僕の彼女は、よく表情が変わる。
今、笑っていたと思えば、すぐスネてみたり、そうかと思えば映画を見て泣いてしまったり。
そんな彼女が僕は大好きなんだ。
そして今、久し振りに会った彼女が何をしてるのかというと・・・
今は可愛い笑顔もなりを潜め、何やら小さな紙を前に可愛く唇を尖らせ、考えごとをしているようだ。
僕は紅茶を飲みながら、それを暫く眺めていたが、かまってっもらえないのが、だんだん寂しくなってきて・・・
「ねぇ、。さっきから何、紙と睨めっこしてるの?」
「・・・え? ああ、これ? これは・・・短冊って言って願い事を書くものなの」
「タンザク・・・? ああ、そう言えば・・・去年も何だか書いてたっけ。日本でやってる行事だっけ?」
「うん。今日は七夕だから」
"タナバタ"
ああ、前にに聞いた事があるぞ・・・・・・
日本の7月7日は確か、そう言う催しがあるとか・・・。
離れ離れになった恋人同士が一年に一度、会える日・・・
は去年、そう説明してくれたっけ。
ふと、その事を思い出し、僕はの隣に移動してピタっとくっついた。
だって久し振りに会えたって言うのに愛しい恋人は紙を見つめてるなんて寂しいだろ?
そんな僕の気持ちに気づいたのか、は少しだけ顔を上げるとクスクス笑いだした。
そんな彼女の頬にチュっとキスを落とす。
「どうしたの? オーリィ。あ、暇?」
「んー。暇ってのもあるけど・・・・・・がかまってくれないからさ」
「ごめんね? あ、オーリィも書く?」
はそう言って一枚のタンザクとやらを僕の方に差し出した。
「これ何でも書いていいの?」
「うん。オーリィの好きなこと書いて? あ、でも、あくまで"願い事"ってだけで叶うとは限らないけど」
はそう言って、ちょっと笑うと、ふと思いついたかのようにペンを取った。
「あれ? は何をお願いするのか決まったの?」
「うん。あ、見ちゃダメー」
覗き込もうとした僕に、はそう言って手元を隠してしまった。
そして僕に背中を向けるものだから、ちょっと悲しくなったけど、まあ僕も願い事を考えることしよう。
数分後・・・互いに書き終えて昨日、が買ってきたという笹の葉にぶら下げた。
何だかは何枚も欲張って書いたらしい。
「こんなに願い事して叶うわけ?」
「だから気持ちよ、気持ち。叶うといいなっていう」
「ふーん。どれどれ・・・?」
「うわ、見ちゃダメよ、オーリィっ」
そう言って抵抗するをギュっ抱きしめ腕に納めると、僕は素早く一枚の短冊を見てみた。
すると、そこには、
"忙しいオーリィが、いつまでも健康で元気に仕事を続けられますように"
と書いてある。
それには胸の奥がキューっとなった気がした。
は恥ずかしいのか僕の腕の中で顔を反らしているが、そんな彼女を更に強く抱きしめた。
「ありがとう、」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
僕がお礼を言うとは恥ずかしそうに頬を赤くして小さく頷く。
そんな彼女を自分の方に向けて、すぐに唇にキスをした。
「そう言えば・・・と出会っても一年過ぎたってことだね?」
「え? あ・・・」
「来年も・・・再来年もずっとと、こうしていられるといいな」
「オーリィ・・・」
僕がそう言うとは少し潤んだ瞳で顔を上げた。
「そーんな顔したら、すぐベッドに攫っちゃうよ?」
「な・・・何言ってんの・・・?」
「あーダメダメ。逃がさないからね」
腕の中でジタバタ暴れるをひょいっと抱き上げれば、彼女は慌てた顔で、
「ま、まだオーリィの願い事、見てない・・・っ」
「ダメー。俺のは後でコッソリ見て」
「な、何で・・・?」
「俺がまた仕事でいなくて、が寂しいなーって思った時にさ」
「・・・?」
首を傾げるに、ちょっと微笑むと、僕はそのままベッドルームへと歩いて行った。
も諦めたのか、もう暴れず大人しく体を預けてくる。
ほんと言うと・・・もう一枚、短冊を見ちゃったんだけど、その願い事は今、叶えられるから・・・
「なかなか会えないけど・・・でも会うたびに二人で沢山思い出作っていこう・・・?」
「・・・え?」
"これからもずっと二人で楽しい思い出を作れますように・・・"
可愛い君の願い事。
叶えてあげられるのは僕しかいないだろ?
ベッドにをそっと下ろして、ゆっくり唇を近づけた。
その時、彼女はちょっとだけ照れくさそうに、
「ねえ・・・オーリィの願い事って・・・なんだったの・・・?」
その問いには答えず、僕は優しく微笑んで、彼女へ口付けた。
君と過ごした日々が、十年後・・・
笑顔がいっぱいの思い出になりますよう
そう願ったのは僕も同じ
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七夕夢・・・にしては微妙ですね・・・ははは;
去年はジョシュで書いたので今年はオーリィで!
皆様に楽しんでいただければ幸いです。
日々の感謝を込めて…
【C-MOON...管理人:HANAZO】
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