寄せてそう言えば、彼女は腕から抜け出そうとしながらも、
「ご、ごめんね?ちょっとリジーが優しいから気が緩んじゃっただけで・・・・・・」
と必死に言ってくる。
それが健気に思えて抱きしめる腕に力を入れた。
「いいよ・・・。僕の前でなら・・・気が緩んだって弱い部分を見せてくれたって何でもいい。でも一人で悩まないで・・・?」
「リジィ・・・・・・」
少しだけ体を離し、の顔を覗き込めば、涙で潤んだ瞳と目が合った。
それにはドキっとしてしまう。
吸い込まれそうなの黒い瞳が僕は好きだった。
その瞳を至近距離で見つめると胸の奥がドクドク鳴って体も自然と熱くなる。
つい視線は唇へと向けられ、彼女にこのままキスしてしまいたい衝動に駆られたが何とか気持ちを押し留めた。
それでも腰を抱き寄せる腕には少し力が入り、本当に折れそうなほど痩せてしまった彼女に胸が痛む。
「あ、あの・・・リジィ・・・皆、来ちゃうから・・・」
は恥ずかしそうに僕の腕の中で、しきりにドアの方を気にしている。
その様子に少し悲しくなるも、僕はちょっと微笑んで、の額にそっと口付けた。
「リ、リジィ・・・?」
「が何を悩んでるのか相談してくれるなら離してあげる」
「え・・・ちょ・・・リジーっ」
僕が意地悪な顔で、そう言えばは頬を赤くしたまま可愛く睨んでくる。
だが僕は澄ました顔で視線を反らした。
それにはも困ったように俯いて軽く息をついている。
「?」
「あ、あの・・・・・・仕事終ってからで・・・・・・いい・・・?」
「え?」
「ちゃ、ちゃんと話す・・・から・・・・・・」
はそう言ってチラっと僕を見上げてきた。
その顔が何ともいえないほどに可愛くて僕は顔が綻んでしまう。
「いいよ?じゃあ終わったら、一緒に食事に行こうか?」
「う、うん・・・」
もやっと笑顔で頷いてくれて僕も優しく微笑み返すと、彼女を解放する前に素早く頬にチュっとキスをした。
「ちょ・・・リジィ・・・っ」
「これで撮影も頑張れるからさ!じゃ、後でね!」
僕はそう言って彼女を離すと、そのまま小道具を持って部屋を出た。
きっと今頃、は顔を赤くして頬を膨らませてる事だろう。
前にも一緒に仕事をした時、こんなスキンシップをすると、は決まって顔を赤くして怒ってたもんだった。
最初に出会った時には、もちろん僕だって、まだ若くて、そんな事は出来なかった。
今、こんな風に接する事が出来るようになったのはロード~の仕事でオーリーの影響を受けたからなんだけど・・・
皆は悪影響だって言って、よくオーリーに文句を言ってたっけ…
まあ、もその一人なんだけどね。
でも・・・今日のはほんとに様子がおかしかった気がするし心配だ。
まあ、後で話してくれるって言ってたけど・・・
前以上に痩せてしまってたし最初は元気に見えたけど今思えばカラ元気のようだった。
少し会わない間に彼女に何があったんだろう?
僕はそう思いながら、まさか、その原因が自分の親友とも言える二人だという事は、この時は思いもしていなかった―――
「お疲れー!」
「よぉ、イライジャ!お疲れさん!今から皆で飲みに行くんだけど一緒にどうだ?」
撮影が終わり、すぐに帰ろうとした僕にスタッフの一人が声をかけてきた。
その言葉に僕は軽く手を上げ、
「ごめん!先約があるんだ。また今度誘ってよ!」
と返した。
そのスタッフは僕の言葉に笑顔で手を上げ歩いて行く。
彼を見送ると、僕は急いでのいる衣装置き場となっている部屋へと向った。
クランクインの日は必ずと言っていいほど気疲れするのに今日は逆に体が軽い。
それは、きっと、これが終わればと二人で食事に行けるからだろう。
二人きりで食事なんて今までに、そんなチャンスなんて来た事がなかったから、かなり浮かれている自分に苦笑してしまう。
初めて彼女に会った現場では、"抜け駆けはなし"という男性キャストやスタッフの間で暗黙の了解となっていた。
だから、いつも皆でワイワイと飲みに行ったりしていたから、当然、二人きりになる事もなく、
また僕もその当時は17歳くらいだったから、そんな勇気もなかったんだ。
でもロード~でまたと一緒に仕事を出きると分かった時は最高に嬉しかった。
これで一歩リードしたような気分さえしていた。
なのに、それもオーランド・ブルームという新人俳優(年上だけど)のおかげで全くのノーチャンス!
最初は僕とは友達だったから、よく一緒にいたけど、そのうち気づけばオーリーまでが一緒にいることが多くなっていた。
オーリーは持ち前の明るさと人懐っこさでとも、すぐに仲良くなった。
はオーリーの犬のような性格(!)が気に入ったのか、飲みに行く約束をした時も
いつもオーリーを誘うようになって当時は結構へこんだ事もある。
だから何故かライバルのジョシュに電話で愚痴ったりしてたっけ・・・。
まあ、ジョシュもその後にオーリーと共演する事になって、その仕事でともまた一緒に仕事が出来て喜んでたんだろうけど。
そこでジョシュも当然の如くオーリーには手を妬いた様だったが、あの懐っこさが幸いし、二人もいつの間にか仲良くなっていた。
それにジョシュはオーリーはに本気じゃないと思ってたようだったから、友達にもなれたんだろう。
だからか今はすっかり4人で会う事が多くなっていた。
二人で会おうとすると、いつも二人のうち、どっちかが一緒。
それはそれで楽しいからいいんだけど、僕だって、もう21歳だ。
好きな子と、それなりに二人で会いたいと思うし、この4年越しに及ぶ片想いだって終わらせたいって思う。
まあ、そこで振られて友達にすら戻れなくなりそうで怖いってのも、もちろんあるんだけど・・・・・・
今夜・・・・・・が何に悩んでるのかを聞いて、様子を伺ってから告白するかどうか決めようと思っていた。
それは少し情けないけど、もし・・・もしもだけど・・・の悩みが男の事だったりしたら・・・・・・と怖いという気持ちも少なからずある。
いつも笑顔を絶やさなかった彼女が、あんな風に僕の前で泣くなんてよっぽどの事なんだろうって・・・・・・・・・・そう思うから――
廊下を歩きながら角を曲り、もうすぐのいる部屋につく・・・と、そう思った時、ジャケットのポケットの中で携帯が鳴り出し、そこで足を止めた。
すぐに携帯を取り出し、ディスプレイを確認すれば、そこには"josh"と名前が出ていてドキっとする。
だが出ないわけにもいかない。
今日からと一緒に仕事をするという事はジョシュも知っている。
変に勘ぐられるのも嫌で、僕はすぐに通話ボタンを押した。
「Hello?ジョシュ?」
『あ、リジー?今、大丈夫か?』
「うん。少しなら・・・。どうしたの?」
『うん、まあ・・・今日・・・これから時間あるかな?』
「・・・・・・え?何?」
『いや・・・・・・ちょっとさ・・・話したい事があって・・・・・・』
「・・・・・・あ~・・・きょ、今日はさ・・・ちょっとダメなんだ。スタッフと約束しちゃって・・・」
『・・・そっか・・・。じゃあ・・・また今度でいいよ』
何故かジョシュは僕が断ると少しホっとしたように、アッサリと引き下がった。
普段なら、"何だよぉ~"とか少しスネたりするのに・・・と少しだけ疑問に思ったが、
今の僕はとの大事な約束があり、その事で頭が一杯だったし、大した追求もしないでおいた。
「ごめん。また電話してよ。今、ジョシュもロスで仕事してるんだろ?」
『ん~・・・実は明日、一度ミネソタに帰るんだ。来週からロスで暫く仕事あるし必要な物を取りにだけど』
「そうなんだ。じゃあ来週、また皆で会う?ほらも今は僕と一緒の現場だしさ」
僕がそう提案すると、ジョシュは一瞬、黙り込んでしまい、首を傾げた。
「ジョシュ?」
『・・・あ、ああ。そうだな・・・・・・じゃあ・・・そうしよっか・・・』
「・・・?ぅん」
『じゃあ・・・・・・また電話するよ』
「うん、またね」
そこで電話は切れた。
だが僕は何かに引っかかり、暫く携帯を見つめていた。
そして、ある事に気づいた。
そうだ・・・ジョシュってば珍しくの事を聞いてこなかった。
今は一緒の仕事をしてるんだから、僕に少しくらい、"は元気か?"とか聞いてきても良さそうなもんなのに・・・・・・
ロード~のロケの時は、電話で話すたびに聞いてきてたし、僕だってジョシュとが一緒に仕事をしてる時は、いつも聞いていた。
なのに・・・・・・今の電話では何も聞いてこなかったし、少し様子がおかしかった。
それと・・・・・・
"話したいことがあって・・・・・・"
何の話だったんだろう?
今さら気になってきた。
仕事の話なのか、それともプライベートな事なのか・・・・・・それだけでも聞いておけば良かった。
まさか・・・・・・彼女が出来た・・・なんて話じゃない・・・・・・よね?
だからの事は諦めた・・・・・・とか。
「そんなはずないか・・・・・・」
僕はちょっと苦笑して、そう呟いた。
先月、電話で話した時は、ジョシュも"、元気かな。会いたいよな"って言ってたし・・・・・・
まあ、ジョシュだってオーリーと一緒になってと3人で会ったりしてたんだから、断然、僕よりは会ってると思うんだけどさ。
「あっと・・・・・・いけね!」
ふとの事を思い出し、急いで部屋へと向った。
ジョシュの事は気になったが、まあ、来週には、またロスに来るって言うし、その時にでも聞けばいいと思い直す。
それよりも今は、と二人きりでの食事の事で頭が一杯だ。
僕は、そのまま軽い足取りで衣裳部屋までやってきた。
コンコン!
軽くノックをして、すぐにドアを開ければ、そこには可愛い笑顔のが・・・・・・いたわけではなく、
そこには衣装担当チーフで、の上司でもあるロリーがいた。
「あら、イライジャ。どうしたの?」
「あ・・・っと・・・、いますか?」
僕が何とか笑顔を作って、そう聞けば大量の衣装の間からがひょこっと顔を出した。
「あ、リジー」
「やあ、迎えに来たんだけど・・・もう出れそう?」
「ええ。今、片付け終わったわ?」
はそう言うとアップにしていた髪を下ろし長い髪がパサっと胸元に落ちる。
そのサラサラした髪を見ると、いつも見惚れてしまう。
「あら、二人でお出かけ?」
「え?あ・・・まあ・・・」
不意にロリーに、そう言われ僕が笑って答えると、彼女は目を細めつつ、
「もしかして・・・デートかしら?」
と言ってクスクス笑っている。
それにはドキっとしたが、が笑いながら、すぐに訂正した。
「違います。食事に行くだけですよ?私とリジーは4年前から友達なんで・・・」
「ああ、そうだったわね?」
の言葉にロリーも思い出したように苦笑している。
だが僕は少しだけ胸が痛んだ。
"友達"
この言葉が、その意味が、どれだけ重い事なのか、僕にとったら嫌というほど知らされた4年間だ。
"友達"なんて肩書きは今の僕には重荷でしかない。
「じゃあ、お先に失礼します。また明日・・・」
「ええ、お疲れ様!イライジャも明日もまた宜しくね!」
「はい、じゃあ・・・をお借りします」
「はいはい。お酒は控えてね?」
ロリーはそう言いながら笑顔で見送ってくれた。
僕ともロリーに軽く笑顔を見せて廊下に出ると、外に向って歩き出した。
「どうだった?初日は」
「ん~まあ、NGも出さずに何とか終わったって感じかな?」
「そっか~。じゃあ今夜は私の驕りになっちゃうなぁ~」
は、そんな事を言って笑っている。
その笑顔からは先ほど見せた悲しい表情は消えてるように見えた。
「あ~そう言えば、前はよくNG出した奴が奢る、なんて嫌な約束事が出来上がってたよなぁ」
「でしょ?あれ考えたのってヴィゴとショーンの人間組じゃなかった?」
「そうそう!自分たちがNG少ないからって、そんなこと言い出して勝手に決めたんだよ。ほんと参ったな」
僕は苦笑しながら肩を竦めると、も思い出したのか、クスクス笑っている。
そして遠い日を思い出すように外に出た時、月が光る夜空を見上げ、
「あの頃は・・・・・・楽しかったなぁ・・・・・・」
と呟いた。
"あの頃は・・・"? じゃあ・・・・・・今は?
確かに・・・・・・あの頃は撮影も大変だったけど毎日が充実していて皆もいて本当に楽しかった。
僕はオーリーに邪魔をされながらも毎日、に会えてたし一緒に長い間、ニュージーランドで過ごしていたんだから幸せ過ぎる日々だったんだ。
時々・・・・・・あの頃に戻りたくなる事がある。
も・・・・・・そう思っているんだろうか。
僕らは、そのまま皆で前にも行ったことのある韓国料理店に向った。
ここはプライベートルームもあって人目を気にすることがないから気に入っている。
「そう言えば・・・・・・リジーとこうして二人で食事って初めてに近いかな?」
席へと案内され、二人で席へついた時にがそう言ってきた。
僕はちょっとドキっとしたが顔には出さず、
「そうだね。前に一回ランチには行った事があったけど、あの時もオーリーが途中で乱入してきたから」
と肩を竦め彼女を見た。
するとは何となく視線を外しながら、「そうだっけ・・・」と呟き、メニューを手にして眺めている。
その様子に少しだけ違和感を覚えたが、別段、気にすることもなく僕もメニューを開いて何を頼むか目を通した。
最初にお酒を頼み、二人で料理を決めると、僕らは乾杯して暫くは他愛もない話に花を咲かせた。
だが料理も運ばれてきて食べ始めると、次第にの口数も少なくなってくる。
と二人の時間が楽しくて、忘れそうになっていたが、今日は彼女が何を悩んでるのかを聞くのに、ここへ来ているという事を、ふと思い出す。
ある程度、お酒も入った事だし、そろそろ本題に入ってもいいかな・・・?と僕はグラスを置いた。
「あの・・・さ・・・」
「え・・・?」
思い切ったように口を開くと、少しボーっとカクテルのグラスを小さく揺らしていたがハっとしたように顔を上げた。
その表情は悲しげで先ほどまでの元気な顔が消えている。
そんな顔を見ると心配な気持ちが、また溢れてきた。
「・・・何に悩んでるの・・・・・・?ほんと・・・元気ないよ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
僕の問いには少し目を伏せ黙っている。
だが構わず、僕は言葉を続けた。
「僕でよければ・・・聞かせて欲しいんだ・・・。が元気ないと心配だから・・・役には立たないかもしれないけどさっ」
なるべく明るくそう言えば、は静かに僕の方を見た。
その瞳には、かすかに涙が浮かんでいるように見えてドキっとしたが、僕は真っ直ぐに彼女を見つめる。
するとは視線を泳がせながら、少しだけ口を開きかけるも、再び口を閉じ何となく言いにくそうにして息をつく。
その様子に僕は少しドキドキしてきた。
何だろう・・・?
そんなに言いづらいことなんだろうか。
仕事の悩みだったら、こんな風にはならないだろうし・・・
やっぱり・・・・・・個人的なこと・・・・・・?
色々と問い詰めてしまいたくなるが、ここはグっと堪えてから話してくれるのを、ひたすら待った。
その間、は何度も口を開きかけるが躊躇しているのか、黙ったまま時々カクテルグラスを口に運んでいる。
僕は何となく、この重たい空気に落ち着かなくて手持ち無沙汰にライターを手でいじりつつ、煙草を出したり仕舞ったりしながら、
が話してくれるのを待っていた。
だが少し限界で緊張を解すのに煙草を口にくわえ、火をつけた時、がゆっくり顔を上げて僕の方を見たのでドキっとする。
「リ・・・リジィ・・・」
「・・・・・・ん?」
やっと口を開いたかと思えば消え入りそうな声。
だけど僕は普段と変わらない笑顔を彼女へと向けた。
そんな僕に少し安心したのか、もぎこちないながらに口元だけ綻ばせ笑顔を見せてくれる。
そして再び小さな声で、
「もう・・・・・・私達、友達じゃいられなくなるかもしれない・・・・・・」
とだけ言った。
その言葉の意味が分からず、僕は煙草を灰皿に押しつぶすと彼女を見つめた。
「どういう・・・・・・意味?僕と・・・・・・ってこと・・・?」
ちゃんと言葉になっていただろうか。
ドキドキした鼓動がうるさくて一気に息苦しくなり声さえ震えてた気がする。
だがはふるふると首を振り俯くと、
「"私達"・・・・・・4人って事よ・・・?」
と呟いた。
4人・・・?
それは・・・僕も含めて、ジョシュやオーリーと・・・って・・・事か?
でも・・・・・・どうして―――?
「どういう・・・・・・こと・・・?何かあった・・・・・・?」
さっき以上に声が震えた。
頭の中が混乱して鼓動だけが普段の数倍は早く打っている。
の言っている意味が全く分からない。
彼女は日本の子だ。
もしかして・・・日本へ帰ってしまうって事だろうか?
だから・・・もう会えないって・・・そう言っているのか?
一瞬の沈黙の間、色々な事が頭の中を駆け巡った。
だが、その答えを彼女はアッサリと口にする。
「私ね・・・・・・ジョシュが好きなの・・・・・・オーリーの事も・・・・・・。二人と・・・・・・寝たわ・・・・・・?」
「―――――っ]
一気に奈落の底へ突き落とされた気がした。
彼女の言葉がぐるぐるとまわっている。
"ジョシュのことが好き・・・・・・"
"オーリーのことも・・・・・・"
"二人と・・・・・・寝た・・・"?
どういう事だ?
意味が分からない・・・・・・
どっちかと・・・・・・付き合う事になったって言われた方が、よっぽど分かりやすい―――
よほど混乱していたのか、僕は震える手で煙草を取り出し、口にくわえた。
だが、なかなかライターの火がつかず、何度もカチっという音を立てる。
そんな僕をは泣きそうな顔で見ながら、
「軽蔑・・・・・・したでしょ・・・・・・?」
と呟いた。
軽蔑・・・・・・?
そんな・・・・・・そんなことあるはずない・・・・・・。
彼女は、そんな子じゃない・・・・・・
きっと・・・・・・きっと二人が強引に迫ったんだ・・・・・・
それで拒めなくて・・・・・・
いや・・・・・・・彼女は、こう言った。
"ジョシュが好きなの・・・・・・。オーリーの事も・・・・・・"
好き?二人のことが?
じゃあ・・・・・・僕の事は・・・・・・?
僕だけは友達のままなの?
そう聞きたかった。
いや、情けなくて・・・・・・この場から逃げ出したい気分だ。
知らず顔が強ばっていたのだろう。
が不安そうな顔で、
「リジィ・・・・・・」
と呟いた。
だが僕は彼女の方を見ることが出来ない。
足元から何かが崩れるような、そんな気さえした。
もっと色々聞きたいことがあるのに、この場にはいられず、そのまま席を立ち、
「帰ろう・・・・・・。送るよ・・・・・・」
とだけ言って、そのまま部屋を出た。
後ろを振り向かず真っ直ぐレジの方に行き会計を済ませる。
そして外に出てタクシーを拾った。
気づけばが追いかけて来ていて、
「リジィ、待って・・・・・・・・っ」
と僕の腕を掴む。
だが僕はその手をそっと解くと、
「乗って・・・・・・。家まで送る・・・・・・」
と言い、を車へと乗せ自分も乗り込んだ。
住所を告げ、シートに身を凭れると隣にいるは肩を小さく震わせ、必死に泣くのを堪えている様子だ。
そんな彼女を見て胸が痛むも、さっきの痛みの方が強く、何も言葉をかけてあげられない。
ずっと沈黙のままタクシーがのアパートメントの前に静かに止まるまで、互いに一言も交わさなかった。
ドアを開け、僕が先に下りると、を下ろした。
そして僕だけタクシーに乗り込もうとすると、グイっと服を引っ張られる。
「リジィ・・・・・・お願い・・・話だけでも聞いて・・・?」
その声は震えていて、とても弱弱しいものだった。
ゆっくり彼女の方に振り返ると、涙で一杯になった大きな瞳と目が合う。
は唇をキュっと噛み締め、僕の服を離さず握ったままだ。
そんな彼女を見て僕は軽く息をつくと、タクシーの運転手に、
「ここでいいです。いくらですか?」
と聞くと支払いを済ませた。
タクシーが静かに走り去るのを見送った後、僕はの方に振り返った。
は俯いたまま泣くのを堪えてるようで、時々嗚咽が洩れている。
それでも、まだ僕の服の袖をギュっと握りしめたままで、その姿を見て胸がキュっと鳴った気がした。
「・・・泣くなよ・・・」
「だ・・・だって・・・・・・」
「ちゃんと・・・話、聞くからさ・・・・・」
肩を震わせているの顔を覗き込んで、優しくそう言えばもやっと顔を上げた。
ポロっと頬に涙が伝って落ち、それを指で拭ってあげると彼女はくすぐったいような顔をしてギュっと目を瞑った。
その顔は子供のようで少しだけ笑顔になる。
彼女に泣くなって言ったけど・・・・・・今、を泣かせてるのは、この僕なんだ・・・・・・
そう思うと彼女を抱きしめたくなった。
だが、いつまでも、こんなアパートメントの前に立っているワケにも行かず、僕はの手を取り、彼女の部屋へ行くべく、中へと入って行った。
もそれには素直についてきて、部屋の前まで来ると鍵を出しドアを開けてくれる。
「どうぞ・・・・・・」
「お邪魔します」
中へ入ると久し振りのの部屋の匂いがして懐かしい思いが込み上げてきた。
リビングに行けば、シェビィが飼い主以外の人の気配を察知したのか、慌てて奥の部屋へと走り去るのが見え苦笑する。
は僕の後から入って来てキッチンに行くと冷蔵庫からビールを出してテーブルに置いた。
僕は黙ってソファに座ると、は落ち着かないように立っている。
「座ったら?」
顔を上げて、そう彼女に言うとは小さく頷いて向かいのソファへ座ろうとした。
だが僕は彼女の腕を掴み、無理やり自分の隣へと座らせる。
「リ、リジィ・・・・・・?」
「何で離れるの?警戒してる?」
「そ、そういうわけじゃ・・・・・・」
僕の言葉にはまた泣きそうな顔をして俯いてしまった。
その表情に罪悪感を感じ、僕は掴んでいた腕を離すと、
「ごめん、嘘だよ」
と言って軽く息をつく。
するとはゆっくり顔を上げ、僕の方を見た。
「リジィ・・・・・・怒ってる・・・?」
「・・・・・・・・・・・・」
そりゃ怒ってるさ・・・・・・
僕の知らないところで二人がに手を出してたって分かったんだから・・・・・・
しかもは二人の事が好きだと言った。
それって・・・・・・どういう事なのかも分からない。
じゃあ僕のことは?
そう聞いてしまいたくなる。
「リジィ・・・・・・ごめんね・・・・・・?」
僕が黙っていたからか、はそう呟いて目を伏せた。
やっぱり、にそんな顔をされると辛い。
僕は軽く溜息をつくと、そっと彼女の手を握った。
「ちゃんと・・・・・・話してくれる・・・・・・?」
僕がそう言うと、は小さく頷いて、手を握り返してくれた。
こんな状況じゃなければ、僕はきっとこれだけで嬉しかった事だろう。
それに、よく考えれば、こうしての部屋に一人で入った事はなかった。
初めての一人での訪問が、こんな最悪な話を聞く事で実現するなんて・・・・・・
そんな事を思いながらの話に耳を傾けた。
彼女は最初からちゃんと順序だてて話してくれた。
最初はオーリーと、そういう関係になったこと。
は、どうやらオーリーの事を、その前から好きだったようだ。
だから拒めなかったと、彼女は泣きながら言った。
でも、遊びだと思っていたから、もうこんな関係を止めようか、と悩んでいたと。
そこで会ったのがジョシュだった。
はジョシュの事も好きだったらしい。
オーリーとは違う優しさに惹かれたと言った。
そして彼に相談しようと二人で会った。
だけど、その話をする前にジョシュにまで告白され、また関係を持ってしまった。
どっちも好きだからこそ、は悩んだが、一瞬、本気で好きだと言ってくれるジョシュを選ぼうとしたらしい。
遊びでしかないオーリーとの関係を、そこで止めてジョシュの気持ちに答えようと思ったそうだ。
だけど蓋を開けてみればオーリーも実はの事を本気で好きだった。
はオーリーに、そう言われ、結局、別れる事も出来ずにどうしていいのか分からなくなったと、そう言った。
いっその事・・・・・・二人に全てを打ち明けてしまおうか悩んでいると・・・・・・
僕は、そこまで聞いてどんどん痛みが増す心を持て余していた。
結局、は二人の事が好きだったということになる。
でも友達という関係の方がいいと思っていた。
それはそうだろう。
二人が同じくらいに好きなら、どっちも選べるはずはないんだから。
なのに・・・・・・二人は、そう思っていたに自分の想いをぶつけてしまった。
がどう思ったのであれ、オーリーだってジョシュだって素直に自分の気持ちに従っただけだ。
だけど・・・・・・二人は知らなかった。
の複雑な愛情を・・・・・・
僕は隣で静かに泣いているを見つめた。
今まで自分が恋焦がれていた彼女。
いつも笑顔で元気に笑っていた・・・・・・
その彼女が今は涙を流し、どうしていいのかすら分からなくて僕に助けを求めている。
それは・・・・・・僕の事を男として見ていないから・・・・・・?
二人の事を愛しても、僕だけはいつまでも友達のままなの・・・・・・?
そう思ったら悔しくて喉の奥が痛くなった。
「ご、ごめんね、リジィ・・・・・・」
涙を必死で拭いながらが呟いた。
だけど僕は、その言葉すら、友達として言われてる気がして胸がズキズキと痛んでくる。
そっと彼女を見れば泣き顔のまま、僕を見ていた。
「リジィにしか・・・・・・話せなくて・・・・・・」
「・・・・・・っっ」
その言葉に僕は追い討ちをかけられたほどにショックを受けた。
「"ごめんね"なんて・・・・・・いらないよ・・・・・・」
「・・・・・・?」
そう呟いた時、僕は彼女をソファの上に押し倒していた。
「リ・・・・・・リジィ・・・・・・?」
「ごめんねって・・・何? 僕はにとって、ただの友達?」
「リジィ・・・・・・?どうしたの・・・・・・?」
は僕の行動と言葉に驚いたように目を見開いた。
だが構わず、僕はの手首を掴んで上から見下ろす。
「僕になら・・・・二人の事を話しても平気だった?僕の気持ちは考えてくれなかったの?」
「・・・・・・リジィ・・・」
少しづつ語尾が荒くなって手首を掴んでいる手にも力が入る。
そんな僕を呆然としたように見つめるの瞳は戸惑いで揺れていた。
だけど僕の胸の奥が一気に熱くなって来て、自分でも抑えられない。
その時、が静かに口を開いた。
「リジィの・・・気持ちって・・・・・・」
「僕が・・・・・・の事を想う気持ち・・・・・・・・・二人と何も変わらないよ・・・・・・?」
「――――っ」
の瞳が大きく開かれた。
僕もまた・・・・・・・・・彼女を傷つけてしまうんだろうか―――?
それでも・・・・・・・分かって欲しくて・・・・・・二人と同じように見て欲しくて・・・・・・
僕は掴んでいた手を離し、そっとの頬に手を添えた。
「君が好きだよ・・・・・・・・・・・・・・・・僕だって・・・・・・君を愛してたんだ・・・・・・」
「リ・・・ジィ・・・・・・・・・」
彼女の掠れた声が聞こえた。
大きな涙が頬を伝う。
気づけば僕の涙がの頬にポツっと落ちて零れていった。
「どうして・・・・・・・・・どうして、こんなことに・・・?僕のことも・・・・・・ちゃんと見てよ・・・」
胸が痛くて押し出すように言葉を繋ぐ。
分かって欲しくて・・・・・・それでも傷つけたくなくて・・・・・・僕は沸きあがってくる衝動を必死に抑えていた。
するとの手がゆっくり動いて僕の頬に添えられた。
その温もりで一瞬、ドキっとする。
「・・・・・・」
「リジィ・・・・・・ごめんね・・・?私が悪いの・・・・・・・・・」
「・・・ぇ?」
「皆の事を・・・・・・同じくらい愛してしまったから――――」
「・・・・・・・・・・・・っ」
その言葉の意味を考えるまでもなかった。
は・・・・・・こんな事、望んでいなかったんだ・・・・・・・・・・・・・・・
皆を・・・・・・いや・・・・・・僕たちを同様に想ってくれていたから・・・・・・
誰とも・・・・・・こんな風になる事なんて望んでいなかった。
でも・・・・・・それを僕たちが壊してしまった――――
「好きよ、リジィ・・・・・・でも・・・・・・私はもう・・・・・・」
そう言いかけた彼女の唇に、そっと指をおいた。
の瞳が涙で揺れて、困ったように僕を見つめる。
だけど僕は、もう何も聞きたくなかった。
もう遅いから。
壊れた関係は元には戻せない。
だから・・・・・・・・・・・
「が欲しい・・・・・君は・・・・誰のものにもならなくていいから―――」
僕といる時だけは・・・・僕を見て?
彼女の耳元でそう囁いて、ゆっくり唇を近づけた。
僕を見る彼女の目は、それを拒んでるようでギュっと瞑られ小さく首を振っている。
だけど僕は構わず、そっと唇を重ねた。
その瞬間、彼女の手に力が入るのが分かったがそれを離さず、何度も触れるだけの口付けをする。
ずっと・・・・・・想い焦がれていた彼女の唇の温もりに僕の体が一気に熱くなった。
ただ触れているだけなのに次から次に愛してるという、言葉に出来ない思いが溢れてくる。
今までしたどんなキスよりも、彼女の唇は僕の心を溶かすほどに甘く、満たすには充分なほど―――。
この夜、僕は彼女を抱かなかった。
ただ何度も彼女の唇を求め、重ねただけ。
それが全てを知ってしまった僕の彼女への、精一杯の愛情だった――――
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うひょー意外な展開?今回はエロなしで(笑)
さてさてヒロインはどうするのでしょうか・・・・・・
次はヒロイン編でラストとなります。
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